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川 ゚ -゚)無題


340 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 01:41:34.24 ID:Uy7Vg+cOO

シベリア、冬には他の街との交流が断絶されるほど豪雪で有名な都市の雑踏の中に、一人の女がいた。
簡素なマントをはおい美しい髪をたなびかせる女は酒場の前で足を止め、何かを確認したあとその酒場の中に入っていく。

汚い酒場だった。
店内はさびれていて、彼女の他にはテーブル席にあまり風体のよろしくない男が四人いるだけ。
女がカウンター席に座ると、店主だろうか、さびれた店に似合わない大柄の男が注文を聞いてきた。

(,,゚Д゚)「いらっしゃい、何にするかね」

川 ゚ -゚)「テキーラ、キツいのを」

店主は一瞬目を見開き、しかし直ぐに棚から無銘の瓶を持ってきて、彼女のものともう一つのグラスに酒をついだ。
彼女は胸元からペンダントを取りだし、小声で何かを囁き一口に酒を飲み干しすと大きく息をついた。



342 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 01:45:03.04 ID:Uy7Vg+cOO

川 ゚ -゚)「相変わらずこれは苦手だな」

(,,゚Д゚)「いい飲みっぷりだったぜ、クー、だったか?」

川 ゚ -゚)「そうだ、あんたは?」

(,,゚Д゚)「ギコと呼んでくれ」

川 ゚ -゚)「ギコか、悪いがミルクをくれないか?」

酒は苦手なんだ、とクーが言うとギコは笑いながら金属の瓶とマグを取りだし、マグをカウンターに置きミルクを注いだ。
クーが一気にミルクを飲み干すのがおかしかったのか、ギコはなおも笑いながらもらした。

(,,^Д^)「ショボンの言った通りになったな、「酒が苦手な女が来るからミルクを用意しておけ」か、ギコハハハ」

クーは不機嫌になりながら、しかし顔色を変えずに呟いた。

川 ゚ -゚)「ショボンから聞いていたのか、あの野郎……」

助かったがな、とは口に出さずクーは思った。



343 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 01:47:10.93 ID:Uy7Vg+cOO

三杯目のミルクを飲み干した所でクーが口を開いた。

川 ゚ -゚)「そろそろ本題に入りたい、『月』はどこだ?」

ギコはさっきとは一変、真面目な顔つきになり出来る限りの小声で囁いた。

(,,゚Д゚)「この街の北西にある洞窟の奥だ、満月の晩に『月』が発生する」

川 ゚ -゚)「満月の晩、明後日の夜だな」

ギコはそうだ、と言ってクーに四杯目のミルクを注いだながら言った。

(,,゚Д゚)「泊まるところはあるか?なんなら店に泊めてやってもいいぞ」

クーは苦笑しながら遠慮しておく、と答え律儀にミルクを飲み干してから店を後にした。
どこか寂しそうにマグを片付けるギコには、テーブル席で不気味に笑う男達の顔は見えなかった。



344 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 01:51:13.50 ID:Uy7Vg+cOO

二日後の満月の晩、クーはギコに渡された地図を片手に洞窟に入っていった。
いりくんだ窟内ではあったが地図の存在もありクーは直ぐに目的の小部屋にとりつけた。

――そこは別世界だった。
上に空いた穴から月の光が差し込み、空気が、壁が、砂粒が金色に輝いていた。
下手をすると何時間でも見つめてしまいそうな幻想的な光景の中で、クーは目的のものを見つけた。
球体。金色に透き通っていて、一見周りの風景と変わらないが、一度感付くと絶対見逃さないほど圧倒的な存在感だった。
クーは静かに、しかし確信を持ってその球体に手を伸ばした。

川 ゚ -゚)「シベリアの『月』、確かに頂いた」

クーは『月』を大事にしまいこむと、もう一度幻想的な光景を目に焼き付け、洞窟を後にした。



347 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 01:57:40.85 ID:Uy7Vg+cOO

「そこの女、止まれ!」

洞窟を出て直ぐ、クーは不意に粗野な男の声に立ち止まった。
酒場で見た男だった。眉毛が印象的な男はどこか隙の無い身のこなしでクーに近づき要件を言い渡した。
  _
( ゚∀゚)「洞窟で手に入れたブツを置いていって貰おうか」

