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('A`) ドクオは巻き込まれるようです


815 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです1/30:2008/12/21(日) 01:33:40.15 ID:MONqaDyy0

俺は戦い続けなければならない。

この戦いは俺が引き起こしたものではない。
俺の知らないところで起こり、それに巻き込まれてしまったに過ぎない。

だが、その時は気付いていなかったんだ。

戦うということがどういうことか、自分の人生がどれほど可笑しいものだったか。

知らず知らずの内に、俺は兵士となっていた。
物心がつく前から銃を握っていて
スプーンやフォークよりも銃やナイフの扱いの方が俺は上手かった。

環境が人を育てる。

俺が生きてきた環境はそういうものだったんだ。
幼い頃から銃の扱い方や戦争の仕方を教えるのが当然の環境…………

俺は巻き込まれた。
生まれた時から巻き込まれていたんだ。

でも、環境が人を育てるからといって
俺は銃を握り続けてきたことを人のせいにして恨んだりはしない。

そんな環境にあったとしても、自分を貫く方法などいくらでもある。

銃を持ちたくないのなら逃げればいい…………



817 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです2/30:2008/12/21(日) 01:37:55.27 ID:MONqaDyy0

だが、俺はそうしなかった。

別に戦争中毒というわけでもないし
我が身の不幸だと嘆くだけで考えることを放棄したわけでもない。

一度自暴自棄になり、仲間に叱咤されたこともあったが……


俺は自ら進んで戦う。この環境から逃げない。
逃げ出すにはこの環境に多くの物を作りすぎてしまった。

責任や仲間。これらを投げ出すわけにはいかない。

数多くの戦場をくぐり抜け、数多くの時間を過ごしてきた仲間と別れたくはないし
銃を握らされたからといって、握り続けてきたのは自分の責任だ。

だからこそ

俺は戦い続けなければならない。

自らの責任を果たさなければならない。

俺が信じてきたものを、受け継いだものを。

そして、自らの意思を語り継ぐために――――――――――



820 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです3/30:2008/12/21(日) 01:41:42.56 ID:MONqaDyy0

爪'ー`)y‐ 「見たまえ、この試作品を。これがこのニューソクを
       敗戦国から列強国へと成りあがらせ、いずれは全世界を驚愕させる兵器だ」

軍服に身を包んだ男が目の前に聳える巨大なそれを見上げて言う。

('A`) 「はっ! しかし、本当にこれが動くのですか?」

その言葉に背筋を伸ばして別の軍服男が応える。

敬語を使っているところを見ると男達の上下関係を察することができた。

爪'ー`)y‐ 「はっはっは。ドクオ君。君のような頭の固い軍人には
       足の付いた戦車などといった奇妙な物を想像することもなかっただろう?」

('A`) 「戦車に足を付けることによって、沼地等の足場が不安定な場所でも
    進めるようになり、歩兵との連携も取りやすくなる。
    そう聞いた時には感心いたしましたが、自分の想像力では思いもしませんでした」

軍服の男、ドクオが答えた。



823 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです4/30:2008/12/21(日) 01:44:43.27 ID:MONqaDyy0

爪'ー`)y‐ 「ふむ、そうであろう。
       従来の戦車であれば不可能であったことも
       この”AA”ならば可能になる。そして何より
       これを小型化、無人化することが可能になれば室内での戦闘も可能に……」

そう言い切る前に、AAに装備されていた戦車砲から爆発が起こり
AAは煙に包まれ、鼓膜をつくような轟音によって
男の言葉はそのまま喉の奥へと飲み込まれることになった。

(;'A`) 「どうした!? 状況を報告しろ!」

ドクオが怒鳴り上げ
その言葉は騒ぎの只中にあっても工場の中に響き渡っていった。

「AAから爆発! 原因は恐らく何者かによる爆撃です!」

そう、AAの製作を行っていた研究者が応えた。



826 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです5/30:2008/12/21(日) 01:47:50.41 ID:MONqaDyy0

爪'ー`)y‐ 「ふむ……侵入者がいるか」

男がそう呟き、AAから立ち上る黒煙を呆然と見届ける。

二足で立ち上がっているAAはその天辺から煙を登らせてはいるが
深刻なダメージは与えられていないようだ。

爪'ー`)y‐ 「修復にどれほどかかる?」

「戦車砲を破壊されましたが
 幸いにも砲弾は装填されていなかったので三日ほどで修復できます」

先ほどの研究者が応える。

爪'ー`)y‐ 「一日でやれ、それが終わったらすぐに元の作業に戻れ」

研究者は僅かに頬を引きつらせたが、すぐに戻し

「了解しました」

と応えた。

('A`) (何もそこまで急かす理由があるのか?)

