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('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚)


297 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 1/9:2008/06/25(水) 23:03:59.19 ID:WN5NoXw70

('A`)「失礼します、傘貸して貰えませんか?」

職員室のドアを開け、貸し出し当番の先生に声をかける。

(´・ω・`)「ん?鬱島か、えらく遅い時間まで残ってたんだな」

('A`)「ちょっと調べ物をしてまして」

(´・ω・`)「そうか、なかなか感心なことだな」

('A`)「どうも」

ふと時計を見たら針は7時を指していた。
えらく時間がかかってしまったなと思いながら傘置きを見る。そこには古ぼけた黒い傘が一本だけささってあった。

(´・ω・`)「急に雨が降ってきたからな、マシなやつは部活帰りの生徒がみんな借りていってしまったよ」

('A`)「まあ雨がしのげればそれでいいですよ」

傘を開いてみる、骨が1本折れ、所々破れてる部分も少しあるものの家までの短い距離を帰るぐらいなら全然問題はなかった。



300 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 2/9:2008/06/25(水) 23:07:41.73 ID:WN5NoXw70

('A`)「じゃあこれ借りていきます」

(´・ω・`)「ん、じゃあ貸出票にクラスと名前書いといてくれ」

('A`)「はい」

さっと貸出票にクラスと名前を書き職員室を出た。
俺は下足室に向かい、靴を履き替える
外を見ると雨はやむどころか更にその威力を増して降り続けている。
俺は軽くため息をつきつつ下足室を出ようとした。

('A`)「ん?」

下足室の出口に人影が見える。

川 ゚ -゚)

('A`)「あれは……」

同じクラスの素直クーさんだ。
頭脳明晰、運動神経抜群、容姿端麗と三拍子揃ったまさに完璧な人。
それ故に思いを寄せている男子も多い、勿論俺も例外ではなかった。

('A`)「(雨宿り……してるんだよな?)」

憂鬱そうに雨空を見上げる彼女の手に傘はなかった。

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「(待てよ、もしかしてこれはチャンスというやつか?)」



302 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 3/9:2008/06/25(水) 23:09:49.83 ID:WN5NoXw70

瞬間的に頭の中を色んな妄想が駆けめぐる。
颯爽と現れ傘を貸して自分は走っていくパターン。
なんとか口説き落とし相合い傘で帰るパターン……etc.

色々と考えるがここで気付く。まずは話しかけなければいけないのではないだろうか。
……駄目だ。第一関門が困難すぎる。
自慢じゃないが生まれてこのかた勉強一筋。勉強が友人であり、恋人な俺にはハードルが高すぎる。

('A`)「(でももったいねえよなー)」

俺は何とかハードルを下げようと心の中で念じる。
またとないチャンスだ、今しかない、モタモタしてたら他の男に取られるぞ、男を見せろドクオ。
微妙にハードルが下がりつつある。この調子ならいけるんじゃないだろうか。

しかし人生そんなに甘くはない。

('A`)「(そういや俺口下手じゃん)」

悲しきかな幼い頃からあまり他人と関わらなかった俺は事務的な会話以外では極端に口下手だった。
気持ち悪がられたらどうしよう、引かれたらどうしよう、最悪無視されるかも知れない。
またもや俺の中のハードルが上がり始めた。



304 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 4/9:2008/06/25(水) 23:14:05.43 ID:WN5NoXw70

('A`#)「(うぬぬぬぬぬぬぬぬ)」

ぐっと傘を握りしめて葛藤を続ける。

いける。駄目だ。いける。駄目だ。いける。駄目だ。

花占いのように単純な二言だけが心の中でひらひらと舞い落ちていく。
こんなのは初めてだ。ただ声をかけるかかけないかでここまで悩むなんて。
俺の友人、数学の公式や、国語の文法は授業やテストでは頼もしいのにこんな時にはアドバイスさえくれやしない。

まったくもって無意味なものと化している。

川 ゚ -゚)「おい、そんなところで何をしてるんだ?」

('A`;)「ふわへっ?」

まさかの事態だった、向こうから声をかけてくるなんて。
おかげでおもわず変な声が出てしまった。たぶん間抜けな顔もしてただろう。

川 ゚ -゚)「同じクラスの鬱島だろう?そんなところで突っ立って何をしてるんだ?」

('A`;)「あっ、いや、俺はいいっ今からかかっ帰ろうと」

川 ゚ -゚)「そうか、私は見てのとおり雨宿りだ」

('A`;)「そっそそそうですかか。あっ雨が凄いですからねね」

心臓が鼓動しまくっている。緊張して上手く喋れずどもってしまう。
ああ何ともどかしいものか、せっかくかもがねぎをしょってやってきたのに鉄砲に玉が入ってないのだ。



306 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 5/9:2008/06/25(水) 23:20:30.70 ID:WN5NoXw70

