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( ・∀・)生と死のようです


411 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 12:12:43.17 ID:sW3M61XV0





( ・∀・)生と死のようです







412 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 12:13:50.50 ID:sW3M61XV0

ドクオという男が外を散歩し、とある公園の噴水に腰掛けて、空を見上げたときだった。

その宵闇の中に、不思議に浮かぶ光の束があって、その中心に1人の男が立っていた。
背中には翼のようなものがあって、両手には大きな鎌を持っているその姿は、奇妙の一言に尽きるものであった。

( ・∀・)「君」

そしてその男は、突然ドクオに向かって話しかけてきたのだ。

(;'A`)「!? お、俺のことか?」

( ・∀・)「君以外に誰がいると言うんだね」

男が、静かに足先を地面につけるように、空から下降する。

ドクオの腰掛けていた噴水のてっぺんに、
つま先だけつけて立った、その男の手元からは、既に鎌や翼のようなものは消えていて、一見すればただの人間のようであった。

ドクオと男は静かに対峙していた。
妙な静けさと空気が、張り詰めていた。



413 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 12:15:06.78 ID:sW3M61XV0

( ・∀・)「君には僕の姿が見えるのだね」

('A`)「……ああ、見えるが、それが何か?」

またしばらくの間をおき、噴水の上に立つ男が静かにため息を吐いた。

( ・∀)「そりゃ、残念なことだね」

('A`)「残念なこと? それはどういう意味だ?
   確かに、あなたは少々気のおかしくなったような風貌をしていたが。大道芸の人間か何かか?」




( ・∀・)「僕の姿はね、死期の近い人間にしか見えないんだよ」




414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 12:16:00.92 ID:sW3M61XV0

('A`)「は……?」

( ・∀・)「聞こえなかったのかい?
      僕の姿が見えるのは、死期の近い人間だって言ったんだよ」

月明かりにぎらりと照らされる大鎌がいつの間にか男の手に握られていて、
その刃先がドクオの首元に突きつけられていた。

男の口元は横に吊られ、くすくすと笑い声がするその顔は、悪魔の様でもあった。

でも、ドクオはそんな状況を見るなり、男と同じように笑い出したのだ。
男はそれを見ると、罰の悪そうな顔をして、目を炯炯とさせた。


('A`)「ははは、それは違いないな……。
    なんだ。頑張ったのに、俺は結局死ぬのか」

ドクオの放った声は弱弱しく、
しかし男の態度を変えるのには十分であった。



415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 12:17:31.59 ID:sW3M61XV0

( ・∀・)「ん、面白くないね。
      驚かないのかい? こんな変な状況に出くわして。
      それでいて、自分の死期が近いと宣告されているのにさ」

('A`)「……別に。
    死ぬことなんて随分前に宣告されていたし、それに
    もうすぐ死ぬのなら、最後にこういう不思議な体験をしていても良いかと思ったのだ」

( ・∀・)「ふうん」


噴水の頭を小さく蹴り、男はそのままドクオの目の前に立ちはだかった。

ドクオに比べると背が小さく、その小さい体に不釣りあいな大きな鎌を持っているのだから、
なんだかその光景は滑稽であった。


( ・∀・)「今まで僕の事を見ることができる人間には、数人だけ会ったことがある。
      皆、僕を見るなり逃げ出したり、死期が近いと言えば気を失うものばかりだったよ。
      それに比べて、君は面白い」

男が一歩、ドクオに歩み寄る。


( ・∀・)「君のことが、少し知りたくなった。
      話してはくれないかな」



416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 12:19:13.91 ID:sW3M61XV0

ドクオは男のほうに向けていた視線を外し、空を見上げた。

相変わらず空中にはネオンのような気体が飛び交っていて、綺麗な満月はどこかかすんで見えていた。
そんな空をぼうっと見上げながら、ドクオは静かに口を開いた。


('A`)「俺は数ヶ月前に、余命を宣告された。
   医者は、俺を助からない病なのだと言った。だが、俺には信じられなかった。
   俺には妻がいる。その妻は、今俺の子を身ごもっていて、子はもうすぐ生まれるのだ。
   俺が死ねば、妻だけではない。生まれてくる子も、父を亡くして悲しむだろう。
   だから俺は必死に手術を受け、薬を飲み、生きながらえようとした。
   だが昨日、医者は俺に死期を告げた。あと1週間持つかどうかだということだ」


( ・∀・)「それで……最後に、思い出作りにでもこの公園に来たのかい?」

('A`)「そうだな。
   この公園は、俺と妻が初めて出会った場所なのだ。
   そしてこの噴水こそが、まさにそう……」

ドクオの視線はいつの間にか、空から噴水にあった。

目の前にいる男をまるで気にしないように噴水を見るその視線は、
物悲しく、空虚であった。




418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 12:21:27.68 ID:sW3M61XV0