そうドクオは思ったが、上官に絶対服従である軍隊では意見することは躊躇われた。

彼の上官である男、フォックスは優秀な男であったが。
人に意見されることを嫌う節があったので、この判断は正しかったと言える。



828 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです6/30:2008/12/21(日) 01:51:43.69 ID:MONqaDyy0

さて、とフォックスが紡ぎ出し

爪'ー`)y‐ 「では、ドクオ君。これからは狩りの時間だ。
       ”VIP”第五期卒業生の生き残り。君のその実力には期待している
       侵入者を狩りだし、私の前に突き出してくれたまえ」

フォックスがそう命令を下す。

ドクオは作業員達に呼びかけ、フォックスの目前に集め
そして無線で兵士達に工場の周辺を捜索するようにと伝えた。

駆け足で寄ってくる作業員達の顔には煤と疲労の色がこびり付いており
全員が極限まで重労働を強いられていることが一目でわかる。

作業員達が横一列に並ぶ。

すると、ドクオはその者達一人一人の顔を見渡した。

見渡すだけでなく、じっくりと観察するが
特に怪しい者はいなかった。

作業員全員に振り当てられたIDも照合してみたが
やはりこれに引っかかる者はいない。



830 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです7/30:2008/12/21(日) 01:54:44.04 ID:MONqaDyy0

('A`) (逃げられたか? いや、隠れている? どちらにせよ俺が捜索する必要もあるな)

そう思考するとドクオは工場内を飛び出した。

逃げ出したとしてもそう遠くにはいないはずだ。
隠れたとしてもすぐには身を隠しきれない
ならば、この工場の周辺を捜せばすぐにみつかるはず。

そう仮定し、彼は工場の外を駆け回った。

この工場は三つの建物に囲まれ
兵舎、研究所、武器庫として使われている。

隠れるとすれば、工場から一番近い兵舎のはずだが
そこには大勢の兵士がおり、隠れるのには向いていない。

隠れやすいとしたら人が一番少ない武器庫だ。

あそこには警備に当たる兵士しかおらず
発見される可能性は一番少ない。

その上あそこには戦車等も数多くあり
隠れる場所に困ることはない。



833 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです8/30:2008/12/21(日) 01:57:58.08 ID:MONqaDyy0

しかし、そこには警備員しかいないにしても
その人数は他の建物の警備員の二倍はいる。

こちらも不向きかもしれないが……

なら研究所か?

しかし、あそこは大勢の研究者達がいて隠れるのには不向きだ。

すぐに発見されてしまうのがオチだろう。


もしや変装しているのか?
なら誰に化けている?

先ほど調べた作業員達の中にはいないはずだ。

ならば兵士か研究員か。

一体敵は何人いるんだ?

ドクオはそう思考してるうちに

「こちらパトロール、兵舎にて警戒に当たっていた兵士が一名死亡した。これより周辺の捜査に当たる」

と無線から報告が入った。



835 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです9/30:2008/12/21(日) 02:01:04.29 ID:MONqaDyy0

(;'A`) (クソッ! 兵舎に居たか!! ならこのまま逃げる気か!?)

ここの出入り口は二か所しかなく、全て南にあった。

兵舎の位置も南だ。

敵はそのまま南下して
この場を脱出するつもりだろう。

しかし、出入り口には検問が敷かれており
そこの突破には骨を折ることになるはずだ。

少しの時間稼ぎは出来る……

その推測を胸にしてドクオは検問へと駆けて行く。


爆破から30分ほど経過した後のことであった。



838 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです10/30:2008/12/21(日) 02:04:45.08 ID:MONqaDyy0

******
  _
( ゚∀゚) 「ひでぇーな……こりゃ………」

眉の太い戦闘服の男、ジョルジュが呟く。

第04ニューソク基地パトロール隊の隊員だ。

彼の視線の先には首から血を垂れ流している死体が横たわっていた。

恐らく、抵抗する間も無くナイフで喉を掻き切られたのであろう。

(:^ω^) 「まだここに居るんじゃないかお!?」

慌てふためき、辺りをきょろきょろと見渡す
この小太りの男はブーンと言った。
  _
( ゚∀゚) 「大丈夫だっての、敵さんがここにいたら俺達とっくに死んでるさ」

多分な。そう無責任に付け加えてジョルジュが諭す。

(:^ω^) 「うぅ……なんでジョルジュはそんなに冷静なんだお?」
  _
( ゚∀゚) 「あぁ……お前は"VIP"に入学してなかったんだっけ?」

(;^ω^) 「父ちゃんが普通の学校に行って欲しいからって“VIP”には行かなかったんだお」



840 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです11/30:2008/12/21(日) 02:07:48.60 ID:MONqaDyy0
  _
( ゚∀゚) 「そうかいそうかい、けど兵士になるってんなら“VIP”に行くべきだったと
      俺は思うぜ。現にこうも違いが出てきてんじゃねーか」

