FC2ブログ










( ^ω^)無題ξ゚⊿゚)ξ


612 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 23:49:21.72 ID:X+exWX0CO

僕は夜が好き。見えない物は、気にしなければ見えないから。

ほら、日が出てると、見たくない物だって、無理やり目の中に飛び込んで来るじゃないか。

それに比べて、夜はいい。見えない物は、見ようとしない限り見えないから。

無理やり見せようと、しないから。



だから僕は夜が好き。





614 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 23:51:33.11 ID:X+exWX0CO

( ^ω^)「梅の匂いだお」

ξ゚⊿゚)ξ「近くで咲いているのかしら」

( ^ω^)「肥やしの臭いもするおね」

ξ゚⊿゚)ξ「臭いわね」

ちょっとそこらを歩いていると、梅の香りがした。

( ^ω^)「僕は白い梅が好きだお」

ξ゚⊿゚)ξ「私は赤い梅が好き」

( ^ω^)「じゃあ、ピンクの色は二人とも好きな色だおね」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。白と赤の相の子だもの」

まだ肌寒い時期、僕は薄着で家を出た事を後悔してた。

匂いの元は、近くの畑。
僕は小声でごめんなさいと断ってから、梅の枝を一本頂戴した。
鼻先に持っていくと、粉っぽい、春の始まりの匂いがした。

月明かりの下で、ピンクはほんわり光ってた。
優しい風が、花びらを一枚奪う。
僕はそれを目で追ったけど、見えなくなるまでは追わなかった。

僕は深追いはしない主義なんだ。



615 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 23:53:33.16 ID:X+exWX0CO

しばらく歩くと、カラスウリの花が咲いていた。

月のない夜だったけど、その、白いレースのような花は、自分で光を発しているようだった。

ξ゚⊿゚)ξ「カラスウリの花って、儚げよね」

( ^ω^)「レース、蜘蛛の巣、綿飴……」

( ^ω^)「いろいろな物に似てるけど、どれも頑丈そうではないお」

ξ゚⊿゚)ξ「それと、夜にだけ咲くのも、儚げよね」

( ^ω^)「きっと体が弱い花なんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「儚いわね」

緑の垣根の間にふわふわと咲くその花は、触ったら溶けてしまいそうに思えた。

だけどその弱さは蒸し暑い気温と合間って、
何がかは自分でもわからないけど、ちょうどよく感じた。



616 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 23:55:15.11 ID:X+exWX0CO

またてくてく歩くと、畑にコスモスが咲いていた。

赤白ピンク黄色。
姦しい女性たちを連想させるように、夜風にざわざわと吹かれてた。

( ^ω^)「コスモスはみんな細いお。風に吹かれたら倒れてしまいそうだお」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた知らないの?」

( ^ω^)「おっ?」

ξ゚⊿゚)ξ「コスモスは倒れてもまた上に伸びるのよ」

( ^ω^)「おっ。コスモスすげえお!」

ξ゚⊿゚)ξ「可憐に見えて、なかなか芯は強いって、惚れるわよね」

ξ゚⊿゚)ξ「私もそんな女になりたいものだわ」

( ^ω^)「ツンもなれるお」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうね」

コスモスの花を撫でると、黄色い花粉が手についた。
僕はなんとなくそれをはらう気が起きなくて、そのままにして歩き出した。



617 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 23:57:37.15 ID:X+exWX0CO

暗闇に赤い花が見えた。椿だ。

分厚い花は雪の重みに負ける事なく、凜として形を留めたままだった。

( ^ω^)「椿の蜜を舐めた事、あるかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「無いわ」

( ^ω^)「花の匂いがそのまま甘さになったような、素敵な味がするんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「言われても、よくわからないわね」

( ^ω^)「雨や雪が降った翌日には、特に多くあるんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「それって、ただの水じゃない?」

( ^ω^)「いや、違うお。苦難を乗り越えた花こそ、沢山の蜜を作り出せるんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「説教臭いわね」

歩いて行くと、見知った畑があって、脇に植えられた梅の木を見つけた。
僕は梅の木に近寄って、花の匂いを嗅ぐ。匂いはしなかった。

目を瞑って、匂いにだけ集中しようとした。
瞑っていると、闇夜に光がさしこんだ。



619 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 23:59:06.33 ID:X+exWX0CO

太陽が彼方から頭を出していて、僕にはそれが朝日なのか夕日なのか、判別がつかなかった。

( ^ω^)「……夕日だったらいいのにお」

起き上がって、ベッドに腰掛けて手を見つめた。
花粉も梅の枝も、何も持ってはいなかった。

窓の外の光が強くなっていくのを確認した僕は、溜め息をついた。
朝日が僕の頭を覚醒させる。僕は夢現から立ち上がらなければならなかった。

一人きりでは少し広すぎるベッドの上で、僕は一人涙した。

( ぅω^)「……」

( ^ω^)「僕は、深追いしない主義なんだお」

( ^ω^)「いつまでもうじうじしてちゃだめだおね」

僕は夜が好き。
彼女は花が好きだった。


おわり


[ 2008/12/02 19:04 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/849-0b859a13