( ・∀・)「生きたいかい?」

突然のその問いに、ドクオは一瞬だけ体を震わせ、
先ほどまでとは違った表情で男の顔を見た。

だが、そのすぐ後には、ドクオは俯いて、こう言った。

('A`)「生きたいことは生きたいさ。
   だが、それは自然の摂理に反することだ。
   それに、あんたがどうこうできる話でもないだろう?」

( ・∀・)「はは、摂理か。面白いことを言うね。
      ところで君には、僕の姿が何に見えるかな」

('A`)「……そうだな、まるで、御伽噺の中にでも出てくる死神のようだ」

( ・∀・)「ご名答」

男がそう短く言い放った瞬間に、空を飛んでいた気体が
一気に急降下して、男とドクオの周囲を静かに漂い始めた。

気体の一つ一つには、様々な色がついていて、
その彩りがドクオと男を照らしていた。




419 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 12:22:48.83 ID:sW3M61XV0

( ・∀・)「僕の仕事は、この街の死者の魂を集めること
      これらは、僕が今日集めてきたものだ」

('A`)「なんだい、つまりこの人魂は、今日死んだ人の魂だと言うのか?
   こんなにも多くの人が、死んだと言うのか……?」

( ・∀・)「そうだとも。人の命とは、儚いものなのだ」

人魂をドクオは目で追って数えていたのだが、十数を数えたところでそれをやめた。
周りまわるそれは、少なくとも二十を超える数があった。


('A`)「この中にはやはり、俺と同じく志を持ち、その半ばにして散ったものもいるのだろうか」

( ・∀・)「さあね。僕にはそこまではわからない。
      だが、どうだろうか。死んだ人間とはいえ、その魂は生き続けているのだ。
      その命の輝きが、この彩りだ。どうだい、美しいだろう?」

('A`)「確かに、美しいな。
   死しても、魂は生き続けるか。ならば、俺は死んでも後悔はしないだろう」

( ・∀・)「ところで、先程言ったことだが。
      生きたいとは思わないかね、君」

男のその言葉を聞くと、ドクオは先程のようにたじろぎはしなかった。
だが、彼の心の中には、ほんの少しだけの葛藤があったことは間違いないであろう。



424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 13:03:32.18 ID:sW3M61XV0

( ・∀・)「君の妻が子を身ごもっているといったね。
      その子の命と引き換えに、君の命を救うと言うのはどうだろうか?
      子など、また作れば良いだろう。君は助かり、円満だ。死神の僕にはそれが出来る。どうだい?」

('A`)「それはだめだ」

ドクオは男の言葉を塞ぐように、キッパリと言い放った。
あまりにも鋭く言われたので、男のほうは少しばかり押し黙ってしまったほどであった。

( ・∀・)「何故?」

一呼吸おいて、男が聞き返す。




425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 13:05:13.75 ID:sW3M61XV0

('A`)「俺と妻の、大切な子供の命を犠牲にしてまで、俺は生きながらえようとは思わん。
   まだ生まれていない子といえど、それには命が宿っているのだ。
   俺が死ぬことが運命ならば、子を犠牲にすることでそれに反しようとする父親を、
   本当の父親と呼べるであろうか。先程も言っただが、俺は摂理には反したくないのだ」

( ・∀・)「君は、生きたいのではないのかい?
       生きるために、治療を受けてきたのだろう?」

('A`)「ああ、生きたいとも。生きてわが子の顔を見たいとも。
   だからこそ、俺は出来るだけの努力をしてきたのだ。
   不正に生きることとは、わけが違うのだ。
   死神よ、俺に漬け込んで何かをしようとしても、無駄なことだぞ」

男はそのドクオの言葉を聞くと、噴出し、大声で笑った。
笑い声は虚空に消えていくように、静かに段々と収まっていた。

一方で、ドクオはそんな男の姿を、冷めた視線で見つめていた




426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 13:07:12.83 ID:sW3M61XV0

( ・∀・)「面白い! 実に君は面白いぞ!
      私は今まで、君と同じように死を目前とした人間に、様々な問いを出してきた。
      しかし、それを頑なに断り、挙句私を馬鹿にした人間は君が始めてだ!」

('A`)「だからなんだというのだ。俺は俺の意見を言ったにすぎん」

( ・∀・)「そういう意見を持った人間が面白いのだよ。
      だから、こうしてやろう」

男が鎌を、静かに振り上げる。
ドクオはそれを見ると、ハッとしてその場から逃げようと思ったのだが、
ドクオの周囲を囲む人魂に行方をさえぎられ、動くことが出来なかった。

(;'A`)「何をする、俺を殺す気か!?
    やめろ、俺はまだ死にたくないのだ!」

( ・∀・)「なら、僕に助けを請うたらどうだ?
      生きたいのなら、君を生かしてやると……」

(;'A`)「違う! 俺は、天寿を全うするまで生きたいのだ!
    怪しい貴様の言葉などに頼り、わが子を犠牲にしてなど生きてたまるか!」

( ・∀・)「……クハハハハハ!」

振り上げられた大鎌は、一気に空を切り裂き、ドクオの体に振り下ろされた。

ドクオが何か声をあげようとしたのだが、それすらもかなわず、鎌はドクオの体を貫通した。



428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 13:09:28.12 ID:sW3M61XV0

