FC2ブログ










( ・∀・)はあたたかいところをさがすようです。


855 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 01:59:41.17 ID:NzhPuC2Q0


バタム


( ・∀・)「おっふ、やっぱもうこっちはさみーなオイ」

ξぅ⊿゚)ξ「むにゃ……わーあっという間に冬ね。あれ、秋来たっけ?」

( ・∀・)=3 「フォオオォオオ!息が白いぜい!」

しゃくしゃく、と軽妙に音を立て、ふたりは薄く積もった雪に平行線を刻んでいく。
初雪が降ったとかなんだとか、テレビの中にいるきれーなお姉さんが朝方作り笑顔で言っていた。
まあ、んなこたおれにはどうでもいいんだけど。

年末商戦に供えて、前もって11月の半ばに有給を3日ほど貰えるというので、
新入社員の立場としては申し訳ないが、意気揚々と旅に出てみた。

ξ#゚⊿゚)ξ「あーもー!なんでこんな寒いわけ?むかつくわーこの列島……」

ひとまわりも年下の、いわゆるなんだ、まあその……彼女ってやつと。

(; ・∀・)「(おかんむり、だと……!?)」



856 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:00:29.88 ID:NzhPuC2Q0

貯金崩して頑張って一発で免許取ったし、ツテで車も手に入った。まあ中古の軽だけど。
のらくらしてるおれにしては、新しい仕事はうまくいってて周囲の評判も上々。
それもこれも、自堕落だったおれのけつをブッ叩いてくれたこの彼女のおかげなわけで。
まあ本人に言うと顔を真っ赤にして不機嫌になるので言えないけどね(ほんとは伝えたいのよ)
年末の1週間は家には帰れそうにないってことで、まあ例のイベントも無いに等しい。
そこで、ドライブがてら帰省……って、おっと逆か。今は帰省がてらドライブしてんだ。
そんで今ちょうど車を降りたとこ。

ξ゚⊿゚)ξ「ネーネー、実家もう見える?……ん、てかドコここ」

( ・∀・)「あーいや、ここは幹線道路沿いの休憩所だよー」

ξ゚⊿゚)ξ「ふーん。ならあとどんだけかかんの?」

( ・∀・)「えっとあと ξ゚⊿゚)ξ「言えや」

(; ・∀・)「あっハイ2時間ほど……(言おうとしたのにっ)」

ξ*゚⊿゚)ξ「…………」カァー

(; ・∀・)「!?」

ξ*゚⊿゚)ξ「なら向こう着いたらすぐゴハンにしてよねっ!」

( ・∀・)「(おにゃのこってわかんない)」



857 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:03:34.68 ID:NzhPuC2Q0

不貞腐れた演技をした少女は、檜作りのこぢんまりとした休憩施設へと歩を進める。
でも屋内は意外と繁盛しているようで、電灯の眩しい食堂に土産物屋が併設してある。
トラックの運転手達や、バイカー達がテーブルに点在していて活気を感じさせた。

ξ゚⊿゚)ξ「ほーら!コーヒーでも飲んでくわよー!」

( ・∀・)「……アイヨーおやびん!」

うん、ほんとに優しい子だなーて思った。
俺なんかにゃもったいないよなー。


ξ゚⊿゚)ξ「ふーさぶさぶ……あら?エアコンじゃなくてストーブってのが味あるわね」

( ・∀・)「そだね。でもこっち側来るとほとんどのドライブインそうなんじゃない」

ξ゚⊿゚)ξ「地域差ねー」

(; ・∀・)「そだね……てゆか何その悪趣味な猫」

ξ#゚⊿゚)ξ「誰が悪趣味じゃ。可愛いじゃない!」

そういって、向かい合った彼女の華奢な右手の中でキラリ光る小さな猫。プラスチック製。
【うにの貝焼き】なるアフロヘッドを模したような刺々しいフォルム。おもわず怪訝になる。
女子高生の趣味ってのはわからんね。たぶん一生わからん。



