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ξ ゚⊿゚)ξ旅立ちのようです(^ω^ )


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




( ^ω^)「さ~ざめ~くか~ぜのね、は、と~びら~のひ~らくね~」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

どこまでも続いているかのように思われる、草原の中を通る黄土色の小道を、アタシ達の馬車は進んでいる。
アタシは、はじめての旅というものに高揚していて、見るもの、聞こえるものの
何もかもがいつもと違うように感じられた。

ガタガタと鳴る馬車の車輪の音、風に吹かれて揺れる、草や木々の葉のこすれる音。
そして、アタシが座っている馬車の後部から望む青空は、世界を覆う薄い瘴気のフィルターを通しても、
アタシにとっては十分綺麗な光景だった。
(とはいっても、アタシ達は瘴気越しの青空しか拝んだことがないのだが)

瘴気――いつの頃からか分からないほどの遠い遠い昔から、この世界は、その猛毒の気体に覆われている。

その瘴気のせいで、多くの種族は滅亡に瀕し、人々は絶望に打ちひしがれた。

しかし、ただ一つ、瘴気から身を守る方法が存在した。
太古の昔に存在したという、大クリスタルの破片である。
そのクリスタルの光は瘴気を浄化する力を持ち、生き残った人々は世界に点在するクリスタルの元に
身を寄せ合うようになった。

だが、クリスタルの力も永遠ではない。その輝きは年月とともに衰え、最後には力を失ってしまう。
それを避けるために人類は、年に一度、クリスタルを「ミルラの雫」で清めなければならない。
しかし、「ミルラの雫」はどこにでもあるわけでなく、時には洞窟の奥深く、時には山の向こう、
そして時には海を越え、雫を授かりに行かねばならないのだ。

そのため各村では毎年、それぞれの村の中から「クリスタル・キャラバン」と呼ばれる若者達を送り出し、
小さなクリスタルのついた「クリスタルケージ」にミルラの雫を満たしに行かせる。
アタシは今、故郷ティパの「クリスタル・キャラバン」の一員として、ミルラの雫を得る旅に出たのだ。



20090402051626238.jpg



<_プー゚)フ「ツン? 何ボーっとしてるんだ?」

脚を投げ出して腰かけているアタシに、幌の中から誰かが話しかけてきた。
幌をめくって出てきたのは、頭に赤いボンボンをつけた、白くて小さな丸い生き物。
モーグリのエクストプラズマンだった。

ξ ゚⊿゚)ξ「え? ああ、ちょっと考え事をしてただけよ」

アタシはそう言って、自慢のツインテールにした金髪の片方を手でいじる。
アタシの服装は「我の民 セルキー」が旅する際のポピュラーなものだ。
露出の多い青に染めた毛皮の服(胸元を開け、へそを出している)にベルトで留めた淡い桃色のスカート。

腰の後ろには、これまたセルキーの間ではポピュラーである、
ラケット(棒の先に楕円条の板を取り付け、その周りに鉄板を取り付けたもの)と呼ばれる武器を
ベルトに取り付けている。
この旅のために村の鍛冶屋で新しく作ってもらったものだ。

<_プー゚)フ「そっか、俺はてっきり村が恋しくなってたんじゃないかなと心配してたんだぜ」

ξ#゚⊿゚)ξ「失礼なことを言うわね。アタシは成人してクリスタル・キャラバンの一員になったんだから、
       そんな泣き言言うわけないじゃない」

<_プー゚)フ「ま、そうだよな。そんなんじゃあ、ブーンの相棒は務まらねえからな。
         しっかり頼むぜ。ツン・デレさんよ」

エクストはそう言うと、背中の小さな翼で羽ばたいて、アタシの頭の上に乗った。
彼のフサフサの毛がなんだかこそばゆい。


ξ ゚⊿゚)ξ「ブーンの相棒……ねえ」

( ^ω^)「だ~いじょお~ぶと……? なんか呼んだかおー?」

馬車の前方からの歌声が途切れ、声の主が呼びかける。
アタシはその声を聞いて立ち上がり、幌の中に入る。
飲み水の入った樽、食料の入った麻袋、着替えの入ったバッグ、クリスタルケージの間を通り抜け、
アタシは御者台に顔を出した。

この馬車を引く「パパオ」(正式名称パパオマス)という四足歩行動物の胴体だけのような大きな生き物の、
手綱を引く男が座っている。
短く整えた金髪。人がよさそうな印象を与える柔和な顔。アタシ達セルキーとは違い、
なで肩で下半身には厚みがある。