(;^ω^) 「お……でも! 僕は徴兵が終わったら別の仕事をしたいんだお!」
  _
( ゚∀゚) 「へー、初めて聞くな。何になりたいんだ?」

(*^ω^) 「僕はパン屋さんになるんだお!」
  _
( ゚∀゚) 「パン屋ねぇ……最近は小麦が高くて不況だと聞くぜ?」

(*^ω^) 「それでもいいお! 僕はツンと一緒にパンを作って暮すんだお!!」
  _
(;゚∀゚) 「へぇー、そりゃいいな。惚気を聞けてうれしい限りだ」(死亡フラグキター………)

ジョルジュは内心に呟きながら皮肉気に言った。

(*^ω^) 「おっおっおっ 惚気なんかじゃないお! 僕の小さいk「喋りすぎだ」

ブーンが喜びの色を一杯にして
語っているところをそう遮る言葉があった。



842 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです12/30:2008/12/21(日) 02:11:43.80 ID:MONqaDyy0

( ゚д゚ ) 「話すなとは言わん。だが無駄話はするな。
      敵がこの場にいるかもしれないのだぞ。この基地はすでに戦場になっているのだ」

遮ったのはミルナというパトロール隊の部隊長を務める男だ。
  _
(;゚∀゚) 「申し訳ありません。つい気が緩んでしまいました……」

(;^ω^) 「すいませんお……」

( ゚д゚ ) 「“VIP”から上がったばかりとは言え
      俺は特別視はしないぞ。次は無いと思え」
  _
(;゚∀゚) 「はっ……」

( ゚д゚ ) 「それとブーン。貴様はこの死体を片付けておけ
      戦場に居る限り死体はどうしても見る羽目になる。今のうちに慣れておくべきだ」

(;^ω^) 「了解しましたお!」

ぴしゃりとブーンは言い切り
喉から血を流した死体へと向かった



845 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです13/30:2008/12/21(日) 02:15:09.43 ID:MONqaDyy0

( ゚д゚ ) 「ふん、“VIP”か……下らん」

VIP―――――――――――


“VIP”とは、ジョルジュ達が住まう小国“ニューソク”によって
20年前に設立された軍事学校だ。

小中高一貫とされており、幼少期からこの学校に入学し
ここを卒業する頃には全員例外なく
老練の兵士並の技量を身につけることができる。

また入学資格は5歳の健康的な子供であれば誰でも入ることができ
国立ということもあって入学費、授業料等も他の学校に比べれば
断トツで安かったので、金の無い貧しい家庭は仕方なしに“VIP”へと入学させる事もあった。

そしてこの学校には孤児達も多く通い
ニューソクの子供の6割はここに籍を置く。

その6割がまた卒業していき、軍人となりニューソクの軍隊を支える大切な戦力となる。

さらに徴兵を行い。戦力を増強する。

この“VIP”こそが大国“ニーソク”との争いに敗れた
ニューソクが取った自らの軍事力を高め、列強国へと伸し上がる為の政策だった。



848 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです14/30:2008/12/21(日) 02:18:38.96 ID:MONqaDyy0

しかし、そうなったのは最近の話だ。
いくらそういうシステムがあるとは言え、人が集まらなければ
この政策は意味がない。


そこで、これは成功するかどうか
ニューソクの政界トップ達はあるテストを行った―――――――

( ^ω^) 「ジョルジュ」

死体を片付け終えたブーンが小声で
ジョルジュに語りかけてきた。
  _
( ゚∀゚) 「何だよ? 吐きそうだったら早くトイレ行って来い。
      今の時間帯なら軍医の阿倍さんがいるはずだから面倒みてくれるぜ? 性的にな」

(;^ω^) 「そんな趣味はないお! そんなことじゃなくて“VIP”のことだお!」
  _
( ゚∀゚) 「引きずるねぇ……」

( ^ω^) 「ジョルジュは何期生なんだお?」
  _
( ゚∀゚) 「俺? 俺は11期生だぜ。何か気になることでもあんのか?」

( ^ω^) 「ドクオ大尉………あの人は……」



851 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです15/30:2008/12/21(日) 02:21:36.56 ID:MONqaDyy0
  _
( ゚∀゚) 「あいつは第5期生だ」

