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(´・ω・`)は一人じゃないようです


339 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 01:42:03.96 ID:1pOmRR4cO

(´・ω・`)「もう秋だねえ」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。掃除のおばさんが大変そうだわ」

(´・ω・`)「こんなキレイな落ち葉なら掃除も楽しいんじゃないかな」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃああなたもやれば?」

(´・ω・`)「嫌だね。勉強が最優先」

ξ゚⊿゚)ξ「受験生は大変ね」

(´・ω・`)「君は就職組?」

ξ゚⊿゚)ξ「さあ?どうかしら」

(´・ω・`)「いやもう進路くらい決めないとヤバイでしょ」

ξ゚⊿゚)ξ「どうでもいいわ。私には関係ないもの」

関係ないことあるか、と言いたかったが、彼女が本当にどうでもよさそうだったのでその気が失せた。
こういうのは人それぞれだ。
何かしら事情があるんだろうと勝手に納得することにした。



340 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 01:44:05.24 ID:1pOmRR4cO

昇降口を通り抜けたまさにその瞬間、予鈴が鳴り響いた。
心臓が一瞬小さく跳ねて、ゆるやかに落ち着いていった。

ξ゚⊿゚)ξ「間に合わないかしら」

(´・ω・`)「大丈夫だよ。今日は遅れ気味だけどね」

素早く靴を履きかえ、早足で土足の彼女を追い越した。
慌ててついてくるような足音が聞こえる。

振り向きはしないが、小走りの彼女を想像して不覚にも可愛いと思った。

ξ゚⊿゚)ξ「ひとりは恐いわ」

(´・ω・`)「そう。じゃあちゃんとついてきなよ」

斜め前を歩いていた一人の女生徒がちらりと僕らを見たが、すぐに向き直った。



341 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 01:46:22.37 ID:1pOmRR4cO

階段を三階まで上がって騒がしい教室に入る。
ドアは開いていた。

入るなり室内のざわめきが耳をつんざく規模にまで酷くなった。
  _
(;゚∀゚)「うおおおおおお救世主キタ━━━━━━!!」

(;'A`)「ショボンお早う!早速だが数学教えろ!教えて!!お願い!」

(´・ω・`)「何やねん…」

ああそういえば今日は数学の小テストがあるとかないとかだったか。
まったく面倒この上ない。
僕に群がって質問を浴びせる数名の男子どもがまるで小蠅のようだ。

彼女は若干ビビっていたがすぐに慣れたらしく、僕の左肩あたりから顔を出した。



342 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 01:49:00.77 ID:1pOmRR4cO

質問が一段落する前に本鈴が鳴った。
数学は二時限目だ。それまでの休み時間、僕は勉強できそうにない。

教えきれなかった男達は焦りながら席につく。
まったく少しは自分で考える努力を…いや、したんだろうな。

ξ゚⊿゚)ξ「頭いいのね」

彼女がボソッと呟いた。

('A`)「ったく羨ましいぜ。ショボンの頭脳が欲しい…」

後ろの席のドクオが続けざまに言った。
勉強すればいいだけだろ、と返す。

( ´∀`)「はいはいホームルーム始めるモナよー席に着けーモナ」

扉を閉める音と共に、教師の陽気な声が聞こえてきた。
彼女はいつのまにかいなくなっていた。



344 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 01:51:45.20 ID:1pOmRR4cO

ホームルームが終わっても小テストが終わっても彼女は現れず、
やっと見つけたのは昼休みだ。

ドクオやジョルジュに「一緒に食おう」と誘われていたが断った。
食べながら喋るのは好きじゃない。ついでに騒がしいのも。

そんなわけで僕は屋上へ繋がる階段をのぼった。

ここの屋上は開放されていない。
故に他の誰かが来ることはほとんどない。
が、構造上の都合でドアの手前に若干広いスペースがあり、
一人で過ごすには充分快適なのである。


そこに、彼女は何故か居た。


ξ゚⊿゚)ξ「あら、久しぶりー」

(´・ω・`)「うん、実に4時間ぶり」



347 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 01:53:37.10 ID:1pOmRR4cO

僕は弁当を広げて座った。彼女は手ぶらだった。

(´・ω・`)「ずっとどこ行ってたのさ」

ξ゚⊿゚)ξ「自分の教室よ。決まってるじゃない」

(´・ω・`)「……」

ξ゚ー゚)ξ「何よ、ひょっとして寂しかったの?」

(´・ω・`)「いやそうじゃないけど…
      …さびしかった…のかな…うん、寂しかった」

ξ゚ー゚)ξ「正直な奴ね」

珍しく笑った彼女をぼんやりと眺める。
綺麗な顔、綺麗な髪、綺麗な微笑み。

美しい存在だと思った。

だから知りたくなったのかもしれない。
僕は朝からずっと疑問だったことを、ようやく問うことにした。


(´・ω・`)「あのさ」

ξ゚⊿゚)ξ「んー?」


(´・ω・`)「君って誰?」



348 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 01:56:06.65 ID:1pOmRR4cO

