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('A`)从 ゚∀从 夕陽の夢の終わりなようです


848 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 19:26:08.18 ID:Ktrbeg6S0

『なあ、ハイン』

『なんだ、ドクオ?』

『気になってたんだけどさ、おまえの夢って何?』

『はっはーん、よくぞ聞いた。俺の夢はな、海に沈む夕陽を見ることだ!!』

『は!? 俺と同じかよ』

『マジで!? じゃあお前、それを叶える気はあるのか!?』

『あるさ、結構真剣なんだぜ』

『むう……。なら、一緒にその夢叶えてみないか?』

『へ!? 何で?』

『別に。ただ、お前と一緒だと楽しそうだなって』

『そうだなぁ……。うん、わかった。一緒にやるか!』

『そーこなくっちゃ! これから頑張ろうぜ、ドクオ!』

『そっちこそ、ハイン!』



849 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 19:29:06.46 ID:Ktrbeg6S0

('A`)「夢か……」

森の中がだいぶ明るくなった頃、俺は夢から覚めた。

頭上の、木々に丸く縁取られた空は既に、
今まで歩いてきた道の元来た方から白くなってきている。

俺の左側では、

从 -∀从「ん……」

相棒が毛布にくるまって俺に寄りかかり、静かに寝息を立てていた。

('A`)「……」

未だ眠るハインの頭を軽く撫で、俺はまた目を閉じる。



850 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 19:29:53.40 ID:Ktrbeg6S0

夢に浮かんだ懐かしい日。
幼い俺たちは無邪気に笑っていたなぁ。

いつだったっけ、夕陽を見るという夢を持ったのは。
ずっと昔に海に浮かぶ大きな太陽の絵を見た時からか。
それとも、ある時俺たちの暮らしていた孤児院にやってきた旅人の、
夕陽の話を聞いてからだったか。

二人分の夢への思いは日に日に強くなっていって、
それが弾けた日。
その夢を叶えるために、俺たちの育った孤児院から旅立った時から、
もうすぐ二年、俺たちは十五になる。

二人で一つの自転車に跨り、二年。

('A`)「色々あったなぁ……」

本当に。
この二年、ずいぶんとたくさんの事があった。



851 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 19:30:17.45 ID:Ktrbeg6S0

从*゚´O从「ふぁぁぁぁぁぁ」

不意にハインが大きな欠伸をする。

从う∀从「うーん……くぁぁ……」

そして、起きる。
ハインはいつも起きるとき、きまって両腕を思いっきり伸ばす。
だが、ハインが天に伸ばす腕は、今では右腕のみ。

彼女は、この旅で左腕を失った。

从 ゚∀从「あー、よく寝た……」

('A`)「おはよ、ハイン」

从 ゚∀从「ドクオ、おはよ。昨夜ちゃんと薬塗ったか?」

('A`)「当ったり前だ」

俺も、背中と右肩の皮膚を無くした。
わりあい最近のことで、まだ寝る前、患部に薬を塗り包帯を巻く必要がある。
嫌だが、こればっかりは仕方がない。



852 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 19:30:57.71 ID:Ktrbeg6S0

二年間の旅で、他にもいろいろ失った。
旅を始めたときに乗っていた自転車。
孤児院のおばさんに手紙を書くための筆。
お金。いくつかの衣服。宝飾されたナイフなんかも。

从 ゚∀从「さっさとメシにしようぜ」

ハインは右腕だけで器用に毛布を剥ぎ取り、寝間着を脱ぐ。
彼女の傷だらけの肌は、一瞬外気と俺の目にふれ、
また一瞬で普段着の下になった。

('A`)「そうだな」

俺も着替えを済ませて、鞄の中からべこべこになった鍋を取り出した。



853 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 19:31:19.18 ID:Ktrbeg6S0

約三十分後。

(lil'A`)「うぅ……食い過ぎだ……」

从;゚∀从「バカだねー……」

(lil'A`)「少し休んでから行こうぜ。流石にきつい」

从;゚∀从「ま、しょうがねえな」

腹を抱えながら俺は草の上に膝をつく。

从 ゚∀从「ほら、膝に頭乗っけてみろ」

俺は言うとおりにした。
彼女がいつもよりかなり優しく思えたのは気のせいだろうか。



854 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 19:32:24.94 ID:Ktrbeg6S0

