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君に届けたい想いのようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




20090410052439e38.jpg


 
( ^ω^)「さーて、今日も一日頑張るお」

中堅サラリーマンの内藤ホライゾン35歳。
肩書きは課長のどこにでもいる父親だ。
若い頃より、体力が無くなって腹が出た単なる中年親父。
昔は筋肉があったのになあ。

ζ(゚ー゚*ζ「おとーさん、いってらっしゃいー」

( ^ω^)「いってくるおー」

ξ ゚⊿゚)ξ「今日は遅くなる?」

( ^ω^)「いや、今日は早く帰るお」

ξ ゚ー゚)ξ「うん!行ってらっしゃい!」

家族に対しては、何の不満もない。
可愛い妻に、可愛い娘。
そのふわふわの髪をなびかせた彼女達は僕の宝物だ。
だけども、何でだろう。
こんなにも、満たされない気持ちなのは。


('A`)「内藤くん、明日の企画は大丈夫かい?」

( ^ω^)「はい、部長。先方との確認もしていますので間違いないものだと思います」

('A`)「うん、ありがとう。君に任せて正解だったよ」

( ^ω^)「ありがとうございます」

仕事もそこそこ順調だ。
大きな…とはいかないまでも割と良い企画を任せれて
それを成功させるところまで来ている。
これが終わったら、また次の企画。
出世街道に乗れるか乗れないかの瀬戸際だけど、正直気苦労が増えるかと思うとちょっと嫌だ。

('A`)「どうだい、内藤君。今夜飲みに行かないか?」

(;^ω^)「あ、はい…その…」

('A`)「歯切れが悪いなあ、家族に早く帰るとでも言ったのかい?www」

(;^ω^)「はい、申しわけございません…」

('A`)「いや、いいよ。家族は大切にしなくちゃね。その代わり今度別の時に付き合ってくれよ?」

( ^ω^)「はい、喜んで!」

理解ある上司。
家族サービスを積極的に薦めてくれるドクオ部長は去年離婚した。
普通なら、家族なんてと言う物だが彼は違った。
ありがたい話だけど、心苦しい。

('A`)「それじゃあ、仕事に戻ろう」

( ^ω^)「はい」

定時を二時間ほど過ぎて、仕事を終わらせる。
早く帰るとは、娘が眠るまでに帰るということ。
それには間に合いそうだから、良かった。

( ^ω^)「今日も疲れたおー…」

がむしゃらに働けていた若い頃とは違って体力が衰えている。
昔は、会社に泊まりこみとかやっていたけどそれも法律で禁止されている。
なんなんだろう、この不完全燃焼は。
仕事はしていて、妻も子もいる。
未だに張りのあるボディを保つ妻とは夜の営みも順調で不倫願望すらない。
満たされているじゃないか、何を不満だって言うんだい。



( ^ω^)「ただいまおー」

ζ(゚ー゚*ζ「おとーさん、おかえりー!!」

( *^ω^)「おっお、デレは待っててくれたかお?」

ξ*゚⊿゚)ξ「三人で一緒にお風呂に入るって言って聞かないのよ」

( *^ω^)「じゃあ、早速入るお!」


幸せだなあ。
こんなに良い家庭なのに、僕は何で満たされないんだろう。
それは実は分かっている。
僕はスポーツ選手になりたかったからだ。

( ^ω^)「デレは可愛いおねえ…」

ξ*゚⊿゚)ξ「本当ね」

( ^ω^)「なあ、ツン」

ξ ゚⊿゚)ξ「なあに?」

( ^ω^)「僕があのまま陸上を続けていたら、君は僕と結婚してたかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「そんなこと聞かないで…でも、きっとしていたと思うわ」

( ^ω^)「ありがとう、ツン」


中学、高校、大学と陸上を続けてきた。
代表候補選手に選ばれることもあったが、結局はそれも夢半ば。
小学生の時に見た夢の先にあったものは、机に向かってデスクワークをする僕。
不完全燃焼な気分はそのせいだ。
もし、あの時少しでも走り続けてたら…。
家庭を持つ責任と、夢。
天秤に掛けた時に、僕は家庭を選んだはずなのに。

