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(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです


217 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/18(木) 23:41:02.46 ID:bjUv6AKMO

暗い部屋の中で、二人きり。
彼女の爪がかりかりと壁をなぞる。


(#゚;;-゚)「……分からない」


ベッドに腰掛けたまま頭を抱えて呟いた私の台詞に、彼女は律義に顔を上げてくれた。


(*゚ー゚)「何が?」

(#゚;;-゚)「私には、分からないよ。君の考えていることが」


爪が壁を掻く音が止まる。
黒い床を見つめたまま私は呟く。
私を見る彼女の視線と床を見る私の視線が、私達を象徴するようにすれ違う。


(#゚;;-゚)「君が私に執着する、理由が」


彼女の目が見開かれて、それから小さく笑う声が耳に届く。
その程度なら見ずとも分かる、私はずっと彼女と一緒だったから。



219 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/18(木) 23:42:07.59 ID:bjUv6AKMO

(*゚ー゚)「馬鹿なでぃ。そんなの決まってるじゃない」


ず、と衣擦れに似た音が響く。
体温の低い彼女の指が、私の頬に触れる。


(*゚ー゚)「私達、たった二人の姉妹でしょう?」


そう言った彼女の唇は蜂蜜のように甘やかで、胸焼けがしそうだった。



(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです






220 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/18(木) 23:43:11.35 ID:bjUv6AKMO

*(‘‘)*「あなた、でぃさんですよね?」

*(‘‘)*「3組のしぃちゃんの、偽物の」


鼓膜を震わせるのは、いつかかけられた言葉のリフレイン。
偽物とはよく言ったものだと感心して、その時は何も思わなかったものだけど。
今になって考えてみれば、あれは相当酷いことを言われていたのではなかろうか。

……まぁ、別にどうでもいいことだけれど。


私としぃは双子だった。
双子と呼ぶのがためらわれるほど、似ていない二人ではあったけれど。
可愛いしぃと、醜い私。

私自身、生まれつき彼女と同じ家に育った記憶を持っていてなお、血の繋がりを疑っているのだ。
それを持たない他人が私達の血縁を疑うのは、仕方がないことだと思う。


そんな風に割り切って考える術を、私は小学校に上がる頃に手に入れた。



221 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/18(木) 23:44:06.22 ID:bjUv6AKMO

*(メ‘) 「あ、あ、あの、ごめんなさい」


だから、彼女が謝りに来た時も、私は初め何を謝られているのか分からなかったのだ。


*(メ‘) 「ごめんなさい、ごめんなさい。もう、あんなこと、言いませんから」


そう言えば、あの後妙な噂を聞いたっけ。
しぃが生徒を校舎裏に呼び出して暴力を振るっている、なんて噂。

初めて聞いた時は、つい笑ってしまった。
虫も殺せないしぃが、人を殴る?
その光景を想像して、もう一度笑う。


*(メ‘) 「だから、許してください。ごめんなさい」


結局、その馬鹿げた噂は、誰にも信じられないままに消えていった。



223 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/18(木) 23:45:56.66 ID:bjUv6AKMO

恐怖心を煽るのは、いつか向けられた視線の記憶。
年柄にもなく、といえば色々と語弊があるが、弟だか妹だかが出来るのだと母に告げられた、その日の晩。
いつものようにぼんやりと部屋で過ごしながら、その話題で少し盛り上がって。


(#゚;;-゚)「私は、弟がいい」

(*゚ー゚)「どうして?」

(#゚;;-゚)「だって、妹はもういるじゃないか」

(*゚―゚)「…………そっか」


大した考えもなく放った私の言葉に、しぃの瞳がすぅと細められる。
どこを見ているのかも分からない表情で、唇の端だけがそっと上がる。
いつもと同じ笑顔のようで、決定的に何かが違う。
そんな顔。


(*゚ー゚)「そうだね、可愛い子だといいなぁー」


笑ってそう告げるしぃに、私は不得手な笑顔で同意して。




その一月後、母は子供を流産した。



226 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/18(木) 23:47:57.37 ID:bjUv6AKMO

(*゚ー゚)「……でぃ、」

(#゚;;-゚)「……ん。あぁ、済まない。夕食の支度を忘れていた」

(*゚ー゚)「ううん。それはいいの」


暗い暗い台所で、しぃが首を振る。
その姿は見えなかったけれど、その程度なら経験で分かる。


(*゚ー゚)「それより、」


暗闇から伸びたしぃの白い手が、私の手を握る。
しぃの表情は分からない。
代わりに、マニキュアの塗られたピンクの爪が、私の肌をぎ、と掴んだ。



228 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/18(木) 23:49:18.81 ID:bjUv6AKMO

(*゚ー゚)「赤ちゃん……残念だった、ね?」


囁かれた台詞に顔が跳ね上がる。
見えないはずのしぃの目に、私の視線がぶつかる。
食卓を挟んで私を見つめるしぃの目は、暗く冷たく光っていて。


(#゚;;-゚)「……っ!」


ぞわりと這い上がるような恐怖に、私は彼女の手を、


(* ー )「でぃ?」


振り払った。



229 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/19(金) 00:02:51.05 ID:yJ0Bc75wO