ξ゚⊿゚)ξ「誰と言われてもねぇ。私は私よ」

(´・ω・`)「知ってるよ」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、あなたは誰?」

(´・ω・`)「僕は…」

(´・ω・`)「…僕」

ξ゚⊿゚)ξ「でしょ?」

(´・ω・`)「僕は僕だけど、僕はショボンでもある」

ξ゚ー゚)ξ「ああ名前ならあったわ。私は私で、私はツンよ。つ・ん」

ツンはにんまりとして、僕の顔を覗き込むように言った。

僕は彼女の頬に触れた。
そこには温度も感触も無くて、まるで空気に触れてるみたいだった。
でもツンは確かに そこに存在している はずだった。

(´・ω・`)「君は幽霊なの?」

昼休み終了のチャイムが鳴った。



351 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 01:58:37.25 ID:1pOmRR4cO

ξ゚⊿゚)ξ「行かなくていいの?」

(´・ω・`)「答えろ。君は幽霊なの?」

左手はまだツンの右頬に添えている。
感触は無いのに僕の手が彼女の体を通り抜けることはなかった。

僕はなんとなく、返ってくる言葉を予想した。

返ってきたのは予想通りの言葉だった。





ξ゚ー゚)ξ「さあ?どうかしら」



352 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 02:01:09.72 ID:1pOmRR4cO

彼女の頬から手を離した。
どこまでも空気のようだった。

(´・ω・`)「消えない?」

ξ゚⊿゚)ξ「いつかは消えるわ」

(´・ω・`)「いつかっていつ?」

ξ゚⊿゚)ξ「いつかしら。明日か明後日か来月か来年か」

(´・ω・`)「消えたらもう戻ってこない?」
ξ゚⊿゚)ξ「わからないわ」


彼女の存在はひどく不安定で不確定だった。
幽霊なんかじゃない。そんなものよりずっと得体の知れない何か。


(´・ω・`)「──君は僕の幻かもしれない」



353 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 02:03:31.80 ID:1pOmRR4cO

ξ゚⊿゚)ξ「幻?」

(´・ω・`)「僕は君という幻覚を見ていて、だから君はこんなにも不確定なのかもしれない」

ξ゚⊿゚)ξ「そう…そうね。そうなのかもね」


授業開始のチャイムが鳴った。
僕は卵焼きしか食べてない弁当を包んでちらりとツンを見た。

ξ゚⊿゚)ξ「もう行かなきゃいけないんじゃないの?」

(´・ω・`)「行かない。ここにいる」

ξ゚⊿゚)ξ「どうして?」


この子は──大人びた顔をしてるくせに、時々子供のような表情をする。
僕は彼女を抱き寄せて、目を閉じた。



355 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 02:06:04.60 ID:1pOmRR4cO


(´-ω-`)「…君は、空気みたいだ」


ξ゚⊿゚)ξ「どーいうことかしら」

(´-ω-`)「触ってるのに温度も感触もなくて、でもここに存在しているはずで、生きていくのに必要不可欠だから」

ξ゚⊿゚)ξ「へー。あなたは私が必要なのね」

僕は目を開く。
彼女が僕を見つめていた。僕もそうした。

(´・ω・`)「必要。君がいないと怖くて寂しい。君がいれば怖くも寂しくもない」


我ながら幼稚でありきたりな表現だ。
でも事実だから仕方ない。

今日会ったばかりの相手にここまで依存するのも妙なものだが、
僕にはツンが必要なんだ。



356 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 02:08:36.89 ID:1pOmRR4cO

何時間も僕はツンを抱いたまま動かなかった。
気付けば視界と外はとても暗くて、僕も彼女も消えそうだった。



ξ゚⊿゚)ξ「こうしてると、私があなたになりそうな気がするわ」

(´・ω・`)「どーいうことかな」

ξ゚⊿゚)ξ「空気は生物に取り込まれて、その生物の一部として存在するのよ。あなたは私を空気みたいだと言ったわ」

(´・ω・`)「取り込まれるのは酸素か二酸化炭素だけだけどね。じゃあ君は僕になるの?」

ξ゚⊿゚)ξ「なってもいいわ。私にもあなたが必要なのよ。きっと」

僕はまた、強く彼女を抱きしめた。
温もりはない。それでも彼女は居る。

(´-ω-`)「ありがとう」



357 :(´・ω・`)は一人じゃないようです:2008/11/03(月) 02:11:04.43 ID:1pOmRR4cO

夕方をとっくに通り越して、今は深夜のどれくらい前だろうか。
肌寒くて真っ暗な空間に、僕らはただ存在していた。


ξ-ー-)ξ「あなたは私」

(´-ω-`)「君も僕?」

ξ-ー-)ξ「そう、私は私、あなたはあなた、私はあなたで、あなたは私」


幸せそうなツンの言葉が耳に響いた。
こんなに安堵感を抱いたのは初めてだった。



(´-ω-`)(怖くない、怖くないよ。君は僕に居るんだから)



僕は彼女が腕の中から消えたことを知っていた。
それでも僕は間違いなく一人じゃなかった。


E.


[ 2008/11/03 19:11 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
とぅぎゃざーしたわけか
[ 2009/10/17 21:31 ] [ 編集 ]

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