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ノハ ゚⊿゚)ヒートアップ!のようです


268 :ヒートアップ!のようです:2008/12/03(水) 23:41:45.98 ID:cA7JD/YJ0

ノパ⊿゚)

ヒートは呆然としていた。
正確にいえば、呆気にとられていた。
それは、目の前で起こったことが信じられないからではない。

ヒートはダンプカーが襲ってこようが、槍が降ってこようが動揺しない自信があった。
ダンプカー程度なら、パンチの一発でスクラップに出来るし、槍の雨など、銃弾の雨に比べれば優しいものだ。
だから、先ほど目の前に飛来した手溜弾如き、屁でもなかった。

しかし、その手溜弾からヒートの身を護った男の登場は、ヒートを動揺させるには十分だった。
得物がないのにもかかわらず、男は足一つでそれを蹴り飛ばしてみせた。
手溜弾を蹴り飛ばしたはいいが、空中で爆発した手溜弾の破片がヒートに降りかかった。



269 :ヒートアップ!のようです:2008/12/03(水) 23:43:17.68 ID:cA7JD/YJ0

ヒートは50キロの鉄の塊が直撃しようとも、無傷でいられる自信があった。
だが、男は何を血迷ったのか、ヒートを庇うためにヒートを抱きかかえて倒れこんだのだ。
当然、飛来した破片は男の背面を容赦なく傷つけた。

男に抱きかかえられるなど、ヒートはこれまでの人生で経験したことがなかった。
むしろ、そんなこと想像したこともなかった。
その為、ヒートは呆気にとられているのだ。

お世辞にも格好いいとは言えないその男は、ゆっくりと立ち上がった。
男の顔が安堵の色が浮かぶと同時に、苦痛にゆがむ。
息が荒く、その足元にはおびただしい量の血が流れていた。

血溜まりの中にたたずむ男は、そのまま背後に倒れた。

(  ω )


ノハ ゚⊿゚)ヒートアップ!のようです



271 :ヒートアップ!のようです:2008/12/03(水) 23:45:11.19 ID:cA7JD/YJ0

職業上、ヒートはこれまで数々の戦地に赴いた。
時には極寒の戦地、ある時は熱砂の戦地、大都市での戦場もあった。
傭兵として参加して、これまでヒートは数々の人を殺してきた。

女子供、老人も容赦なく、躊躇なく殺してきた。
今でも、撃鉄を起こす音、引き金に掛ける指の力を覚えている。
懇願してきた者を撃ち殺し、泣き叫ぶ人間の脳漿をぶちまける映像も決して忘れない。

そんなある日、ヒートは傭兵稼業を引退することを決意した。
別に、銃把を握ることが嫌になったわけでも、人を殺すのが嫌になったわけではない。
ヒートは18歳の乙女なのだ、当然、やりたいことは人殺しだけではない。

ヒートは恋をしてみたいと思ったのだ。
と、言うのも、ヒートは生まれてこれまで恋の意味を知らずに生きてきた。
当然、愛などという言葉は知らない。



273 :ヒートアップ!のようです:2008/12/03(水) 23:47:44.99 ID:cA7JD/YJ0

戦場でヒートがカップルに対してショットガンの銃口を向けた時、男は泣きながらも女を庇ったことがあった。
両手を広げ、足をガタガタと震わせている。
無論、問答無用で男の顔面を吹き飛ばし、続いて女の心臓を吹き飛ばした。

