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188億キロメートルの孤独のようです


420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:15:13.38 ID:Ki/jtJ820

……遠い遠い光が見える。

从 ゚∀从『おい、早く登ってこいよ!! 空がすっげえ綺麗だぜ!!』

大木の枝に跨って、遠くを指さしてるのは君で……。

(;'A`)『こな……くそ……待ってて、いま行く……』

幹に飛びかかってはずり落ちてを繰り返してるのが僕。

……遠い遠い声が聞こえる。

(;A;)『うぁ、ち、畜生……っくぁ……』

殴られ蹴られ、泣いているのは僕で……。

从 ゚∀从『ほら、いじめっ子なんかみんなおっぱらってやったぜ!
      だからもう泣くなよぉ!』

傷だらけになりながらも、おどけたふうに僕を慰めているのは君。



421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:15:38.82 ID:Ki/jtJ820

思えば物心ついたときから、君とは一緒だった。
僕らの育った、山間の谷間にある辺鄙な村で、
渓流で魚釣りをするときも、森で遊ぶときも、悪戯をするときも怒られるときも。

男勝りで気が強く、いつも暴れていて村のみんなから恐れられていた君と、
背だけがひょろりと高くて弱々しく、いつも村のみんなに虐められていた僕と。
思えば、ずいぶんと不思議な組み合わせだったもんだ。

僕には君の他の友達は無くて、君にも僕の他に友達が無くて。
それでも、二人一緒にいるだけで、全く寂しくなんかなかった。

ずっと、これからもこんな関係が続くと思っていた。
このまま時が流れていっても、二人はずっと、
こうしてこの村で笑いながら過ごしていくんだろうと、

思っていたのに。

( A )『父さんと母さんが死んだんだ……。
     僕、葬式が終わったら、母さんの実家のある、遠い町に引っ越すんだってさ……』

从 ゚ -从『……』

突然それは来たんだ。



422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:16:04.26 ID:Ki/jtJ820

嗚呼……。
懐かしさと寂しさと切なさともどかしさが一緒に頭を巡る。

生まれ育った村を出るとき。
僕の引っ越す家の人が、僕を迎えに来る前に、最後に君ともう一度逢いたくて、
村のはずれにある、大きな木――昔、君と木に登った場所に君を呼んだ。

燦々と煌めく太陽の下、互いを見つめる君と僕。

やがて、一陣の風とともに、君は叫んだ。

从 ∀从『絶対、絶対に戻ってこい! 約束だぞ!!』

そして、僕も

('A`)『……わかった。約束は必ず守る。だから……』

そこまで言ってから、急に悲しみが押し寄せてきて。
君に背を向けて、でこぼこした道を、振り返らずに駆け抜けた。

雲の行き交う青空の下、駆け抜ける僕の頬には涙が伝っていた。
そして、君の頬も、うっすらと濡れていたことだろう。

僕の後ろで、君の泣き声が、どんどん小さくなっていったから。



423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:18:41.03 ID:Ki/jtJ820

村と町は、本当に遠かった。
村に一番近い駅から、ローカル線に乗って2時間、新幹線で1時間、
その後は飛行機に乗って2時間。
僕の暮らすことになった町は、僕にとって外国同然だった。

生まれ故郷と違う、町の生活は慣れなかった。
いじめられたりはしないものの、僕はいつも一人。
親戚は優しかったけれど、それでも僕の心にはいつも孤独感があった。

僕は果てしなく独りぼっちだった。

懐かしいあの村の太陽、森や川、あの大きな木を思い出して、泣いた。
死んでしまった両親を想って、泣いた。

君と逢いたくて、泣いた。
君に逢えなくて、泣いた。

知らない町で、僕は一人、涙を流し続けた。



424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:19:50.05 ID:Ki/jtJ820

季節は矢のように巡る。
いつの間にか――本当に、あっという間に、村を出てから10年もの月日が経っていた。
そしてそれは、僕が同じ理由で泣き続けた期間とぴったり重なる。

10年。
長い長い月日の内に、世界は随分と変わっていった。

そして、僕の体も随分成長した。
元々高かった背も、さらに高くなって、ヒョロヒョロだった体にもいくらか筋肉がついた。

だけど、心だけは10年前と変わってはいない。

あの村は、どうなっているのだろうか。
君は今、何をしているのだろうか。

君に、逢いたい。

……だから。
僕は、行動を起こしていた。

村に行きたい一心で、三年前から始めたアルバイトは、
三年間で僕が村へ行くのに十分な金を与えてくれた。



425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:22:16.52 ID:Ki/jtJ820

日の出前に家を出て、
飛行機で2時間、新幹線で1時間、ローカル線で2時間。

村に一番近い駅に着いたときには、太陽は高く昇っていた。

駅から村へは、2時間に1本の間隔でバスが出ている。
ここからはバスに揺られて、村へ向かうことになる。

バスが村へ近づくにつれて、僕の胸の内には、なんだか不思議な感情が積もっていった。
村を離れると知ったときや、君を想って泣くときの気持ちにも似てはいるが、何かが違うのだ。
まさに、今まで生きてきた中で、初めての気持ちだ。

