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ζ(゚、゚*ζは小犯罪を犯すようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




"ζ(゚、゙*ζ「ねむ……」

 ふぁ、とあくびひとつ。
 1人また1人と私を追い抜かしていく私と同じ学校の制服を着た少年少女達。
 朝っぱらからご苦労なことです。私もだけど。


ζ(゚、゚*ζ(皆歩くのはやいなぁ)

 携帯を眺めつつ、誰かの背中をちらと見る。
 大きかったり小さかったり、二人だったり一人だったりするけれど、みんな一緒。

ζ(゚、゚*ζ(大人になってもみんな同じことすんだよねー)


 ちっちゃいころからすることは皆変わらない。
 つまらないね、口内で呟いた。



20090318200220.jpg



 携帯を一回制服のポケットにしまい、前を歩く人達の人間観察を始める。
 たまにこうするのが朝はいつも暇な私の癖。

ζ(゚、゚*ζ(およ? あの人はもしや?)

 皆歩くのが速いから、背中が見えなくなるのもはやいんだけど、
 私の数歩前を歩く男子高生の背中は10分ほど前にこうした時にも見えたものだった。

ζ(゚ー゚*ζ(おぉ、歩くの遅いんだね~。私と一緒だぁ)


 てくてくてく。
 私が進めば彼も進む。うまい具合に歩調が合っている。
 なかなか珍しいことでなんだか嬉しくて、少し口の端が緩んでしまう。


ζ(゚ー゚*ζ(やばい、惚れそうw)

 なーんてね。


  ブブブブブッ

ζ(゚、゚*ζ「ぉうっ」

 驚いて変な声が出てしまった。ただの携帯のバイブじゃないか。
 誤魔化すように咳払いをしてから、慌てて携帯を取り出す。
 液晶に映る公衆電話の4文字に首を傾げてから、通話ボタンを押す。


ζ(゚、゚*ζ「もしもしー?」

( ・∀・)「ぼくだよ」

ζ(゚、゚*ζ「……? あ、もしかしてお兄さん!」

 短い返答に再び首を傾げてしまったが、すぐに誰かわかった。
 声のトーンがあがるのを感じながら、どうしたの?と聞く。


( ・∀・)「ねぇ、今会えないかな」

ζ(゚ー゚*ζ「私がお兄さんの誘いを断ったことがあったかな?」

( ・∀・)「そうだね。じゃあ、できるだけはやくあの公園に来てよ」

ζ(゚ー゚*ζ「がってん承知! じゃあ、後でね」

 あのお兄さんとの電話はいつも短い。
 でもその短さがこれからする何かへの期待を高めさせるのだけど。


ζ(゚、゚*ζ「……あ、」

 電話を切った後、気づく。
 私、今学校に向かってたんだ。


ζ(゚、゚*ζ「まぁ、」

 たいした問題じゃないね。と、踵を返し、お兄さんの待つ公園へ向かう。
 空は厚い雲に覆われていて、夕暮れ時のそれのようで。
 私は思わず足を速めた。


ζ(゚、゚*ζ「着きましたよっとなー」

 無駄に広い公園に入り、とりあえず一番入り口に近いベンチに座る。
 キョロキョロとあたりを見回してみるが、ホームレスのおじさんと目が合い、すぐに逸らした。

 とりあえずする事もないので、鞄からパンを取り出す。
 学校で食べようと思ってた今日の朝食だ。


ζ(゚ヮ゚*ζ「いっただっきまー……」

( ・∀・)「デレ、来てたんだ」

 驚き、咄嗟に振り向く。
 ガサッ、と背後の茂みが動き、お兄さんがそこから生えていた。

ζ(゚、゚;ζ「わぁお……斬新な登場だね」

( ・∀・)「ぼくだって好きでここから登場しようとしてたわけじゃないさ」


 このお兄さんだけど、私はこの人のことを何もしらない。
 名前も教えてもらってないから勝手にお兄さんと呼んでいるのだけど、年上か年下かも実はよくわからない。
 たぶん学生ではないけど、仕事もしてないんじゃないだろうか。

 そんな人に携帯番号教えちゃってる私は、やっぱりおかしいのだろうか?

