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('A`)ちっぽけなウルトラマンのようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




決められた人生以上に退屈なものがあるだろうか。
我ながら生意気な考えだとは思うが、幼い頃から父の単純で変化のない
説教を聞かされれば誰でもこうなるだろうとも思う。

日常の中で父の熱意は過剰なほど伝わってきた。父が自分の仕事に
誇りを持っている事は幼い頃から知っていたし、その生き方を
否定するつもりはない。

けれど、それを息子に押し付けるということはどうしても認められなかった。
次第に顔を合わせる事も嫌になり、退屈な毎日に刺激を求めるようになった。
だから俺は、M79を発つことにした。



20090324222605.jpg



(*゚ー゚)「じゃあさ、スペシウム光線とかも出せるわけ?」

地球は予想以上に快適な星だった。朝晩の気温差がほとんど無く、
また有害な放射線が降る事もない。
食物は豊富で栄養価も高く、どれも鮮やかだ。
美味しいかと問われれば中の上と言ったところだが、特に不満はない。

そして何より、女子高生だとかいう人々の制服が素晴らしい。

('A`)「まあな」

今は地球人である彼女の自宅に居候となっている。
勿論家族には秘密で、屋根裏に家具を持ち込んで寝床とさせてもらった。
周辺を散策することが多いので帰ることは少なかったが、彼女の家から見る夜空は綺麗だった。

(*゚ー゚)「本当に!? 見せて見せて!」

彼女はしぃ。この星に来て初めて遭遇した地球人。
そして彼女も親を疎ましく思い、日常から逃げようとしていた。

('A`)「ここじゃ無理だな。隣まで巻き込むかもしれん」

(*゚ー゚)「www」

彼女の両親は共に社会的地位が高く、また教育に関しても厳しいということだ。
地球人の私的な事にあまり関わるべきではないと解っていたが、彼女と話す内に
そんなことは忘れるようになっていた。
もっとも、俺という異星人についての話題がほとんどだったが。

(*゚ー゚)「怪獣だけじゃなくてさ、悪い政治家とかもどうにかしてって思うんだよね!」

('A`)「そんな事は身内でやれって言うだろうな。親父だったら」

(*゚ー゚)「世の中腐ってる……とかよく言わない!?」

('A`)「俺の地元ではあまり聞かないな」

地球人についてはよく解らないが、現実逃避というものなのだろうか。
他の友人と話す彼女は、もっと丁寧で穏やかな態度だということも知っている。
妙な親近感を覚えてしまった俺は、いつの間にか彼女の傍に
居心地の良さを感じるようになっていた。


数日後に事件が起きた。

夜の散歩をしていた俺は、複数の男に絡まれている彼女を偶然見つけたのだ。
路地に連れ込まれそうな様子を見て、俺は迷わず走った。
男達の腕を振りほどき、その場に叩き伏せるまでは、まだ良かった。

悪を挫く。父からの教えを鵜呑みにした俺は、そのまま彼らを殺しかけたのだ。
真っ白に光り、まさに熱線を放とうとする腕を逸らしたはしぃだった。
熱線は近くにあった廃棄物を焦がすだけに留まり、男達は一目散に逃げていった。

(*゚ー゚)「やりすぎだね」

自宅に戻ってから、しぃは呟くように切り出した。
自然と、こちらの口調も弱々しくなってしまう。

('A`)「しぃを助ける事に必死で……何も考えられなかった」

(*゚ー゚)「……やっぱり君はお父さんのとこに戻った方がいいんじゃないかな」

今まで父から叱られたことは何度もあった。
その度に強い反抗心と寂しさが心を埋めるのだが、
まさか地球人の女性の一言で、それと同じ気持ちになるとは思わなかった。

('A`)「なんでだよ! 俺はしぃを守ったのに!」

理由なんて解っている。
何度も父に説教された事だ。


他人を傷付ける権利など誰も持っていない。
だからこそ悪はその存在を否定され、正義もまた不安定なのだ。

「怪獣を殺すための光線なんて、使わずに済んだらどれだけいいだろうか」と言った

父の寂しげな表情を、今もはっきりと覚えている。
自分が間違っていると知った上で、俺はしぃに詰め寄らずにはいられなかった。
彼女に認められたかった。そして見返りを求めたのだ。