( ^ω^) 「ジョルジュは第11期生で24歳。そして1等兵。
        第5期生で大尉は20歳……これはおかしいお」
  _
( ゚∀゚) 「あぁ……それな…“VIP”はなぁ。第1期~第5期生は年齢がバラバラなんだ。
      そんでもってその卒業生達は例外なく佐官やら尉官になってる。出世コースだな」
  _
( ゚∀゚) 「“VIP”を卒業をしたとしても余程成績が良くない限り、
      いきなり左官になったりはしない。でも第1期から第5期はまた別だ。あいつらは何か特別なんだ」

(;^ω^) 「ジョルジュ達と何がそこまで違うんだお?」
  _
( ゚∀゚) 「第6期生からは一般からの応募だった。でもあいつらは
      軍人の家系やら孤児から集められた寄せ集めの実験台だったらしい」

( ^ω^) 「…………」

実験台。その言葉を聞いてブーンは絶句する。

それの重さはどのような物なのか。

知りたくないような知りたいような好奇心と恐怖心が入り混じる不思議な感覚を彼は覚えた。
  _
( ゚∀゚) 「酷いとこだったらしいぜ。実習つって最前線に送られたりして何人も死んでったらしい」



854 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです16/30:2008/12/21(日) 02:24:35.79 ID:MONqaDyy0

それは、少し軍事について詳しい者であれば周知の事実であったが、ブーンは知らなかった。

彼の父がどうして彼を普通の学校に通わせたのかが、初めてブーンは理解できた気がする。

( ゚д゚ ) 「無駄話してないできりきり歩け。研究所に行くぞ」

そうミルナが言葉を発し、彼等パトロール隊は研究所へ向かう。

この基地は工場、兵舎、武器庫、研究所が連絡通路で繋がっており
そこを渡れば5分もあれば研究所へと辿り着く。

警備員が多いが隠れる場所の多い武器庫に行くべきかと思われるが
敵はその予想を裏切ってくれた。

AAを爆発した後、兵舎に隠れたということは
警備員の多い武器庫を避けている。ミルナはそう判断したのだ。

ならば、人が多くとも非力な研究者共の多い研究所を次は隠れ蓑にする。
その予想を元に彼は研究所へ足を進めた。

( ゚д゚ ) (奴は逃げない、絶対にこの場に留まるはずだ。
      人がまた死ぬな……それも大勢………面白い! 敵よ! もっと逃げろ! もっと殺せ!)

どす黒い狂気を胸に秘め、ミルナは笑みを浮かべつつ敵を探し回った。



857 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです17/30:2008/12/21(日) 02:27:48.05 ID:MONqaDyy0

******

(;'A`) 「いや……ここの心配をする必要はなかったな……」

ドクオは検問へと辿り着き、その様をみてこう呟いた。

出入り口を戦車で阻み、その周辺には30余人もの兵士が配備され
改めてドクオはこの基地の規模の大きさに驚かされた。

これならば正面突破は不可能。

いや、この兵士達が皆スパイだと言えば話は変わってくるが
この殺気立った顔を見ればそれは有り得ないと痛感させられる。

ドクオは踵を返し、次は何処へ向かうべきかと思考を巡らす。

今は夜だ、隠れるのには打ってつけだ。

敵は隠れてもう一度AAを爆破するのだろうか?

それとも失敗したからには既に撤退する気だろうか……?

俺なら撤退する。

そう彼は判断を下し、侵入者は逃走を図っていると過程をおいて
捜索することにした。



860 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです18/30:2008/12/21(日) 02:30:49.58 ID:MONqaDyy0

たしか………武器庫の近くには下水路への入口があったはずだ。

そこから脱出するつもりか。

そう思い、ドクオは武器庫へと向かうと、またしても無線が入る。

「こちらパトロール。研究所にて研究員の死体を発見。周辺の捜索にあたる」

そう淡々と報告を告げた。

先ほどの報告と違い、やけに冷静な声だ。

('A`) (場慣れしているな。流石フォックス、いい人材を揃えてるみたいだな)

「こちらパトロール! 敵を発見したお!! 研究所のロッカールームに……」

無線が飛び入り、そこで報告は途絶えた。

(゚A゚) 「とうとう見つけたか」

そう彼は呟き、ドクオは研究所へと向かう。

一体敵は何人いるんだ?……そこは伝えきって欲しかったな……

内心に舌打ちをし、真っ直ぐに研究所へ駆けて行った。



862 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです19/30:2008/12/21(日) 02:33:43.92 ID:MONqaDyy0

