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/ ,' 3 執事は回想するようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




皆様は執事といいますと、どのような想像をいたしますか?

---白髪の老人でしょうか?
---若々しい美青年でしょうか?

私は、もう青年と言えるような年ではございません。
かといって、老人というほど老いてもおりません。強いて言うなら…初老でしょうか。

申し遅れました。
私は荒巻と申します。
内藤グループ当主令嬢である、内藤デレ様のお世話をさせていただいております。
不在がちな当主のホライゾン様、ご夫人のツン様の代わりという訳ではありませんが、
お嬢様のために尽くす所存でございます。

デレお嬢様はまもなく16歳。
いずれ当主を継ぐ身として、ラウンジ女学園高等部にて勉学に励んでおります。
ご友人も多いようで、この荒巻、安心しております。

お嬢様の誕生日は…2月29日。
法律上は1年に1つ年を取りますが、本当の誕生日は4年に1度しかございません。
ホライゾン様とツン様もご多忙のようですが、デレお嬢様の誕生日には…

特に、4年に1度の、これまで3度しか迎えたことのない本当の誕生日には、必ず帰ってきておりました。

この物語は、お嬢様に会うため日本へ戻る途中だったホライゾン様とツン様が、
不慮の飛行機事故で亡くなった、その次の日から始まります。



20090520220538c6e.jpg


 

---2008年2月28日 DQN航空飛行機事故より1日


ζ(;ー;*ζ「…父さん…?」

『着信はありません』

お嬢様は未だホライゾン様、ツン様の死を信じることができないご様子です。
生きていて、ふらっと電話をかけてくるのではないか、メールをくれるのではないか、
それを信じ続け、携帯電話の画面を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返し続けます。

ζ(;ー;*ζ「…母さん…?」

しかし、いくら開いても、表示されるのは決まった一言。

『着信はありません』

ζ(;ー;*ζ「帰ってきてくれるんじゃなかったの…?」

電話も何度もおかけになりました。当然、返って来るのは非情な一言。

『お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません。番号をお確かめになって…』

ζ(;ー;*ζ「荒巻ぃ……」

/ ,' 3 「お嬢様…酷なようですが、ホライゾン様もツン様も、もういらっしゃらないのです」

ζ(;ー;*ζ「でも…4年に1度の本当の誕生日だよ? 父さんも母さんもいないの?」

お嬢様の涙ももっともです。
まもなく会えるという時に、父母がこのような形で、この世を去った。
一人残されたお嬢様にとって、悲しい以外の感情と言うのは思いつきません。

昨夜のDQN航空飛行機事故により、乗客乗員は全員死亡。
墜落現場に住む住民の皆様も多くが巻き込まれ、行方不明者の数が増え、
現在捜索が急がれているといいます。

乗客の中には、ホライゾン様とツン様もおりました。

ですがお嬢様は次期当主。当主亡き今、後を継ぐのはお嬢様です。いつまでも泣き続けている訳にはいかないでしょう。
そして、死亡したのはホライゾン様とツン様だけではありません。

/ ,' 3 「お嬢様…顔を上げてください。あなたには次期当主として自覚を持ってもらわねば…
     それに、大事なものを失ったのはあなただけでは……」

ζ(;ー;#ζ「なんなの!? 当主当主って!? 私がこの日を何日待ったかわかってるの!?
        父さんと母さんと一緒に、本当の誕生日を迎えたかった!!」