だが、その光景を見ていた同僚から叱咤された。

( ・∀・)『ヒート、手前には情がないのか?』

ノハ ゚⊿゚)『ないに決まってるだろ、ファッキン野郎が』

( ・∀・)『でもよ、愛情ぐらいはあるんじゃ』

ノハ ゚⊿゚)『あたしはお喋りな野郎は嫌いなんだ。 余計なことばっかりさえずるなら、その舌を引っこ抜くぞ』

( ・∀・)『わ、悪かった。 だけどよ、これだけは言わせてくれ』

ノハ ゚⊿゚)『ああん?』

( ・∀・)『恋はいいぞ~。 気持ちいいぞ~』



275 :ヒートアップ!のようです:2008/12/03(水) 23:50:08.03 ID:cA7JD/YJ0

それを聞いて、その日の内に傭兵稼業から足を洗った。
予備弾倉が入っていたポケットに携帯電話を入れ、ナイフを差していた腰にはアクセサリーなる物を付ける。
服装はあくまでも合理的に、持ち物は最小限にまとめ、ヒートは若者あふれる大都会に足を踏み出した。

道中、うるさい若者が声をかけてきたため、腰に付けたアクセサリーで散々に痛めつけた。
何故か財布を差し出されたため、ヒートはその資金を元に本屋で女性向け雑誌と武器雑誌を購入した。
女性向け雑誌は三分で読み飽きてゴミ箱に入れ、今は喫茶店の一階で武器雑誌を読みふけっている。

ノハ ゚⊿゚)「ほほう、M16の改造は…… なんだこりゃ、こんな改造は……」

無意識のうちに、ヒートは懐から拳銃を取り出し、雑誌の上で手入れを始めた。
それを見咎めた者達が喚き散らすが、ヒートには一切聞こえていない。
ある程度手入れが終わり、遊底を引いて初弾を装填する。



276 :ヒートアップ!のようです:2008/12/03(水) 23:53:23.30 ID:cA7JD/YJ0

スチェッキン(拳銃)の安全装置を掛けた時には、喫茶店には静寂が訪れていた。
街中で拳銃を取り出す、しかも喫茶店の中で取り出せば目的は一つしか思い浮かばないだろう。
立てこもり、である。

ノハ ゚⊿゚)「え?」

気がつけば、周りの客は席の下に伏せ、座っているのはヒート一人だけだった。
窓の外にはパトカーが数台、そして装甲車が二台停車している。
なにやら中年の男が拡声器を片手に、ヒートに呼び掛けている。

/ ,' 3『犯人に告ぐ! 君は完全に包囲されている! 大人しく投降すれば…』

そこでようやくヒートは気付いた。
自分が凶悪犯と間違えられていることに。

ノハ;゚⊿゚)「ちょっとまった! あたしは…!」

ヒートが口を開いた瞬間、ヒートの耳に微かな異音が聞こえた。
素早く拳銃を天井に向け、一発撃ち放つ。
天井板を突き破り、奇妙な格好をした男が落ちてきた。

( ´∀`)「いだいいいモナアアアア!!」



278 :ヒートアップ!のようです:2008/12/03(水) 23:56:11.37 ID:cA7JD/YJ0

防弾チョッキを着ているが、ヒートが撃ち放った銃弾は男の足を撃ち抜いている。
赤黒い血が流れでて、男は痛みにのたうち回っていた。
男の腹に強烈なキックを入れ、男を気絶させる。

その手にしているのは、安全装置の掛かっていないサブマシンガンだ。
サプレッサーを付けており、下手をすればヒートは凶弾に気づくことなく死んだかもしれない。
さらに、防弾チョッキに掛けられているのはグレネードと手溜弾だ。

ノハ;゚⊿゚)「随分物騒な装備だな、おい」

ふと、ヒートが何んともなしにしゃがみこんだ。
それは無意識化の行動だったが、それがヒートの命を救った。
直前まで頭のあった位置を何かが掠め飛んで行き、足もとの地面を抉り取った。

咄嗟に机を蹴り上げ、素早く身をかがめた。
それが再びヒートを救った。
派手な音をたてて机にいくつもの穴が穿たれていく。

おそらく、向かいのビルの屋上からの狙撃だろう。
長年の勘でその正確な位置、使用した銃器を予想し、ヒートは倒れていた男を盾にした。
こめかみに銃口を突き付け、外にいる警官とその他大勢に見せつけるように突き出す。