 まぁ、そんなわけで、お互い名前も知らないけど、
 何かの拍子で知り合ってからたまにこうやって会っては遊んだりしている。
 お兄さんは不思議な人で、お兄さんと一緒にいれば
 私も特別な何かになれるとでも思っているのかもしれない。


ζ(゚、゚*ζ「ていうか、デレって私のこと?」

( ・∀・)「うん」

 ちなみに、私には津出麗子という立派過ぎる名前がある。
 もちろんお兄さんに言ったことはないけど


ζ(^ー^*ζ「おねーさんって呼んでもいいのよ~?」

( ・∀・)「それでね、デレ。今日のことなんだけど」

ζ(゚ー゚;ζ「あ、はい。ゴメンナサイ」

 しかし、デレ。デレか。
 何の意味を持つのか知らないけど、なんだかとてもいいと思った。


( ・∀・)「あのね、傘がほしいんだ」


 お兄さんの言うことを一発で理解するのは結構難しい。
 それは突拍子もなく深い意味を持ったり持たなかったりするから。
 だから、私はお兄さんの言った言葉をオウム返しした。


( ・∀・)「傘。雨傘。
      デレ、ちょうだい?」

 しかし憮然と返すお兄さん。
 無表情で傘傘傘と繰り返し言うのは少し怖いから止めて欲しい。


ζ(゚、゚;ζ「ちょ、ちょうだいって……。折りたたみで良ければあげようか?
       ってか、それしか持ってないけど」

 パンをくわえながら鞄を漁り、ピンクの可愛い折り畳み傘を取り出す。
 それを少し悩んでからお兄さんに差し出してみた。


( ・∀・)「それはいらない」


 しかし、あっさりと断られ、少しへこむ。
 まだまだお兄さんの考えることは私には理解できないみたい。


 お兄さんは茂みから出て、私の隣に座り、言った。

( ・∀・)「あのおじさん見て」

 ちょうど目の前を指差すお兄さん。
 その視線の先を追うと、そこに居たのはさっき一回目が合ったホームレスのおじさんだった。


( ・∀・)「あの家、いいよね。
      ぼくあーゆーの好きだよ」

ζ(゚、゚;ζ「家……? う、うーん」


 たぶんお兄さんが言う家は、所謂ブルーシートハウス。
 ブルーシートハウスの中でも粗末なほうなんだろう。今にも崩れそう。
 更にそれはブルーシートの足りない部分を黒くて大きいボロボロの傘で補っているものだった。

 ……お兄さんの感性は、わからない。


( ・∀・)「あの黒い傘、欲しいな。もらってきてよ」

ζ(゚д゚;ζ「へえ……えぇ!?」


 私が驚くのも無理はないと思う。
 いくらお兄さんでも、あれがほしいなんて。
 やっぱり不思議な人なんだなぁ


( ・∀・)「嫌?
      無理にとは言わないよ。デレが行かないならぼくが行くし」

ζ(゚、゚*ζ「いや……いいよ、やるよ」


 せめて、お兄さんを理解するまでは。
 私はパンを片手におじさんとの交渉をしに行くことにした。

 おじさんもまた、見るからに怖そうな人。


ζ(゚、゚*ζ(この交渉、難しそうですよ……先生)


ζ(゚、゚*ζ「あの、すいません。
       ここいいですか?」

(,,゚Д゚)「あぁ?」

 ブルーシートハウスの横で何かしているおじさんに近寄ると、何ともいえない臭いが鼻を刺した。
 その臭いをなんとか我慢して、返事も聞かずおじさんの隣に座る。


ζ(゚ー゚*ζ「えーと……食べかけですけど、いりますか?」

(#゚Д゚)「ゴルァ!! 嬢ちゃん、馬鹿にしてんのか?」

 何をしていいかわからず、苦し紛れに持っていたパンを差し出してみるが、怒られた。

ζ(゚、゚;ζ(まぁ、そりゃそうだよねー。失敗失敗)


 さっきのおじさんの気迫を思い出し、思わず小さくなって、もそもそとパンを食べる。
 臭いのせいで、美味しくない。

 パンを食べ終わってしまって、何をしていいのかわからない。
 おじさんは機嫌悪そうにこちらを睨むだけだし、お兄さんはベンチからこっちを見ているし


ζ(゚、゚*ζ(まぁ、行くしかないか)