(*゚ー゚)「……ごめんなさい」

彼女の目線は、膝の上に落としたままだった。



翌朝、しぃが登校して間もなくの部屋で、俺は家具の片付けをしていた。
M79から持ち込んだものなので鞄に納めるのにそれほど手間は掛からなかったが、
彼女の家を出るのにはなかなか時間が掛かった。

もうしばらく、彼女と一緒にいたかった。
退屈だったから地球に来た。しぃとの生活はずっと求めてきたものだった。
けれど、もう彼女を真っ直ぐに見る事ができない気がしたのだ。

('A`)「また親父に説教されてくるよ」

書き置きだけを残して、俺はしぃの家を去った。
知り合いに、別れの挨拶をしておこう。ぼんやりとした俺の思考は、それしか考えられなかった。


地球人の知り合いには、しぃがきちんと説明してくれるだろう。
商店街まで足を運んだ理由は、ここに住む異星人達と会うためだ。
思えば地球に来てからの衣食は、古い友人を頼ってばかりだった。

( ^ω^)「いつにも増して辛気臭い顔してるお」

顔見知りの店を何軒も回ったあと、最後に着いたのはブーンが働いている居酒屋だった。
間もなく日が暮れる時刻だが、客が集まるのはもうしばらく後だ。

('A`)「色々あったんだ」

( ^ω^)「……家出なんて、二度としない方がいいお。
      僕も小さな頃は何度かやったけど、得られるものなんて何も無かったお」

彼の言うことはもっともだと思う。
どうせ俺も親父に叱られて、いつもの生活に戻るだけだ。
まったくもって無意味な逃避行だった。所詮は子供じみたわがままだったのだ。

けれど、そんな風に自分を抑えようとする度に止まらなくなるのだ。
似通った悩みを打ち明けたり、馬鹿げた話をして盛り上がったり、
そして時に悲しい表情をする彼女の顔を、なぜだか思い出してしまうのだ。


( ^ω^)「例の地球人のこと考えてるのかお?」

('A`)「……え?」

ブーンからの不意の一言に、俺の思考は固まった。
どうしてだろう。しぃについて話した事なんて一度もなかったのに。

( ^ω^)「そりゃあ、この辺りでは有名だからだお。
      ドクオが来る前から、あの子は僕らと親しくしてたんだお」

なるほどなと思った。
長距離航行用の宇宙船から初めて地球に降り立った俺に対し、
彼女は怯えることもなく接触を図ったのだ。出身地や身分を矢継ぎ早に

尋ねてくる彼女は、まるで宇宙人の訪問を待ちわびていたかのようだった。
そこでブーンの表情が、ふと険しくなる。

( ^ω^)「あちこちの役人から目をつけられるような輩とも仲良くしてるらしいお。
      あくまで噂だけど。
      それにあの子、家族ともうまくいってないらしいじゃないかお。
      まったく、地球人は見た目で判断できないお」

しぃについての話なんて、丸ごと聞き流すつもりだった。
けれど今の俺は、自分でも奇妙に思うほど澄んだ心持ちでブーンの話に耳を傾けていた。
もう彼女の元を去ろうと決めたのに、また新たな感情が沸き上がってくる。

( ^ω^)「ドクオ、あの子にはちゃんと挨拶したのかお?
      挨拶ついでに異星人とはあまり関わるなって忠告しといた方が……どうしたお?」

俺は、いつの間にか席を立っていた。

('A`)「いや、ブーンの言う通りだと思ってさ。ありがとな」


地球人は俺の行動を見たら笑うのだろうか。
感覚器官を研ぎ澄まして、彼女の通う高校の校区を走り回っている。
自分の愚かさによって拒絶された相手に、俺はまた会おうとしている。

この迷走の理由は、自分でもよく解らない。

ただ、ブーンの言葉を聞いてから、締め付けるような痛みが心を責めるのだ。
彼女が悪事に巻き込まれているのではないかと、たまらなく不安になるのだ。
一人の地球人にここまで心を傾けることは、やはり馬鹿げているのだろうか。

けれど今の俺には、半ば開き直りにも似た心構えがあった。
恥などという言葉は、この時の俺にはなかったのだ。
彼女が無事であれば、悪い噂がただの虚言であればそれでいいではないか。
再び拒まれるような事になったとしても、彼女が無事であればそれで十分ではないか。

