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( <●><●>)無題


416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:09:39.80 ID:Fltw4XOhO

 中学三年の時の、秋から冬、という微妙な季節の間。
 私と、幼馴染みのビロードは、公園のベンチに座って空を眺めていました。
 空は水色と橙色の混じった色をしていて、どこか切ないものでした。


( <●><●>)「……そろそろ、帰りましょうか?」

( ><)「はいなんです! またね、なんです、ワカッテマスくん!」

( <●><●>)「はい、さようなら」

( ><)「早く帰って電気王のアニメ見るんです!」


 そして、一時間後、家に居た私は知りました。
 ビロードが死んだ、と。
 泣き腫らすもう一人の幼馴染みは、私に何も言いませんでした。

 私も、何も言いませんでした。
 彼の死因は事故死、運悪く暴走トラックに跳ねられるという、非常に許せない事故でした。
 出来る事なら、私があの時に戻って何をしてでも彼を救ってやりたかったです。


ノパ⊿゚)「あたいの拳は三万ドルだああああああ!!」




417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:12:12.62 ID:Fltw4XOhO

ノパ⊿゚)「やあ! そこの冴えない兄ちゃん! だるまさんがころんだをやろう!」


 すると目の前には赤い髪を振り乱す少女がいました。
 ここは公園、昨日私が彼を止められなかった公園。
 きっと無意識の内に、後悔の念が、私にここへと足を運ばせていたのでしょう。


( <●><●>)「……良いですよ」

ノパ⊿゚)「おーいクルウー!! この兄ちゃんも一緒だあぁぁ!!」

川*゚々゚)「お前もかあひゃひゃひゃひゃ!」


 少女は、一本の木の元にいる、ちょっと危なげな少女に、叫びかけました。
 危なげな少女は、私に向かって笑いかけます、笑い方はもっと危なかったと思いました。




419 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:15:04.41 ID:Fltw4XOhO

川*゚々゚)「んじゃーいくよー……ってその前に始めの一歩か」

ノパ⊿゚)「あ、すっかり忘れてたぞ! ほら、兄ちゃんも!!」

( <●><●>)「うあ、え」


 返事をする前に、彼女は始めの一歩と大きく叫びました。
 私もつられて一歩踏み出します。
 するとぐにゃりと視界が歪んで、それが戻るといつもと変わらない公園がありました。


( ><)「ワカッテマスくん?」

( <●><●>)「あ、れ?」

( ><)「ほら、帰るんです!」




422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:18:01.76 ID:Fltw4XOhO

 今、この瞬間、何が起きたのでしょうか。
 私はただ、何となく誘われた遊びに参加していただけなのに。
 死んだはずのビロードが、こうして私の目の前にいるなんて。

 何が、起きた。


( <●><●>)「……今日は」

( ><)「はい?」

( <●><●>)「今日は、何月何日ですか」


 それを聞くと、ビロードはおかしそうに笑って、十一月七日なんです、と返しました。
 ……昨日? じゃあ、もしかして、今は昨日の、公園で。
 そこから考えられる事、それは……。




425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:20:57.78 ID:Fltw4XOhO

( <●><●>)(時間が戻った?)


 そう考えるのが、自然なのでしょう。
 原因や、理屈なんて今は気にしていられません。
 もしかしたら、ビロードは死なずに済むかもしれないのです。

 今、私が、彼を救おうとすれば。


( ><)「今日のワカッテマスくんは何だかおかしいんです」

( <●><●>)「そうですね、きっと、おかしいのです」

( ><)「さて、明日も学校だから早く帰るんです!」

( <●><●>)「……なら、私がすぐそこまで送りますよ」




428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:23:04.61 ID:Fltw4XOhO

 私がそう言うと、とうとうビロードは私が本気で大丈夫なのか、という顔をして、首を傾げました。
 ビロードは、これから自分が死ぬ事を知らないから、仕方無いのでしょう。
 それは当分知らなくて良い事ですし、私が多少彼からおかしく思われたとしても、私は彼が死ななければそれで良いのです。

 という訳で、ビロードに断られるも、私はビロードに着いて行きました。
 あの事故のあった横断歩道からは遠回りさせて、もう大丈夫であろう場所に彼を送って、私は彼と別れます。
 何段もある階段を背に、彼は手を振っていました、あの階段を登った先にはすぐ、彼の家があります。


( <●><●>)(これでもう、大丈夫)


 そう安心して、私は家に帰りました。
 けれどまた、ビロードは死んでしまいました。
 別れた時にいた、階段から滑って落ちた事が原因だったそうな。

 更には、そこに運悪く居合わせた高齢者が、落ちてきたビロードとぶつかって、階段から落ちて死んでしまったそうです。


ノパ⊿゚)「あたいの拳は三万ドルだああああああ!!」




430 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:25:50.40 ID:Fltw4XOhO

 また、私は無意識の内に公園へと足を運んでいました。
 ここへ来たら、またやり直せるのでは、と思ったからです。
 彼女達との会話に適当に頷き、大方昨日、いや今日?と変わらない会話をして、始めの一歩を踏み出しました。


