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ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです


543 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 21:49:59.79 ID:o8p5jmDH0

お題
・朝刊
・ハインとショボン
・報われないドクオ
・ファンタと牛乳のハーモニー
・詐欺に騙された
・ヴァンパイアだ!!

ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです

投下します



544 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 21:52:45.99 ID:o8p5jmDH0

 朝刊を片手に、父親は機械的に食事を口に運ぶ。
 母親は絶えず時計を気にしながら、何度も「早くしなさい」と催促をする。
 少女はその様子を憂鬱そうに眺め、溜め息を吐いた。

ミセ*゚ー゚)リ「……行ってきます」

 机の上に残された、ほとんど手の付けられていない食事を見て、そっくり母親も溜め息を吐いた。

 ランドセルを背負って家を出た少女は、まるで誰かに聞かせるように口を開く。

ミセ*゚ー゚)リ「毎日が退屈で、飽きてきちゃった」

 これは彼女の癖のようなもので、客観的なつもりで状況を口にする事によって、
自分が物語の主人公になったような錯覚を楽しむのだ。

ミセ*゚ー゚)リ「大人は退屈じゃないのかな。私はまだ子供だけど、これ以上ない、ってくらい退屈だな」

 退屈だ、退屈だ。そう何度も口にしながら通学路も半ばに差し掛かった頃、
少女に声が掛けられた。

(´・ω・`)「やぁ」

从 ゚∀从「おはよーっす!」

 元気のない声と、元気一杯の対称的な声。
 クラスメイトのショボンとハインだ。
二人のあだ名は少女が勝手に付けたもので、実際にそう呼ぶことはない。
 ただ、こっそりそういった秘密を持つことが何か特別な事に思えた。
 少女は、二人の丁度間を取ったような極普通の調子で「おはよう」と返す。



545 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 21:54:26.05 ID:o8p5jmDH0

(´・ω・`)「今朝は何だか元気がないね。どうかしたの?」

ミセ*゚ー゚)リ「そう? 普通だけど」

 ショボンにだけは、そんな事言われたくない。
少女はそう思ったのだけれど、それを口にするのは失礼な事だと知っていたので、
ギリギリの所で言葉を飲み込んだ。

从 ゚∀从「いっつも元気ねぇ垂れ眉には言われたくねぇだろうよ。なぁ? ミセリ」

 ハインは失礼だ、とか、そういった事は気にしない。
 それは何だか、大人振ることより余程格好の良い事に思えて、少女は密かに尊敬していた。
 同時に、私はこんな風にはなれないだろうな、と思っていたりもする。

ミセ*゚ー゚)リ「そんな事言ってないよ。ちょっとは思ったけど」

(´・ω・`)「ぶちこ――」

从 ゚∀从「おいおい、ショボンくん。
     私の可愛いミセリちゃんに、まさか暴言を吐こうっつー訳はねぇよなぁ?」

(´・ω・`)「――ろ……ハハ、まさか。ご冗談を」

 そうした愉快な会話の中、少女は退屈だ、という言葉を忘れていた。
 難しい事を考えてみたって、やはり中身は小学生なのだ。
 そして、学校に到着し、いつも通りの授業が始まる頃、少女は再び退屈だ、とようやく思い出した。

ミセ*゚ー゚)リ「(ああ、退屈だなあ……そうだ。ヴァンパイアでも現れないかな)」



546 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 21:56:01.49 ID:o8p5jmDH0

 少女は先日家族と一緒に見た映画を思い出す。
 とはいえ、終始薄目で見ていたため、具体的な内容は思い出せない。
何となく薄気味の悪い所で、人間の血が大好きな怪物が現れて、次々に人々を襲ってしまうのだ。

ミセ*゚ー゚)リ「(それで、襲われた人はそいつと同じヴァンパイアになっちゃうんだ!
       そうしたら、『フローフシ』だ!)」

 少女は「不老不死」の事を、「何となく夢の様な何か」としか知らない。
 それでもそれは随分と魅力的な事に思えた。

「……」

 その時、急に、静かに、それでも静まり返った教室には随分と響く調子で、
背後のドアが開かれたものだから、少女は、

ミセ*゚ー゚)リ「(ヴァンパイアだ!)」

 と、嬉々として振り返った。
 が、そこにいたのはそろそろと移動するクラスメイトのドクオ。
 そういえば、今朝からいなかった。気がする。

( ><)「ドクオくん! 遅刻なんです!」

('A`)「……これには深い事情が」

 教壇に立つ教師の言葉を遮り、いかにも神妙な様子でドクオは口を開いた。



548 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 21:57:54.27 ID:o8p5jmDH0

('A`)「実は登校中、詐欺に騙された、という悲劇のご老人に会いまして……
    僕としてもそれを放置する事は出来ず、つい――!」

(;><)「言ってる意味がわかんないんです! 遅刻です遅刻です! 早く席に着くんです!」

 少女は、「ドクオの言ってる事が、もしかしたら本当かも知れないのに、聞く耳も持たない大人は意地悪だ」と思いつつ、
でもそれが作り話である事も割と明白であったので、何も言わず、報われないドクオに少しだけ同情をする事にした。