「温の民 クラヴァット」と呼ばれる種族の、ティパの村のキャラバンリーダー、ブーンだ。

彼の服装は、緑色を基調とした長袖のジャケットに、膝までの丈のズボンといった格好だ。
彼の腰のベルトには、小さな盾がさげられており、背中にはモンスターの皮製のカバーに収められた、
ラケットのような武器をしょっている。
普通、クラヴァットは片手剣を愛用する者が多いのだが――

( ^ω^)「どうしたんだお? ツン」

ボーっとしているアタシを、ブーンが不思議そうな表情で見上げる。

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、いや、これからアタシ達はどこいくのかなー、なんて思って」

アタシは取り繕うようにそう言って、ブーンの隣に腰かけた。
エクストが、急に動くなよー落ちたらどうすんだー、と頭の上でぼやいているが、アタシは無視することにした。

( ^ω^)「んー、ある程度のプランはあるけど、大体は他のキャラバンの動向次第だお」

ξ;゚⊿゚)ξ「え? じゃあほとんど行き当たりばったりなの?」

( ^ω^)「ま、そういうことだお」

ξ;-⊿-)ξ「……大丈夫なのかしら」

( ^ω^)b「だいじょーぶだお!! 伊達に五年も一人でクリスタル・キャラバンを続けてきた訳じゃないお!!
       僕にまっかせなさい!!」

そう言って、ブーンは胸を張り、自信満々といった表情で自分を指す。
確かにコイツは五年もの間、たった一人でキャラバンを務めていた。
先代のキャラバンがブーンを残して全滅し、
アタシも含め、キャラバンのメンバーになれるような年齢の若者が村にはいなかったからだ。

だけど、

ξ ゚⊿゚)ξ「……アンタ、帰ってくるときはいつもボロボロだったじゃない」

(; ^ω^)「う」

コイツは毎年、クリスタル・キャラバンの旅から満身創痍になって帰ってくる。
ミルラの雫を湛えたクリスタルケージを村長に渡すと、疲れによるものなのか、
必ず熱を出して倒れてしまうのだ。

キャラバンの帰りを祝う水かけ祭りの際も、家で寝ているため毎年参加していない。
一人だけの旅が辛いというのは分かるが、クリスタル・キャラバンの旅は普通ここまで酷いものではないだろう。
どうせいつものようにドジを踏んで、窮地に陥り、なんとか逃げ出すということを繰り返してきたのだろう。

(; ^ω^)「いや、あの、なんていうかその」

ξ -⊿-)ξ「はあ……」

当のキャラバンリーダーは、言い訳に困ってうろたえている。
こんな風に、ブーンは昔からどことなく頼りないようなところがあった。

年下のリルティ族の喧嘩の仲裁に入って、いつの間にかボコボコにされていたり、
気がついたらユーク族の怪しい実験の被験者になっていたりと、アタシは心配で目を離すことができなかったのだ。
そんな経験から、今ではアタシの中で、ブーンは出来の悪い弟のような存在になっていた。

ξ ゚⊿゚)ξ(アタシがなんとかしなきゃ)

ブーンが一人で旅をするようになってから五年。
ようやくアタシも成人し、クリスタル・キャラバンの一員になることが許されたのだ。
これまではなんとかブーンがミルラの雫を持ち帰ってきたが、そんな幸運がこれ以上続くとは思えない。
これからは、アタシがなんとかしなければ。

<_プー゚)フ「ん~? おい、二人とも。あれ」

アタシがそんなことを考えていると、頭の上からエクストが呼びかけてきた。
どうやら、前方に何かを見つけたらしい。

( ^ω^)「おっ、あれは……」

ブーンは持っていた手綱を引いた。
パパオが足を止め、馬車が止まる。

前方からやってきたのは、周りにリルティ族(体は小さいが力が強く、武の民と呼ばれる)の騎士を引き連れた、
少し立派な様相の馬車だった。

( ^ω^)ノシ「おーい!! ハグル=マーオさん!!」

ブーンは馬車から飛び降りて、手を振りながら大きな声で呼びかける。
それに応えるかのように、立派な馬車はこちらに近づくと、ゆっくりと停止した。


|::━◎┥「お勤め御苦労である、ブーン殿」

御者を務める黒い鎧を着て兜で顔を覆ったリルティ族の騎士はそう言うと、御者台から飛び降りた。
アタシも馬車から降りて、ブーンの右隣に並んだ。

|::━◎┥「おや? ブーン殿、こちらのお嬢さんは?」

ハグル=マーオと呼ばれた騎士は、アタシの方を見てそう言った。

( ^ω^)「ああ、この子は新しくキャラバンの一員となったツンですお。
       ツン、この人はアルフィタリアのキャラバンの隊長、ハグル=マールさんだお」

……アルフィタリア? あのアルフィタリア城のある?

