959 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:35:32.96 ID:vW4yq/PQ0
風鈴はからからと
虚しく悲しく音鳴らす
傍らに寝た彼女の髪も
音と同時に、風にゆられて……
川 ゚ -゚)サファイアのようです
961 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:36:41.76 ID:vW4yq/PQ0
川 ゚ -゚)「おっと……寝てしまったようだ」
(´・ω・`)「寝ててもよかったのに。兄さんが来たら起こしてあげるから」
川 ゚ -゚)「馬鹿言うなショボン。男の側で無防備になるなんて、女としてやってはいけないことだ」
(´・ω・`)「僕は手なんかださないよ」
川 ゚ -゚)「お前は甘い。人間は本能に気づいたら、それに逆らえなくなるものさ」
彼女はそう言い静かに笑う
その様はまるで女神のよう
やっぱり僕にはできないよ
君に手をだすことなんて
963 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:38:06.17 ID:vW4yq/PQ0
(´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「にしても、今日は日差しが強いなあ」
(´・ω・`)「……そうだね」
川 ゚ -゚)「あ、アゲハ蝶」
(´・ω・`)「ほんとだ。大きいね」
川 ゚ -゚)「このサンダルかりていいか? 庭に出て捕まえたいんだ」
(´・ω・`)「どうぞどうぞ」
川 ゚ -゚)「サンキュー。それじゃ」
真夏の光が君を包んで
その白い肌に反射して
宝石のように淡く光るよ
ライトをあてたみたいにね
965 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:40:49.11 ID:vW4yq/PQ0
(´・ω・`)「……サファイアかな」
川 ゚ -゚)「ん?」
(´・ω・`)「いや、クーを宝石に例えるならサファイアかなーと思ってさ」
川 ゚ -゚)「私の誕生石はサファイアだぞ」
(´・ω・`)「そっか。九月生まれだもんね」
川 ゚ -゚)「うむ」
(´・ω・`)「じゃあサファイアで決まりだ」
川 ゚ -゚)「決められてもどうしようもないがな」
(´・ω・`)「……アゲハ蝶はどうしたの?」
川 ゚ -゚)「あ」
(゚ 川川「…………」
川 ゚ -゚)「……逃げられた」
(´・ω・`)「……」
966 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:42:52.71 ID:vW4yq/PQ0
川 ゚ -゚)「ショボンのせいだぞ」
(´・ω・`)「なんでさ」
川 ゚ -゚)「あのタイミングで話しかけてきたからだ」
(´・ω・`)「蝶を逃がすために話しかけたんじゃないよ」
川 ゚ -゚)「……まあいいか」
(´・ω・`)「…………」
968 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:44:55.18 ID:vW4yq/PQ0
川 ゚ -゚)「やっぱり縁側はいいな。うちにも欲しい」
(´・ω・`)「兄さんと結婚して、うちに入ればいいじゃないか」
川 ゚ -゚)「そこまで長く続くかわからない」
(´・ω・`)「……そう……だね」
川 ゚ -゚)「ああ…………」
(´・ω・`)「……あ、あと」
川 ゚ -゚)「ん?」
(´・ω・`)「あ、あの……」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
(´・ω・`)「に…………」
兄さんじゃなく僕と結婚して、うちに住むこともできるしね
その一言の冗談が、なかなか言えなくて……
970 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:47:00.20 ID:vW4yq/PQ0
「ただいまー」
(´・ω・`)「あ」
川 ゚ -゚)「む」
(`・ω・´)「……ん?」
川 ゚ -゚)「おかえり」
(`・ω・´)「クー、きてたのか」
川 ゚ -゚)「ああ。ショボンにノート貸してもらうののついでに、シャキンに会おうと思ってな」
(`・ω・´)「俺はノートのついでか……」
川 ゚ -゚)「冗談だ」
(`・ω・´)「わかってる」
川 ゚ー゚)「ふふ」
(´・ω・`)「……」
二人の世界があっというまに
僕の前に作られる
かみ合ったパズルの隙間は
狭くて狭くて入れない
972 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:49:01.49 ID:vW4yq/PQ0
(`・ω・´)「買い物でもいくか」
川 ゚ -゚)「映画が見たい気分だ」
(`・ω・´)「それもいいな。ショボン、クーと出かけてくる」
(´・ω・`)「わかった」
川 ゚ -゚)「それじゃ、また今度な」
(´・ω・`)「うん、また……」
君は輝くサファイアで
兄は分厚い綺麗なガラスで
僕は無力な傍観者
盗むことなどできやしない
973 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 13:51:07.01 ID:vW4yq/PQ0
僕はガラスを割ることも
取り除くこともできなくて
サファイアはいつまでも
僕のものにならなくて
川 ゚ -゚)(`・ω・´)
傍観者は何をやっても
ガラスにはなれなくて
サファイアはいつまでも
ガラスの中でひとり、
煌々と輝いている―‐。