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('、`*川ふたりでランチタイムのようです(#゚;;-゚)


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 お昼、十二時。

 テレビではちょうど、某大物タレントがウキウキなミュージックと共に、マイク片手でスタジオへと現れる時間。
 でも今の私に、テレビの内容はあまり関係ない。
 今私がやらなければいけないこと。それは午前中に書類のコピーやお茶汲みなどの労働に明け暮れた末、
 ぺこぺこになったこのワガママなお腹を満足させることだ。
 私はお気に入りのピンクのお財布をヒョイと掴むと、奥のデスクで競馬新聞とにらめっこをしている
 部長に声をかけた。

('、`*川「部長、お昼行ってきます」

( ´∀`)「はいはい、わかりましたモナ」


 部長はテレビのチャンネルを競馬番組に変えながら、答える。
 私はニコリと微笑むと、隣で帳簿打ちに夢中になっている仕事熱心さんの肩を叩いた。

('、`*川「でぃちゃん、行きましょっ」

(#゚;;-゚)「えっ、でも私まだ残ってる仕事を……」

('、`*川「何言ってるの! もうお昼よ? ご飯は女の最優先事項なんだから! 仕事は後回し!」

 数字が行儀良く並ぶディスプレイを名残惜しそうに見つめているでぃちゃん。
 私は彼女の細い腕をむんずと掴むと、意気揚々と街に繰り出した。



20090329104350.jpg


 
 * * *

 ペニサス先輩とご飯を食べる時、私はいつも近藤勇のことを思い浮かべてしまいます。

 近藤勇。新撰組の局長で有名なあの人です。

 いつぞや、彼は自分の握り拳を口の中に入れることが出来た
 ――なんて面白おかしい話がありましたよね。

 私は今でもよくそのことを考えます。
 確かに、自分の口にすっぽりとグーパンチが入るなんて面白いし、ある意味すごい事です。
 でも近藤勇は一番初め、何を思って口に拳なんて入れたんでしょうか。
 単純に仲間内でふざけ合ってて? それとも、自分の拳が口に入れたくなるほど美味しそうに見えたから?

 疑問はつきません。
 自分の手が美味しそうだなんて
 ――彼はその時、拳がおにぎりに見える幻覚を見るくらい空腹だったのでしょうか。

 こんなことを考えた後、私もついつい自分の握り拳をマジマジと見てしまいます。
 少なくとも私にはこれがおにぎりには見えません。
 試しにあんぐりと口を開け、それを入れてみようとしても無茶な話です。
 私の口は精一杯広げても、クルミひとつすら入りそうにないほど小さいですから。


('、`*川「どうしたの? 自分の手なんか齧って」

 もりもりとお昼を進める先輩。ふっくら炊きたての白いご飯がひょいひょいと口に運ばれています。
 それこそ、拳骨が一個くらい易々と入ってしまいそうなほど大きな口です。

 先輩の注文したお昼はコロッケ定食。ご飯、漬物、お味噌汁に大きなコロッケがいち、にぃ、三個。
 赤出汁のお味噌汁の香りが私の鼻にも届きます。ふんわりいい匂い。
 よくお母さんが作ってくれたお味噌汁と同じ匂いです。

 私もついついお味噌汁の味が恋しくなります。でも、自分のお腹の大きさくらいは理解しているつもりです。
 私みたいな食の若輩者がセットものを注文すると、おかずは半分、汁物・ご飯は少々しか入りません。
 だから私がいつも注文するのは単品で一つ。今日も例外ではありません。
 エビのチリソースが一品、それで私はお腹いっぱいです。

(#゚;;-゚)「いえ、別に」

 一品だけだから、できるだけ長く味わいたい。

 そんな小さな希望を叶えるために、私はちくちくとツバメが啄ばむようにちょっとずつお箸を口へと運びます。


 * * *

 仕事に手一杯だと遊びに行く機会というのは相対的に減ってしまう。
 当然だと思うし、でもそれを辛いとは思わない。
 仕事は仕事でやりがいを持ってやっているし、それでお給金が貰えているのだから万々歳だと思う。

 一応、仕事場は制服。お洒落に無頓着な私にはありがたい。だから、毎日の服でそんなに悩むこともない。
 「箪笥がパンクしそうになるほど服を買わなくては!」なんて考えたこともないし。
 化粧も必要最低限に。部屋が狭いから家具だって度々増やせない。
 じゃあ私が稼いだお金をどこに消費するかと言えば――

 やっぱりご飯だ。

 朝昼晩、しっかり食べる、食にお金の心配を持ち込まない、それが自分のルールだ。
 ケチって「今日の朝ごはんはリンゴだけよ!」なんて絶対に却下だと思う。ボクサーじゃあるまいし。

 もちろん食べてばかりじゃダメ。その分さらに仕事を頑張る。
 毎日美味しいご飯を食べて、仕事はしっかりとこなし、お給金を貰う。
 これこそが、私の望む生活の理想形なのだ。

(#゚;;-゚)「そういえば、エビチリってオムライスの仲間なんですよね」

('、`*川「んん? ほほー、面白い。その心は?」

(#゚;;-゚)「どっちも日本人です」

 それにしても、目の前のでぃちゃんは本当に食が細い。
 私がセット物をかき込んでいる最中も、頼んだエビチリを勿体無さそうにチマチマ食べている姿は
 なんともいじらしい。
 同じ女と言えど、みんながみんなご飯モリモリ――なんてことはないのだと検めて再確認させられてしまう。