川 ゚ -゚)「誰の命令だ?」
  _
( ゚∀゚)「さてね、まあ『太陽』の信奉者、とでも言っておくか」

男は更に「渡せ」とクーに言い放った。

川 ゚ -゚)「嫌だ、と言ったら?」
  _
( ゚∀゚)「死んで貰うさ」

男がヒュウっと口笛を吹くと、岩場の影から三人の男が出てきた。すべて酒場にいた男だろう。
クーはすました顔で、多勢に無勢と言った所か、と呟いた。
  _
( ゚∀゚)「なあに、『月』をくれさえすりゃあ殺しはしねえよ」

死んだ方がマシかも知れんがなと、男が言うと周りの男達がゲラゲラと笑いあった。
ややあって、クーがくつくつと笑い出す。
クーは胸元からペンダントを取りだし空に掲げた。



349 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:02:47.04 ID:Uy7Vg+cOO

すると淡い金の光とともにペンダントは一対の曲刀に姿を変える。

川 ゚ ー゚)「月光剣ミカツキ、正射影」

曲刀を構えながら、残念だよとクーは呟く、

川 ゚ ー゚)「今日は『あいにく』満月だ、そして私は今気分が高揚している」

美しいものを見たからな、とクーは続ける。

川 ゚ ー゚)「洞窟の中で襲っていれば、あるいは勝てたかもな」
  _
( ゚∀゚)「どういう意味だ、何がおかしい!」

男の問いに、クーは笑いながらもはっきりと答えた。

川 ゚ -゚)「四人いれば勝てると思ったのか?」



352 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:06:34.87 ID:Uy7Vg+cOO

一瞬の出来事だった、クーは両の手に持った曲刀で眉毛の男に斬りかかった。
眉毛の男は不意を突かれながらもすんでの所で斬撃を躱すと仲間に合図を送る。
男の仲間の一人がクーに飛びかかる、彼は鉄パイプを振りかぶりクーを撲ろうとした。
が、クーはバックステップでそれを躱し地面に叩きつけられたそれをしたたかに踏みつけた。
踏みつけられた力でバランスを崩した男は、「あ?」と間抜けな声を洩らす。
次の瞬間には鮮血を撒き散らしながら男は崩れ落ちていた。

「野郎!」だの「よくも!」だのと罵りながら別の二人がクーに迫り寄る。
その内の一人、大剣を携えた男が大上段にクーに斬りかかるが、

川 ゚ -゚)「能の無い連中だ」

クーはそれを二本の曲刀の根本で其を受ける。二人の力は拮抗して、動かない。



353 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:08:58.44 ID:Uy7Vg+cOO

「背中ががら空きだ!」

背後から男の声がするや否やクーは左手から力を抜き右手の曲刀の刃に男の大剣を沿わせていなした。
そのまま大剣の男に金的を喰らわす。男は悶絶し、股ぐらを押さえて気絶した。
間髪入れずクーはもう一人、背後から迫るナイフを持った男に蹴りを入れる。
突然の出来事に対処できなかったナイフの男は吹き飛んだ。

クーはナイフの男が体勢を整える前に畳み掛けようとしたが、ただ一つの直感がそれを止めた。

――眉毛の男がいない。
その直後だった、乾いた発砲音。
咄嗟に曲刀を構えていなければクーは凶弾に倒れていただろう。

川 ゚ -゚)「銃か、厄介だな……」

銃弾はクーの背後から狙ってきた。
ならば、とクーは真横に駆け出した。



354 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:13:19.82 ID:Uy7Vg+cOO

銃弾は真っ直ぐにしか進めない、真横に動くものに撃ち抜くのがどれ程難しいかはクーもよく理解していた。
クーはそのまま眉毛の男を中心に弧を描くように駆け抜け、岩場に身を潜めた。

――ナイフの男、モララーは焦っていた。
女一人に手こずっていること、ネーヨが殺されたこと、フサと二人がかりでそれでも倒せなかったこと。
そんなことのもろもろが、彼を焦らせ、怒らせていた。

( ・∀・)「あの女、許さねえ」

女が消えた岩場を見渡すと、モララーはいとも簡単に目的の女を発見した。
女は神経を研ぎ澄ませて辺りを伺っているようだったが、モララーに気付いた様子はなかった。

( ・∀・)(俺は気配消しはあのジョルジュでさえ気付かない)

( ・∀・)(勝てる!殺せる!)