******
何時の間に現れた!?

そう驚く者がほとんどであった。

それも無理はない、敵が瞬きの間に現れたのだ。

初めに気づいたのはミルナであった。

キナ臭い、そう呟いた彼は自分の目前に向けて銃を放つ。

すると、弾丸が彼の数メートル前で止まり、赤い液体が流れ出したのだ。

( ゚д゚ ) 「ほう、やはり。“ステルス迷彩”か」

ミルナはそう言い。
血が流れた空間から稲妻が走り、人が現れた。

その者は全身を黒いウェットスーツのような物で首から下まで隙間なく包み。

頭にはカラスの嘴を彷彿とさせるような鋭いヘルメットを被っていた。

“ステルス迷彩”。ニューソク軍の最新兵器。
周辺の映像を映し出して使用者の体と一体化させて擬態する。

その為には高性能な演算装置などが必要であり
1つ作るだけでも莫大な費用がかかるので、現在ニューソクには5基しか製造されていない貴重な物だ。



864 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです20/30:2008/12/21(日) 02:37:14.95 ID:MONqaDyy0
  _
( ゚∀゚) 「動くんじゃねぇぞ!」

ジョルジュが敵に向けて吠える。

( )「……」

どうやらステルス迷彩の稼働は中断されてはいるが
黒いスーツが弾を防ぎ、重傷は負っていないようであった。

パトロール隊の者達と研究所の警備に当たる
兵士達の銃口が一斉に敵へと向けられた。

対するこの者の武装はナイフ一振りとハンドガン。

加えて、ここは隠れる場所などない。

部屋の隅に数多く設置されている
ロッカーに隠れることはできるが、それではまさに袋の鼠だ。

ここを出れば少しは活路も見出せるのかもしれないが……

脱出できる可能性は限りなく0に近い。

ここで終わらせる。
その思いがパトロール隊の者達にはあった。

ドッという火薬の爆ぜる音が4つ聞こえたかと思うと
敵は更に多くの血を溢れさせ、膝を突いていた。



867 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです21/30:2008/12/21(日) 02:40:42.66 ID:MONqaDyy0

すると、ミルナの銃口から白い煙が立ち上っていた。

( ゚д゚ ) 「躊躇うな。撃ち殺せ」

彼はそう言って引き金を引こうと……

「待て!」

という声がその場に居た者達に静止の命令を発した。

('A`) 「殺すな、尋問にかける。まだ敵が居るかもしれないんだぞ?」

何時の間にかミルナの傍に立っていたドクオがそう告げる。

ここまでか、そう思ったのか敵は手にしていたハンドガンを手からこぼれ落とし
両手を頭の上に置いて地面に伏せた。

('A`) 「後で俺の部屋に連れて来い。尋問に掛けた後に俺が直接フォックス大佐に届ける」

( ゚д゚ ) 「了解しました………」

ミルナが眉を伏せつつも承服した。

(;^ω^)(何で大尉の部屋へ送る必要があるんだお?……尋問なら大尉の部屋でなくても……)

ブーンがそう内心呟くも、その問いは誰もが思うことであった。
しかし、軍隊とは上の者に絶対服従なのだ。誰一人意見せずに敵をドクオの自室へと運んだ。



870 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです22/30:2008/12/21(日) 02:45:32.31 ID:MONqaDyy0

******

「大尉! 侵入者を連行しました!」

そう張り上げた声が扉越しに伝わり、ドクオは部屋のロックを外した。

('A`) 「入っていいぞ」

「失礼します!」

そう言い、兵士が3人ドクオの部屋へと黒いウェットスーツのような物を着た者を中へと入れた。
手錠で繋がれ、あちこちに傷を拵えたその者は足どりが覚束ないようだ。

「お一人で大丈夫でしょうか?」

兵士がドクオの目の前にその者を突き出して言う。

('A`) 「あぁ。大丈夫だ。行っていいぞ」

「はっ! 失礼します」

そう敬礼をして兵士達は部屋を出て行った。
さて、そう言ってドクオはハンドガンを腰から抜きとる。
銃口を向け引き金を引き抜くと銃声が鳴り、カラン、という金属の落下音が部屋の中に響きわたった。