从 ゚∀从「ドクオ」

(lil'A`)「何?」

从 ゚∀从「もう今日だよな、海に着くのは」

(lil'A`)「そうだねぇ」

地図で見る限り、ここから陸の西側に広がる海までは、
歩きで半日もかからないような距離だ。
そして今日は。

从 ゚∀从「良い天気だなー」

木々の間から見える空は透き通るように青い。
つまり。

从 ゚∀从「いよいよ今日、夕陽が見れるかな」

(lil'A`)「……」

今日、夢が叶う。
俺たちがずっと心に描いてきた風景が、今日現実の物となる。



855 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 19:33:24.12 ID:Ktrbeg6S0

ハインが右手を、俺の頭に乗せた。

从 ∀从「今日か……今日で、旅も終わりか……」

声が震えている。

从 ;∀从「辛かったよなぁ、ドクオ。
       痛い事もいっぱいあったよなぁ、悲しいことだってなぁ」

俺の額に温かい水滴が落ちる。

('A`)「……」

ハインは体をかがめ、そのまま嗚咽混じりに泣き出した。

困難な旅路を越え、長い時を超えた夢は現実になる。
涙は、きっと流したっていいだろう。

でも。

何かが違うと思った。
そしてその何かはすぐに思い当たった。



863 :畜生ファッキン猿め:2008/07/07(月) 20:00:07.25 ID:Ktrbeg6S0

('A`)「ハイン」

もう少しハインのふとももの感触に包まれていたかったが、俺は体を起こす。
それから、ハインの両肩をがっしりと掴んで、

('A`)「ダメだよ、ハイン。確かにこの旅は辛かったよ。
    ハインも俺も、体中ボロボロになったし、大変な目にもいっぱい遭ったさ。
    でも、旅は終わってないだろ。夕陽を見るって約束は、まだ果たされてないんだよ。
    だから、涙はまだとっておこうよ。夕陽を見て、綺麗だなぁって二人で流そう」

ハインの小さな体を抱きしめた。

从 ;∀从「違うんだよ、ドクオ」

('A`)「何が?」

从 ;∀从「俺は感極まったから、夢が叶えられるから泣いてるんじゃないんだ。
      この旅が終わっちまうんが怖いんだよ。
      ドクオと一緒に積み上げてきたモンが全部無くなっちまうような気がして、
      こんなに、辛かったけど充実したことがおわったらどうしようって、泣いてるんだよ」

(;'A`)「……」

俺の予想が見事に外れた。
ハインの涙の理由は納得できたが、いかんせん想定外だったので少し慌てる。



864 :猿に負けそうだ! 総合のみんな、オラに支援を分けてくれ!:2008/07/07(月) 20:01:37.09 ID:Ktrbeg6S0

だけど、ハインの気持ちに対する答えは意外なほどあっさりと出た。
脳裏に浮かんだその答えを、ハインにゆっくりと伝える。

('A`)「もともと夢を叶えるための、終わらせることが前提の旅だったじゃないか。
    夕陽を見るために、辛いことも乗り越えてしっかり終わらせようって旅だったじゃないか。
    大丈夫。旅は終わっても、いつまでも俺たちの心に刻まれるよ」

