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ウィンターホラーあんかけ焼きそばのようです

 
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 あれは満月が青白く染まった、薄気味悪い夜のことでした。
 その日は久方ぶりに会った友人と長話をしていたんです。
 ええ、昼から深夜近くまで、ずっとでございます。
 泥酔した友人をどうにかこうにかタクシーに乗せた頃には、もう日付も変わっていましたねえ。
 私はさほど飲んでいませんでしたし、車に乗れるほど財布も重くありませんでしたから、
 
 歩いて帰ったんですよ。
 ええ。あの時ばかりはそんな浅慮な自分を恨めしく思いましたね。

 ただでさえ女一人の夜道、加えて人どころか虫の気配さえ感じられぬ時分にございますから、
 らしくないと思われても仕方ありませんがね、とても恐ろしかったんですよ。
 まるで不審者のようにですね、こう、人通りがないか確認する空き巣泥棒にも似た動きで辺りを窺いながら、
 普段よりも時間をかけて家路についていたわけです。

 えっちらおっちらと歩き続けて、ようやくこの先の角を曲がれば我が家、というところまで来まして。
 あァ、やっとこの冷え切った身体を温められる、と気を緩めてしまった。
 それがいけなかったんでしょうかねぇ、まるでその隙を突く様な登場でしたから。
 率直に言ってしまえばですね、


 『出た』んです。




20090201203939.jpg



 明滅を繰り返す街灯の下に、空に浮かんだ満月みたいな青白い人影が。
 そこに目をやらなかったら果たして気付けたかどうか、というくらいに存在が希薄で。
 一歩も動かずにただじいっとこっちを見つめていたんです。

  ('A`)

 何てことはないただの通行人だったら、さっさと通り過ぎてしまえばおしまいなんですがね、
 こんな時間にただぼけっと突っ立っているってえだけでも不気味でしょう。
 しかも相手は……言っちゃァ悪いことかもしれませんが、世に言う『ブサメン』でして、
 それが薄ぼんやりとした灯りに照らし出されているってのは、これがどうも恐怖心を煽る。
 不健康な肌に痩せ細った身体も相俟って、さながら小鬼のようでございました。

 あまりに気味が悪い。
 だから私もさっさと帰ってしまいたかったんですよ、本当のところ。
 だってそうでしょう? 誰も好き好んで深夜に恋人でもない奴と睨み合いたくはない。

 けれども、通り過ぎることはできなかったんです。
 別にその男に運命を感じて立ち去ることができなかった、なんて浪漫溢れる話じゃァありません。
 ただ路地が狭かった、それだけのこと。
 道を塞がれてしまっちゃァ通りようがないってわけですよ。

 焦りましたねえ、あの時は。
 見た目で人を判断するのはいけないことだと重々承知していますがね、しかし私は女で相手は男。
 さらにもう草木も眠ろうという時間、こいつは不味いと私は携帯を取り出そうとしたんです。
 いえいえ、本当に通報するはずないでしょう。振りという奴ですよ。
 疚しいものを腹の底に溜めてるのなら逃げ出すに違いない、と。
 逆効果かもしれないなんて考えてもみませんでしたね。とにかく何とかしたかった。

 ですがねぇ……、私が外套に手を伸ばしたときに、見えてしまった。
 手どころか心臓まで止まるかと思いましたね。


 その男には――『足』が無かったんです。

 ええ、ええ。私だって科学万能の世の中で、そんな江戸時代みたいな事ァ言いたくはありませんよ。
 でも実際に足はなくて、重力に逆らって浮いていた。
 もう携帯どころじゃない。わずかにあった酒気もさっぱり抜かれて、代わりに冷水を注がれたような気分でしたね。
 それが刺す様な外気に触れて、私ァ氷像にでもなってしまったかと思いましたよ。

 先程までの静止とはまるで訳が違う。あァ、立場としては何ら変わっちゃいませんがね。
 無気力そうに浮いているそいつと、ただただ怯えるばかりの私。
 膠着状態が一分か十分か続いて、幽霊――足も無く浮いているんですから、そうとしか形容できません、
 ともかく幽霊の方が均衡を崩したんです。

 もうじき雪も降ろうかと感じさせる空気の中、小さい癖によく通る声で


('A`) ウツダシノウ


 と一言。

 あんたもう死んでますよォ、と叫んでやりたかったんですが、いかんせん身体が言う事を利かない。

ζ(゚-゚;ζ「ひぃぃ」

 情けなく呻くのがやっとで、あとは指一本も動かせないのです。

 私の恐怖がついに覚られてしまったのか、ただ街灯の下でぼうっとしていた幽霊の奴が
 ついにこちらに向かってくる。
 逃げようにも足はびくともせず、なんとか目を動かして周囲を確認したところで、対抗できそうな何かは無い。
 まさに八方塞といった状況でして、さっと血の気が引いていくのが判りました。

('A`) シカシ ドウセシヌナラ サイゴニヒトハナ サカセタイ

 もう互いの距離は一メートル程しかないところになって、やっと足が動いてくれたんですが、
 しかし極度の緊張からか足がもつれて倒れてしまいまして。

(゚A゚) コレデ オレモ ドウテイ ソツギョウ!! モッテテヨカッタPSP!!

 さながら獲物に飛び掛る猛禽のような格好でくわっと目を見開き、真ッ赤な眼に
 ついに意識を持っていかれそうになったその時!


「待ちな!」


 幽霊が初めに立っていた街灯の上に、新たな人影が!
 私も幽霊も、同時にそこへと視線を向けます。
 そこにいたのはなんと、寺生まれのTさんではありませんか!

(゚、゚トソン「シュワッチ!」

 Tさんは掛け声と共に街灯から飛び降ります。
 華麗に着地するや否や、お経のような呪文のような何かをぶつぶつと唱え、やがて両腕を突き出し

(゚、゚#トソン「破ァ――――ッ!!!」

 とご近所中に響き渡る叫び声をあげたのでございます。
 するとなんということでしょう、Tさんの両腕からまるで空に浮かぶ満月のような、
 青白い光弾が放たれたのです!
 光弾は過たずギンギンに滾っていた幽霊に命中。
 幽霊は格闘漫画のワンシーンの如く宙へと吹き飛ばされました。


('A`) ユメミタッテイイジャナイ ドウテイダモノ

 そんな言葉を残し、憐れな童貞は夜空に輝く星にも負けない光の粒へと変換されます。

(゚ー゚トソン「あんたァ、最期にいい花咲かせたじゃないですか」

 ニヒルな笑みを浮かべ、Tさんは天に向かって十字を切ります。アナタ寺生まれでしょう。
 ……いえいえ、命を助けていただいたのですから無粋な言葉はいけません。

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございますTさん。おかげで助かりました!」

(゚、゚トソン「礼には及びませんよ。あと、私の名前は都村トソンです」

 Tさんは当然のことをしただけだと言わんばかりの素っ気無い返事。

ζ(゚ー゚*ζ「でも、Tさんが来てくれなかったら今頃私は……」

(゚、゚トソン「コンビニに行く途中だっただけですから。あと、私の名前は都村トソンです」

 それでは、と言って忍者走りで去っていくTさん。



 寺生まれってスゴイ……私は初めてそう思いました。





この小説は2008年11月27日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:/cVuhY690 氏



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[ 2010/01/09 10:00 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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