思い出すのは、私のための最後の笑顔。
赤い視界と溢れ出す感触、失われていく体温に、表情の分からないしぃの顔。
見て見ぬ振りをし続けた、しぃが私の知らないしぃになっていくという現実。


あぁ、そうか。

私は多分、しぃが怖かったんだ。




(#゚;;-゚)「……分からないよ」


鍵のかけられた部屋の中で呟いた声は、まるで呻き声のよう。


(*゚ー゚)「でぃ?」

(#゚;;-゚)「分からないんだ、君が、私に執着してくれる理由が」

(*゚ー゚)「それは、」



230 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/19(金) 00:03:35.57 ID:yJ0Bc75wO

(#゚;;-゚)「姉妹だから。君はいつもそう言った。私もそれに縋っていた。いられると思った」


押さえ付けていた感情が、とめどなく溢れ出す。
私らしくもない饒舌さに笑う私の前で、しぃの笑顔は固くなっていく。


(#゚;;-゚)「……母さんが妊娠した時は、気が狂いそうだった」

(*゚―゚)「! 貴方、まさか」


しぃの顔が明らかに強張る。
がちゃりがちゃりと耳障りな音を立てて、しぃの背後で手錠が鳴る。


(#゚;;-゚)「怖いよしぃ。私は怖い、恐れてる」

(#゚;;-゚)「いつか私が、しぃの執着を失うのが、何より怖い」


そっと触れたはずの頬が、びくりと震える。


( ゚ー゚)「でっ、でぃ、止めよう? こんなこと……」


白くなったしぃの顔の、歯並びの美しい白い歯が、かちかちと鳴らされる。
その美しい音色に、私の独占欲はかき立てられる。



231 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/19(金) 00:04:09.33 ID:yJ0Bc75wO

(#゚;;-゚)「大丈夫、大丈夫だよ、しぃ」


言いながら握ったのは、一つのレンガ。
しぃはとても可愛いから、そのままでは身体を誰かに盗られてしまうかも知れない。
そんなのは耐え切れないから、彼女を崩すことに決めた。

大きな瞳も。
小さな鼻も。
白い指も。
しなやかな脚も。
細い膝も。
形の良い耳も。
なだらかな肩も。
小振りの胸も。

美しい彼女のパーツも、形を崩せば人目を引かなくなるだろう。
世間は何も分かっていない。
しぃが可愛いのは、外見だけではないのに。


(#。;⊿)「たい…痛い!痛い!いだい゛ぃい゛!!」

(#^;;-^)「――愛してるよ、しぃ」



233 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/19(金) 00:05:24.53 ID:yJ0Bc75wO




暗い部屋に二人きり。
彼女の爪がかりかりと壁をなぞる。


(*゚ー゚)「どうしたの?」

(#゚;;-゚)「……夢を、見たよ」


そう、と言って笑うしぃは美しい。


(#゚;;-゚)「何をしてる?」

(*゚ー゚)「でぃを愛してるって、言いたいだけよ」


言われて、壁を見る。
赤色で一面に書かれた「愛している」の文字が、そこにはあった。



234 :(*゚ー゚)スタンドバイ“D”のようです:2008/12/19(金) 00:06:30.31 ID:yJ0Bc75wO

(#゚;;-゚)「絵の具なんか、あった?」

(*゚ー゚)「マニキュアよ」

(#゚;;-゚)「そうか」


赤色が視界の端でゆっくりと黒くなっていく。
そう言えば、しぃは赤いマニキュアなんて持っていただろうか。
思考は頭痛に流されて、少しずつ掠れていく。


(*゚ー゚)「でぃ、」

(#゚;;-゚)「うん?」

(#。;ー)「愛してるわ」

(#゚;;-゚)「うん」


……まぁ別に、どうでもいいことかも知れないな。
考えることも億劫で、私はそっと目を閉じた。







236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/19(金) 00:08:14.05 ID:yJ0Bc75wO

以上です。支援ありがとうございました。


お題
壁一面の「愛している」
三角関係のもつれ








――以下、補足的レス抽出――


238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/19(金) 00:10:07.65 ID:dQGTDL840

これは、血で書いてたってことでFAですか?

乙です。




239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/19(金) 00:11:42.23 ID:yJ0Bc75wO

FAとしてはモゲッターな(*゚ー゚)の腕と血で(#゚;;-゚)が書いてた、になります。


[ 2008/12/19 17:18 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

猟奇系はいいな、やっぱ

どうでもいいけど
>*(‘‘)*「あなた、でぃさんですよね?」

>*(‘‘)*「3組のしぃちゃんの、偽物の」

でカザリとヨーコ思い出した。
[ 2008/12/19 20:51 ] [ 編集 ]

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