ハインは何も言わない。
だけど俺の腕の中で、嗚咽は小さく、鼓動は静かになっていく。

そして。

从 ゚∀从「ああ、そうだよな、ドクオ。
      一緒に今日、旅を終わらせようぜ」

と言って、それからにっこりと笑った。



867 :みんなの支援が……俺を強くする……!!:2008/07/07(月) 20:04:44.67 ID:Ktrbeg6S0

从 ゚∀从「行こうぜ、ドクオ!」

('A`)「よっしゃ、行くか!」

荷物を鞄にしまい、焚き火の跡を片付け、
旅の最後の寝床を元の状態に戻していく。
そしてそこに何もなくなった時、俺たちはその場を静かに立ち去った。

さあ、出発だ。

ゆっくりと、ゆっくりと、道を踏みしめて歩く。
左腕のないハインを時には俺が支え、
背中の皮膚のない俺を時にはハインが支え。

二人で一緒に、最後の旅路を歩く。



869 :ああなんだ……さるがやんだじゃねえか……:2008/07/07(月) 20:08:59.57 ID:Ktrbeg6S0

森を越えた。

川を越えた。

草原も、村も、丘もどんどん越えていく。

長い時間、でも二人にとってはずいぶんと短い時間をかけて、
俺たちは海へ歩き続ける。

从 ゚∀从「ドクオ、まだ歩けるか?」

('A`)「ハイン、疲れてないか?」

互いが互いを気遣って。

(;'A`)「平気平気。大丈夫」

从;゚∀从「うるさい、疲れてなんかいねえよ」

そして強がって。

一歩一歩、海、夢を果たすための場所へ近づいていく。



870 :>>865 てめwww俺の話より面白いじゃねえかwww:2008/07/07(月) 20:10:13.51 ID:Ktrbeg6S0

歩き続けるうち、太陽は昇り、空のてっぺんを通ってすぐ傾き始める。
夕刻も間近という頃、俺たちはとある丘のふもとにいた。

从 ゚∀从「なぁ……なんか、風が変な匂いしないか?」

('A`)「言われてみれば……なんかなぁ」

最初、変だなとしか思わなかったもの。
だけどそれの正体は、すぐに思い浮かぶ。

(;'A`)「ハイン、早くこの丘を登ろう。
    これは潮風だ。海が近いっていう証拠だよ!」

从;゚∀从「ほ、本当か!?」

草原の広がる丘を、自分たちの体のことなど忘れて駆け上がる。
ずっとずっと夢見てきた景色が、この丘の先にあると信じて。

俺たちは同時に頂上に到達した。



874 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 20:12:24.38 ID:Ktrbeg6S0

一瞬、黄金色。

(;'A`)「あ……ああ……」

从;゚∀从「うぁ……う……」

その時の感情は、どんなものだったか。

俺たちの目の前に広がっていたのは、
白く輝く砂浜と、傾いた陽光を受けて金色に煌めく波。
水平線から、雲から、紫になりかけている空。

全てを照らすように、白い光を放つ太陽。

(*'A`)「やったあぁーっ!!」

从*゚∀从「う、海だぁーっ!!」

俺たちは、ついに海にたどり着いたのだ。



875 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/07(月) 20:13:02.45 ID:Ktrbeg6S0

ハインの右手と、俺の左手。
互いが互いを支えながら、丘を海まで駆け下りる。

やっと着いた。やっと、やっと!

途中で靴が脱げたのにも気にせず、青緑の草原、熱く焼け砂の上を駈ける。

波打ち際の手前でストップし、代わりに

(*'A`)「ついに来た。ここに来たんだ!!」

从*゚∀从「うおぉ――――!! やったぜ――――ッ!!」

腹の底から、叫んだ。
一緒に、狂ったように。
こんなに気持ちの良いことは、旅、いや今までの人生でも一度だって無かった。



877 :いくぜ猿! これがみんなの支援の力だ!!:2008/07/07(月) 20:14:17.09 ID:Ktrbeg6S0

叫び疲れて、俺たちは砂浜の奥、丁度草原との境目あたりに腰を下ろし、
太陽のだいぶ低くなった空を、ずっと眺めていた。

潮風とやわらかな陽光が俺たちを包む。

景観は刻一刻と変わり続ける。
俺たちが来たとき、まだ金色をしていた太陽は、
その身を水平線に近づけながら、燃えるような朱に輝いている。

その光を受けた雲は、茜色を、雲の影はグレーを増し。
東の空の色は青色を増していく。
西の空では太陽の周りからずっと外まで、
金色とオレンジ色とのグラデーションとなっていた。