858 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:06:44.04 ID:NzhPuC2Q0

ξ゚⊿゚)ξ「東京KITTYからハマリはじめて長いのよ……あっココアとティラミスこっちですー」

( ・∀・)「コーヒーうめえww」

ξ゚⊿゚)ξ「たーんとお飲みなさい。おごっちゃるけん」

( ・∀・)「ん、あんがとね」


と、ずずずと互いに飲み物をしばきながら、しばしの沈黙―――――
そうなんだ。おれはこの無言の空間が全然いやじゃないんだ。むしろ心地良い。
今日は周りのヤロウどもの喧騒がBGMになってさ、この子を際立たせてくれる。

いつもはおれんちで、ごはん→お風呂→えっち→寝る(もしくは見送り)
ってな感じだし、しかも最近お互い忙しくて会えてないし。
別にどっちも悪くないけどさ、愛ってのは無償だよ。アガペーアガペー。

だからふと思いついて実家に連れてこうと思ったんだよ。まだ若い女の子連れてさ。
………おどろくかな姉貴。  あーあとついでに親父。



860 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:10:48.88 ID:NzhPuC2Q0

ξ゚⊿゚)ξ「………ねえ」

( ・∀・)っ瑙 「おっなんだいマイハニー」 ズズズ……

ξ゚⊿゚)ξ「実家の方、あの、結構……雪とか。ふるんでしょ」

( ・∀・)「うん、まあそうだねーここいらよか……
(* ・∀・)「はっ!」

(* ・∀・)「今夜は………俺の部屋でぬくぬくしたるでえ(CVケンコバ)」

ξ*゚⊿゚)ξ「ばっ…ちがー!」

( ・∀・)「バッチガー?なにそれ地元の博多弁でバッチグーってこと?」

ξ゚⊿゚)ξ「九州モンなめんな」

( ・∀・)「うそうそw んでー、なあに?」

ξ゚⊿゚)ξ「……………」
ξ゚⊿゚)ξ「もしさ、」

( ・∀・)「うん?」




862 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:14:51.06 ID:NzhPuC2Q0

ふと彼女がやった目線の先を見やると、いつの間にやら外は薄暗くなっていた。
雪は降っていないようだが、びゅう、ごお、と強い風がガラス越しでも伝わってくる。

これは外出るとき先に車を回してやらんと。クラッシュデニムミニの彼女にはつらかろう。
たとえお気に入りのニーハイブーツを足元に携えているとしても。
しかしまだ夕暮れにはほど遠い。どうやらおてんとさんはゴキゲンななめらしいよ。


ξ゚⊿゚)ξ「もし、あたしとふたりで遭難したらさ、」

( ・∀・)「うん」


ξ゚⊿゚)ξ「あたしの腹かっさばいて、暖まってもいいからね」




( ・∀・)「……………えっ?」





863 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:20:33.46 ID:NzhPuC2Q0

ξ^⊿^)ξ「ああwもしあたしが先に死んだらのはなしよwww」


( ・∀・)


ξ゚⊿゚)ξ「自棄になってセックスしちゃうと体力消耗しちゃって致死まで早いんですって」

( ・∀・)

ξ゚⊿゚)ξ「凍死ってどんな感じなんだろね?例えば眠りに落ちるような……

( ・∀;)

ξ;゚⊿゚)ξ「えっ」

( ;∀;)ウウー

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっ、どうしたのよ!煎った豆にでも当たったの!?」

( ぅ∀;)「ばかたれーばかたれー」

ξ゚⊿゚)ξ「?」



864 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:24:52.11 ID:NzhPuC2Q0

( ぅ∀;)「雪で死ぬとか、そ、そんな。縁起でもない、こと、言うんじゃありませーん……」

ξ;゚⊿゚)ξ「ええっ!?いやいや例え話じゃんよ」

( ぅ∀<)ゴシゴシ
( >∀<)ギュッ

( ・∀・)「あーそらそだね。ごめん……取り乱しちゃったー」

ξ゚⊿゚)ξ「……なんか………ごめんね」

( ・∀・)「ううん、こっちこそ。おおお……想像したら背筋が冷えちゃった。空っ風よりこたえたよ」

ξ゚⊿゚)ξ「もう言わないから……大丈夫だからね」


( *>∀・)9m「……夏には言ってww」

ξ*^⊿^)ξ「バーカw」




865 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:28:08.31 ID:NzhPuC2Q0

そのあとはひとしきり笑い合った。そんだなんかもうどうでもいい話題も続いた。
いつもと会話レベルは変わらないはずなのに、景色が違うだけで新鮮になるふしぎ!