('A`)「いや、本当なんですよ。作り話じゃあないんですよ」

 時は流れ、楽しい給食の時間。
 ドクオは先ほどの失態を返上すべく、何やら淡々と言い訳をしていた。

从 ゚∀从「まあまあ、そうすねんなよ! ハインちゃんがお前に良い物をくれてやろう」

 そういうと、ハインはランドセルからペットボトルを取り出して、先生に見付からないよう気を配りながら、
微妙に堂々とそれを掲げた。

(;´・ω・`)「ファンタ……ゴールデンアップル、だと……ッ!?」

ミセ*゚ー゚)リ「?」

 ハインは「ご名答」と得意気に応え、そのままそれを机の中にしまった。

(;'A`)「そんな……っ! 頂けるお約束ではッ!?」

从 ゚∀从「まあまあ、慌てんなよ。早漏はいかんぜ?」



550 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 21:59:51.17 ID:o8p5jmDH0

ミセ*゚ー゚)リ「(ゴールデンアップル、って?)」

(´・ω・`)「(いや、別に特別なものではないんだけどね。ドクオ程度はありがたがってるよ)」

 少女は良く分からずに首を傾げた。

ミセ*゚ー゚)リ「(じゃあ、ソーロー、って?)」

 少女が尋ねると同時に、ハインは机にしまったペットボトルをこっそりとショボンに手渡す。

(´・ω・`)「(オーライ)」

从 ゚∀从「(おうおう。分かってきたじゃねぇか)」

 話は途中で打ち切られ、変わりにショボンとハインが何やらこそこそと動き出した。

('A`)「ちぇ……ソーローじゃないやい」

ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、ソーロー、って何なの?」

('A`)「……え?」

(*'A`)「フ、フヒヒ! えっと、それはね!」

(´・ω・`)「(ミセリ、ナイス目くらまし)」

从#゚∀从「(だがドクオは後で殺す!)」



551 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 22:01:26.79 ID:o8p5jmDH0

 二人は何をしているのだろう、とこっそり様子を見たけれど、
既にそれは終わったようで、丁度ドクオの牛乳パックが、ハインの牛乳パックとすりかえられている所だった。
 ドクオは何故か顔を赤くして、息も絶え絶えに私を見ているので、気付いていない。

(*'∀`)「ハァ、えっと、ソーローは、ソーローハァハァ」

从#゚∀从「おい、ドクオ。ハァハァ言ってねぇでとっとと牛乳飲めよ」

(´・ω・`)「あ、」

 ハインはそういうや否や、既に開かれた牛乳パックをドクオの口に押し付けた。

从#゚∀从「テメェよくも私のミセリを汚したなッ!? 死ッ! 死んで詫びろッ!」

(´・ω・`)「こっそりやった意味がないじゃないか。ああ、僕の特製カクテルが……」

(; A )「フ、フヒ、すみませ、ゲフンッ――!」

 ドクオの口の端から零れる液体は、極普通の牛乳に思える。

ミセ*゚ー゚)リ「(あ、床に零れたのが……)」

 微妙に泡立っていた。

ミセ*゚ー゚)リ「(ペロッ! これは――!)」



552 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 22:03:02.89 ID:o8p5jmDH0

从;゚∀从「あ、バカッ! 舐めるんじゃねぇ!」

 ――炭酸!
 答えが出ると同時、薄れ行く意識の中、ハインの声を聞いたような気がした。
 ああ、ソーローというのは、恐ろしいものなんだ。
 少女はひとつ大人の階段を上り、遂には意識を手放した。



553 :ミセ*゚ー゚)リミセリは、まだ子供のようです:2008/11/03(月) 22:05:28.17 ID:o8p5jmDH0

ミセ*゚ー゚)リ「脳ある鷹は爪をッ、ツメヲッ! ……あれ? ここは……」

从;゚∀从「どんな目覚めの挨拶だよ」

目を覚ますと、そこは保健室のようだった。
ああ、そうか。私は床に零れた化学物質を口にして――

从 ゚∀从「いつまでも寝呆けてんなよ。もう放課後だぜ?」

「帰るぞ」、とハインは言って、自分のランドセルと少女のランドセル、二つを抱えて歩き出す。

ミセ*゚ー゚)リ「あ、自分で持てるよ!」

慌てて後を追う少女が、ハインからランドセルを受け取り、二人して家路に着いた。

ミセ*゚ー゚)リ「ただいま!」

家に付き、少女は考える。
退屈に始まった今日の中に、一体どれ程の退屈があっただろうか、と。
少女はまだ子供だ。難しい事は分からないが、それでもそう退屈な一日でもなかったように思えた。

ミセ*゚ー゚)リ「今日は楽しかったな……おやすみなさい」

少女はまだ子供だ。
その証拠に、眠りから覚めると前日の事など忘れて、毎日が退屈だ、と繰り返す。
それでも、今日はきっと楽しい一日だった。
例え毎日が退屈に始まったって、毎夜同じ結論に辿り着こう。
そう心に決めて少女はまた、眠りに就いた。

終わり


[ 2008/11/04 18:58 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
ドックンを信じろ
[ 2009/10/17 23:58 ] [ 編集 ]

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