うつむく僕の気持ちをよそに、バスは刻々と村に近づいていく。



426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:24:30.78 ID:Ki/jtJ820

('A`)「着いた……」

思わずそう、口に出た。
僕を乗せ、走ってきたバスが低く吠えて、ゆっくり僕から遠ざかっていく。
傍らのバス停には、僕が長い間心に秘め続けてきた、村の名前があった。

着いた。
そう、懐かしい景色の中に、僕は着いたんだ。

あの山もあの峰もあの木もあの橋も、
畑も田んぼも森も川も、
10年前とほとんど変わらない、

僕の生まれ育った、

そして、君の居る村に着いたんだ。

('A`)「……」

溢れそうになる涙を、ぐっとこらえた。



427 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:25:18.50 ID:Ki/jtJ820

村に着いたら、まず行こうと決めていた場所がある。
いつも君と遊び、君に別れを告げた、あの村はずれの木だ。

木は、大きいままだった。
あの頃と全く変わらない出で立ちで、堂々と立っていた。

そして、その下に。

見覚えのある姿、

いや、

10年間、ずっと恋い焦がれていた姿があった。

从 ゚∀从「ドクオ……?」

聞き覚えのある声。

君だ。君が、居たんだ。
10年という歳月を経て、少し顔は大人っぽくなったが、
それでも、あの日の面影をとどめた、

ずっと、逢いたかった君が居たんだ。



428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 04:26:15.72 ID:Ki/jtJ820

(;'A`)「ハイン……」

君の名を呼ぶ。

从 ゚ -从「……」

胸に、熱い物がこみ上げてくる。
ずっとずっと、待っていた瞬間。

僕は、そっと君に近づく。

从  -从「……」

从#゚∀从「死ね!!」

(#)A`)「へぶっ!」

そして、思いっきり殴られた。

从#゚∀从「クソ野郎!! バカ! アホ! なんで!?
      バカバカバカバカ!! 何でだよ!?
      死ね! 脳みそぶち撒けて死ね!!」

続けざまに、思いっきり罵倒される。



433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 05:09:19.64 ID:Ki/jtJ820

(;A;)「でも。僕、もどって、きた、ぜ?」

从#;∀从「……」

涙は二人の頬を流れ、
だいぶ傾いた木漏れ日は二人を優しく包む。

从#;∀从「バカ……でも」

从*;∀从「よかった……やっと、また逢えたな……」

君はそう言って、僕に寄りかかった。
元々あった身長差が、さらに大きくなっていて、
君の頭は僕の胸くらいにしか届いていなかったけれど、

(*;A;)「うん……逢いに来たよ、ハイン……」

僕はその頭を、その柔らかな髪を、小さな体の温もりを、
全て一緒に、この腕に包んだ。

日はすでに西の山にいよいよ没そうと、その身を赤々と燃やしている。
僕らは淡い陽光の中に、互いを抱きしめあって、泣いていた。

逢えた嬉しさを、噛みしめるように。



434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 05:09:44.73 ID:Ki/jtJ820

聞けば、君はずっと、孤独だったらしい。
ずっと一人で、この村で僕を待っていたらしい。

そう、まるで僕と同じだったんだ。
僕らはお互いに、10年間の孤独を過ごしてきて、
そして今日、やっとそれが終わった。

山に囲まれていても、町よりもずっと広い空が、
その青みを段々と深くしていき、西に僅かに残る赤色の最後の一欠片も消えたとき、
僕らの上に広がるのは――何度も見た、ずっと見ていなかった、
そして、また、見たいと思い続けてきた――宝石箱をひっくり返したような星空。

そして、村を全て包み込む、明るい満月の光。

(*'A`)「懐かしいな……すごく綺麗だ……」

从*゚∀从「な……? 町じゃ、見られなかったろ?」

いつしか泣くのをやめた僕らは、木の一番太くて高い枝に登って、隣同士に夜空を眺めていた。
あの頃はあんなにも登るのに四苦八苦していたこの木も、成長した今となっては軽く登れるようになった。



435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/11(火) 05:10:45.60 ID:Ki/jtJ820

星々は瞬き、涼しい夜風はゆるやかに時を運ぶ。

('A`)「なぁ……僕がいつか、一人前になって、
    周りのこと何でも自分で出来るようになったらさ……」

(*'A`)「こ、この村で一緒に暮らそう」

星明かりの下、君にそう提案したときの君の顔は、
一体どんな風だっただろうか。

从*///从「そ、そうだな……」

君はうつむいて、僕と目を合わせようとはしなかったから。

だけど僕は、その次に僕に向けられた、君の表情を忘れはしない。

从*//∀从「今度は、なるべく早くしてくれよ?
        あんなに恥ずかしい姿、そう何度も見られたくはないからな!」

月光の下の、君のその表情を。

そうだなぁ。
もう一度冬が巡ったら、この村にまた引っ越してこようか。



おわり







お題:从#゚∀从「脳味噌ブチ撒けて死ね!」


[ 2008/11/11 19:00 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
;y=ー(´・ω・`)・∵ターン
[ 2009/10/19 21:13 ] [ 編集 ]

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