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('A`)のトカレフは殺意に染まるようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




ガシャリ、と。
金属と金属が触れ合う、硬質な音がする。
そして、撃鉄が薬莢の尻を、そこに埋め込まれた信管を叩いた瞬間。
金属の塊は、火を噴いた。

否、この表現は的確ではない。

そこから撃ち出されるのは、鋼鉄の意志。
使用者の殺意を乗せた、7.62mmモーゼル弾。
それが、秒速420mをもって相手に向かっていく。
  _
( ゚∀゚)「ガッ……いてぇぇぇぇぇぇ!!……があああああああああ」

高速・小口径の銃弾は、多くの場合人間の体を貫通する。
言ってしまえば、急所を外した弾丸は「痛いで済む」のだ。
それが、幸か不幸かは別として。

('∀`)「フヒ……フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

板貼りの床に転がった空薬莢が、鈍い光を放っている────




20090321110329.jpg


 
スライド。
フレーム。
マガジン。
バレル、リコイルスプリング、リコイルスプリングガイド、スライドストップ。

通常分解状態とはいえ、わずかコレだけの部品点数。
金属加工の精度はむしろ悪い。

しかし、その粗雑さが、逆に高い動作信頼性を発揮する。
あらゆる過酷な状況下において、確実に高い撃発能力を発揮する。
部品点数を減らすため、安全装置すら取り去ったその潔さ。

フョードル・バシーレヴィチ・トカレフの生み出した、最も有名な「作品」
名を、トゥルスキー・トカレヴァ1930/33と言う。

所謂、トカレフTT-33と呼ばれる拳銃である。
バレルの煤を払い、鉛を溶かし、接触部分にはグリスアップを施す。
駆動部に潤滑油を挿し、パーツを組み上げる。
そして、染み出したガンオイルを拭き取ってやれば、基本的な点検整備が完了する。

大概の人間ならメンテナンスもせず粗雑に扱うであろうその銃に、
男は大事そうに、丁寧に手入れを施している。
そして、懐から煙草を取り出し、一服。

('A`)y━・~「……」

近くにあったカラシニコフ・ウォッカをとり、瓶から直接喉に注ぎ込む。
男の名を、ドクオール・ボルシチ・ドクレヴァ。
元、旧・ソ連軍の特殊空挺部隊に所属し、卓越した爆破技能を持った爆弾のスペシャリスト。

しかし、今の彼はアルコールに溺れ、トリガーに掛ける人差し指すら危なげな。
ただの、人生の敗北者だった。



酩酊した意識の中に、ふと過去の記憶が蘇る。
  _
( ゚∀゚)「期待しているぞ、ドクレヴァ上等兵」

('∀`)「ハッ! お任せ下さい、カビターン(大尉殿)!」

まだ、誇り高き兵士であったあの時。
祖国のためと、仲間のためと、己が信念のためと。
右手にはカラシニコフを、左手には社会主義を掲げ、赤の帝國の旗の元。
極寒の大地に立った、若かりし頃。

そして、たった一人の男の裏切りにより、全てを失った時を。
仲間も、祖国も、信念も。
残ったのはただ一つ。
己が右手に握り締めた、鋼鉄の感触。トカレフTT-33。

そこで、不意に掛けられた声に、男の意識は現実に引きずり戻される。


( `ハ´)「真地去?(本当に行くのか?)」

('A`)「是。我有可以干的事(ああ。俺にはやらなくちゃならない事がある」

( `ハ´)「可惜。没有方面那个才能在由于我華橋的原来的心?
     (惜しいな。その才覚を、我々華橋の元で生かす気はないのか?)」

('A`)「是什、已一直在昔日决定了(もう、ずっと昔に決めた事だ)」

('A`)「否(いや)」

('A`)「当我干的候是什被决定(俺がやると決められていた事だ)」

男は、整備の済んだトカレフを懐にしまいこみ、巨大な荷物を背負いこむ。
その中身は、コンポジット4ハイエクスプローションと、数個の小型信管、遠隔起爆装置。
非常に簡単な、そして強力な爆弾の材料の全てである。