(゚A゚)「…………」

ドクオは目を大きく開いたまま、黒い液体を体から流しながら、
ぴくりとも動かなくなっていた。

( ・∀・)「ははははは、愉快だったよ」

男はそんなドクオを一瞥すると、再び静かに地を蹴り、
噴水の上に立ち、そのまま空中へと浮かんでいた。

彼の背には大きく白いもやがかった、翼のようなものが見え、
人魂たちもそんな彼の元へと、地上からどんどんと空に向かって浮かんでいった。

( ・∀・)「さらばだ、ドクオ君」

真っ暗な空間に、ぼんやりと光り輝くその死神の姿は、
いつのまにか、すっかり消えてしまっていた。




429 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 13:11:10.19 ID:sW3M61XV0

―――――――――――――――――――――――――――――――
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(;゚A゚)「!?」

ドクオが脂汗を全身から垂れ流して目覚めたとき、そこは良く見慣れた病院のベッドであった。
白い天井と白い壁が辺り一面中にあって、先程の光景は全て夢であったのだ、とあれは思った。
ドクオがシャツをめくって腹を見れば、あの死神に切られたはずの傷も無かった。


ξ゚⊿゚)ξ「あ、ドクオさん!
     よかった、目が覚めたんですね!」

('A`)「ん?」

ドクオがハッとして声のほうに目をやれば、そこには自分の担当の看護婦が
目に幾ばくかの涙をため、立っていた。

('A`)「どういうことだ?」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオさん、あなたは2月12日から4日間、目を覚まさなかったのですよ」

('A`)「2月12日……?」

その日付は、ドクオが病院を抜け出して、あの公園で死神と合った日付であった。
それから4日間、自分は目覚めなかった。ドクオは、身震いした。



431 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 13:13:23.62 ID:sW3M61XV0

( ^ω^)「ドクオさん、気がつかれましたかお!」

次に部屋に入ってきたのは、ドクオの担当医である、小太りな医師であった。
その顔が妙に笑顔であって、ドクオは妙な嫌気がしていた。

('A`)「俺は4日間眠っていたといいますが、何か体の具合が悪化でもしたんでしょうか……?」

( ^ω^)「いいえ、その逆なんですお。
      どれ、まだ気づきませんかね?」

('A`)「え?」

ドクオが注意して自分の体を見てみると、数日前まで自分の体の
いたることろにつけられていた医療用器具のほとんどが、外されていたのだ。

そこでドクオは、やけに自分の体が軽かったことに気づいた。

( ^ω^)「あの日以来、あなたの体を蝕んでいた病気がすっかり消えてしまいまして。
      いやはや、めでたい事です。あ、あとめでたいことと言えば、もう1つ……」

(;゚A゚)「な、なんだと、俺の体が治ったというのか!?
    こ、子供は! 俺の子供はどうなった! クーは無事なのか!?」

ドクオは冷や汗をかきながら、狂ったように大声で自分の子供のことを叫び続けた。
夢の中で出会ったあの死神は、ドクオの子供の命と引き換えに、ドクオを助けるといっていた。

ドクオは、嫌な予感がしていた。



432 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 13:15:13.78 ID:sW3M61XV0

ξ゚⊿゚)ξ「あれ、お子さんのこと、ご存知だったのですか……?」

看護婦がそういった瞬間、ドクオはもういても立ってもいられなくなり、立ち上がった。

(;゚A゚)「どういうことだ!? 俺の子供に何があったのだ!?」


( ^ω^)「生まれたんですよ、つい先日、ね。
      元気な男の子でしたよ」

(;'A゚)「生まれ……た……」

ドクオはその言葉を聞くと、ベッドに力なく倒れこんで、安堵の表情を見せた。

( ^ω^)「立てるくらいまで回復しているようですし、奥さんのところに言ってあげなさいお。
      ツン、ドクオさんを案内してやりなさいお」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ」

看護婦に手招きをされ、ドクオは立ち上がり、その後をついていった。




433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/18(木) 13:16:05.96 ID:sW3M61XV0

川 ゚ -゚)「ドクオ……」

看護婦に案内された部屋の中では、ドクオの妻がベッドに横たわっていた。
ドクオはその妻の横に座り、静かに髪をなでてやった。

('A`)「生まれたのか、よかった。
   お前は大丈夫か?」

川 ゚ -゚)「私はなんとも無いよ。
     それに、ドクオの病気が治ったというではないか。
     私は、これほど嬉しいことは無いよ」

('A`)「……俺もだ。クー、愛している」

川 ゚ -゚)「私も愛しているぞ……」

二人は静かに、お互いのぬくもりを確かめ合うように抱き合った。


('A`)(果たして俺を助けてくれたのは、あの死神であったのだろうか……)

ドクオは柔らかな幸せの中、あの死神の顔を思い出していた。



おしまい







注:この話はラノベ祭り18番の絵を使って書かれた作品ですが、ラノベ祭りとは別扱いとして普通に総合短編としてまとめさせて頂いています
  もし不都合ございましたらご一報ください


[ 2008/09/18 20:49 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!クーにゃーんにゃーん
神は気まぐれ
[ 2009/09/29 19:14 ] [ 編集 ]

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