 * * *

 とろりと引かれた黒い帯。ふわっと広がるスパイシーなソースの香り。
 これを嗅ぐとお腹一杯にもかかわらず、私は美味しそうだなぁとソースの光沢に見とれてしまいます。
 緩やかな波線を二重三重にコロッケへと描き終わると、先輩はソースの小瓶をテーブルに戻しました。

 しかしながら、こう「ソース」と一口に言っても実際は種類も多いです。
 焼きそば用、お好み焼き用、たこ焼き用、もんじゃ焼き用など。
 ……思うに、同じソースって名前は付いているけどタルタルソースとかはソース仲間じゃあないですよね。
 美味しいことに変わりはありませんけど。

 製造元でも色々あります。ブルドック、キッコーマン、オタフク、カゴメ、イカリ、etc、etc……。
 そんな中でも私が一番良く使うのがオリバーソースでしょうか。
 もちろん、この世のありとあらゆるソ-スを舐め比べてオリバーソースを選んだわけでもないですけど。
 キツすぎない甘みに、ピリッと効いた辛みのこってり味。
 これをかければ小食な私も、揚げ物をいくらでもパクつけそうなくらいです。
 
('、`*川「あー……そっか。どっちも日本で生まれた料理なのよね」

(#゚;;-゚)「それに加えて、エビチリに至ってはチリソースを使っていない詐欺っぷりです」

('、`*川「確か、元祖のエビチリはエビと豆板醤だけなのよね」

(#゚;;-゚)「はい。でも今はチリソースで作ったりですけど。
     ソースを作る時点で豆板醤を加えるのが普通らしいですね」

('、`*川「……なんかメロンパンみたいね」


 * * * 

 しかし、小食にしてもでぃちゃんの味覚は貪欲だと思う。
 こんなにちっちゃくて可愛いくてお口もミニマムな女の子が、
 毎昼バリバリに刺激の効いたおかずを食べているのはちょっと驚き。
 私なんかは大食いなくせに舌がお子様なので、エビチリなんて辛口の料理は口にした途端火を吹いてしまう。

 一度、ある意味挑戦も兼ねて友達と本格派カレーの店に行った時なんかは最悪だった。
 スプーン一杯のカレーが私の口腔内を火山に変えてしまったのかと思うくらい、その味は強烈。
 確認してはいないが、きっと当時の私は茹蛸みたいな顔をしていただろう。

 それからというもの友達は面白がって、私がオフの日は頻りにカレー屋さんへ引っ張り込もうとしてくる。
 その度に、私は「嫌よ☆」と内心ハラハラとしながらもおどけつつ断ってみたり。
 だって恥ずかしいじゃない。
 いい年した女が子供みたく顔を真っ赤にさせて、店員に差し出された牛乳を一気飲みしていたなんて。

 そんな私から見ると、毎日毎日キムチ、麻婆豆腐、からし明太等などをおかずに出来るでぃちゃんは凄まじい。

 まぁ、別に羨ましいとは思わないけど。

(#゚;;-゚)「はい?」

('、`*川「いや、メロンパンもさ、実はメロンの果汁なんて一滴も入っていないのが普通だけど、
     今じゃ果汁入りのだって無い事はないじゃない?」

(#゚;;-゚)「それもそうですね」

('、`*川「ふぅむ、深まる食の謎……」


 * * *

 お皿もツルン、と綺麗になりました。完食です。
 私が一品食べるのと先輩がセットを平らげるのが同じ時間――という事実。
 これは先輩の早さ、私の遅さのどちらに驚くべき事なんでしょうね。

('、`*川「ふぃー食ったわー。お腹一杯で今日も満足、午後の仕事も頑張るぞぃってね」

(#゚;;-゚)「ごちそうさまでした」

 お会計を済ませて、定食屋さんの暖簾をくぐる私たち。それにしても、先輩のお財布って可愛いですよね。

('、`*川「でも本当のところ、ちょっぴり小腹が足りていない気も。
      ねぇねぇでぃちゃん、ちょっと時間あるしコンビニに寄ってアイス食べていかない?」

(;#゚;;-゚)「先輩、そんなに食べていると太っちゃいますよ?」

('、`*川「大丈夫大丈夫、その分バリバリ働くから」

 ペニサス先輩は意気揚々とコンビニへと歩を進めます。
 私はもうお腹に余裕なんかないのだけれど、ついつい先輩の元気な行進について行ってしまいます。

 お昼、一時。

 テレビではちょうど、某有名タレントが黄色いライオンのマスコットを引き連れ、
 颯爽とスタジオに駆け込んでくる時間。

 でも今の私に、テレビの内容はあまり関係がありません。
 今私がやらなければいけないこと。それはお昼御飯で満腹になったお腹を抱えて、
 先輩がどのアイスを食べるか決めるのをお手伝いすることです。

 私は先輩がお気に入りのピンクのお財布をポケットに放り込むのを見て、
 ガガガと音を立てて開く自動ドアをくぐりました。



 お わ り





この小説は2009年2月21日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:pzJphowN0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです


お題
・嫌よ☆
・タルタルソース
・チリソース
・ブルドックソース


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/09 18:16 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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