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('A`)と夢想電車のようです


194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:34:11.48 ID:p1cZ0UvOO

('A`)「疲れた……」

 俺は目の前を轟音と共に流れていく電車を見つめながら呟いた。
 ちらほらと見える人影は一瞬の内に現れては消えていく。
 そんな風景を眺めながら、まるで俺の過ごす毎日のようだと、くだらない事を思い付いた。
 呟いた言葉からするに俺は随分と疲れているらしい。
 こんな日は自宅に帰るなり直ぐベットから異世界へ飛ぶに限る。

('A`)「はあ……」

 自然と半開きになった口からは濃い憂いに帯びた溜息が漏れた。
 昨日と少しも変わらない、強いて言えば昼食が天そばから鮭定食に変わったぐらいのつまらない一日だった。
 きっと明日もこんなものなのだろうと思うと思わず目の前に広がる線路に身を投げたくなる。
 だが、しかし結局はそんな勇気もなくて気がついたら景色はガランと空いた電車内に変わっていた。

 周りには片手で足りるほどの乗客しか乗っておらず、みなコクリコクリと頭を上下させている。
 彼らもまた俺のように同じような毎日を繰り返し、疲労をその体に溜めているのだろうか。
 一人一人の顔を何気なく眺めると、俺も彼らの仲間に入ろうと瞼を閉じたのだった。





―――― ('A`)と夢想電車のようです



195 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:34:48.66 ID:p1cZ0UvOO

(-A-)「ん……」

 俺は何の前触れも無く覚醒した。
まあ、睡眠から覚めるのに前触れも何もないかもしれないが、とにかく自然に瞼を開いたのだ。
 まず感じたことは妙な違和だった。それはデジャブのような、何か大事なことを忘れているような。
 何かを眠る前に考えていたのだろうか。
 そう思い脳の中をひたすら潜ってみたが、特に思い当たる節はない。

('A`)「今どこだ」

 はっとして周りを見回してみると、眠る前にいた乗客は誰もおらずこの車両にいるのは俺だけだった。
 どうやらどこかの駅に停まっているらしく、電車の独特な揺れは感じられない。

('A`)「やけに静かだな……」

 電車はシンと静まり、自分の息遣いが妙に大きく感じた。
 そこで、自分の後頭部にある窓から駅のホームへ目を向けた。

('A`)「……は?」

 現在地を知らせるプレートはぼんやりとした、明るいのか暗いのかわからない光を放ちながらぶら下がっているだけで、
そこにあるはずの駅名を示す文字は何もなく、真っ白な蛍光灯のように発光していた。

('A`)「……意味わかんねー」



196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:35:32.13 ID:p1cZ0UvOO



 無人のホームに無人の電車、駅員もおらず、まるで俺を残してみな消失してしまったのではないかと
 映画のようなことを考えるが、すぐに頭を左右に振った。
 誰の監視もされていない改札に切符を通すと、なんともいえぬ不安を抱きつつも寒空の下へと体を出した。

('A`)「どこなんだ。ここはどこなんだ」

 見たことのないビルが立ち並ぶ駅前。
 なんど記憶を探ってもそれに見覚えはなく、疑問と不安ばかりが募っていく。

 人は、やはりいない。

 シンと静まり返った駅前のバスロータリーのベンチに座ると、何気なく空を見上げた。
 深夜の吸い込まれそうな暗闇の中で、大きな月が爛々と輝いていた。
 そういえば、今日が年内で一番大きな満月だとかなんとか、新聞の端に載っていた。それでも、なてしなく月は遠くにあるのだとも書いてあった。

('A`)「……」

 月にうさぎがいるのか、ぼんやりとしながら探していたが、それらしいのは確認できなかった。

('A`)「!」

 目線を空から前へと向けると、いつの間に来ていたのか、なんともカラフルな色彩をしたバスがそこにあった。
 カラフルなマーブル模様を車体にくっつけたそのバスはなんとも現実的ではない。まるでファンタジーなものだった。