( ^ω^)「愛しているお、ツン」

ξ ゚ー゚)ξ「ええ、あたしもよ。ブーン」

その日は三日ぶりに夜の営みをこなし床に就いた。
二人目生まれるんじゃないか?
ちょっとした期待を持って僕は眠った。


( ^ω^)「じゃあ、行ってくるおー」

ζ(゚ー゚*ζ「おとーさん、いってらっしゃいー」

ξ ゚ー゚)ξ「行ってらっしゃい」

二人に挨拶をして、会社に出かける。
悩むことなんてないはずだ。
さあ、今日も一日頑張ろう。



( ^ω^)「おっ…?」

会社に着いた時に、ちょっとした異変を感じた。
ドクオさんがいない。
その代わりに、ドクオさんの席に誰か別の人間が座っている。

( ^ω^)「あの、ドクオ部長は…?」

( ,,゚Д゚)「あいつは昨日付けでクビになった」

( ^ω^)「クビ!?なんでですか!?」

( ,,゚Д゚)「上司である私に暴力を振るったからさ。警察を呼ばなかったのは情けだ」

( ^ω^)「でも、なんで…?」

( ,,゚Д゚)「さあ、疲れていたんだろう」

ドクオさんの席に座っていた擬古という男は、冷たくそう言い放った。
ドクオさんが暴力?
そんな、信じられない。

( ,,゚Д゚)「ドクオと仲が良かったのは君だな?それじゃあ、奴の仕事は君に頼んだよ」

( ^ω^)「は!?」

( ,,゚Д゚)「何か問題が?」

( ^ω^)「いえ…ないですお…」


自分の仕事で精一杯だというのに、この擬古という男は平気で仕事を振ってきた。
その日から仕事の量は倍になった。
こんな理不尽が許されるのか。
しかし、擬古はそんなことはお構い無しに仕事を振る。
労使に行く暇も無くなっていた。

ξ;゚⊿゚)ξ「あなた、大丈夫・・・?」

( ^ω^)「大丈夫じゃないから、喋らないんだお…」

ξ;゚⊿゚)ξ「ごめんなさい…」

仕事に追われ、家族をないがしろにするようになるのも早かった。
僕の幸せはどれか一つでも欠けたら無くなる砂上の楼閣だったのか。
不完全燃焼な気持ちは日増しに強くなっていく。


( #^ω^)「だから、疲れているからそんな暇はないお!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ごめんなさい…」

( #^ω^)「謝るなら、最初から言うなお!」

ξ ;⊿;)ξ「そんな風に言わないで…」

( #^ω^)「恨むなら上司の擬古を恨んで欲しいお!!僕は一生懸命やっているだけだお!」

ξ ;⊿;)ξ「ごめんなさい…」

最低だ。
仕事のフラストレーションを家族に当り散らす日々。
泣く事が増えたツン。
そして、その状況に余計に腹が立つ僕。
しかしながら、止まらない。
どうしたらいいんだろう。


( #^ω^)「もう、いいお!お前なんて…ってデレ?」

ζ(゚ー゚*ζ「おとーさん、だめー」

( #^ω^)「駄目って何が…?…ムグ!!」

ζ(゚ー゚*ζ「お口チャックー」

( #^ω^)「デレ、やめなさい!」

ζ(゚ー゚*ζ「お口チャックー」

( #^ω^)「デレ!」

ζ(;ー;*ζ「お口チャック…」

(;^ω^)「デ・・・レ…」

ζ(;ー;*ζ「おとーさん…」

その時僕は気づいた。
家族を失う怖さを。
僕のために泣いてくれるこの子を失う怖さを。
ツンが泣いている。デレが泣いている。
夢に傾いていた天秤が、また家庭に傾くのを感じた。


(;^ω^)「ツン、デレ、ごめんお…」

ξ ;⊿;)ξ「あなた…戻ってくれたのね?」

ζ(;ー;*ζ「おとーさんー!!」

ああ、この二人を守らなきゃ。
夢は僕を慕ってはくれない。
だけど、この二人は僕を慕ってくれる。
そんなことに今まで忘れていたのか!!


( ,,゚Д゚)「あー、内藤君。これ明日までやっといて」

翌朝会社に行くと擬古がまた無茶な注文をつけてきた。

( ^ω^)「擬古さん、ちょっとこっちへ…」

( ,,゚Д゚)「なんだ?」

そうして、僕は彼を給湯室に呼ぶ。

( ^ω^)「擬古さん、ドクオさんの奥さん寝取ったらしいじゃないですか」

( ,,゚Д゚)「はあ、それがどうした?」

全く悪びれないこの男に怒りを覚えるがここは我慢だ内藤ホライゾン。
僕の切り札はこれだけじゃないのだから。

( ^ω^)「でも、社長の奥さんに手を出すのさすがの僕もびっくりです」

( ,,゚Д゚)「な!貴様!」

( ^ω^)「ちなみに、ネタ元はもう既に社長に進言済みですお」

( ,,゚Д゚)「てめえ!!」

( ^ω^)「言ったのは僕じゃないですお。とりあえず、クビを言い渡されるまで仕事はしてくださいお」

( #,,゚Д゚)「ふざけやがってえええええ!!!!!!!!!」

そうして、擬古はクビになった。
他人の不幸で飯がうまいわけがない。
家族と食べた方が、美味しいに決まっている。




( ^ω^)「おー、それじゃあ行ってくるお」

ζ(゚ー゚*ζ「おとーさん、いってらっしゃいー」

ξ ゚⊿゚)ξ「今日は遅くなる?」

( ^ω^)「ドクオ部長と飲むから、ちょっと遅くなるお」

ζ(゚ー゚*ζ「えー」

ξ ゚⊿゚)ξ「分かったわ、気をつけてね」

( ^ω^)「それじゃあ、行ってくるお」

ζ(゚ー゚*ζ「いってらっしゃいー」

ξ ゚⊿゚)ξ「行ってらっしゃい」

行ってきます。
そして、帰ってきたらただいまと言わせておくれ。
それを毎日繰り返したい
それが、今の僕の夢だから。



君に届けたい想いのようです。 終





この小説は2009年3月5日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:4RLtVJ4A0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです


お題
・お口チャック
・夢の先
・ふわふわ


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/09 18:27 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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