ただ一つ、願うとするならば。

('A`)「さよならって、言わせてくれよ……」

そして俺の予感は、最悪の形で的中することになる。



街外れの工場跡に、彼女と、もう一人の男の姿があった。

( ・∀・)「尾行されてるような気がしたけど、まさか君とはね」

しぃの傍らにいる男は、確かモララーという名だった。
俺の記憶が正しければ、彼は高校教諭として、しぃのクラスの担任を務めていたはずだ。
純朴な地球人として生活していた彼とは違う、不適な笑みを浮かべている。

こいつと殴りあいをする為にこんな所へ来た訳ではないのだが、
俺は不気味な宇宙人の挙動を注視せざるを得なかった。
先程から、しぃがぴくりとも動かないのだ。呼吸すらしてないように見える。

('A`)「しぃに何をした」

( ・∀・)「……この子は、我々の為によく尽くしてくれた。
      そして間もなく、我々と同じになるのさ」

どことなく演説じみた口調が癪に障る。
自分が馬鹿だと解っていながら、やはり身体に力が入るのを抑えられない。

( ・∀・)「落ち着けよ。まぁ、君は彼女について何も知らないのさ。
      ……見てくれ」

彼の言葉を合図に、薄暗い工場に照明が灯る。
辺りに彼の仲間らしき者の気配は無いため、これは彼の特性か何かだろうかと
勘ぐっていたが、眩しさに慣れた目に飛び込んできた光景に愕然とした。

工場の壁に、びっしりと緑の苔が茂っている。
そして、その苔には人の形をした塊がいくつも埋まっているのだ。

( ・∀・)「皆、この子が集めてくれた地球の人々さ。我々の、忠実な僕となった」

('A`)「嘘だ……しぃがそんな事に協力するはずない!」

( ・∀・)「確かにそうだ。この子を少なからず操作した事は認めよう。
      だが我々を受け入れたのはこの子自信の意思だ。
      余程日常に苦痛を感じていたのだろう。教師としての僕に、自ら救いを求めたのさ!
      この可憐な少女が隠していた苦悩に……まさか君は気付かなかったのかい?」

('A`)「……!」

( ・∀・)「そもそも君は何なのだ? 地球人の娘にとって、君は一体何だというんだ!」

突き刺さるような言葉を前に、俺は立ち竦んだ。反撃の糸口すら掴めなかった。
しぃと自分との間にあったものは、果たして彼女を救うに値するものなのだろうか?
そもそも、彼女は助けを求めているのだろうか?

( ・∀・)「お引き取り願おうか。或いはここで……」

石のように動けなくなった俺に、彼はゆっくりと迫る。
そんな時だ。俺の耳に福音が届いたのは。

(*゚ー゚)「……ドクオ……助けに来てくれたんだ……」


何かが弾けたような気がした。
心の底に巣食った憂いも、どこかへ消え去ってしまったようだった。
単純な事だった。彼女の気持ちを知るだけで、それだけでよかったのだ。

( ・∀・)「糞が……! やはり奴の息子というだけはある……!」

彼の左腕は、しぃを抱く俺のすぐ脇に転がっている。
地球人とは違う真っ黒な血を噴いて、引き千切られた後も俺へ向かって這いずっている。

('A`)「しぃは俺が守る。捕らえた人々も元に戻せ。
    さもないと、腕が二度と生えてこなくなるぞ」

( ・∀・)「……調子づくな!」

彼の残された右腕が閃光を放った。狙いは俺ではなく、壁だ。
淡い紫をした光は壁面を滑るように一周し、埋め込まれた塊に起動を命じた。
体と壁との接合部が崩れ、緑の粘土細工のようになった人々が動きだし、 幾重もの包囲網を成した。

( ・∀・)「悪いが言う通りにはできない。これは戦争なのだよ。
      ……さぁ、君は地球人だった者達を殺せるかい?」

以前の俺であれば、こんな問いに対して考える事もなかっただろう。
犠牲者を出さない事、命を守るという務めが、どれ程難しい事なのかよく解った。
けれど、それを足枷のように感じることも、まして危機と感じることもない。