――大陸随一の大都市ではないか!!

そこのクリスタル・キャラバンの隊長だなんて……と、とにかく失礼のないようにしないと。

ξ;゚⊿゚)ξ「ツ、ツン・デレです、は、はじめまして」

緊張からか、少し声が上ずってしまった。
顔が赤くなるのを感じる。

|::━◎┥「ははは、そんなに緊張しなくてもよろしいですよ。
      ……そうか、ブーン殿にもようやく仲間ができたのですな」

隊長さんは感慨深そうにそう言った。
ブーンも、その言葉を噛みしめるようにゆっくりと頷く。
少しの沈黙が訪れ、穏やかな風が一つ二つ、アタシ達の間を通り抜けた。


(; ^ω^)「……あの、ハグル=マーオさん。もしかして、もう”リバーベル街道”に行ってきたんですかお?」

だしぬけに、ブーンが口を開き、沈黙を破る。

|::━◎┥「いや、先にティパに寄って、装備の補充をしてから向かおうかと思っていたところなのであるが……
      もしや、ブーン殿も?」

( ^ω^)「ええ、あそこは他に比べて魔物もおとなしめですし、ツンを戦いに慣れさせるのに
       ちょうどいいかと思いまして」

|::━◎┥「まあ、確かにそうですな」

( >ω<)人「だから、ここはどうか僕らに譲ってくれませんかお?
        未来ある若者のためと思って」

ブーンはそう言って、両手を顔の前で合わせて軽く頭を下げた。

一本のミルラの樹から取れる、ミルラの雫はごく少量。
しかも、同じミルラの樹から、また雫を取るためには二年ほど時間をおかねばならない。
だから、このようにキャラバン同士でミルラの雫を巡ったイザコザが、たまに起こる時がある。

|::━◎┥「うーむ」

隊長さんはブーンの要望を聞くと、腕を組み、頭をひねって思案し始めた。


ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっとブーン!! そんなお願い駄目に決まってるじゃない!!
       あちらだって故郷のためにがんb |::━◎┥「いいでしょう」

隊長さんは快くブーンのお願いを承諾してくれt


ξ;゚⊿゚)ξ「って、えええええええええぇぇぇぇ!!」

(* ^ω^)「ありがとうございますお!!」

あの大都市、アルフィタリアのキャラバンが?
こんな辺境の過疎村のキャラバンにミルラの雫を譲る?
し、信じられない!!

ξ;゚⊿゚)ξ「た、隊長さん!! ホントにいいんですか!?」

|::━◎┥「はっはっはっ、いいですとも。今までたった一人で苦労してきたブーン殿に
      ようやく仲間ができたのです。
      これくらいのことがあったってバチは当たらんでしょう。
      それに、”世界最強の男”にそんな風に頭を下げられて、無下にしたとあらば
      アルフィタリアのキャラバンの誇りに泥を塗ることになりましょう。なあ、みんな」

隊長さんの後ろの方で黙って聞いていた他の騎士さん達も、力強く頷いた。
そっか、そうだよね。今までブーンは苦労してきたんだし、それくらいのことがあっても……


ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっと待ってください、今何ていいました?」

|::━◎┥「え? 『なあ、みんな』と」

ξ ゚⊿゚)ξ「その少し前!」

|::━◎┥「むう……ええと、『”世界最強の男”にそんな風に頭を下げられては』ですかな?」

ξ ゚⊿゚)ξ「そう!! そこの最初の部分!!」

|::━◎┥「『世界最強の男』が何か?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ワンモアセッ!!」

|::━◎┥「『世界最強の男』」

アタシは、隣にいるまぬけ面の頬を思いっきり掴んで引き寄せた。

ξ;゚⊿゚)ξ「世界最強ってどういうことですか!?
       この、いかにも”クラヴァットオブクラヴァット”なコイツが!?
       何かの冗談でしょ!?」