手錠がその者の足もとに落ち、腕が自由になったのだ。

そうするとヘルメットを自らの手で外し、そこから圧縮された空気が流れ出
彼女の黒く艶めかしい長髪と切れ長の鋭い眼を持った美しい顔が現れた。



874 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです23/30:2008/12/21(日) 02:51:20.23 ID:MONqaDyy0

川;゚ -) 「すまないドクオ君……」

('A`) 「いいですから喋らないでください」

ドクオがそう制し、彼女をベッドに座らせ、スーツへと手を伸ばしてそれを脱がせる。

そこからは女性らしい柔らかさと豊満な肉体が露わになるが
彼女のそれはどこかに男のような硬さが含まれていた。

川;゚ -) 「初めに聞きたいのだが代わりの服はあるか?」

('A`) 「用意しています。クーさんのサイズに合うかはわかりませんが」

傷は4つ、右肩に2つ、左にも1つ、右足に1つ。
全て銃創で弾丸は貫通していない。ドクオはそこに手を伸ばし、銃弾を指先で引き抜いた。

彼女、クーが苦痛に眉を顰めるが、彼は構わずに応急処置をする。

命を脅かすような怪我はしていないが、出血を止めなければならない。

('A`) (ちっ 怪我の手当をしとけと言っておけば良かったか)

内心に舌打ちをする。
クーの目の前で舌打ちをしては彼女に負い目を感じさせてしまう。

同じく実験台とされた“VIP第5期卒業生”にそんな思いをして欲しくはない。
弾丸を全て取り除き、消毒液を塗り、クーの体に包帯を巻きつけて処置を終えた。

('A`) 「すいません、今はこれしかできません。医療用キットが手元に無いので」



877 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです24/30:2008/12/21(日) 02:55:40.70 ID:MONqaDyy0

川;゚ -゚) 「あぁ……ありがとう…これでまだ戦えるだろう」

そう意気込むが、彼女のその所作はどこか苦しげだ。
恐らく疲労が溜まっており、そこに怪我が加わり緊張の糸が切れてしまったのだろう。

(* A ) 「…………どうぞ……」

ドクオはそう言いい、背を向けて後ろ手に自分と同じ軍服を渡す。

川 ゚ -゚) 「すまない」

そういってクーは着替え始めた。ドクオからは見えないが衣が擦れる音がすることからそれを察する。

川 ゚ -゚) 「さっきからずっと見ていたくせに今は目を背けるんだな」

終わったぞ、そう付け加えてクーが言い、ドクオは彼女の方を振り返った。

('A`) 「どうしてここに?」

彼女を見据えてドクオが問う。

川 ゚ -゚) 「それを知りもせずに君は私を助けたのか?」

('A`) 「はい、クーさんがここに来ているのなら、何かがここで起きていると思いまして。
    それなら自分は与えられた任務よりあなたを助けることを優先するべきかと」

川 ゚ -゚) 「何故私だとわかった?」

('A`) 「ステルス迷彩を採用している部隊なんて1つしかありません」



879 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです25/30:2008/12/21(日) 02:59:43.10 ID:MONqaDyy0

川 ゚ -゚) 「それもそうだな。流石元“VIPPER”だ。
      あそこで戦っていた日々は無駄ではなかったようだな」

川 ゚ -゚) 「尤も、随分と落ちぶれてしまったようだが……」

('A`) 「すいません、ですが俺は……」

川 ゚ -゚) 「まぁいい、私の任務について教えてやろう。
      私はあのAAを破壊しに来た。それはあの騒ぎでわかるだろうから
      何故破壊しに来たかを教える。私は“AA”を作らせているフォックス大佐の反乱を止めに来たんだ」

(;'A`) 「大佐が反乱?」

ドクオが信じられないというように応える。

川 ゚ -゚) 「そうだ、あの者はAAを量産して首都である<ニジ>を攻め込む。
      AA……あれには…核弾頭が積まれている。それを撃ちこむつもりだ」

(;'A`) 「自国に核っ!? 聞いてませんよそんなことっ!!」

川 ゚ -゚) 「あぁ……まだ積まれてはいないが、遅かれ早かれ積まれることになるな」

('A`) 「それを破壊するのが“VIPPER”の任務ですか?」

川 ゚ -゚) 「そうだ、カラマロス大佐はこれを国家の存亡に関わる任務だと言っていた」

カラマロス、ドクオにとって父親にも近い人物であり
“VIPPER”を除隊する際に最も恩を受けた人物。その名前を聞き、胸の奥が痛む。
沈黙が訪れ、二人とも声を掛けづらい空気がながれる。



883 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです26/30:2008/12/21(日) 03:03:00.94 ID:MONqaDyy0