向こう着くまでの2時間何するかとか、危ないからもう左手で顔つつくのやめろとか、
あたしが寝たら起こしてね、と言っていたので「じゃあおれも」というと怒られてしまった。
喉がからからになるまで声を上げていたので、おかげでお互いココアとコーヒーをおかわりした。

それから彼女が会計を済ませてくれているあいだ、俺はキーを指で回しながら店を背にした。
ブレーキを踏み、キーを差し込む。あとはこれを右側にひねればいい。
そうすれば、自動ドアの向こうで店員と談笑している彼女の元へ行ける、なのに。なのに。



866 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:32:23.01 ID:NzhPuC2Q0


( ・∀・)

           おら、おっかあのだーいすきな、からすうり!みつけたんだあ!
 
           ううう、もちっとー。もちっとなんだけどなあ………っっ!!!

           おったぞー!!このこぞうっこはなんとかぶじみてえだべ!!よかっただなあ!!

           おっかあ、おきてよ。だんだんさむくなってきた。ねえ、ぼく、おなかへったよ。

           ばかたれ!おまえは……なすて、なすてこげなちいさなこいつつれて!!

           はよむらさはこべ!まだこのべべはたすかんべ!ぬるまゆもっちこい!!


           ねえ、あたししってんよ………あんたのせいべさ、おっかあいなくなったん。あんたの。あんたの、


( ・∀・)




867 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 02:36:44.90 ID:NzhPuC2Q0

ただ、あの赤々と熟れた烏瓜を見せたかっただけだ。
だいすきなひとに目の前で喜んでもらいたくて、やっと見つけた宝物を教えに小高い崖まで連れて行った。
背伸びだけではもげなかったから。あの頃の自分では。あと少し、指先に触れるかどうかというところで視界が空転する。
崖の先に生っていたその実は、手の中をすり抜け、あざ笑うかのように落ちゆくおれを見下し小さくなっていった。
地面にぶつかる瞬間、頭を抱えようとしたところで、首筋にヌルッとした感触があったのだけは覚えている。


( ・∀・)「おれはただ、


それから家で皆に囲まれて、布団のなかで目を覚ますまでの記憶はない。
医者に言わせると、どこも外傷はないが、ただおどおどするおれを見てショックで忘れてしまっているんだろうと言った。

でもおれはしっかり覚えていた。首をしっかりと包む暖かい感触と、
そしてそれに包まれる瞬間の 『だいじょうぶ、だいじょうぶよ』 という懐かしい声を。
それにしても、なんてふと思い出してしまったもんだ。


( ・∀・)「おれはただ、あの赤い実を



870 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:00:07.71 ID:NzhPuC2Q0


ドンドンドン!!!!!


(; ・∀・)「アッー!」

ξ#゚⊿゚)ξ「……………」ブルブルブルブル

ハッとして音のほうに目をやると、ガラスの隔てて鬼がいた。
ガチャという音と共にゆっくりドアが開く。 ああ、なんとなく断頭台の居心地が分かる気がするね。
この小さな鬼が震えている理由は、寒さと怒り、どっちの割合が強いのだろう………
と思考を巡らせるいとまもなく、何かが頬にめり込んだ。あとは、うーん……よく覚えてない。





( ・∀###)「ゴファッ、お待たせすて申し訳ありませんですた……」

ξ゚⊿゚)ξ「うむ、繰り返さないことが大切だ」




871 :さるってました。支援たすかります!:2008/11/19(水) 03:01:50.91 ID:NzhPuC2Q0

ありったけの暴力を働いてスッキリしたからなのだろうか、
チョコレートのお菓子をばりぼり食べながら、助手席でふんぞりかえる。
怒りは消失してしまったようだ、先ほどのアフロヘッドを携帯につけて嬉々としていじくっている。
そんな彼女の機嫌と同調するかのように、広い二車線をスイスイスーイと車は進んでいった。