川 ゚ -゚)「そうだな。朝は晴れていたのに」

そんな俺の様子は全く気にならないと言った感じでクーさんはどんどん話しかけてくる。
体が熱くなってきた。脂汗もかいている。どうしようどうしようどうしよう。

('A`;)「こっこここ困りますよね、まったくてて天気予報はしし信用できないですねね」

目線が宙を泳ぐ、やばい、やっぱり綺麗だなぁ。直視が出来ない。

川 ゚ ー゚)「おいおい、同じクラスなんだし敬語はやめようじゃないか」

クーさんが微笑む、なんて可憐なんだ、また心臓の鼓動が早くなった気がした。
俺は焦る、このままじゃあ心臓が破裂して死んでしまうんじゃないだろうか。

('A`;)「そそっそだね」

('A`;)「じゃ、じゃじゃあ俺はこれで」

川 ゚ -゚)「ああ、また明日」

俺はその場の空気に耐えきれずちゃんと傘も開かずに雨の中へ走り出した。

('A`;)「ハッ、ハッ」

走ってるうえにちゃんと傘を開かなかったので傘は本来の機能を果たせず冷たい雨が容赦なく俺の体に降り注ぐが、そんなことは気にならないくらい俺の体は熱くなっていた。



308 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 6/9:2008/06/25(水) 23:25:51.52 ID:WN5NoXw70

校門から出たところで走るのを止めるとようやく気分が落ち着いてきた。
そしてよくよく考えてみると俺はクーさんに変な印象しか与えてないことに気付く。

下足室で傘を握りしめて立ち止まってるところを発見され、変な声をだし、どもりまくりの会話。
おまけに傘もちゃんと開かずダッシュでその場を去る。一つ間違えば変質者の域だ。

('A`)「やっちまった……嫌われたろうな」

さらば俺の恋よ。二度と会うこともないだろう。
厨二なセリフでカッコつけてもやっぱり後悔する俺を煽るように学校にチャイムが鳴りひびいている。
それを聞きつつ、項垂れながら雨の中をとぼとぼと進む。
明日からまた勉強(と右手)が恋人の日々だなと考えていたら後ろからパシャパシャと足音が聞こえてきた。

三川 ゚ -゚)

すっと俺を追い抜かしていったのはさきほどわかれたばっかりのクーさんだった。
そういえばさっきのチャイムは完全下校のチャイムじゃないか。
やまない雨の中、傘がない彼女は代わりに小さな通学鞄を頭の上に持ち、びしょぬれで駆けていく。

('A`)「(……あ、ブラジャーが透けて見えてる……黒か……)」

いかんいかん、一瞬不純な考えが生じたが俺は我に返りおもわずクーさんを呼び止めた。
さっきまでうんうん悩んでたのに今度はすっと声が出た。反射とは恐ろしいものだ。



309 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 7/9:2008/06/25(水) 23:31:41.92 ID:WN5NoXw70

('A`)「あのっ!」

クーさんが振り返る。うん、水も滴るいい女とはこの人のためにあるんだろうな。

川 ゚ -゚)「ん?なんだ?」

('A`)「こ……これ使って……」

と、自分がさしているボロ傘をさしだした。

川 ゚ -゚)「心遣いはありがたいが、それを借りてしまったらキミが濡れてしまうだろう?」

('A`)「い、いや俺は家近いし……だいじょぶだから……」

川 ゚ -゚)「そうは言ってもな……」

そう言ってる間にも雨は俺たちに降り注いでおり、
このままだとほぼ確実にクーさんは風邪をひいてしまうだろう。
そう思うと俺はやはりクーさんをほっといてはいられなかった。

('A`)「いや、クーさんの方が心配だし気にしないで!」

俺はボロ傘を無理矢理クーさんに握らせる。手……柔らかいなぁ……、またもや不純な考えが生じた。

川 ゚ -゚)「お……おい!」

('A`)「じゃ!」

川 ゚ -゚)「ま、待ってくれ!」



311 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 8/9:2008/06/25(水) 23:36:02.70 ID:WN5NoXw70

川 ゚ -゚)「二人ぐらいなら入れるぞ!」

クーさんが去ろうとした俺の手を引き無理矢理傘の守備範囲内に引き寄せた。
突然のことに足が絡まってよろめきそうになるが何とかくいとどまる。

('A`)「(ん?)」

ふいに違和感を感じ、ふと今の状況を考える。おい……これって……クーさんと相合い傘?

('A`)「ふわへら!」

まさか先ほど妄想してたことが同時に起こるとは思わなかった。
おもわずまた変な声を出してしまったじゃないか。

川 ゚ -゚)「わ……悪い、嫌だったか?」

クーさんが心配そうな顔で俺を見つめる。また心臓の鼓動が早くなる。
こいつぁ128ビートくらい打ってんじゃないだろうか?

('A`;)「いいいいいや全然!むしろうぇるかむで!」

川 ゚ ー゚)「そうか、なら帰ろうじゃないか」

('A`)「はははははい!」

('A`)/(フラグ立ったどー!!)」



313 :('A`)傘は一つしかないようです川 ゚ -゚) 9/9:2008/06/25(水) 23:38:20.55 ID:WN5NoXw70

六月、梅雨の季節


曇天の空、強く降り注ぐ雨


道路脇の花壇に咲いた紫陽花やカタツムリが見守る中



二つの影がゆっくりと歩き始める



その上に傘は一つしかないようです




END


[ 2008/06/26 21:25 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
青い春が眩しい…
[ 2009/09/01 20:42 ] [ 編集 ]

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