('A`) 「クーさん、俺がf川 ゚ -゚) 「久しぶりだな」

(;'A`) 「え?」

川 ゚ -゚) 「君と久しぶりに会った。落ちぶれてはいるが、元気そうで私は嬉しい」

(;'A`) 「そりゃ……“VIPPER”と比べたら見劣りするとこですがね……」

ドクオが歯切れが悪そうに言う、そして彼は言葉を紡ぎだそうとしたが
クーが彼の目を穴が空くほど見つめてくるので、その言葉は喉の奥へと押し込められていった。

川 ゚ -゚) 「ドクオ………どうして居なくなってしまったんだ? 私達は仲間なんだろう?」

その言葉にドクオは答えない。すると、彼女はベッドから腰を浮かし、彼の首へと手を回した。

引っ張られるようにしてドクオは身を屈める形になり、彼女に抱き留められた

川 -) 「私達はVIPのテストケースとしてあそこに集められた。そこで皆どんどん死んでいった。
     君はずっと泣いていたな、怖い、寂しい、皆の役に立ちたい。とな、私は君の傍に居た。
     そうやって幼い君を慰めた。君のことを知るたびに君は私にとって重要な存在になっていった……」

クーに抱きしめられ、頭が彼女の口元の近くにあるせいか、彼女の声がよく聞こえた。
その声は心なしか上擦っているようだ。彼女の体温が徐々に熱くなっていくの感じる。

川 -) 「私は……君にとってどうでもいい存在なのか? 除隊する時、何故一言も話してくれなかったんだ……?」

先ほどまで良く聞こえていた声が、とてもか細いものとなり、涙を堪えているようだった。

( A ) 「クーさん、俺が……フォックス大佐の反乱を止めてきます。俺にも理由があるんです」



886 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです27/30:2008/12/21(日) 03:05:37.12 ID:MONqaDyy0

川 -) 「そうか………しかし、それは私の任務だ、私も行こう」

('A`) 「すいません、“強化外骨格”に着替えてもらえますか?」

わかった、とクーが応え、先ほどの黒いスーツとヘルメットに手をかける。
“VIPPER”――最新の装備を配備し、国内で起こったテロや反乱等を防ぐ為の特殊部隊――で使われている高価な装備だ。

そして、また服を脱ぎ、彼女の美しい白い肌をさらす。
ドクオはそれを見てしまい、生唾を飲み込んで慌てて眼を伏せた。

クーはそれを気にも留めずに着替え続ける。

彼女が着替え終えると、ドクオは彼女の両腕に手錠を掛けた。
鍵は掛けずに、何時でも外せるようにしておく。

ドクオは作戦をクーに伝え
そのままフォックスがいるであろう工場へと向かった―――――

******

爪'ー`)y‐ 「ドクオ君はまだかね? ミルナ君」

待ちくたびれた、というような顔でフォックスが言う。

( ゚д゚ ) 「はい、尋問を行っているものと思われ、遅れるのではないかと」

爪'ー`)y‐ 「ふっふっふ 尋問かね。ぜひ私もその場に居合わせたかったのだが
       彼がそうしたいのならそれでいいだろう。彼は私のお気に入りだ」



888 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです28/30:2008/12/21(日) 03:07:52.23 ID:MONqaDyy0

( ゚д゚ ) 「お言葉ですが大佐。大尉を買い被り過ぎてはいませんか?」

爪'ー`)y‐ 「ミルナ君、ドクオ君はな、私達とは別次元に居る兵士だよ。
       いや、彼等VIP創設期メンバーは皆全て“人外”と呼べるほどの強さだ」

( ゚д゚ ) 「しかし、実戦経験ならば我等の方が上です。大差などないように思えますが?」

爪'ー`)y‐ 「だからこそ……だ。彼等のような者達が我々のように修羅場を越えた時
       彼等はどのような修羅へと成長するのであろうか? 実に興味深い。彼らには未来があるということだ」

( ゚д゚ ) 「そうですか…………ドクオ大尉が到着したようです」

黒尽くめのウェットスーツのような服を着た者を後ろ手に組ませ、ドクオはこちらにやって来た。

この場には彼等の四人のみ。
上階からAAを見下ろす形で対面している。

('A`) 「侵入者を捕らえ、尋問を行いました。どうやら敵はまだ3名おり
    全員がステルス迷彩を装備しているようです」

爪'ー`)y‐ 「そうかそうか、ご苦労だ。引き続き警戒したまえ」

爪'ー`)y‐ 「ところでドクオ君、急な提案なのだが、AAの戦車砲を修復しだいにテスト運行を行う。
       それにあたって君に操縦を頼みたい。やってくれるかね? マニュアルは随分昔に渡したはずだが……」

('A`) 「了解、今からでも操縦してみせますよ」

ドクオは自信満々に答える。そして更に近づく……2メートル程の距離に入った。

――――――この距離ならば外さない!!