( ><)「さー帰るんです!」

( <●><●>)「では家まで送りますよ」

( ><)「え、良いんです、それにワカッテマスくんに悪いんです」

( <●><●>)「気にしないで下さい、たまには散歩したいので」

(;><)「は、はあ……」


 ほら、やり直せた。




433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:28:04.32 ID:Fltw4XOhO

 やっぱり、私はまたビロードから怪しまれてしまいましたが、それも今回で終わりです。
 彼をしっかり家まで届け終えたのを確認すると、私は満足して家に帰りました。
 ビロードの家は、次の日全焼してました、誰かが放火したそうです。

 今度はビロードだけでなく、家族全員が焼死、やり直す度に被害が拡大していくのは気のせいではありませんでした。
 けれど私はやり直しを止めませんでした、彼と明日も笑い合えると信じていたからです。
 なので彼を横断歩道から遠ざけて、階段から先までしっかりと送り届け、それからずっと家を見張り、放火犯を追い返そうとしました。

 結果は、私が夜中に寝てしまって、駄目でした。
 更にはまた、被害が拡大し、ビロードの家の隣にも火が移り、何人かが死んでしまいました。
 それでも私は諦めませんでした。

 そうだ、ならまだ帰らなければ良いのです。
 今日は家に夕飯を食べて行くと良いですよ。
 そっちに行かないで下さい、そっちに行ってしまったら、貴方は。
 駄目だ、駄目だ、何をやっても何を考えても、全部全部、駄目だ。
 神様は私に何をさせたいのでしょう。




435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:31:05.72 ID:Fltw4XOhO

ノパ⊿゚)「あたいの拳は三万ドルだああああああ!!」


 これでもう、何回目? 十回なんてものじゃありません、きっと。
 そうやっていく内に、段々と神様とやらが何を言いたいのかも分かる気がしてきました。
 結局運命は変わらないんだって、ただそんな簡単で不条理で理不尽な事を教える為に、わざわざこんなややこしい世界に私を置いたのでしょう。

 ならば、仕方無いとしか言えないじゃないですか。


ノパ⊿゚)「始めのいーっぽ!!」


 少女の叫び声と共に、視界がぐにゃり、歪みます。


( ><)「さ、帰るんです!」




438 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:34:10.86 ID:Fltw4XOhO

( <●><●>)「あの、一つ、良いですか」

( ><)「どうしたんです?」

( <●><●>)「もし、もしも、何をしても考えても、救えない人がいたとします」

( ><)「何をしても、考えても……」

( <●><●>)「そうです、本当に、分かっていながらも、救えない人がいるのです……貴方なら、その救えない人に、どうしますか?」

( ><)「僕は……」


 ビロードは思わぬ問いに、しばらくうんうん唸りました。
 そして、いつものように、明るく。
 何処か分かりきったような顔をして言いました。




439 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:37:04.96 ID:Fltw4XOhO

( ><)「……僕なら、どうもしないんです!」

( <●><●>)「何も、しないのですか?」

( ><)「はい、なんです!」


 それが彼の答えなのか、そして、神様の答えでもあるのか。
 それは分かりませんでしたが、とりあえず頷いておきました、理由は聞きません。
 そして公園から去って行くビロードに、ずっと手を振っていました。

 さようなら、ビロード。


(*‘ω‘ *)「あれからもう、三年も経つんだっぽね」

( <●><●>)「時間とは、早いものです」




441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:40:02.54 ID:Fltw4XOhO

 三年後、高校生になった私達は、あの公園のベンチに座っていました。
 ビロードは、とっくの昔に死にました。
 次の日の公園では、あの子たちを見掛ける事も無くて。

 それが、一番だったんだと、諦める事も出来ました。
 しかし三年経った今でも、この日になると堪らなく泣きたくなります。
 とてもとても、悲しくて、知っていたのに救えなくて。

 彼女も、ちんぽっぽも顔色があまり良くありませんでした。
 他の事で悩んだりもしているのでしょう。
 彼女には、楽になってもらいたいのに。


(*‘ω‘ *)「……ワカッテマス」

( <●><●>)「はい、なんでしょう」

(*‘ω‘ *)「……一つ、良いっぽ?」




443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:43:08.48 ID:Fltw4XOhO

(*‘ω‘ *)「もし、もしも、分かっているのに、自分では救えない人がいたら、ワカッテマスはどうするっぽ?」


 彼女の顔色の悪さと、あの日のビロードの返答、その二つの本当の意味を、やっと私は知りました。
 諦めて、私は力無く笑います、今の私には、泣く事すら出来ませんでした。


( <●><●>)「そう、ですね、私なら」




「私なら、どうもしませんね」



おわり。







447 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/07(金) 23:46:12.90 ID:Fltw4XOhO

お題: 電気王 / だるまさんがころんだ / ノハ ゚⊿゚)「あたいの拳は三万ドルだああああああ!!」 / 川*゚々゚)「お前もかあひゃひゃひゃひゃ!」

以上です、支援ありがとうございました。


[ 2008/11/08 18:36 ] 総合短編 | TB(0) | CM(3)

お題とはあんま関係なかったけど
面白かったんです( ><)
[ 2008/11/08 18:52 ] [ 編集 ]

世にも奇妙な物語?
[ 2008/11/09 04:38 ] [ 編集 ]

昨日公園そっくりってかまんまだな
[ 2008/11/09 06:09 ] [ 編集 ]

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