< ; ゚ω゚)「痛い痛い痛い!! な、なにするんだお!?」

|::━◎┥「おや? 知らないのですか?
      彼はそのあだ名に違わぬ実力をもって、様々な偉業を成し遂げているというのに」

知らないわよそんなの!!
コイツもエクストも、旅先でのことはあまり話さないし。
特に、ミルラの雫回収のために危険地域に入る時のことはほとんど話してくれない。

ξ ゚⊿゚)ξ「偉業って……コイツが何をしたのか教えてくれませんか?
       コイツ、あんまりそういうこと話してくれなくて」

|::━◎┥「ふむ、主だったものは”デーモンズ・コート”や”レベナ・テ・ラ”の単独制覇ですな。
      あそこは我々ですら踏み入れるのをためらう難所なのに、
      たった一人で雫の回収に成功するとは……」

(十)「隊長、あと、”ジャック・モキート”との素手での決闘もありますよね」

/▽▽「例の”黒騎士”と互角に戦ったっていう噂もありますよ」

/◎ ) =| )「いや、それはデマだった気がする。
          あと、”コナル・クルハ湿原”も単独制覇してませんでしたっけ?」

後ろで控えていた騎士さん達が次々と口を挟み、急に賑やかな雰囲気になった。
顔全体を覆う兜のせいで表情は読み取れないが、声の感じから感情が高ぶっているのが分かる。

やはり、武の民リルティの性として、強い者に憧れを抱いてしまうのだろうか。
やいのやいのとブーン談義で盛り上がる騎士さん達を、隊長さんはゴホンと一つ咳払いをしてたしなめた。


|::━◎┥「まあ、これらのことからブーン殿は”世界最強”と称されているのですよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「そうだったの……」

< ; ^ω^)「あのう、ツンさん? いい加減離しt」

アタシは空いたもう一方の手で、ブーンの反対の頬も掴む。

ξ#゚⊿゚)ξ「ア、ン、タ、は、今までそんな無茶してたの!?」

両手に力を入れ、アホの頬を左右にグリグリと引っ張り回した。

< ; ゚ω゚ >「いでででででででで!!」

ξ#゚⊿゚)ξ「しかも、アタシ達には何にも言わないでさ!!
       一体どういうつもりだったのよ!!」

|;::━◎┥「ツ、ツン・デレ殿? 落ち着いてくだされ……」

<_プー゚)フ「いいぞー、もっとやれー」

隊長さんはうろたえながら、なんとかアタシをなだめようとしている。
エクストはアタシ達の頭上をクルクルと飛び回り、この状況を楽しんでいるようだ。
アンタも同罪なんだから、後で同じ目にあわせてやるけどね。

< ; ゚ω゚ >「ら、らって、おほられるとおもっらから(怒られると思ったから)」

ξ#゚⊿゚)ξ「こんの……馬鹿タレぇ!!」

アタシは、両手にさらに力をこめ、ブーンの頬を左右に思い切り引っ張った。
手が滑り、頬を掴んでいた指が外れた。

(メ ;ω;)「あうっ!! うう、酷いお……」

ブーンの両頬はすっかり赤くなってしまっていた。

|::━◎┥「それほどブーン殿のことが心配だったんですよ。
      ……うん、彼女は立派なクリスタル・キャラバンの一員となるでしょう。
      キャラバンに必要なのは、仲間を思いやる気持ちですから」