ζ(;ー;#ζ「荒巻の嘘つき!!」

嘘つき。
確かに、その通りかもしれません。


---一週間前 2008年2月21日


( ^ω^)】『荒巻、デレに伝えてほしいことがあるお』

/ ,' 3 】「何でしょうか?」

( ^ω^)】『そろそろデレの誕生日だお。ツンと一緒に日本に戻るお』

/ ,' 3 】「おお、そうですか。お嬢様もさぞお喜びになることでしょう」

( ^ω^)】『28日にそっちに着くつもりだお。きっとデレも喜んでくれるお』

/ ,' 3 】「かしこまりました。お嬢様に必ず伝えます」

その時の、お嬢様の顔。

ζ(゚ー゚*ζ「ほんと!? 父さんと母さん、帰って来るの!?」

クリスマスやお正月に帰って来れずとも、2月の終わりには必ず帰って来ていました。

人生で16度目の誕生日、その中でも特別な4度目の2月29日。


---現在


ζ(;ー;#ζ「荒巻言ったよね!? 父さんと母さん帰って来るって!
        なのに帰って来ないじゃん! それなのに当主当主って! 嘘つき!!」

私はお嬢様の言葉を否定することはできませんでした。
いかに不慮の事故といえど、帰って来ると言ったのは確かなのですから。

ζ(;ー;#ζ「もういいよ! 荒巻なんか大嫌い!! 出てって!!」

/ ,' 3 「……お嬢様が、そう言われるのであれば」

デレお嬢様がそう言った以上、私は出て行くしかございません。
お嬢様の部屋と廊下を区切る木製の扉が、重く閉まりました。

私が廊下を出た後も、頭の中でお嬢様の言葉が繰り返し響いておりました。

ζ(;ー;#ζ『荒巻なんか大嫌い!!』

普段のデレお嬢様は気丈で、決して弱音を吐かず、困難に立ち向かう、そのような心の持ち主。
そのような心が今、ホライゾン様とツン様の死で、壊れようとしています。

「知ってるんだよ……死んだのは父さんたちだけじゃないって……でも……」

「父さん……母さん……私を一人にしないで」

扉の向こうから、お嬢様の声が聞こえました。
……私では、肉親の代わりになることはできません。

私は、その程度の存在なのです。


恐らく長い時間、私は部屋の向こうに立っていたでしょう。

『行方不明者の捜索が急がれ…』
『犯人は……あなたですよね、クーさん』
『本日のゲストは現在セカンドシングル「今すぐKISS Me」大ヒット中のミセリちゃんです……』

気晴らしなのか、扉の向こうからテレビの声が聞こえはじめます。
チャンネルは次々と変えられているのか、テレビの声は次々と言う事も、声色も、変えていきます。

異変が起こったのは、突然でした。

突然の、ドタバタという音。

「いやぁぁぁぁぁ!!」

お嬢様の悲鳴。

私は部屋のドアノブに手をかけ、扉を開きました。
そこにいたのは……

ζ(;ー;*ζ

恐怖に震えるお嬢様と

( <●><●>)「個人に恨みはありませんが、これも仕事ですので」

銃を構えた男。

/ ,' 3 「この屋敷の警備は完璧なはず…」

( <●><●>)「私はプロです。全て無力化させて頂きました。この程度の警備などあって無いようなものです。
      私の仕事は…内藤グループ次期当主、内藤デレの殺害です」

男の狙いは、お嬢様の命。
テレビから流れるアイドルの歌をBGMに、男はデレお嬢様に迫ります。

( <●><●>)「うるさいですね」

瞬間、男は発砲。
弾を受けたテレビの液晶は粉々に砕け散り、アイドルの歌も止まります。
それは、紛れもなく……

銃も弾も、本物だということを示しておりました。

/ ,' 3 「……あなたの目的は」

( <●><●>)「私の目的は……
         いえ、正確には我々の依頼主の目的は、内藤グループ当主夫妻及び次期当主の暗殺です」

/ ,' 3 「内藤グループ当主夫妻…………つまり、あの飛行機事故は」

( <●><●>)「当然、当主夫妻の暗殺が目的です。実行犯も恐らく、あの飛行機と共に運命を共にしたでしょう。
         一般客や地域住民もたくさん消えましたが、そんなものどうだっていいですよね」

ζ(;ー;*ζ「………そんな」

事故でなく、暗殺。
お嬢様は震え、涙を流し、それでも視線は男をまっすぐ捉えておりました。

( <●><●>)「どうせ知っても意味はありませんよ。あなたはここで死にますから---内藤デレ」

男は冷たく言い放ち、お嬢様に銃を向けます。

ζ(;ー;#ζ「そんなもの!?」

立ち上がったのは、お嬢様でした。

ζ(;ー;#ζ「そんなものって、何!? 『そんなこと』のために、父さんと母さんを殺したの!?
       父さんと母さんだけじゃない……関係ない人もみんな殺したの!?」
      