197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:36:11.40 ID:p1cZ0UvOO

('A`)「……」

 俺は思わず息を飲んだ。
 不気味なほどにカラフルなこのバスは一体いつきたのだろう。
 エンジン音や気配など微塵も感じなかったのは、俺がぼんやりと呆けていたからだろうか。

 とりあえず、駅前から出ようと考えた俺はバスに乗り込んだ。
 運転手にここがどこかと聞こうと思い、運転席をのぞき見た。

( ∵)

(;'A`)「あの……」

( ∵)

(;'A`)「……」

 なんとも形容しがたい、点だけで作られたような、人間味のない顔をした運転手を見ると、俺は何も言えなくなった。
 瞬きすらしていないように思う。それに、なぜか全裸だ。
 運転手の顔を見ていると、俺はなんともいえない恐怖を感じて、それからは黙って車内へと入り込んだ。

 が、すぐに足を止めた。



198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:36:42.76 ID:p1cZ0UvOO

(*´・ω・`)「はぁあっ……んぁっ……! いぃっ……! …………っあ……!」

(* ^ω^)「ぉふ……! ぶひぃっ……! ぁん……! そう……そこぁぁあ!!」

(;'A`)「……」

 一番後ろの座席には一人のガチムチの男と肥えた豚男がギシリギシリとバスを揺らしながら愛しあっていた。
 運転手の方をちらりと見るが、気にしている様子はなく、俺には後頭部しか見ることはできない。
 一体どういうことなのだろうか。俺は身の危険を感じた。
 このバスは、つまりそういうバスなのだろうか。

(;'A`)「やっぱ、降りま」

 プシュー。という空気が抜けるような音を起てながら、バスの扉は俺を閉じ込めるように閉まった。

(;'A`)「ちょ」

( ∵)

(;'A`)「……」

 運転手は心なしかほくそ笑んでいるように見えたが、多分それは俺の見間違いであろう。

(*´゚ω゚`)「ためしてハッテン!!」

(* ゚ω゚)「アッー!!」



199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:37:14.38 ID:p1cZ0UvOO



 俺は後ろに男二人の暑苦しい喘ぎ声をBGMに窓から外の景色を眺めていた。
 調度すべての座席の中間の座席で、無口な運転手とガチホモの二人に挟まれながら見る景色は最悪だった。

('A`)「……やっぱり、知らない所……だよな」

 流れる景色は俺の知らない色をして、それが当然のように並んでいた。
 成り行きでバスに乗ってしまったが、駅で電車を待っていればよかったのではないか。
 俺の頭に今更な考えが浮かんだが、まあ、どうでもいいや。どうせ帰っても誰もいないし。そんな気持ちがそれを一瞬で霞ませた。
 期待していた展開ではないか。
 つまらない日常から一線越えたファンタジーやメルヘンの世界。
 常日頃、考えていたことではないか。
 妄想が現実になったと思えば、それはなんと愉快なことだろう。
 
('A`)「……だけど」

 だが、恐怖にじわりじわりと体が浸っていくのを拒否することは出来なかった。



200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:37:50.29 ID:p1cZ0UvOO

「認めよう。これは夢であると」

(;'A`)「!」

 ふと、誰もいないはずの俺の隣から、これまた現実味のない頭に直接響くような、そんな声が聞こえて、俺は体を硬直させた。

川 ゚ -゚)「夢には何故か最初から恐怖というものがある」

 女性だった。
 陶器のような白い肌に濃い暗闇のような黒髪をした女性。
 綺麗ではあるのだが、運転手のような無表情を貼り付けた顔は不気味そのものだった。

川 ゚ -゚)「なぜか追われている。理由は知らない。じゃあ、なぜ怖い?」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「追われているから? 見知らぬ人に? というよりも追われているのか?
     ただ、走っているだけ。力無いその足で。走っているだけ」

 なんなのだろうか。彼女は。意味不明な、脈絡のない言葉の陳列。
 どういうことだ。これは夢の中だともいうのだろうか。
 この酷く現実味のない。確かに現実味など皆無だが、俺は正常な思考である。それは確かだ。