そして、華橋に渡された58式自動歩槍を持つ。
連中なりの、手向けのつもりらしい。
ちょっとした手助けをした程度であったのに、コレが狭義という物か。

そして、男は向かった。
己の過去に、けじめをつけるために、と。




  _
( ゚∀゚)「……」

この眉毛男。名を、ジョルジーノ・ピロシキ・ジョルジュノビッチと言う。

元、旧・ソ連軍特殊空挺部隊大尉。
今は、とある新興マフィアの幹部を務める。
熊のようながっしりした体付きをした男だ。
  _
( ゚∀゚)「ドクレヴァ、か……」

彼の前に立っているのは、言うなれば幽鬼。
人の身でありながら、己を鬼に落としたような、そんな気迫を持った男。
体中に傷を負い、返り血で身を染め、満身創痍のその体躯。

なのに、この鬼気迫る雰囲気はなにか。
場に、祖国の大地のような寒い沈黙が降り積もる。

('A`)「ジョルジュノビッチ。貴様を、殺す」

死刑宣告。生殺与奪権を持った人間から発せられる、殺意の宣言。
だが、鬼からの宣告を前にしても尚、じょるじゅのビッチには余裕があった。
彼は、秘策を持っていたから。
  _
( ゚∀゚)「お前じゃ……俺を殺せねぇよ」


ズドン、と大きな音がする。
咄嗟に身を伏せたドクレヴァの背後の壁に、巨大な弾痕が残っていた。
  _
( ゚∀゚)「こいつは種子島って言ってな、南蛮からきた最強の武器なんだ」

最強、と言う。
それは、絶対の自信の表れであり、この場の生殺与奪権は己にあるという、主張。
  _
( ゚∀゚)「さよならだ、ドクレヴァ。お前は、いい兵士だったよ」

大仰な、酷く芝居がかった仕草で種子島をドクレヴァに向けるジョルジュノビッチ。
その指が、種子島のトリガーにかかろうとしたその刹那、それよりも尚早く。

ガシャリ、と。
金属と金属が触れ合う、硬質な音がする。
そして、撃鉄が薬莢の尻を、そこに埋め込まれた信管を叩いた瞬間。
金属の塊は、火を噴いた。

否、この表現は的確ではない。

そこから撃ち出されるのは、鋼鉄の意志。
使用者の殺意を乗せた、7.62mmモーゼル弾。
それが、音よりも早く相手に向かっていく。
  _
( ゚∀゚)「ガッ……いてぇぇぇぇぇぇ!!……があああああああああ」

秒速420mで発射された7.62mmは、圧倒的貫通性能でジョルジュノビッチの体に穴を穿つ。
だが、これじゃあ死なない。腸を貫通しただけじゃ、死ねない。
ドクレヴァには、まだ死なせる気も無い。

('∀`)「フヒ……フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

('∀`)「痛いか? 痛いだろう? だが、まだ死なせやしねぇよ」

('∀`)「これはまだ、ホライゾネの分だからな。そして」


パン、と短い音。
ジョルジュノビッチの太ももに、穴があく。

('A`)「そしてこれが、アナルスキーの分だ」

パン、パン、パン。乾いた銃声が、何度も木魂する。

(#'A`)「これがモナーツェの分、これがギッコガルドの分、これがロマネスカの分」

('A`)「そしてな」

息も絶え絶えなジョルジュノビッチの頭に、トカレフの銃口が密着する。
零距離射撃の、くぐもった。銃声。
スライドが後退し、チャンバーから薬莢が吐き出される。
カラン、と。薬莢の転がる虚しい音が響いた。

('A`)「これが、俺の分だ」





ドカン、と、強烈な爆音が響く。
爆発炎上しているのは、豪奢な一軒家。ジョルジュノビッチの邸宅。

('A`)「……」

それに背を向け、ドクレヴァは起爆装置を投げ捨てた。
そして。
懐から取り出したトカレフのチャンバーに、一発だけ弾を込める。
ライフル弾のようなボトルネックの外見をした、7.62mmモーゼル弾。
乾いた銃声と共に、一人の男がその場に倒れ臥した。
屋敷はそれでもなお、轟々と燃え続ける。
弔いの、送り火のように。



~終~





この小説は2009年1月12日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:8OOXImdk0 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/09 14:17 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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