そこにいたのは、先ほどまでの恐怖に震える小さな存在ではありませんでした。
そこにいたのは、気丈で、決して弱音を吐かず、困難に立ち向かう……
内藤グループ次期当主、内藤デレ様でした。

( <●><●>)「綺麗ごとは嫌いです」

発砲。弾はお嬢様の隣をかすめ、壁へと一直線に向かって行きます。
ツン様から譲り受けた金色の髪がふわりと揺れ、壁には放射状の傷が残ります。

( <●><●>)「外しましたか……次は外しません」

男は再び銃を構え、まっすぐ、決して逃がさないと言わんばかりの視線を向けておりました。

ζ(゚ー゚*ζ「…撃つなら撃ちなさいよ」

( <●><●>)「言いましたからね。撃ちます」

引き金を引く手に、力が込められ……


( <●><●>)「それでは、向こうで親御さんによろしく伝えてください」

銃弾が、放たれました。


---2008年2月29日 午前0時


ζ(゚ー゚*ζ「荒巻っ!!」

…そうでした。
私はお嬢様をかばうべく、男の前に飛び出したのでした。
そして…お嬢様の代わりに撃たれて、現在に……

/ ,' 3 「奴は……」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫。とっさのところで警備員が来てくれて。そのまま取り押さえられたよ」

意識が薄れ、お嬢様の顔も見えなくなってゆきます。

ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね、荒巻…大嫌いなんて言って。だから、置いて行かないで…」

水の粒が私の頬に当たり、流れてゆきます。

ζ(;ー;*ζ「荒巻がいなくなったら、今度こそ本当に一人だよ…だって……」

ζ(;ー;*ζ「荒巻も、私の家族だもん」

申し訳ありません、お嬢様。
私はもう……持ちません。


ですが……最後に、一言だけ。


/ ,' 3 「お嬢様……このような状況で言うのもおかしなものですが……」

/ ,' 3 「お誕生日……4度目の『本当のお誕生日』、おめでとうございます」

ζ(;ー;*ζ「------」

そこから先はもう、何も聞こえませんでした。
そのまま私は深い眠りに----






---8年後 2016年2月29日


「お嬢様、お茶が入りました」

ζ(゚ー゚*ζ「分かったわ、すぐ向かうわね………」

ζ(゚ー゚*ζ「荒巻」

結局、殺し屋がそれ以降お嬢様の命を狙うこともなく、デレお嬢様は現内藤グループ当主として、
ホライゾン様とツン様の遺志を引き継ぎ、気丈に、決して弱音を吐く事無く、困難に立ち向かい続けております。

私ですか?
私は……あれで終わったと思っておりました。
しかし、どういうわけか未だにこの命を生きております。

医者にも奇跡だと言われた、そうお嬢様は話しておりました。

ζ(゚ー゚*ζ「結局あれから8年も経ったのね…」

お嬢様は空を見つめ、呟きました。

ζ(゚ー゚*ζ「確かにあのとき、父さんと母さんが死んだときは本当に悲しかった。
       でも、乗り越えなかったら次期当主失格だもの。
       今でこそこうやって当主をできているけど………」

ζ(゚ー゚*ζ「全部、荒巻のおかげ。ありがとう」

/ ,' 3 「それは光栄です」

ζ(゚ー゚*ζ「荒巻も、大事な家族よ」

ホライゾン様、ツン様、向こうで見ておられますか?
デレお嬢様は、こんなにも立派に成長いたしました。

ζ(゚ー゚*ζ「生きててくれて、ありがとう」

執事として、これ以上嬉しい事はありません。

私荒巻、これからもお嬢様の側に仕え続ける所存でございます。
拾った命を使い尽くす、その時まで。

/ ,' 3 「お嬢様…」

ζ(゚ー゚*ζ「なあに?」


/ ,' 3 「6度目の『本当のお誕生日』、おめでとうございます」



私の話は、これでおしまいとさせて頂きます。



/ ,' 3 執事は回想するようです END





この小説は2009年4月18日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:VBV2Pl6e0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです


お題
・繋がらない電話
・増える行方不明者
・着信ナシ
・今すぐKISS Me


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/09 20:21 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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