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('A`)東の月と西の太陽のようですζ(゚ー゚*ζ


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 西の地平線に太陽が半分沈み、東の地平線から月が顔を出すころ。

 私たちは学校にいました。
 音楽室に彼と二人きり。

 私は彼のピアノをBGMにノートにペンを走らせます。
 彼の顔には似合わない、繊細なタッチで生み出す優しく寂しい音色。

 夕暮れの、ノクターン。
 私はこの曲が大好きで、つい手を止めてしまいました。


20090520210313199.jpg


 
 永久とも一瞬とも言い難い満たされた時間。
 そのようなものが有るのなら、きっと今がそうなのでしょう。
 ずっとずっと、この時間が続けばいいのに、そう思いましたがそれは叶わぬこと。
 ふわりと、すべてを包み込むような音色で演奏が終わりました。

 私がほぼ無意識に、パチパチと小さく拍手をすると彼は此方に視線を向けました。
 そして一言。

('A`)「また手、止めてたのか」

ζ(゚ー゚*ζ「と、止まってないよ! 少し考えてただけだもん!」

('A`)「どーだか」

 ふくれた私をよそに彼は無気力そうにそう言って、音もなく私の隣へ移動。
 私の英文がぎっしり詰まったノートを覗くと、小さく溜息をつきました。

('A`)「英語なんかやったってしょうがないだろ」

ζ(゚ー゚*ζ「えー、必要だよー」

('A`)「例えば?」

ζ(゚ー゚*ζ「……ゾンビとかドラキュラとかあっちの方々がいらっしゃったらお話ができます?」

('A`)「絶対に来ないから安心しろ」

 とりあえず数学だせ、と言われて私はしぶしぶ数学のノートと教科書を取り出します。
 授業を聞いても解らなかったところを、いつも彼が教えてくれるのです。
 今日は数学だけれど、昨日は日本史でした。
 なんでも出来ちゃう彼のような人を天才、と言うのでしょうね。

('A`)「で、あとはxに代入して解くだけ」

ζ(゚ー゚*ζ「ほえー、そうやって解けばよかったのかぁ! すごーい!」

 素直に尊敬の眼差しを送る私と、無表情でそれをうける彼。
 教えて貰った通りに解き進めてみたら、みごとxの正体がわかりました。
 これにて宿題が全て終了、数学のノートをしまいます。
 いつのまにか、空は黒の割合がだいぶ増えていました。


 夜がくるまで、あと少し。


ζ(゚ー゚*ζ「そういえばさー」

('A`)「ん」

ζ(゚ー゚*ζ「クラスの子が話してたんだけどねー、この音楽室、幽霊が出るんだって!
       夕暮れのピアニストって言うんだけど、知ってる?」

 それは、太陽が地面へ吸い込まれる時間。
 誰も居ないはずの鍵が閉まった音楽室。
 中から音が聞こえるのです。

 それは誰かが奏でるピアノの音。
 物悲しいバラード。幸せそうなマーチ。
 曲は違うけれど、毎日同じ時間に聞こえるピアノ。
 誰が弾いているのかわからない、どこか寂しげな音色。

 いつしかそれは、こう呼ばれるようになりました。
 夕暮れのピアニストと。

('A`)「知らん、てか幽霊か? それ」

ζ(゚ー゚*ζ「えー、知ってると思ったのにー」

 むくれた私を見て、彼は呆れたような顔。
 ですが、何かを思い出したようです。
 珍しく口角を吊り上げ、笑いました。

('A`)「それは知らんが他の話なら知ってるぜ? しかもそれも音楽室だ」

ζ(゚ー゚*ζ「本当!? 聞きたい!」

 私が即答すると、彼は人差し指を口の前へ。
 小さな子供にするように、辺りを静かにさせました。
 と言っても、私がうるさいだけなのですが。
 静かになったのを確認すると、彼はまるでお伽噺の悪い魔法使いのように、話し始めました

('A`)「これは、月が空へと昇り始めるころの話だ。」

 そう、ちょうど今みたいにな。
 ある女子生徒が、音楽室に忘れ物をしてしまった。
 その忘れ物はどうしても家で必要なものだったから、彼女は先生に鍵を借りて取りに行った。

 薄暗い学校なんてあんまり気分のいいもんじゃない。
 彼女も気味がわるくて早く取って帰ろうと思った。
 その気持ちが、引き付けたのだろうか。
 音楽室に着くと、話し声がした。
 一人分だが、どうも誰かと会話をしている。

 女の声。
 誰かいるのだろうか、そう思い扉に手をかける。
 鍵は、閉まっていた。
 中から閉めた可能性も有り得ると、彼女は思い、ノック。
 返事は無い。
 正直逃げ出したかった、だが忘れ物を取らなければならない。
 彼女は意を決して、鍵を開けて中へと入る。
 

 中には、誰も居なかった。


ζ(゚ー゚*ζ「へぇー…、そんな話もあったんだ……」

('A`)「ああ、何だかんだ言って古いからな、この学校」

 そう言って彼はふぅと息を吐きました。
 その様子がなんだかかっこつけてるように見えて、私はくすりと笑いかけます。
 そして、思ったことを彼に、

ζ(゚ー゚*ζ「でもさぁ、その話」

('A`)「お前の話も」




ζ(゚ー゚*ζ「私達みたいだよね」
('A`)「俺達みたいだよな」





 そう言ってくすくすと笑いあえば、外でパタパタと走って行く音が聞こえました。
 
 あぁ、また変な噂が立ってしまいます。
 私と彼はそんな関係では無いのに。
 不服ですけど、噂はどうしようも無いですから、諦めましょう。

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、私はそろそろ」

('A`)「あー……、もうそんな時間か」

ζ(゚ー゚*ζ「うん、また明日」

('A`)「ああ、また明日」

 そう言って立ち去ろうとすると、ピアノの音が聞こえてきました。
 初めと同じ、夕暮れのノクターン。
 優しく寂しげな音色に包まれながら、私は音楽室から消えて行きました。





この小説は2009年4月8日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:dSivwUOF0 氏



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[ 2010/01/09 20:20 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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