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('A`)本と窓辺と幽霊と川д川

 
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




「ねえ知ってる?昔この学校の図書室で女の子が死んだんだって・・・」

「知ってる知ってるー」

「でさ・・・、出るんだって」

「・・・でるって?」

「出るって言ったらあれに決まってるじゃない!」



――――図書室の、幽霊よ。




200905312043104de.jpg
       

 
GWが明けての登校日。
教室に入ればどの生徒も「だるい」「めんどい」といった発言。

実際、こんな事を言ってるのは早く友達に会いたかった連中だ。
本当に面倒臭がっている人間は、

( A )「・・・」

こんな感じだ。

力なく机に突っ伏して時間が過ぎるのを待つ。
チャイムが響き、それぞれが自分たちの席に着く。

そこまで来てようやく顔を上げた。

「このGW――――」

担任が明るい声でホームルームを始めた。
また一週間が始まったのだなぁ、と再び肩を落とす。

だが、何も学校が嫌いと言うわけでは無かった。
友達だってそれなりに居る・・・はずだし、何よりも「図書室」がある。

ありがちかもしれないが、趣味は読書。
そんな自分にとって、図書室の存在はとても大きい。

タダで本が読めるのだから。

しかも、この学校の図書室は、比較的大きい。
それなのに利用者がほとんどいないという好条件。

('A`)「たまらないね」

授業と授業に挟まれた10分の休み時間。
俺はそんな時間もちょくちょく図書室にやってきたいた。

一ヶ月近くもそれを続けると、司書さんにも名前を覚えられていた。


('、`*川「あら、鬱田クン」

また来たんだ、と付け足して司書さんは微笑む。
軽くお辞儀を返すと彼女は再び掃除を再開した。

サッサッ、という柔らかな音だけが図書室を廻っていた。

('A`)(今日はどれを借りようか)

本棚を一つ一つじっくりと眺める。
そうして奥まで進んでいくと、いつも通りの光景が目に飛び込む。


陽の光に照らされた本棚。
それをひたすら眺め続けている生徒が一人。

長く黒い髪。
横顔はそれで隠されていた。


彼女は俺が図書室に行くといつもそこにいた。

休み時間、放課後。
とにかくずっとだ。


川д川 ジッ


決まって同じ場所で同じ棚を眺めている。
いつだか話しかけようとしてみたことがあった。

だが、自分が本を選んでいる時に話しかけられる事を想像してやめた。
迷惑にしかならないだろう。

そんなこんなでGWが明けて一週間。
俺は一つの噂を聞いた。


( ^ω^)「ドクオはよく図書室つかうお?」

('A`)「ああ」

話し相手は幼馴染のブーン。
幼稚園、小学校、中学校が一緒で、地元と言うこともあり高校でも顔を合わせることになった。

( ^ω^)「じゃあ知ってるかお?あそこには幽霊が出るんだお」

('A`)「幽霊?」

幽霊を信じるかどうか、と訊かれてもなんとも言えない。
俺は今までそう云った類のモノを見たことが無い。

この世・この世界に存在しないから見たことが無いのかもしれないし、
たまたま自分が見たことが無いだけかもしれないからだ。

( ^ω^)「あそこで死んだ女の子が、今でもあそこにいるらしいんだお」

('A`)「へー」

だとしても自分には関係のないことだと思っていた。
そう、昼休みになるまでは――――。


昼休み、弁当をさっさと食べ終え、図書室に向かう。
扉を開けると見なれた顔。

('、`*川「いらっしゃい」

椅子に座って本を読む女性。

何を思ったのだろうか。
俺は彼女に訪ねていた。

('A`)「すみません、ここで亡くなった人について教えてもらえませんか?」

('、`*川「・・・」

自分の発言は相当不謹慎なものだろう。
それでも聞いておきたかった。

彼女は少し睨むようにしてこちらを見ていた。
しばらくすると、はぁ、と小さくため息をつき話し始めた。


今から二年前、一人の少女が図書室で亡くなった。

体が弱く、いつも一人で図書室に来るような子だった。
彼女のお気に入りの場所は、奥にある陽のあたる机。

本を手にとってはそこに持って行き、時間いっぱいまで読んでいた。

ところがある日、時間になっても図書室から出ていかなかった。
不思議に思った司書さんが様子を見に行ってみると、苦しそうにしている少女の姿があった。

そのまま、病院に運ばれるも手遅れ。
本好きの少女は図書室で一生を終えた。



('A`)「・・・」

そう言えば親がそんな話をしていた気もする。
それがこの学校だったのをすっかり忘れていたが。

('A`)「あの、その人の名前は?」

('、`*川「貞子ちゃんよ」

司書さんは手を軽く叩き、もうこの話はおしまい、と軽く告げる。

('、`*川「じゃあ、仕事があるから。借りるなら呼んでね」

そう言って隣の事務室に入って行く。
そこで、一つの言葉が引っかかる。

『お気に入りの場所は、奥にある陽のあたる机』

この図書室にはいつも一人の少女がいる。
彼女がいる場所は、奥の陽のあたる――――。


不思議なことに恐怖心は無かった。

それが何故なのか分からない。
ただ、彼女に話しかけてみようと思った。

本好きに悪い人はいないのだ。

川д川

黒い髪の少女。
彼女は相変わらず本棚を眺めていた。

('A`)「あの・・・」

川д川「!!!」

こちらの言葉に肩をはねさせ反応した。
横顔以外を見たのは初めてだった。

長い髪が、ふわりと揺れる。

川д川「あの、私が見えるの・・・?」

その発言で確信する。
やはりこの人は幽霊だと。

('A`)「見えますね」

川д川「・・・そう」

本当にそれだけ。
このやり取りだけで彼女は視線を本棚に戻す。

彼女はただ一心に同じ所を眺めていた。

('A`)(・・・)