隊長さんはそう言うと、いまだブーンを睨みつけるアタシの方へと向き直り、

|::━◎┥「これから、ブーン殿をしっかりサポートしてあげてください。
      あなたの彼を想う気持ちがあれば、きっと上手くいきますよ」

と、アタシに助言をしてくれた。


ξ  ⊿ )ξ「……」

( ^ω^)「……?」

本当にそうなのだろうか?
さっきまで自分の弟のような存在だったブーンが、この人たちの話を聞いて
急に遠い存在になったような気がする。

世界最強と呼ばれるまでになったブーンの相棒……

このアタシに務まるのだろうか。
足手まといになるだけではないのか。

そんな考えが頭の中をぐるぐると回っていた時、


|::━◎┥「ところで」

隊長さんが口を開いた。
どうやら、アタシの体を観察しているようだ。
足もとから頭まで視線が昇って行き、再び下がって胸のあたりで止まった。

ξ;゚⊿゚)ξ「な、なんですか?」

アタシは両腕で胸をおおうような格好を取る。

|::━◎┥「どうしてツン・デレ殿はクラヴァットなのに、セルキーの格好を?」

(; ^ω^)「隊長さん!! それは言っちゃだm」

ξ# ⊿ )ξプツン

アタシの真新しいラケットの最初の獲物は、
光栄なことに、アルフィタリアのクリスタル・キャラバン隊長、ハグル=マーオとなった。


――

ξ ;⊿;)ξ「クラヴァットじゃないもん、セルキーだもん……
        まだ成長途中だもん、これから大きくなるもん……」

アルフィタリアのキャラバンと別れ、アタシ達の馬車は再び街道を進んでいた。
すでに太陽は西に傾き、あたりは夕陽の色に染まっている。

確かに、アタシの胸はセルキーにしては小さいけれど、クラヴァットと間違えるのはあんまりではないだろうか。
隊長さんのあの発言は、アタシにとって、種族の誇りに傷をつけるようなものだった。

(; ^ω^)「まだ、気にしてるのかお……
       いい加減、隣でブツブツ呟くのやめにしてくれませんかお……」

<_;プー゚)フ「やめとけ、ブーン。隊長さんみたいに頭凹まされても知らねえぞ」


先のアタシの一撃は、隊長さんを大きく吹き飛ばし、あの頑丈そうな兜を酷く凹ませた。
当の隊長さんは


]::━◎┥『はっはっは、一年目でこの強さ! ブーン殿、これから先が楽しみですな!!』

と、豪快に笑って許してくれた。
周りの騎士さん達も

(;十)『すげえな、隊長を一撃で……』

/▽▽『流石、ブーンさんの相棒を務めるだけのことはあるぜ!!』

/◎ ) =| )『ティパの若者は化け物ばかりなのか!?』


などと言い合って、その後、アタシの異名がどうなるか予想し合っていた。


ξ ;⊿;)ξ「うう……」

( ^ω^)「ほらほら、もう落ち込むのはやめ。
       もうすぐキャンプのできるような広場が見えてくるはずだお」

落ち込むアタシの肩に手を置いて、ブーンがそう言った。

ξ ;⊿;)ξ「……キャンプ?」

( ^ω^)「うん。……ほら、見えてきたお」

ブーンが指さす、街道から少し離れた場所には大き目の木が一本生えており、
その下の草は丈が低くなっていて、草原の中に円い広場のような場所を形成している。
近くに川があるらしく、水の流れる音が聞こえる。

ブーンはその木の下に馬車を止め、御者台から降りた。


( ^ω^)「とりあえず、焚き木を集めて火を起こすお。
       それは僕とエクストでやるから、ツンは食事の準備をお願いするお」

ブーンはそう言うと、パパオに備えてつけてある個別移動用の小さなクリスタル
(効力は弱く、瘴気から守ってくれる範囲も狭い)を外し、ポケットに入れた。

ξ ゚⊿゚)ξ「うん、分かった」

アタシはその言葉にうなずくと、馬車の荷物から必要な食材と、調理道具を取り出しにかかった。

こうした作業で、はじめてのキャンプの時間は過ぎて行った。


――

日はとうに沈み、辺りは暗闇に包まれて、明かりは私達の起こした焚き火と満天の星空のみ。
耳に入るのは昼間と変わらず、川の流れる音と草木が風に揺れる音。
そんな中、アタシは馬車の中で毛布をかけて横になっていた。が……

ξ;゚⊿゚)ξ「眠れない……」

なかなか寝付くことができない。
明日は夜明けとともに出発しなければいけないのに……
目をつぶり、夢の世界へ入ろうとしても、頭に浮かぶのは例の悩み。

――アタシはキャラバンの一員として、ブーンの相棒としてやっていけるのか。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

毛布をよけて、体を起こす。
馬車の隅ではエクストがよだれを垂らしながら寝ていた。

<_フ-、-)フ「……それ、もっとちょーらい……」

そんな寝言を漏らして、エクストはいやらしい笑顔を浮かべた。……のんきなもんだ。

ξ -⊿-)ξ「はぁ」

溜息を一つつき、アタシは馬車の幌をくぐって外にでた。
空を見上げると、瘴気の層を超え、なお輝きを保つ星々の光が見える。

視線を戻し、辺りを見回すと、木から少し離れた所に焚き火の煌々とした明かりが見えた。
そのすぐ近くには、最初の見張りを買って出たブーンの背中が見える。
どうやら、座って武器の手入れをしているようだ。