ニヤリと笑うとモララーは一気に距離を詰めた。



355 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:14:57.19 ID:Uy7Vg+cOO

――眉毛の男、ジョルジュは女の能力を低く見積もっていた。
攻撃を避けて直ぐ自分の得意距離に移動したため、彼女がどの様にネーヨを殺しフサを昏倒させたかを見ていなかったのだ。
  _
( ゚∀゚)(大方油断したな、ネーヨはただのチンピラだしフサはデカイだけ、モララーは……)
  _
( ゚∀゚)(モララーは違う、あいつは自分が手塩にかけて育てた殺し屋だ、だからあそこに倒れていない)

ジョルジュは大層な自信家で、また腕が立った。
だから戦闘の場で他のことを考える余裕があった。
だが、今夜はそれが命取りになった。

突如ジョルジュの前に女が踊り出た。女は圧倒的な速度でジョルジュに肉薄すると持っていた曲刀を突き刺すように迫った。
ジョルジュは回避が間に合わないことと、攻撃が間に合うことを瞬時に理解して直ぐに行動に移した。



356 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:17:52.94 ID:Uy7Vg+cOO

――二人の男の死体があった。
一人は胸をナイフで刺され、もう一人は眉間に穴があいていた。
彼らの敗因は、月が幻を見せることを知らなかったことである。

川 ゚ -゚)「月影投射、幻」

クーが姿を表した。
彼女は二人の生死を確認した後、気絶している大剣の男に止めをさしてから街に戻った。


そこは汚い酒場だった。
客はクーの他に誰もいない。クーはカウンター席に座ると店主にミルクを頼んだ。



359 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:22:46.19 ID:Uy7Vg+cOO

川 ゚ -゚)「酷い目にあったよ」

クーが事情を説明するとギコは申し訳なさそうな顔をして、

(,,゚Д゚)「あいつら、一年近くの常連でな。毎日飲んだくれて帰っていくもんだから、聞かれても害はないと思っていた」

俺の責任だ、とギコは言ったがクーは制止して、

川 ゚ -゚)「あちらもやることがまわりくどくなったな」

焦っているのだろう、と軽く笑う。

川 ゚ ー゚)「それに、あれくらいの運動がなければ簡単過ぎてやってられないよ」

気にしないでくれ、そうクーは言ったが思い直したのか、ギコに向き直り、

川 ゚ ー゚)「しかし地声は落とした方がいいかもな」

そう言うと、ギコと一緒に笑った。



360 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:24:35.47 ID:Uy7Vg+cOO

(,,゚Д゚)「直ぐたつのか?」

川 ゚ -゚)「ああ、既に組織から次の任務の通達が来ててな」

世話になったな、とクーはミルクを飲み干し、店を後にした。

店には、何処か寂しげなギコだけが残っていた。
ギコは、棚から一番上等な酒を取りだしグラスに注ぐと一人ごちた。

(,,゚Д゚)「crescent moon クーか……」

(,,゚Д゚)「月に……月の女神に、乾杯!」

そう言ってギコは酒をぐびりと飲み干した。



362 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:27:13.10 ID:Uy7Vg+cOO

――女は薄暗い墓所に立っていた。

ノパ⊿゚)「ここに『太陽』があるのか!」

しかし女の前に墓所の住人、古代の支配階級のものたちが立ちはだかる。

ノパ⊿゚)「いいだろう!ばっちゃの知恵とこの太陽籠手『テイダ』の威力、思い知れ!」
そう言うと女は心と体を燃やし、所謂ミイラたちの中に飛び込んだ。

次回、「オレの右手が真っ赤に燃える!お前を滅せと轟き叫ぶ!喰らえ!祖母の知恵袋!!」をお楽しみに!







365 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:31:21.79 ID:Uy7Vg+cOO

この番組は、前スレ

>> 929
多勢に無勢
>> 930
月光剣
>> 932
オレの右手が真っ赤に燃える!お前を滅せと轟き叫ぶ!喰らえ!祖母の知恵袋!!

の提供でお送りしました
>> 932微妙な消化ですまない
批評plz


[ 2008/12/04 20:11 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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