川 ゚ -゚)「さあ、着くよ。桃源郷へ」

 音もなく、バスは静かに留まった。



201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:38:22.93 ID:p1cZ0UvOO

 気がつくと女性は消えていた。
 車内を見渡すが、見えるのは行為を終えて寄り添いながら眠る男二人と、運転手の後頭部だ。

('A`)「……」

 運賃はいらないようだ。電子盤には何も表示されていない。
 俺はバスからゆっくりとした動きで降りた。



202 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 12:38:54.86 ID:p1cZ0UvOO



(´・ω・`)「ようこそ。ここは君と君の町だ」

( ^ω^)「斜め後ろの斜め後ろだお
       きっと僕は気に入るお」

 全裸の二人がバスから降りてきた。
 意味不明なことを言いながら、俺の顔をじーっと見つめる。
 俺は気味が悪くて二人から目を逸らすと、改めて町の景色を眺めた。

 不自然なほど綺麗な家と、そこに配置されるのは不自然だと思われるコンビニ。
 コンビニは綺麗な二階建ての、平凡な家達に挟まれてそこにあった。駐車場なんてない。
 家と家の間には、何かの店が存在している。そして、コンビニが多い。
 どう考えても不自然である。一体何を考えて、こんな建て方をしたのだろう。

(´・ω・`)「家の近くにコンビニがあるって便利だよね」

( ^ω^)「斜向かいの家には犬がいるお、片足の無い犬が
       それよりも寒いお。コートが欲しいお」

(;'A`)「……」

 俺の右手にガチムチの男が。左手に豚の男が並んだ。
 二人、順にそう言うと近くにあった青い外壁のコンビニへ入って言った。
 尻を丸出しで歩く姿は滑稽であり、その一方でどうしようもない異常さに困惑する。



209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 13:01:20.70 ID:p1cZ0UvOO

 俺は商店街というのか住宅街というかわからぬ、この町を歩き出した。
 真新しい家の表札には何も書いていない。建てられているだけで住民はいないのだろうか。

('A`)「……本当に夢なのか?」

 彼女はここが夢だと言った。ならば俺の脳内の世界なのだろうか。
 いや、だが俺の考えたことが出来るわけではなさそうだ。
 頭の中で目の前に美女が現れると念じたが、それは現実に起きなかった。所謂、明晰夢ではないのか。

川 ゚ -゚)「夢。君はきっとここが居心地のよいはずだ」

('A`)「……」

 美女の代わりに後ろから彼女は現れた。
 俺には居心地がよいというが、俺はそうは思わない。
 この目が痛くなるような蛍光ピンクの外壁をしたコンビニが居心地のよいものなわけがなかった。

川 ゚ -゚)「君は変わったね」

 そう言うと、彼女は俺の目の前に来てそっと言うとポロポロと崩れて地面と一体化した。

('A`)「変わったよ」



210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 13:02:26.93 ID:p1cZ0UvOO



 蛍光ピンクのコンビニの中では、なぜか一人の女性が全裸でレジ打ちをしていた。

(*゚ー゚)「105円が一点。532円が二点」

 黙々と籠に入れられた商品を精算している。
 だが、客の気配は無く、店内には彼女一人しかいない。
 思ったより店内は現実と同じような、少なくとも異常では無い。
 
('A`)「もしもし、あなた」

(*゚ー゚)「320円が一点」

('A`)「何をしてるんだ?」

(*゚ー゚)「630円が一点」

('A`)「なあ」

 俺が話し掛けても彼女は何も答えず、ただただ黙々も精算している。
 そういえば、俺はまだ何も精算していないなぁ。なんて思いながら尿意を感じ、トイレへ向かった。



211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 13:03:04.78 ID:p1cZ0UvOO

 トントン。と俺はトイレの扉をノックする。
 もしかしたら、あの籠の持ち主がトイレにいるのかもしれない。
 そして、どうやらそれはその通りらしく、中から男性の声が聞こえた。

