FC2ブログ










ξ゚⊿゚)ξ( ・∀・)は、ふたりで百花繚乱のようです。


868 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/29(土) 23:34:25.65 ID:kBgAXYxn0


分厚い雲が覆う空を見れば、どうやら少しだけ泣き始めたようだ。
ちらちらとスローモーションで落ち空の色を帯びたそれは、限りなく白に近い灰色。

ビル風が生み出す痛みは容赦なく若い肌を刺していく。
先ほど伝線した黒タイツを一瞥し、スカートで隠しながらアパートの階段をカンカンと駆け上がった。
一刻も早く温まりたい。ていうか暖めたい。こころを。

ξ゚⊿゚)ξ「おっじゃまー。ダッツはバニラで良かったわよね?」

( ・∀・)「ウホッおかえり姫様!さようバニラにございます!」

ξ゚⊿゚)ξ「あいよ。てかメール見たんかよ」

( ・∀・)「えー見たよー?即レスしたじゃーん」

ξ゚⊿゚)ξ「まーじで?……あ、ほんとだセンター……」

( ・∀・)「ほーらねっ!てか早くはいんなよ、こっちきなー」


いつものキャッチボール。何気ない会話でも色んなものをはしょれるのは相性がいいからだろうか。
こないだの処女喪失から3週間、雪国への帰郷から1週間。なんとなく穏やかな日々が続いている。
かかとの塗装がハゲかけているローファーを玄関に脱ぎ捨てて、一目散に滑り込んだ。
このあたたかみ……なんときもちのいいことだろう!



869 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/29(土) 23:36:05.26 ID:kBgAXYxn0

( ・∀・)「こ、こたつパネェ……なんという人類の利器っ!ぬくぬくっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「よーやっと出したわね、もう12月よアンタ」

( ・∀・)「だあってーホットカーペットでもイケそうだったんだも~ん」

ξ゚⊿゚)ξ「冬といえばコタツでしょJK……もう二度と出れないブラックホールね」

( ・∀・)「あ、てか」今日はガッコ早かったんだね」

ξ゚⊿゚)ξ「半ドンよー、進路面談あとつかえてんだってー」

( ・∀・)「んー……おれは大学行ってないからよくわからんちん」

ξ゚⊿゚)ξ「卒業して即ニートかよ……この社会不適合者めが」

( ・∀・)「手厳しい!でもいちおー実家は出たもーん。自立はしてるっしょ」

ξ゚⊿゚)ξ「エロビラ配りとたまの派遣で生計を立てる日々が続いた……」

(; ・∀・)「う、うるしゃい!仕事は仕事っ!頑張ったもん!」

ξ゚⊿゚)ξ「うん、それは知ってる」

(* ・∀・)「…………えへー」

ξ゚⊿゚)ξ「(………まあ今のが頑張ってるけどね)」



871 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/29(土) 23:41:09.63 ID:kBgAXYxn0

3週間前まで雑多だったアパートの一室は、整然と並べられたクリアファイルとエクセルの書類で彩られていた。
ふたりでフランフランに行って、私好みの机も買ってみた(無理やり買わせたわけじゃないんだから!)
基本的に家具には無頓着な彼の、部屋のモノトーンに不釣合いなフレンチポップのベビーピンク。
なんだか、居場所が増えた気がして、嬉しかった。まあ言わないけど。


Σ( ・∀・)「あっ!そいやミカン買っといたよミカン!ラウンジ商店街もう歳末セールだって安かったの」

ξ゚⊿゚)ξ「ほう!こたつとミカンを同伴させるとは、えらいぞモラー褒めてつかわす」

( ・∀・)「ウヒョーw ほいっ、いっちゃんおっきーのあげるー」

ξ゚⊿゚)ξ「ん。てかあすこ年中セールじゃんねウン天」

( ・∀・)「こないだ閉店セールしてたのに、今日いったらリニューアルしてたよー……店頭だけ」

ξ゚⊿゚)ξ「23区内にも過疎化の波が訪れているというのか……さぶさぶ」


( ・ー・)ξ゚ー゚)ξモグモグ 「(みかんうめえ……)」




872 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/29(土) 23:43:17.71 ID:kBgAXYxn0


それから私たちはひととき、無心でその橙(だいだい)をもいでいた。平日の昼間にこうしているのは変な感じだけれども、
空っ風にぴしぴし、と弱音を吐く窓ガラスの向こうに濁った空を見やっては、暖かいこの部屋を心からいとおしんだ。
ブラウン管の中では、涙目の男女が罵声を浴びせながら各々の自我を糾弾し合っている。
(あれ、そういえばこいつ今日仕事はどうしたんだろ?)


( ・∀・)「あ、あーあー見てこれ」

ξ゚⊿゚)ξ「ん?どしたの」

( ・∀・)「なんか花開いちゃった」


そこには丁寧に等分された、橙色の六花があった。
ご丁寧に繊維までそいで、薄皮も重ねて真ん中のヘタの上に置いてある。こういうとこだけは器用なんだから。




874 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/29(土) 23:45:37.26 ID:kBgAXYxn0

( ・∀・)「ネーネーあーんしてーあーん」

ξ゚⊿゚)ξ「えーめんどい。自分で食べんかい、手ェついとろーもん」

( ・∀・)「やーのっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「(まーたどっかからネタ引っ張ってきてこいつは……)」

( ・∀・)「あー」

ξ゚⊿゚)ξ「…………ったくもお」

ξ゚⊿゚)ξっD (・∀・ )アーン

ξ*゚⊿゚)ξ (・w・ *)モゴモゴ


ああもう、ゆびまでくわえやがったこいつ!
こいつの前歯で潰れた果実から、みずみずしい果汁が吹き出したので、指でぬぐってそっとなめると思ったより酸っぱい味がした。
ああそういえば少し緑がかったのを自分から取ってくれたんだっけ。ほんと、こういうとこだけ、器用なんだから。
そうやって、眉をひそめてねぶったことを後悔しかけた瞬間に、すっと視界が揺らいで暗くなった。



875 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/29(土) 23:51:31.52 ID:kBgAXYxn0

ξ゚⊿゚)ξ「わあ!ちょっなにー」

( ・∀・)「……だーめー」

ξ゚⊿゚)ξ「……んっ?」

( ・∀・)「めっでしょおーもお!そんなことしたらだねー……」

ξ;゚⊿゚)ξハッ 「!」

(* >∀・)9m「おにーさん……おそっちゃうよおおおお!!!」

ξ;゚⊿゚)ξ「予告どっとイーーーン!」


そうやってこんな狭いコタツの中で暴れまわるものだから、テーブルの上が惨事。もうびっくりするくらいの惨事。
そうとは気付かずふたりで、しばらくずっと、くずぐりあってはしゃいでいた。なんて不恰好な密室のダンス。
何がおかしいというわけじゃない。けど。なんとなく、いつまでも続くといいなって一瞬思ってしまったのは事実だ。
しゃあない!図書館に行くのはもうすこしだけあとにしよう。せめて……せめて、この雪が止んだあとで。

深深と降る雪が、ごうごうと吹きすさぶ風と踊っていたとき、ミカンの開いた残骸は、床の上で花開いていたのだった。




「ξ゚⊿゚)ξ( ・∀・)は、ふたりで百花繚乱のようです。」







876 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/29(土) 23:52:51.19 ID:kBgAXYxn0

おわりです!支援ありがとうございますー!
お題は「踊る二人、舞う花弁」でした。

ξ゚⊿゚)ξ( ・∀・)の組み合わせだーいすきです。
また書きます~


[ 2008/11/30 13:36 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/833-e7bdfab9