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最後の一枚のようです

 
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




ざわめきが遠くに聞こえる。

式が終わって大分経つというのに、まだほとんどの人は、校舎の外で別れを惜しんでいるのだろう。
私もさっきまでその中の一人だったのだけれど。

ξ ゚⊿゚)ξ「やっぱ最後に見ておきたいわよね」

そう呟きながら開けたのは、高校最後の年を過ごした教室のドア。
静かな教室の真ん中へと歩き、周りを見渡した。
誰もいないことに少し寂しい気持ちになり、自分の使っていた椅子に腰掛ける。

いつもなら必ず誰かがいて、くだらないお喋りなんかして、皆で笑って。
そんな当たり前の日々も、今日で終わってしまった。

ξ ゚⊿゚)ξ「……楽しかったなぁ」

とても楽しかった。
楽しい、の一言に尽きない程。

たくさんの出会いがあって、かけがえのない親友も出来た。
右手のインスタントカメラには、親友と涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら撮った写真も入っているはずだ。

友人たちと撮りまくったため、もうあと一枚しか写せないカメラに目を落とす。



あと、一枚。



残してしまった。

叶うことなんかなくても、どうしても、最後に二人で撮りたくて。





20090311020402.jpg


 
私はずっと彼が好きだった。

小学校から一緒で、恋愛対象なんかじゃなかったはずなのに、いつのまにか彼だけを目で追っていた。

もしかしたら、気付かなかっただけで昔から彼が好きだったのかもしれない。
私に初恋の記憶がないのはその所為だろうか。


ξ ゚⊿゚)ξ「……なんてね。アホらし」

自嘲して机に俯せた。

今更そんなこと考えたって、もう遅い。
約束しなくたって、彼といられる時間は終わってしまうのだから。

うじうじと考えてしまう自分が嫌になって、腕に顔を埋めたまま目をきつく瞑る。


より静かになった教室。

そのおかげで、誰かが階段を駆け上がってくる微かな音を聞くことが出来た。


私にはわかってしまう。
その足音が誰のものなのか。

泣きそうになっていた気持ちを引き締めて、顔をあげる。


( ^ω^)「お! 見つけたお、ツン!」

ξ ゚⊿゚)ξ「別に探せなんて言ってないわよ」


大きな音を立ててドアを開けた彼にいつものような素っ気ない態度をとる私。

なんとなく、彼が来るような気はしていた。
幼なじみの直感というのはなかなか凄いものらしい。

これが恋仲に発展しないのはとてつもなく悲しいけれど。


にこにこと私のもとまで寄ってきた彼は、私の前の椅子に座る。


( ^ω^)「式が終わってからずっと探してたんだお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「だからって走りまわることないでしょ? 携帯があるじゃない」

(;^ω^)「……忘れてたお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ほんとバカね」

(;^ω^)「だって早く見つけたくて必死だったんだお……」

あぁ、どうして貴方はそんなふうに思わせぶりなんだろう。
そこに気持ちがないのをわかっていても、バカな私は嬉しくなってしまう。

わかっているのに。


あなたは、もう。




ξ ⊿ )ξ「……」

( ^ω^)「お? ツン?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……あ、ごめん何でもない……。 なんか用だったわけ?」

そう聞くと、「あぁ!」と思い出したようにポケットに手を突っ込んだ。

( ^ω^)「ツン、写真撮ろうお!」

取り出したのは、インスタントカメラ。

少し動揺した。
私と同じことを思ってくれていたなんて。


ξ ゚⊿゚)ξ「……あんた、女とツーショットなんて撮って良いの?」

動揺を抑えようと、思ってもいないことを口走る。

私も撮りたい。
私だって、一緒に。
それでも、あの子の親友として聞かなければいけない気がした。

( ^ω^)「ツンなら良いって言ってたんだお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「……そっか」

嬉しいようでこれ以上ない程残酷な一言。

私の親友は、誰よりも私を信用してくれている。
私が自分の恋人に想いを寄せているなんて、夢にも思っていないんだろう。

だからこそ、私はあの子を裏切るわけにはいかない。

あの子を、私の大切なあの子を泣かせたらいけない。


ξ ゚⊿゚)ξ「しょーがないわね。 写ってあげるわよ」

( *^ω^)「ありがとうだお!」


彼は席を立ち、私の隣に屈む。
ふわっ、とあの子の香りが漂ってきて、少しめまいがした。

( ^ω^)「撮るおー」

こんなに近くにいるのに。
こんなに近くにいたのに。
ずっとそうだと思ってたのに。

( ^ω^)「はい、チーズ!」


私は、うまく笑えているだろうか。



フラッシュの後、立ち上がった彼はいつもの笑顔で私を見た。

( ^ω^)「3年間、色々あったおねー」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほんとにね。 私はあんたのお守りで大変だったわよ」

( ^ω^)「ツンにはたくさんお世話になったおw ……デレとのことはツンがいてくれたおかげだお」

そう言って少し照れる彼。

ξ ゚⊿゚)ξ「……そうね。 私がいなかったらあんたデレの気持ちに絶対気付かなかったわね」

(;^ω^)「鈍くてすまんお」


なら、私がいなかったら、彼とあの子は付き合わなくて良かったのだろうか。

そんな意味のないことを一瞬考えて、すぐやめた。


ξ ゚⊿゚)ξ「……デレ、待ってるんじゃない?」

( ^ω^)「おー……」

時計をちらっと見て、次に私に申し訳なさそうな顔を見せる。

(;^ω^)「もう行かなきゃいけないお……ごめんお」

本来待たせるべきでない彼女を待たせているというのに、彼女でもない私に謝ってる彼を見て、
少し笑ってしまった。

ξ ゚ー゚)ξ「何謝ってんのよ。 さっさと行きなさい」

( ^ω^)「お……ツン、また今度だお!」

進路も別々の私たちに今度なんていつくるのかわからないけれど、私は頷いた。
それを見た彼は嬉しそうに軽く手を振って、来たときと同じように駆け足で教室を出ていった。




また、一人。

さっきと何も変わらないはずなのに、彼がいなくなった後だと室内が冷え切ってしまったように感じる。

ふと、ずっと右手に握っていたカメラを見た。
結局言いだせなかった。
私を信じてくれているあの子に申し訳なくて。

ξ ⊿ )ξ「……何だか、なぁ」


あの子よりも早く彼が好きだと伝えていたら。

あの子に協力なんてしなかったら。

協力どころか、邪魔していれば。


今、彼と手を繋いでいるのは私だったのかな。



ξ ⊿ )ξ「……き」

意味がないとわかっていても、考えてしまう。
伝えられなかった想いが、溢れてしまう。

ξ ;⊿;)ξ「好きだよ、ブーン……」



最後の一枚を残したカメラ。
震える指で、シャッターを切った。


明るい光に照らされた、彼といた最後の場所。






この小説は2009年1月20日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:C8Z7Ks6vO 氏



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[ 2010/01/09 14:06 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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