ξ゚⊿゚)ξ「はーメシウマメシウマ」

( ・∀##)「い、急いで走らせますんでね、お眠りになっていただいても構いませんよ」

ξ゚⊿゚)ξ「おお、よきにはからえー」

( ・∀#)「うう……家に帰ったら冷やさないと………氷あるかなー」

そういうと、首筋にひんやりとした感触が生成された。ありゃりゃ、なんだかなつかしい感覚。
それは肌を撫でて頬骨を包む。じんじんと軋むような内側からの痛みが解けるようだ。まるで。

( ・∀と)「おほっ。んあー…きもちーっす」

ξ゚⊿゚)ξ「つめたいでしょーお?だって、さっきまで外にいたもんねー」



872 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:06:31.98 ID:NzhPuC2Q0

ふん、と小さな鼻をこれ見よがしに鳴らして、元の体勢に戻す。もうちょっとさわっててもいいのにな。
ふと目線を下にやると、スカートとニーハイブーツの隙間から鳥肌の立った細い太ももが見えた。
やっべー……なでてえっ……しゅりしゅりしてえっ………!

( *・∀・)「(冬もたまにはいいとこあるじゃんね フヒヒw)」

ξ゚⊿゚)ξ「……………」

( ・∀・)「あーあーだから待たせてごめんてw なかなか震えてキーささらなくてさあww」

ξ゚⊿゚)ξ「うーん?ああ……そし…たら、あたしの手で……さ」

( ・∀・)「あっはっはーきみの手、おれのよかつめてーじゃなーい」

眠いのだろうか、語尾がすでにしどろもどろである。まーしょうがないか、今日は早起きだったし。
あんだけ大笑いしてミルクたっぷりのココアを飲みたくったんだもんな、そら眠くもなるさ。

ξ-⊿゚)ξ「う、ううん………なら……だったら、」

( ・∀・)「おうおう、なんだあー」

ξ-⊿-)ξ「あたた、めて……あげ るわよ……ここで」


( ・∀・)




873 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:11:56.44 ID:NzhPuC2Q0

ξ゚⊿゚)ξ「あたしの何よりあたたかいところで」


えらくはっきり言ったかと思うと、こときれたように静かになった。慣れない沈黙が車内を包む。
するとしばらくのち、すやすやと等間隔の寝息を立て始めて、肩で呼吸をするのが見てとれた。
さびれた街並みの、申し訳程度のネオンが窓越しにやわらかく照らしている。
先ほどの台詞をつぶやいたままの、白く細い手のひらを下腹部の上に乗せたままの、彼女を。

( ・∀・)「…………」

ξ-⊿-)ξ..zZZ 「んごーんごー」

何かを振り払うように、おれはアクセルを踏んだ。くん、とGが体にかかる。
早いところ向こうについて、たらふく飯を食べよう。そんであったかい布団で寝よう。
そうしないと、この小さく愛らしい恋人が体を冷やしてしまう。それだけは避けないと。
そう思ってボンネットの先の先を見つめなおしてハンドルに力を入れた瞬間、聴こえた。


              だいじょうぶ、だいじょうぶよ。


それが彼女の寝言だと気付くまで、おれはあの遠い日のぬくもりを必死で思い出そうとしていたのだった。




                                            ( ・∀・)はあたたかいところをさがすようです。




874 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:15:00.09 ID:NzhPuC2Q0

これでおしまいです。

( ・∀・)ξ゚⊿゚)ξのコンビが好きなので投下させていただきました。
ξ゚⊿゚)ξの強がりをヒラリとかわす無駄に経験豊富な元フリーター( ・∀・)
ってのはなかなかどうして結構楽しいです。

お題は
ホワイトクリスマス
サンタクロース
豪雪地帯        でした。 

お題くれたひと、支援してくださった方々助かりました。ありがとやんした ノシ



875 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/19(水) 03:20:18.38 ID:NzhPuC2Q0

補足:
劇中に出たウニのご当地ストラップは、
ξ゚⊿゚)ξがみやげもの屋でいつのまにか買ってたもんです。
描写が抜けましてすみません。たしか福島あたりにあったはず。


[ 2008/11/19 17:23 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/780-a828e7c9