280 :ヒートアップ!のようです:2008/12/04(木) 00:03:01.43 ID:oOALnCHj0

ノハ;゚⊿゚)「軍民警官ども! あたしの話を聞けえええええい!!」

大声を張り上げ、ヒートはこめかみに突きつけた銃口を強く押しつける。
皆に見えるように撃鉄を起こし、必死に自らの無実を叫ぶ。

ノハ;゚⊿゚)「これは誤解だ! 何のことか分からないが、とにかく誤解だ!
     武器なんか捨てて平和的に話し合えば分かる!!」

/ ,' 3『この期に及んで抵抗するか! 人質を解放すれば、刑は軽くなるぞ!』

ノハ#゚⊿゚)「誤解だっつてるだろうが、この糞ジジイ!」

ヒートの短気な性格があだとなったことを、荒巻警部は知らなかった。
よもや、交渉のつもりで話しかけたつもりが、ヒートの逆鱗に触れたなどと想像できるはずもなく。
ましてや、ヒートの拳銃の扱いがプロ中のプロであることなど夢にも思わなかった。

こめかみに当てていた銃口を、荒巻の持つ拡声器に向け、ためらいなく引き金を引いた。
一瞬、その場に静寂が訪れる。
聞こえるのは風の音と、床を転がる空薬莢の音だけ。

一拍の間を置き、荒巻は情けない声で叫んだ。

/ ,' 3「撃ったぞ! こいつ撃ったぞい! かまわん、殺せ、殺してしまえ!」



282 :ヒートアップ!のようです:2008/12/04(木) 00:05:48.44 ID:oOALnCHj0

その言葉から半瞬、屋上と言わず、地上にいた警官達が一斉に銃口をヒートに向ける。
ヒートも素早く人質を突き放し、地上にいる警官に鉛玉を浴びせる。
もしも、警官達がヒートの素性を知っていたのなら、軍隊の一個小隊でも連れてきただろう。

悉く交わされた警官達の銃弾とは裏腹に、ヒートの撃ち放った銃弾は正確に銃を手にしていた者たちの肩や手を撃ち抜いている。
素早く落ちていたサブマシンガンを手に取り、1発の無駄弾も撃たずに警官達を血の海に沈めた。
ヒートとて人殺しの趣味は無いのだが、それが警官ともなれば尚更だ。

しかし、警官達の撃ち放った銃弾が、机の下で伏せている民間人に浴びせられることを黙って見ていられるはずもない。
民間人を護るため、ヒートはサブマシンガンでけん制する。

ノハ;゚⊿゚)「何やってるんだ?! さっさと裏口から逃げねえか!!
     連中に殺されたいのか?!」

必死に声を荒げるが、ヒートはそれ以上言葉を紡ぐほどの余裕はなかった。
地上の連中はあらかた黙らせたが、屋上にいる二人の狙撃手はヒートから容赦なく余裕を奪っている。
サブマシンガンと拳銃の射程圏外にいるため、ヒートは弾丸を避けるだけで精いっぱいなのだ。

だが、ヒートの声を聞いた客たちは、一目散に裏口に向かって走り出した。
それを援護するべく、ヒートはサブマシンガンの引き金を引く。
しかし、サブマシンガンからは銃声が聞こえる事は遂に無かった。



284 :ヒートアップ!のようです:2008/12/04(木) 00:07:46.98 ID:oOALnCHj0

ノハ;゚⊿゚)「弾切れ?!」

驚愕に目を見開くヒートだったが、今度ばかりはそれが仇となった。
サブマシンガンと狙撃手に気を取られていたため、外から投擲された手溜弾に気がつかなかったのだ。
気がついた時には、パイナップルと呼ばれる手溜弾がヒートの目の前まで迫っていた。

ノハ ゚⊿゚)「…ちぇ」

冷静に目をつぶり、手榴弾の破片が自らの衣服を引き裂くところを幻視する。

(  ω )「そうはいかん!!」

その時、声が聞こえた。

ノパ⊿゚)

