FC2ブログ










('A`)魔王のようです


372 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:09:32.52 ID:WZRFuWQ+0

朝日を浴びて、床に光が当たっている。
いつも通り。今日も同じことをする。

('A`)「今日も気持ちのいい朝だ」




  ('A`)魔王のようです



373 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:10:41.67 ID:WZRFuWQ+0

悪の魔王は強くなくてはならない。
だから、生活もきちっと規則正しく行わなければならないのだ。
まず、朝は屋外での体操に始まる。


('A`)「いっちに、さーんしっ」

('A`)「・・・」

('A`)「第二って何か恥ずかしいよね」


しかし、そんなことで怠っているようでは巨悪にはなれまい。
俺はきちんと第二まで行って城へ帰った。



374 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:12:13.14 ID:WZRFuWQ+0

次は朝食だ。
この体系を維持するためには、食生活の改善も必要だ。
じゅーじゅーという気持ちのいい音といいにおいがたまらない。


('A`)「たまごぱかっ」

('A`)「れたすざくざくっ」

('A`)「ペーコンじゅじゅわあ」

('A`)「(゚Д゚)ウマー」



377 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:14:12.16 ID:WZRFuWQ+0

その次は城の掃除。
基本的に魔王の城はほこりまみれ、くもの巣もりもりといういでたちだが、
俺はそんなのが気に食わない。
だから勇者の来ないような廊下や部屋は定期的に掃除をしている。

濡れた雑巾は季節のせいか非常に冷たい。
だが我慢するしかあるまい。
今日楽をすれば明日頑張らなければならないからだ。

しかし掃除が終わった後の達成感は凄い。
どれくらい凄いかというと、まりもっこりなんてきわど過ぎるキャラを出した北海道くらい凄い。


('A`)「うん、今日もきれいきれい」

('A`)「でもこの部屋とか勇者入ってきたらどう思うかな・・・」

('A`)「恥ずかしいけど鍵閉めちゃったら意味ないし・・・」

('A`)「・・・少しくらい綺麗にしたって良いよな」

('A`)「怒られるわけじゃあるまいし・・・うん」



378 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:15:50.45 ID:WZRFuWQ+0

次は植物に水をやるのだが、掃除に思いのほか時間がかかってしまった。
これは早めに終わらせなければ。


('A`)「育てよー勇者が驚くぐらい育てよー」


城の外には特別な植物が植えてある。
なんでも大木くらいの大きさまでになり、常に枯れた状態のままなのだそうだ。
魔王の城は外見も恐ろしくなければならない。
そのためにはこんな努力だって必要だ。


('A`)「ふぅ・・・さて、次は買出しに行かなければ」



379 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:17:58.95 ID:WZRFuWQ+0

俺は月に一回、街へ出て買出しにいかねばならない。
牛や鳥は別に飼っても問題は無いが、農作業をする魔王なんて悲惨すぎる。


('A`)「りんご八つと、ソーセージ二十本と、おいも十個と、小麦粉一袋ください」

( ´∀`)「はいモナ。一万五千二百コインモナ」

('A`)「ありがとうございます」

( ´∀`)「お兄さん一ヶ月ぶりモナね。元気してたモナか」

(;'A`)そ「え、あ、ハイ」

( ´∀`)「ぶどうひとふさおまけしとくモナ」

(;'A`)「ありがとうございます・・・」


顔を覚えられてしまった。
次からは店を変えよう。



381 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:19:45.05 ID:WZRFuWQ+0

ここまではいつも通りだった。
いつも、こんなふうだった。
早起きをして、体操をして、朝食を食べ、掃除をして、庭の手入れをして、買出しに行って。
ここまでは。

('A`)「伝書鳩か?」

窓には久しくそれが立っていた。
足にくくりつけられた紙を引っ張ると、それはどこかへ行ってしまった。
紙を広げると、大きな走り書きの文字が目に入った。


('A`)「『近日中にそちらに勇者が向かいます。準備をして下さい』」

('A`)「・・・」


最後の砦であった部下も死んでしまったらしい。
待たすだけ待たして、最終的にせかすだなんて勇者は本当に自由だ。



383 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:20:39.07 ID:WZRFuWQ+0

そもそも、これは大昔から決まっていることだ。
正義があれば悪もある。
別にすき好んでやっているわけではないんだが。



『ドクオ、私が死んだら後をついでくれるね』

『私が教えたこと、やったことをそのまま実行するだけでいいんだ』

『部下には厳しくしなさい。なめられては困るからね』



384 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:22:46.96 ID:WZRFuWQ+0

硬くて冷たい床をなでる。
数年か、数十年か暮らしてきた城だ。
一人になったのは何年前からだったろうか。



『もうすぐここへ勇者がやってくる。お前はこの部屋に隠れているんだ』

『安心しなさい。ここは内側からしか鍵がかけられない』

『数刻してから部屋を出るんだ。勇者に見つかってしまってはいけない』



あの人とは血は繋がっていなかったが、俺の頭にはつのがある。
あの人と同じ金色のぴかぴかしたものだ。
俺は背もちっこいし髪の色は灰色だし、全体的に強そうに見えない。
そんなのを心配したんだろう。
作り物のつのを俺にくれた。



393 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:42:43.01 ID:WZRFuWQ+0

『お前は大丈夫だよ』
 「うん」

『お前は剣術も得意だし』
 「あんたのおかげだ」

『ああでも、ちょっと頼りないかな』
 「あんたも人に言えないだろ」

『ドクオ、できるね?』



('A`)「ああ、できるさ」



ガタンガタン、と扉が叩かれる。
もう来てしまったのか。
近日中だなんて嘘書きやがって。
扉が無理矢理開かれる。

「さあ魔王!覚悟するお!」

言うことなんざ決まっている。
あのときだってそうだった。



400 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:46:49.34 ID:WZRFuWQ+0

「待っていたぞ勇者よ
  貴様を倒してこそこの世界、
  全て私のものへとしてくれるわ!!」


401 :愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/06(土) 22:47:52.30 ID:WZRFuWQ+0

墓も、血縁者も無い。
勝利したって意味の無い世界だったに違いない。
唯一つだけ残ったのは、金色に輝く「つの」だけ。
まるで死体すら残らなかった魔王の代わりのように。


墓も、血縁者も無い。
勝利したって意味の無い世界だったに違いない。
唯一つだけ残ったのは、金色に輝く「つの」だけ。
まるで死体すら残らなかった魔王の代わりのように。


ゆうしゃはまおうをた おして、せかいはしあわせになりました。

ひとびとはよろこびおまつりがひらか れました。

ゆうしゃ はあがめたたえられ 、きんぎんざいほうとうつく しいじょせいとけっこんしました。

, あのことをしっているひと わ、いま せん。

, でもた しかにあっ たのです。



だれもしらない、かなしいおはなし。





                      おしまい






絵師さんによるイラスト
ドクオ

[ 2008/12/06 23:15 ] 総合短編 | TB(0) | CM(5)

俺は幸せでした
[ 2008/12/07 14:36 ] [ 編集 ]

俺も幸せです
[ 2008/12/08 23:59 ] [ 編集 ]

あなたは幸せですか
[ 2008/12/11 20:26 ] [ 編集 ]

幸せを探している途中なのです
[ 2009/01/21 16:17 ] [ 編集 ]

なんだこいつらww

切ないな。
よかったよ、作者。
[ 2009/09/10 06:38 ] [ 編集 ]

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/888-a774aa38