その視線の先にあるのが一冊の本だと分かった時、俺はそれを手にとってみた。

川; д川「ああ!」

やはりこれだったようで、彼女は焦ったように反応する。

('A`)「なんで読まないの?」

いつも眺めているだけ。
それはそれは不思議な光景だった。

川д川「だって、さわれない・・・・」

('A`)「なるほど・・・」

川д川「後もう少しで読み終わったのに・・・」

彼女はそこで俯く。
肩を小刻みに震わせていた。

そこで一度チャイムが響く。
5分後のチャイムで授業が開始する。

(;'A`)「ああ!くそぅ!!」

急いで本を棚に戻し、彼女に言葉を投げる。


「放課後、もう一度ここに来るから!」


それを聞いて彼女がどんな顔をしたのかは分からない。
一つ分かるのは、彼女がその本を最後まで読みたがっているということ。


それから放課後までの間、授業は上の空だった。
最後の授業の終わりを告げるチャイムと同時に駆け出す。

目指す場所は図書室。

扉を開けるとそこに司書さんは居なかった。
カウンターの上には貸し出し用のハンコが置かれていた。

借りたい者は自分でやれということだろう。

司書さんが居ないのは都合がいいのかもしれない。
俺は、ゆっくりと奥の本棚に近づく。

川д川

少女はまたしても本棚を眺めていた。
いや、本棚と言うよりは一冊の本だろうか。

('A`)「よっと」

本を手にすると、彼女は訪ねてくる。
「どうするの?」と。


('A`)「本は普通読むモノだと思うのだけれど?」

そう言うと彼女はきょとんとする。
そして、ふふ、と笑う。

川д川「あなた変わってるわ。とっても変わってる」

('A`)「そうでもないですよ。・・・どこまで読んだんですか?」

彼女に言われたページまで進みゆっくりと読み始める。
俺の顔のすぐ横には本を覗き込む彼女の顔。

正直すごく恥ずかしい、ドキドキする。
しかし、彼女はこれっぽっちも気にしていないようで、本の世界に入り込んでいた。

川д川「いいよ」

('A`)「はい」

彼女の合図でページをめくる。
少しずつ、残りページが薄くなる。

1ページ、また1ページと捲られてゆく。
そして、いよいよ最後のページとなった。

川д川「・・・うん」

読み終わったのだろう。
彼女の顔はそっと離れていった。

('A`)「あの――――」

振り返ろうとすると、彼女の手が肩に置かれ、それが出来なかった。
そしてゆっくりと声が聞こえてくる。


「素敵なお話だったわ」

('A`)「そうですね」


「あら、あなた全部読んでないじゃない」


少しの笑いが混じった声。
彼女はきっと笑っている、でも笑いだけじゃない。


「あれ・・・。感動しすぎた・・・かな」

('A`)「・・・」


いつの間にか声は啜り泣きへと変わっていた。
それをしっかりと背中に受けて、本を閉じた。


「なんで話しかけてくれたの?」

('A`)「本好きに悪い人はいないから」

「私、今は人じゃないよ」

('A`)「細かいことは気にしない」

「そっかー」


そこで、肩に置かれていた手が前にまわってくる。
後ろから抱きつかれる形になり、彼女は耳元で小さく呟く。



       「ありがとう、素敵な読書家さん」



本に触れないのに人に触れるというのも不思議なモノだ。
それが幽霊なのだろうか。

かけられていた力が無くなり、振り返る。
彼女は窓を背にして微笑んでいた。


川*ー川「さよなら」

その言葉を最後に、彼女はすぅっと消えた。

事実は小説よりも奇なり。

まさにこんな言葉がぴったりな体験だった。
そして残された俺にあるのは虚無感。

いつの間にか頬に水の粒が伝い、本を濡らしていた。
もう、この図書室に君はいない。

本を棚に戻し、手を合わせる。
そして、ゆっくりと放課後の図書室を後にした。


次の日、何とも言えない気分で学校に向かう。
足は重く、カラに近い鞄すらズシリと重荷になる。

( A )「・・・」

そんな俺が教室に入り机に突っ伏すのは、当たり前。
そのまま昼休みまで、死体の真似事をしていた。

('A`)

昼休みになると、日課にも近い行動を起こす。

扉を開ければ司書さんと目が合い、挨拶を交わす。
そして本棚に目を通すのだ。

少しずつ移動していき、奥の本棚が近づく。
窓からは優しく吹く風。


――――柔らかく揺れる、長く黒い髪。


川д川「あ、どうも」

(;'A`)「え?なんで?昨日成仏したんじゃ?」

川д川「私もそう思ったんだけど、気づいたらまたここに」

まだまだ見たい本があったからかしら、と彼女は言う。
それを聞いて少し口元を緩ませる。

('A`)「それで、どれを読みたいんですか?」

川*д川「これ――――」


陽のあたる机の上。
開かれた一冊の本。

それを覗き込むのは人間一人と幽霊一人――――。



  ('A`)本と窓辺と幽霊と川д川  END





この小説は2009年5月5日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:7VEwFkbA0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです


お題
・貞子
・図書室
・('、`*川
・噂
・幽霊


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/09 20:57 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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