ξ ゚⊿゚)ξ「……」

アタシはゆっくりと焚き火に近づき、ブーンの横顔を覗き見る。

( ;ω;)

ブーンは、静かに涙を流していた。
焚き火に赤く照らされながら涙を流す彼の横顔に、何故かアタシは吸い込まれるような感覚を覚え、
少しの間、目を離すことができなかった。

( つω;)「……ツン。
       どうしたんだお?」

ブーンは袖で涙を拭き、アタシの方を見た。

ξ;゚⊿゚)ξ「え? ああ、ちょっと眠れなくてね」

アタシはそこで言葉を切ると、ブーンの隣に腰かけて、改めて聞いた。

ξ ゚⊿゚)ξ「どうして……泣いていたの?」

( ^ω^)「はは、みっともないとこを見られちゃったお」

ブーンは、乾いた笑いで応えて言葉を切り、大切なことを話すかのように静かに口を開いた。

( ^ω^)「昔のことを……思い出していたんだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「昔のこと……?」

( ^ω^)「うん。僕が初めてクリスタル・キャラバンに参加した時のことだお」


ブーンは自分の膝元に視線を落とした。
そこには彼の武器、本来重りをつけるラケットの外周半分に、鉄製の刃を付けたものがあった。

( ^ω^)「このラケットは、もともとフサさんの――先代のキャラバンのリーダーのものだったんだお」

先代のクリスタル・キャラバンのリーダー。フサ・ギコ。
彼はセルキーにも関わらず、類い稀なリーダーシップを発揮し、曲者ぞろいのキャラバンを纏め上げていた。
そんな彼の率いるキャラバンも、六年前に全滅してしまった。

( ^ω^)「僕たちはあの年、”キランダ火山”にミルラの雫をとりにいってたんだお」

アタシが先代のことを思い返していると、ブーンが当時のことをポツリ、ポツリと話し始めた。

( ^ω^)「その時、僕らは火山の大規模な噴火に見舞われて、僕とフサさんを残して
       他のメンバーは溶岩に飲み込まれてしまったんだお。
       そのフサさんも、僕を庇ってケアルでも治せないような火傷を負ってしまったんだお」

先代キャラバンが火山の噴火で全滅したのは聞いていた。
しかし、その噴火でブーン以外の生き残りがいたというのは初耳だった。

(  ω )「そんな火傷を負ってまでも、フサさんはミルラの雫をとりに行くことを諦めなかったお。
      僕は必死になって、引き返すことを提案したけど、フサさんは頑として聞いてくれなかったお。
      ……もしかしたら彼は、もう長くないことを悟っていたのかもしれないお」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも、ミルラの雫は手に入れたんでしょ?」

アタシの問いに、ブーンは自ら発する言葉を噛みしめるようにして応えた。

( ^ω^)「そうだお……だけど、その雫を手に入れるために、彼は自分を犠牲にしたんだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「どういうこと……?」

( ^ω^)「ツンは、ミルラの木の周辺は、大抵魔物の親玉の縄張りになっているというのは知っているかお?」

アタシはブーンの問いに頷く。
どういった訳かは知らないが、何故かミルラの木の周辺には、その場所の親玉といっていいほどの
凶暴な魔物が住み着くらしい。
明日、アタシ達が向かう”リバーベル街道”にも、”ジャイアントクラブ”という蟹の化け物がいるらしい。

( ^ω^)「僕たちはミルラの樹のある場所の目の前、一番大きい火山の火口付近で”鉄巨人”っていう
       魔物の親玉と遭遇したんだお。
       フサさんは僕にクリスタルケージを預けて、傷ついた体で鉄巨人に向かっていったんだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「フサさんは……どうなったの?」

(  ω )「結果は相討ち……
      鉄巨人の力尽きる前の最後の一撃で、フサさんは火口まで吹き飛ばされて、
      溶岩の中に消えていったんだお」

淡々と事実をしゃべるブーンの口とは対照的に、両手は固く握られ白くなっている。

(  ω )「僕は今でもあのときのことが悔しくて悔しくて仕方ないんだお。
      あの時の最後のあの人の表情が忘れられないんだお。
      僕がもっと強ければ、フサさんの代わりに闘うことだってできたはずなんだお」