 覚悟を決めて、おじさんに向き直る。

ζ(゚、゚*ζ「あの、おじさん。お願いがあるんです。
       あの傘を私にくれませんか?」

 おじさんが、面食らったような顔をして、すぐに鬼のような形相になった。
 そして、さっき以上の大きな声で怒鳴った。

(#゚Д゚)「何考えてるんだ、やるわけねーだろ!」

ζ(゚、゚*ζ「でも、そうなると困っちゃうんですよ」

(#゚Д゚)「俺だって困る。帰れ!」


 帰れ、とまで言われてしまった。
 でも、まだお兄さんが見てるから、やめるわけにはいかない。

 傘を見上げる。お兄さんが欲しいと言った、ボロボロの傘。
 手を伸ばして届かない距離では、ない。


(#゚Д゚)「てめぇ、クソガキ! 何してやがるんだ!」

ζ(゚、゚*ζ「ごめんなさい。私お兄さんが喜ぶならおじさんとかどーでもいいんです」

 何か下から固定されてるのか、引っかかってとれない。
 無理矢理に引っ張って、なんとか取れた。
 おじさんが私の腕を掴む。汚い手。触らないで欲しいなぁ


(#゚Д゚)「やめろって言ってんだろ!!」

ζ(>、<;ζ「キャッ」

 おじさんが私の肩を掴んで引っ張った。
 迫ってくる拳。

 嫌、嫌イヤいや怖い!

(;゚Д゚)「ぐぅっ」

ζ(゚、゚#ζ「触んないで!」

 おじさんの腹のあたりを思い切り蹴り飛ばす。
 後ろ向きに倒れ、転げ悶えるおじさん。
 怖くなって、あわてて傘を畳む。

 後から思えば、私はその時すぐに逃げるべきだった。


(#゚Д゚)「ふざ、けるなぁ!!」

 おじさんは勢いよく起き上がり、物凄い速さで襲い掛かってきた。
 右手は私の左腕を掴み、左手は私が持つ傘を掴み、私を組み倒した。

ζ(゚、゚#ζ「痛いのよ! 離せぇ!」

 腹のあたりだとかをがむしゃらに何度も何度も蹴ると、
 おじさんの力が少し弱まったので、その隙におじさんを体の上からどかす。

 ただ、おじさんが傘を持ったままだったので、立ち上がり、おじさんを蹴る。

(#゚Д゚)「ぐ、あぁっ!」

ζ(゚、゚#ζ「離せ、離しなさい!」

 
 ガンッ ガンッ

 蹴る、蹴る、蹴る。


(,, Д )「あ、ぅ……」

ζ(゚、゚#ζ「死ね! 死ねぇ!」


  ガン、ガン、ガン、


 おじさんの傘を持つ手が緩くなったのに気づき、奪い取る。
 その傘でも殴る、殴る。


ζ(゚、゚;ζ「はぁ、は……っ!」

 おじさんが動かなくなったことを確認し、その場から逃げ出す。
 何時の間に降り始めていたのか、私の体はすっかり雨でビショビショになっていた。


ζ(゚、゚*ζ「お兄さん!」

( ・∀・)「あ……やぁ、おかえり」

ζ(゚ー゚*ζ「持ってきたよ。ちょっと汚れちゃったけど……」

 最後におじさんをこれで殴ったせいで、ボロボロだった傘はもっとボロボロになってしまったし、
 骨も少し曲がってしまったように思えた。
 でも、お兄さんはそれを少し手間取りながら広げ、自分の頭の上に持っていった。
 雨に打たれ、着いていた血と混ざり、流れていった。
 

( ・∀・)「ううん。このくらいのほうがちょうどいいよ。
      デレ、ありがとう」

 そう言って、お兄さんは頭を撫でてくれた。

ζ(^ヮ^*ζ「どういたしましてっ」

 私はひたすら嬉しくて、ずっと笑っていた。



 その日はそのまま帰った。
 お兄さんも気がすんだようで、そのままどこかへフラフラと歩いていってしまった。
 家に帰るとお母さんに心配されたが、特に何も問題なく一日が終わった。


ζ(゚、゚*ζ(最近、お兄さんから電話こないなぁ)

