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(,,゚Д゚)無題ξ゚⊿゚)ξ


177 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 21:57:24.40 ID:4RyRNeU8O

>>110です
投下します><

お題…ソース、ペラペラ



こんなぺらっぺらの紙一枚で、自分の肩書きや社会的地位が変わってしまうのか。

目の前のテーブルに置かれた紙切れを見て、ギコは小さく溜め息をついた。
その息で飛んで行きそうなほどに軽い紙なのに、持つ意味が重すぎる。


ξ゚⊿゚)ξ 「ほら、早く。」


無表情のまま、ツンが冷たく言い放った。
美しい顔だ、とギコは思った。

自慢の妻だ。
自慢の妻だった。

この紙に名前を書いてしまえば、この紙が役所に受理されれば、全ては終わってしまう気がする。

だが、違う。
もう、終わっているのだ。



178 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 21:58:43.69 ID:4RyRNeU8O

ξ゚⊿゚)ξ 「……早く」


ツンが急かす。
ギコは机の上のボールペンを手に取り、蓋をつまんだ。
ボールペンを両手で持った格好のまま、視界が滲んだ。


(,,゚Д゚) 「……ごめんなぁ……」

ξ゚⊿゚)ξ 「そういうの、もう、いいから」

(,,゚Д゚) 「わかってる……わかってるけど……ごめんなぁ」


全て自分が悪いのだ。
幸せにすると心に決めたのに、何も与えることができなかった。
それどころか、たくさんのものを奪っていった。
今自分の目の前にある顔は美しいが、輝いてはいない。
それだけで、ギコは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。



179 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 22:00:05.14 ID:4RyRNeU8O

学生時代。
友人の紹介で出会った頃のツンは、輝いていた。
とにかく勝ち気で、はつらつとしていた。
そして、よく笑った。
太陽のような子だと思ったものだ。


(,,゚Д゚) 「料理が得意だと聞いたが……得意料理は?」

ξ゚⊿゚)ξ 「ソース」

(,,゚Д゚) 「ソ、ソース?」

ξ゚⊿゚)ξ 「ソース。文句ある?」

(;,゚Д゚) 「い、いや…。ソースは料理なのか…?」



180 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 22:00:31.61 ID:4RyRNeU8O

ξ゚⊿゚)ξ 「なによ、バカにする気?」

(;,゚Д゚) 「いや、そうじゃなくてだな……えっと……」

ξ゚⊿゚)ξ 「バカにしてるのね…」

ξ゚⊿゚)ξ 「いいわ、今度うちに食べにいらっしゃい。目にもの見せてあげるわ」

(,,゚Д゚) 「え……家に行っていいのか?」

ξ゚⊿゚)ξ 「……」

ξ////)ξ 「き、来たくないなら来なくていいわよ……」

(,,゚Д゚) 「いや、是非行かせてくれ。単純に興味がある」



181 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 22:01:51.32 ID:4RyRNeU8O

その週の土曜の夜、ギコはツンの部屋で料理を振る舞ってもらった。
ギコがこたつに入って待っていると、ツンが料理を運んできた。
皿の上には、鶏肉をソテーしただけのもの、人参とじゃが芋を蒸かしただけのもの。
ギコが唖然としていると、ツンが得意気にトレイを運んできた。


(,,゚Д゚) 「……おぉ!」

トレイの上には小鉢が8つ乗っていて、全てにソースらしきものが入っていた。
白、茶色、黒、緑、赤、黄色、灰色、橙色。
澄んでいるものもあれば、とろみのあるものもある。
ギコには何なのかがわからなかったが、何かみじん切りものが入っているものもあった。


(,,゚Д゚) 「……これ、全部作ったのか?」

ξ゚ー゚)ξ 「もちろん」

(,,゚Д゚) 「お前……すげぇな……」


鶏肉にはコレかコレかコレ、野菜にはまずはコレ…とツンに言われるがままに次々と味見をした。
どれも驚くほど美味しかった。
何より、同じ食材を、同じ調理法でここまでバリエーションを広げられることに感心した。
そのときはソースに夢中になってソースばかり褒めていた。
しかし後になってよくよく考えてみると、柔らかくソテーされた鶏肉、甘く蒸かされた人参やホクホクのじゃが芋、どれも自分には作ることのできないものだった。
この子を逃がしてはいけない。
そう考え出したきっかけだった。



182 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 22:03:13.99 ID:4RyRNeU8O

ξ゚⊿゚)ξ 「……もう私の気持ちは変わらないからね」


毅然としたツンの声で、ギコは我にかえった。
そうだ、もう変わらない。
あれだけ話し合ったじゃないか。
もう、駄目なんだ。

ボールペンの蓋を開け、自分の名前を書く。
半分まで書いたところで、堪えていた涙が流れ出した。


(,,;Д;) 「ごめんな……ごめんなぁぁ……」

ξ゚⊿゚)ξ 「……」


泣きながら名前を書き終え、そのまま印を押した。
ギコがその紙から手を離すとすぐに、ツンが紙を取り、席を立った。
うつむいてすすり泣くギコには、ツンの表情はわからなかった。

ツンの足音が遠ざかる。
ドアの開けられる音が耳に届くと、ギコは堪らず声をあげた。


(,, Д ) 「……おい」


ツンの足音が止まった。



183 :愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 22:03:50.23 ID:4RyRNeU8O

(,, Д ) 「俺が……俺がもし……」


今更、こんなことをきいてどうなる。
散々話し合ったじゃないか。
頭ではそうわかっているのに、声は止まらなかった。

(,, Д ) 「俺が……」

(,, Д ) 「俺がもし、種無しじゃなかったら……離婚しないで、くれたかい?」


ドアの閉まる音が、一人の部屋に響いた。



―――――――――完―――――――――


[ 2008/12/03 22:44 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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