ヒートは呆然としていた。
正確にいえば、呆気にとられていた。
それは、目の前で起こったことが信じられないからではない。



285 :ヒートアップ!のようです:2008/12/04(木) 00:10:32.74 ID:oOALnCHj0

ヒートは戦車が襲ってこようが、酸の雨が降ってこようが動揺しない自信があった。
戦車程度なら、パンチの2,3発でスクラップに出来るし、酸の雨など、死の灰に比べれば優しいものだ。
だから、今まさに目の前に飛来した手溜弾如き、屁でもなかった。

しかし、その手溜弾からヒートの身を護った男の登場は、ヒートを動揺させるには十分だった。
得物がないのにもかかわらず、男は足一つでそれを蹴り飛ばしてみせた。
手溜弾を蹴り飛ばしたはいいが、空中で爆発した手溜弾の破片がヒートに降りかかった。

ヒートは対戦車砲が直撃しようとも、無傷でいられる自信があった。
だが、男は何を血迷ったのか、ヒートを庇うためにヒートを抱きかかえて倒れこんだのだ。
当然、飛来した破片は男の背面を容赦なく傷つけた。

男に抱きかかえられるなど、ヒートはこれまでの人生で経験したことがなかった。
むしろ、そんなこと想像したこともなかった。
その為、ヒートは呆気にとられているのだ。

お世辞にも格好いいとは言えないその男は、ゆっくりと立ち上がった。
男の顔が安堵の色が浮かぶと同時に、苦痛にゆがむ。
息が荒く、その足元にはおびただしい量の血が流れていた。

血溜まりの中にたたずむ男は、そのまま背後に倒れた。



288 :ヒートアップ!のようです:2008/12/04(木) 00:15:33.17 ID:oOALnCHj0

( ФωФ)

その瞬間、ヒートは恋の意味を知った。
燃え盛るような感情。
何かを蹂躙したくなる衝動。
気がつけば、ヒートは倒れた男を抱き上げ、警察隊に向かって叫んでいた。

ノハ*゚⊿゚)「うわああああああああああああああああああああああああああああ
     ああああああああああああああああああああああああああああああ
     あああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

それは獣のごとき叫び。
それは恋を歌う獣の唄。
男を抱きかかえたまま、ヒートは警官隊に向かって突っ込んでいった。
その事を、当時警察官だったブーンはこう語る。

( ^ω^)「あれに手を出せ? 正直それを聞いた時は荒巻を殺してやりたくなりましたお。
      暇を持て余した警察署の精鋭たちでも歯が立たないのに、ただの警官に何ができるって言うんですかね?
      彼女は黙ってさえいれば、それはそれは美しい女性でしたお。
      でもね、あんなのを見た後はそんな感情吹き飛びましたお」

そう言って、ブーンは一枚の写真を取り出した。



290 :ヒートアップ!のようです:2008/12/04(木) 00:18:40.20 ID:oOALnCHj0

( ^ω^)「この鉄屑の山、元装甲車ですお。
      対戦車砲の直撃にも耐えられる構造と設計をしていたのに、ヒートはそれを拳一つで鉄屑にしました。
      後で聞いたんですが、彼女の右手は戦車の装甲も撃ち抜けるそうですお」

戦争が商品となり、人類の科学力は大きく進歩した。
人工筋肉に、人工装甲。
人造人間に、サイボーグまで生み出したそれは狂気の沙汰だ。
その実験に使われたのが、戦災孤児たちだ。

大半の孤児たちが実験で死に、廃棄処分された。
そして、ヒートはその孤児たちの数少ない生き残りだった。

少女は初めて恋を知った。
獣は初めて恋に落ちた。
だから唄った、ひたすらに純粋な気持ちを。

少女は歌う、唄う。
獣は笑い、踊る。

やがて、愛の意味を知るために。

これは、そんな未来のお話。

おしまい


[ 2008/12/04 20:06 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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