何よりも、海。
紅色の水面の中で、まるで道のように、
太陽と同じ色の波が、太陽へ向かって延びている。
その一つ一つの波が絶えず輝き、煌めき、何よりも幻想的な風景を映していた。

旅の中で一体幾つ、夕陽を見てきたのか解らない。
だが確実に言えることは、今日この夕陽より美しかったものは無かったと言うことだ。



878 :猿……貴様は強敵だった……! だがしかし!:2008/07/07(月) 20:15:02.38 ID:Ktrbeg6S0

从 ∀从「ドクオ。俺たち、二年間も旅してきて、
      何度も何度も山や地平線に沈む夕陽を見てきたけど」

ハインの声が震えている。
その理由は俺がハインの顔を見る前から、既に解っていた。

从*;∀从「これが、一番綺麗だよなぁ……。
       旅してきて、一番のなぁ……」

ハインは赤く照らされた顔をくしゃくしゃにして泣いていた。
そしてそれを見たとき、俺も頬が濡れていることに初めて気がついた。

(*;A;)「全くだ……ああ、なんて美しさだよ……」

今朝、一緒に涙を流そうって言ったもんなぁ。

夕陽は、幼い頃に見た絵よりも見事で、
旅人に聞いた話のそれよりも鮮明だった。

俺たちはこの旅で、左腕、皮膚、その他にもずいぶんとたくさんの物を無くした。
だけどそれ以上に、得た物は大きかった。

幼い頃から強く強く思い描いてきたものは、幻想的で偉大なもの。
今日手に入れたそれがまず一つ。
他にもたくさん、ハインと一緒に掴み取ってきた物がある。

旅は、想像以上にすごいものを俺たちに残した。



880 :人に不快な思いをさせる手前は! きっといつか、負けるんだよ!!:2008/07/07(月) 20:16:25.93 ID:Ktrbeg6S0

やがて太陽は完全に水平線の向こうに消え、
徐々に暗くなっていく空には星たちが現れ始める。

从 ゚∀从「ドクオ」

涙を出し切ったハインが、俺に優しく声をかけた。

从 ゚∀从「いろいろ、辛いこともいっぱいあったけどさ、
      旅してよかったよな」

从 ゚∀从「俺、今朝泣いたことがバカみたいだ。
      旅を終わらせてよかった。そうしなけりゃ、あんないいもん見れなかっただろうしな。
      それに……」

从 ゚∀从「それに、なんだか安心してるんだ。
      旅が終わって、夢を果たして、これからどうしようって思ってたけど」

从*゚∀从「お、お前と一緒なら、何でも出来そうな気がするからさ」

ハインは、照れくさそうに笑った。



887 :く……まだ反撃出来るとはな……だが、こいつで最後だ……!!:2008/07/07(月) 20:30:42.19 ID:Ktrbeg6S0

('A`)「……俺もさ」

('A`)「俺も、この旅でいろんな目に遭ったけど、結果的に夢を果たした」

('A`)「だから……なんつーかな、自分に自信が持てるような気がするんだ。
    いや、少し正確じゃないな。俺は……」

(*'A`)「ハイン、お前と一緒にいることに、誇りを感じるようになったよ」

俺も、ハインみたいに笑った。

そして。
二人で、大声で笑い合った。

もうすっかり真っ暗になった空には、満天の星。
さざ波の音で満ちていた浜に、二人分の笑い声が響き渡った。



888 :喰らえ、支援玉ァーーーーーーッ!!:2008/07/07(月) 20:31:38.68 ID:Ktrbeg6S0





『ドクオ。俺たち、これからどうしようか』

『そうだなぁ……また、新しい夢を叶えてみようぜ』

『また、二人で一緒にな!』

『バーカ、当ったり前だろ!』







('A`)从 ゚∀从 夕陽の夢の終わりなようです  閉幕








関連作品:('A`)と从 ゚∀从は夕陽の海へ出発するようです(リンク先:Boon Novel様)


[ 2008/07/07 20:48 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!ハインにゃーんにゃーん
とうばらてぃきかな人生
[ 2009/09/06 13:08 ] [ 編集 ]

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