891 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです29/30:2008/12/21(日) 03:10:03.11 ID:MONqaDyy0

ドクオが黒い潜水服――クーを突き放し、彼女は身を伏せる形となり
それと同時にハンドガンを抜き、フォックスへと向けて引き金を引きしぼる。

乾いた音が工場内に響きわたり、フォックスの額からは血の花が咲き乱れていた。
脳漿と血液を撒き散らしながら崩れ落ちる彼を見るよりも早く、ミルナはドクオへと銃を向けた。

しかし、ミルナの銃は彼の頭上をクルクルと舞い上がって行った。

クーが彼の銃を蹴り上げたのだ。そしてドクオはミルナへと照準を定め、引き金を引く。

すると、ミルナは身を捩って辛うじて即死を免れた。しかし、彼は重傷を負うことは避けられない。
利き腕である右腕の骨が砕け、肺を弾丸によって撃ち抜かれてしまい、呼吸すらままならないようだ。

そのはずだった。ミルナはドクオへと駆け抜け、何事も無かったかのように右腕でナイフを振るう。

ドクオは銃を放り捨て、バックステップで斬撃を避ける。

彼もナイフを抜き、ミルナへ向けて一閃。
だが、往なされてしまい、体勢を崩す。体のバランスが右に傾き、腹が無防備となる。

その隙を逃さずにミルナは腹を突こうと刃を向ける。切っ先が滑るように進み、空を切った。
ドクオは往なされた反動を利用し、横転したのだ。曲芸じみた軽業にミルナは動揺する。

さて、次はどのように攻め立てようか? 高揚した頭でそう思考していると

先ほども聞いた乾いた音に気づき、振り向くと先ほどドクオが放り捨てた銃を構える黒尽くめの姿――――クーがいた。
銃口からは白煙がゆらめき、自分の左胸から熱を感じた。左胸を見ると、そこから夥しい血が流れ出ている。

もう一人いたということを忘れていた。否、ミルナはドクオとの戦いに魅せられ、他のことは一切考えられなくなってしまっていたのだ



893 :('A`) ドクオは巻き込まれるようです30/30:2008/12/21(日) 03:12:58.60 ID:MONqaDyy0

( д ) 「なるほど…人外か……これは人とは呼べないな。貴様の“人間”は闘争の狭間に置き去られてしまっている……」

この戦闘でドクオという人間を見抜いたのか、ミルナが最後の言葉を残す。
だがそれを聞いてる暇など彼らにはない。

(#'A`) 「クーさん! ステルス迷彩を!!」

ドクオがそう叫ぶとクーはステルス迷彩を稼働させる。
すると、彼女はミルナが装備していたライフルをドクオへ投げ渡した。

度重なる銃声に兵士達が駆けつけ、ドクオに銃を向けんとするが、彼等は見えない何者かに切り刻まれた。
周囲に擬態したクーがナイフで仕留めたのだ。ドクオは二本足を持つ巨大な戦車に向けて駆ける。
その戦車、AAの姿は恐竜を彷彿とさせた。これを使って彼等はここから逃げ出すつもりだ。

兵士が3名立ちはだかるが、1人はドクオに撃たれ、残る二人はクーに切り捨てられる。
見えない敵に恐れをなし、兵士達は彼等に近づこうとはしなかった。

あっと言う間にドクオはAAに取り付き、彼が先にコックピットへ乗り込む。

操ることは容易だ。エンジンを掛け、AAが唸った。さながら恐竜の雄たけびのよう。
AAが片足を上げ、様々な機械を弾き飛ばして進む。問題は無い。
ただ、一人乗りのAAにはクーと共に乗るのは些か窮屈ではあるが――――――――――

AAは基地を飛び出し、十重二十重の軍勢を切りぬけ、海へと辿り着き
夜を映し出した暗い水面の奥深くへと沈んでいった。

その夜、1人の兵士の姿が消えた。

そして、古い仲間達と共に、かつて所属していた部隊で戦うことになった男が一人いた。
彼は様々な思惑や争いに巻き込まれていくことになるが、自からの意志で銃を握り続けていくことだろう。


[ 2008/12/21 16:25 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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