 朝、学校に行く道の中思う。
 最近というか、ほんの3日ほどなんだけど。
 今日もあの日と同じ雨なので、ボロボロではないけど黒い傘をさしながら思う。


ζ(゚、゚*ζ(お兄さんたぶん携帯持ってないよね。いつも公衆電話からだもん)

 お兄さんの連絡を待つようになったのは初めてだ。
 いつもはお兄さんと居ないときにお兄さんを思い出すなんてないのに。

 ひとつため息をついて、携帯をポケットにしまう。
 そしてそのまま、いつもの人間観察タイムに移行する。


ζ(゚ー゚*ζ(お、あの人は、例の。)

 あれから、後姿でわかるようになってしまった。
 いつも一人で、私と歩幅が会うあの人。


ζ(゚、゚*ζ(あれ? 今あの人、なんか落とした)

 あの人も気づいたのか、立ち止まる。
 変わらなかった距離が今、縮まる。



(        )


(    ∴)◎∀)


(∴)◎∀◎(∴)クルッ



ζ(゚、゚;ζ「……」

 追い越していく私。
 再び広がる距離。


ζ(゚、‐;ζ(……まぁ、こんなもんだよね……)


ζ(゚ー゚;ζ(いや、期待してたわけじゃないけどさ)


 なんだか一気にやる気をなくして、通学路から外れる。
 今日もいいや。学校なんて休んでしまおう。

ζ(゚、゚*ζ「人生も、こんなもんなのかな?」

 はいはい、厨二病厨二病。

 路地を進む。
 なんだか薄暗いそこで呟くと、変な声が返ってきた。
 何かと思い、あたりを見回すと濡れそぼった汚らしい猫を見つけた。


('A`) ブー

ζ(゚ヮ゚*ζ「わー、ぶっさいくーww
       なにその鳴き声、どこから出てるの?」

 猫だとかは普通、いくら不細工でもブサ可愛いとかいうジャンルにあてはまるんだけど、
 この猫はただ不細工なだけ。まあこれはこれで愛嬌があると思うけど。
 思わず近寄るが、猫は逃げない。


ζ(゚ー゚*ζ「ぶちゃー、へちゃむくれー。ぶちゃいくー」

('A`) ブグルッ

ζ(゚ヮ゚*ζ「鳴き声汚いwwwwwwwwwwww」


 よく見ると、怪我をしてこんな容姿になったようだ。
 右の前足も引きずっている。
 もしかしたら逃げないのではなく、逃げる元気もないのかも。


  ブブブブブッ

ζ(゚、゚*ζ「ぉうっ」

 突然携帯のバイブが鳴り、いつかと同じように驚く。
 液晶を見るとまたいつかと同じように公衆電話の4文字。
 今度は相手を確信して電話に出る。


ζ(゚ー゚*ζ「もしもしっ?」

( ・∀・)「ぼくだよ」

ζ(^ー^*ζ「やっぱり、お兄さん! 今日はどうしたの?
        また遊ぶ?」

( ・∀・)「ううん。今日は、ちょっと言いたいことがあって」


 お兄さんの用事で会話がメインだなんて、凄く珍しいこと。
 やっぱり私は嬉しくなる。


ζ(゚ヮ゚*ζ「なぁに?」

( ・∀・)「あのね、あの時のおじさん。
      ぼくしばらく見てたんだけど、死んだみたいだったから警察に電話しといたよ」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、そうなのー。ありがとねー」

( ・∀・)「うん。じゃ、それだけだから」

ζ(^ー^*ζ「うん、じゃあね!」


 相変わらず短い電話。ずっと撫でていた猫の頭をポンと優しく叩く。
 そして、汚れるのも構わず膝の上に乗せ、猫の両前足をつかむ。


 猫は少し嫌そうな声を出したが、気にしない。
 そしてその掴んだ足を使い、ジェスチャーや人形劇のように動かしながら、言う。


ζ(゚、゚*ζ エート、

('A`) ニ゙ゥ

ζ(゚、゚*ζ「勝手に生まれて
       勝手に期待して
       勝手に失望して
       勝手に死んでいく」

ζ(゚ー゚*ζ「人間って、勝手な奴だニャー」

('A`) グフ



 なーんてね。






この小説は2009年2月1日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:VGJt7brH0 氏



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[ 2010/01/09 14:10 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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