「どうぞ」

('A`)「失礼」

 男性の言葉を聞くと、迷わず俺はノブを回した。
 中には案の定むさ苦しい男性が便器に鎮座している。

(,,゚Д゚)「何開けてんだよ」

('A`)「あなたが、どうぞって」

(,,゚Д゚)「うるせぇ、閉めろ変態」

('A`)「失礼」

 狂っている。



212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 13:03:44.69 ID:p1cZ0UvOO



 トイレの扉を閉めると、俺はため息を一つ漏らした。
 ついでに尿も一緒に漏らしてしまおうかとも思ったが、やはりそれはおかしい。
 俺まで異常者になるわけにはいかない。

 コンビニから出ると、俺は何気なく真っさらな表札を掛けた一軒の家を訪れた。
 きっと誰もいないのだろうと高を括っていたので、インターフォンを鳴らしたあとに反応があったのには驚いた。

「どちら様でしょうか」

('A`)「ドクオです」

「どうぞ」

('A`)「お邪魔します」

 ガチャリ。冷たく冷えたノブを回して中へ入ると、生暖かい空気が俺を迎えた。
 玄関には何もない。玄関としての役割を果たしているのかどうかすらわからない。
 俺はとりあえず何もない玄関で靴を脱ぐと、家の奥へ向かった。



214 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 13:04:42.21 ID:p1cZ0UvOO

ξ;゚⊿゚)ξ「いやぁーっ!! 変態!!」

 リビングであろう部屋に一人の女性が全裸で立っていた。
 大きなテレビをバックにして叫ぶ姿は酷く非現実的だ。

('A`)「そんな。家に入れておいて変態だなんて
   大体、あなたがそんな恰好してるのがいけないんじゃないですか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「まあ! よくもぬけぬけと! 変態のくせに!!」

 どういうことだろう。もしかすると、俺を変態扱いして逮捕さしてやろうとか考えてるんじゃないだろうか。
 たまったものではない。俺はそう思うと、踵を返して玄関へ戻ろうとした。

( ^ω^)「どうしたお?」

 しかし、リビングの入口には先程の豚男が、やはり全裸で立っていた。
 バイなのか。この男は。
 そう思いながら、俺はとりあえず弁解を試みる。

('A`)「聞いてくれ。俺は了解を得てから入ったんだ
   それなのに変態扱い。おかしいと思わないか?」

( ^ω^)「事実、変態じゃないかお?」

 狂っている。こいつらは共犯のようだ。



216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 13:05:11.31 ID:p1cZ0UvOO

('A`)「……まてよ」

 二人をぶん殴ろうかと拳を握りしめた時。ふと、頭にあることが浮かんだ。
 服を来ているイコール変態なのではないだろうか。
 今まで見て来た人間は、みな全裸であった。もしかすると、この世界では全裸が基本なのだ。

('A`)「すまなかったね」

 俺は一言詫びを入れると、素早く来ていたスーツを脱ぎ捨てた。
 生暖かい空気に晒された体には、なんともいえぬ開放感を感じる。

ξ゚⊿゚)ξ「ゆっくりなさってね」

( ^ω^)「変態かと思ったお」

 狂っている。



217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/13(土) 13:06:00.52 ID:p1cZ0UvOO



 俺はその後トイレを借りて、溜まりに溜まった尿を排出した。

('A`)「なんなんだ。この世界は、異常だ」

川 ゚ -゚)「他人の異常は、その人の正常だと」

 もう驚くことは無い。

川 ゚ -゚)「変わったね。本当に変わった」

('A`)「ああ、変わったさ」

 俺の後ろに彼女はいるのだろう。トイレという小さな部屋で、俺と彼女は密接しながら会話を続ける。

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「お腹が空いたね。そろそろ、ご飯の時間だ」

 痩せ細った腹を撫でながら。トイレから出る為に後ろに振り返った。

川 ゚ -゚)「食べようか。ご飯」

('A`)「ああ……ん?」

 改めて見てみると、彼女は服を着ていた。真っ白なワンピースを。

 狂っている。


[ 2008/12/13 20:22 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

狂ってるなあ
[ 2008/12/13 21:16 ] [ 編集 ]

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