俺はしぃを抱えたまま、右の手に気力を集中させる。


( ・∀・)「殺す気か? 罪もない人々を!」


俺の手から放たれた熱線が貫いたのは、この工場の天井だ。
間をあけず熱線を連続して撃ち、建物の骨組みを破壊する。

( ・∀・)「なッ!?」

頭が割れそうな程の轟音と共に金属片が降ってきたが、人々を傷付けない程度の加減はしてある。
しぃの身体は俺自身を盾にして守り、天井から降り注いだ鉄骨は、
瞬く間に全方位をカバーする鉄壁となったのだ。

天井の崩落する音が聞こえなくなると、すぐに俺は自分の上に積み重なっている
破片を押し退けた。確認するのはしぃの安否だ。
何度も繰り返し呼びかけて、ついに彼女は答えた。

(*゚ー゚)「……どうして、ここに来たの……?」

('A`)「急に、心配になってさ」

(*゚ー゚)「ごめんね。無理させて」

('A`)「いいんだ。しぃの為だったら。
    ……派手に暴れたから、すぐに誰か来る。そしたら、あいつは逃げるしかない」

(*゚ー゚)「……先生、信じてたのに」

彼女は、そこで泣きだしてしまった。
モララーと彼女との関係を、俺は知らない。けれど、この涙がその深さを物語っている。
彼女が失ったものは大きい。立ち直るには、途方もない時間が掛かるかもしれない。

だが希望はある。彼女は、馬鹿な宇宙人に助けを求めてくれたのだ。
俺を信じてくれたのだ。


( ・∀・)「そうだッ! しぃ、俺を信じろ!」

瓦礫の山の上に、モララーが誇らしげに立っていた。
理知的な印象は影もなく、樹木のような表皮が顔の半分を覆っている。
短時間に無理矢理再生させた左腕はまるで枯れ枝だ。
しぃはその姿から目を背け、膝を涙で濡らしている。

( ・∀・)「泣くなよ。泣きたくなるじゃないか。また仲良くしようよ、ねぇ」

徐々に人間の姿と精神が崩れ、甲殻類のような肢体が露になる。
地球人を真似るのは、多くの種族にとって至難だ。
地球人類は身体に凶器を持たない単純な構造で、その反面精神は非常に複雑であるからだ。
純粋に種の繁栄を望むだけだった生命体に、何者かが地球人に化ける業を伝えているのだ。

父は、その真相を生涯を賭けて追い続けている。だから、目の前の彼に罪はない。
彼もまた被害者なのだ。
だけども、俺はしぃを騙し続けたこの男を決して許すことはできない。

自分を律することさえできない、ちっぽけなウルトラマンだ。


('A`)「……痛ぇぞ、我慢しろよ」


ありったけの力と、怒りを込めて、哀れな生命体の頭部に拳を叩きつけた。
一撃でモララーの意識は混濁に沈み、そのまま鉄屑の山を落下して、動かなくなった。
ようやく、終わったのだ。
憎い相手を殴った、それだけなのに。何故か俺はしばらくの間、声を上げて泣き続けていた。



なるべく単純にまとめるならば、俺はあの後父に猛烈な勢いで叱られた。
叱ると表現して良いのかと思う程の怒涛の渦に、割り込んだのはなんとしぃだった。


(*゚ー゚)「ちょっと、悪趣味なでっかいおっさん!」

工場跡を縦に揺さぶるような怒号に空気が凍った。
救護班も、事後処理班も、死人のような表情になっていた。

(*゚ー゚)「ドクオは頑張ったんだよ! 父親は息子が良いことしたら
     ……頭を撫でて褒めるのが当たり前でしょ!」

結局、頭を撫でられる事はなかったが、父の怒りは一時停止したようだった。
そして彼女を自宅に送り届けた後、俺への処分が下った。
その内容も簡潔に記しておく。

・無期限の勘当。
・被害者の事後の安全を考慮し、生涯に渡って護衛の任に就くこと。
・上記二項を遂行する為、地球での戸籍を贈与する。


「這いつくばってでも彼女を守ってみせろ」



それだけ告げると、父はいつもの掛け声とともに飛び立っていった。





この小説は2009年2月10日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:z7Gri3naO 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです



お題
シュワッ!



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/09 14:28 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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