ブーンはそこまで言って息をつき、呟くようにして言った。

( ^ω^)「だから僕はそれ以来、馬鹿になって体を鍛えてきたんだお」

キャラバンが全滅した年から、ブーンは家業の手伝いをさぼり、どこかへ姿をくらますことが多かったのだが……
それは、訓練をするためだったのか。

( ^ω^)「おかげで、今では『世界最強』なんて言われるまでになったけど、今年の旅に少し不安があったお」

やはりブーンは、アタシのことを足手まといだと思っていたのだろうか。アタシはうつむいて、ブーンに尋ねた。

ξ  ⊿ )ξ「やっぱり、アタシ、足手まといかな……?」

ブーンはその問いに、首をゆっくりと横に振った。

( ^ω^)「そうじゃないお。僕は、もしかしたらまた僕のせいで、仲間を失うことになるんじゃないかと
       不安になっていたんだお」

ξ;゚⊿゚)ξ「え……?」

( ^ω^)「この旅は、何が起こるか分からない危険な旅だお。
       想像しきれないような様々な危険から、僕は仲間を守りきれるのか……すごく不安だったお。
       もう、仲間を失うのは嫌だから、一時は君を置いて、また一人で旅立つことも考えたお。
       だけど……」

ξ ゚⊿゚)ξ「だけど?」

( ^ω^)「今はこうして、君と一緒に旅できることが、ただ、ただ嬉しいんだお」

ブーンの言葉を聞いて、アタシは顔が赤くなるのを感じる。
いや、あの別にコイツの言葉に心動かされたわけじゃないんだからね!!


( ^ω^)「ツン」

ξ ///)ξ「え、あ、な、ハイ!?」

( ^ω^)「だから、この旅では無理をしないで、遠慮なく僕を頼って欲しいお。
       はじめはうまくいかないことが多いかもしれないけど、旅をしていれば
       そのうち身についてくることもあるお」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

(; ^ω^)「うん、だから、その~……」

ここにきて、急にブーンの口調がしどろもどろになる。
さっきまでの頼りになるキャラバンリーダーはどこへやら、いつもの頼りないブーンに戻ってしまったようだった。
そのギャップに、アタシはつい笑ってしまった。

ξ ゚ー゚)ξ「ふふふ、だいたいわかったわよ。アンタの言いたいことは」

(; ^ω^)「おっ?」

多分、コイツはアタシを励ましたかったのだろう。
アタシが悩んでいるのを見抜いて、柄にもなく大真面目にあんなことを言ったのもそのためだと思う。

ξ ゚⊿゚)ξ「ねえ、ちょっと早いけど見張り交代しない?
       アタシ、まだ眠れなくてさ」

( ^ω^)「ん、分かったお。時間が経つ前に交代したくなったら起こしてくれお」

ブーンはそう言うと立ち上がり、ラケットを背中のカバーにしまって、背中越しに軽く手を振って
馬車の中へと入っていった。

ξ ゚⊿゚)ξ「ありがとう……ブーン」

アタシは、誰にも聞こえないような小さな声で、そう呟いた。


――

( ^ω^)「準備はいいかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ええ、火の始末もちゃんとしたわ」

空を、まだ濃紺のヴェールが支配しているような暗い早朝。
アタシ達は荷物をまとめ、これから”リバーベル街道”へと出発しようとしている。

<_フ-、-)フ「うーん……もう食べられない……」

馬車の中ではエクストがまだ寝ていた。
幸せそうな寝言をつぶやいている。

ξ -⊿-)ξ「はあ、いいわね……気楽で」

アタシはため息をつくと、幌をくぐって荷台から御者台へと移り、そこに腰かけているブーンの隣に座った。
ブーンは手綱を操り、パパオに前進の指示を出す。

( ^ω^)「さ、出発だお!!」

馬車はゆっくりと動き出し、草原の中を通る街道に乗った。


( ^ω^)「おー、朝日だおー」

馬車が街道を進み始めようとしたその時、ブーンが東の方を見ながら言った。
アタシはその言葉につられ、御者台の上で立ちあがって、東の空を見た。

ξ*゚⊿゚)ξ「わあ……」

東の空は朝日の色、オレンジ色に染まっている。
その光景は、アタシがこれまで見た中でもっとも綺麗な光景だった。


大丈夫と、朝焼けの空は言った。

そんな気がした。




~おわり~





この小説は2009年3月1日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は ID:9Ts613Ud0 氏

元ネタ:ファイナルファンタジークリスタルクロニクル



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/09 18:17 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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