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(´<_` )「兄者、お茶だ」
( ´_ゝ`)「おお、すまんな、弟者」
そっくりな顔をした男が、二人。
お茶を差し出した男、流石弟者。
お茶を差し出された男、流石兄者。
その名とそっくりな外見が示す通り、二人は双子。
ここは人里離れた森。
二人が居る箇所を上空から見れば、虫が食ったような緑に見えるだろう。
兄者が木を刈り、弟者がそれを売る。
二人は所謂、材木屋だった。
兄者が丁度一段落した所に、まるで見計らった様に弟者がお茶を持ってきた所だ。
( ´_ゝ`)「ぷはー! この時期はやはり冷たいお茶に限るな」
昼を過ぎても照りつける太陽の下、兄者はお茶を一気に飲み干した。
季節は真夏。冷たいお茶が、うまい時期。
(´<_` )「しかし、流石だな、兄者 半日でもうこんなに切り倒したのか」
( ´_ゝ`)「任せておけ」
(´<_` )「だが量を考えろ 需要が間に合わんと腐ってしまうぞ」
( ´_ゝ`)「むぅ……早すぎても難有り、か」
(´<_` )「いつも言っているだろう……これだから兄───」
言いかけて、飲み込む。
異様な気配を感じ取ったからだ。
同時に兄者も、緊張を高めていた。
二人に降りかかるのは、一つの殺気。
( ´_ゝ`)「……出て来い」
森の中の一点を睨み、一言。
殺気が、疾走(はし)った。
二人を目掛け一直線に、それは駆ける。
明らかに、人を超えた速度。
( ´_ゝ`)「!」(´<_` )
だが二人も、驚く程の反応を見せた。
兄者は右へ、弟者は左へと跳び、避ける。
飛び出した殺気はそのまま大地へと突き刺さり、轟音と土煙を生み出した。
(´<_` )「アーサーか!」
着地した弟者が、声を上げた。
アーサーとは、地球に流れる気の流れを体内に取り込み、
身体能力を爆発的に増幅させる能力者のことを指す。
実力者は効果時間が長かったり、応用してさらに特異な能力を持つという。
段々と治まっていく土煙の中に、佇む影。
「ククク……」
不敵な、笑み。
煙がはれ、その男が姿を現した。
( ^ω^)「やっと見つけたお 超S級アーサー、流石兄弟」
現れたのは、妙なにやけ面が鼻につく、少し背の低い男。
中肉中背、とは言えない。締まる体の部位はしっかりと締まっていた。
( ´_ゝ`)「やれやれ……また賞金稼ぎか」
(´<_` )「人気者は辛いな、兄者」
過去に二人は、アーサー能力を活用し、傭兵として諸国を巡っていた。
彼等を雇えば戦に勝つる!とまで言われていた程の活躍ぶりを見せていた。
やがて国同士の醜い争いは終息し、世界は平和への道を歩き出す。
しかしそこで、流石兄弟の実力を恐れた国々は、
二人に賞金をかけてなんとか処分してしまおうという手段に出たのだ。
( ^ω^)「お前らを倒せば、町一つ買える程の大金が手に入るお」
糸目の奥の瞳は、金と言う目的にギラギラと輝いているようだ。
( ^ω^)「悪いけど、死んでもらうお」
男が構え、アーサー能力を発動する。
( ´_ゝ`)「やめとけ 怪我するぞ」
( ^ω^)「なめるなお これでも僕だって国のお墨付きの傭兵だったんだお」
(´<_` )「単純な身体強化だけのアーサーに何ができる」
アーサーには、アーサー同士にしか見えないオーラがある。
それは能力を発動した時に現れ、アーサーの力の種類に対応した色を放つのだ。
男が放つオーラの色は、赤。
その色は、身体強化系を現す。
( ´_ゝ`)「ほう……でかいな」
男が放つ赤いオーラは、その背の倍以上にまで伸びていた。
オーラの大きさは、単純にその能力の強さを示す。
(´<_` )「単純だが……長所をひたすらに伸ばした、というわけか」
( ^ω^)「そういう───ことだお!」
声と同時。男が疾駆する。
先の突進とは比べ物にならない程の速さ。そして、鋭さ。
男は瞬時に、弟者の眼前まで迫った。
(´<_`;)「なんとっ!?」
そしてすぐさま、放つ。
(# ^ω^)「ふっ!」
強く踏み込んだ勢いを、膝へ、腰へ、肩へ、肘へ。
そして力の全てが、右拳へと集う。
赤いオーラを纏った拳が、弟者の顎めがけ突き上げられる。
真紅、一閃。
男の赤いアッパーが、弟者の顎を捉えた。
( <_ ;)「ぐおおおおおぉぉぉ!!」
激しく空へと打ち上げられた弟者。
常人なら、頭が消し飛んだ一撃だっただろう。
だが弟者は、オーラを瞬時に狙われた部分に集中させ、衝撃を和らげた。
その色は、防御系を示す、青。
和らげたと言っても、死を逃れただけだ。
弟者のダメージは、大きい。
( ^ω^)「まだだお!」
空中で追撃をかけようと、跳ぶ。
すぐに横に並び、今度は赤い踵を掲げた。
叩きつけるつもりだ。
だがその踵が打ち落とされることはなかった。
( ´_ゝ`)「俺を忘れてもらっては困る」
言うが同時、横合いから蹴りを放つ。
踵を上げた体勢の男がそれを避けられるはずもなく、男が逆に蹴り落とされる結果になった。
兄者はそのまま、空中で弟者を抱きかかえ着地する。
(´<_`;)「あたたたた……」
( ´_ゝ`)「油断したな、弟者」
(´<_`;)「油断はしたが……こういうのは兄者の役目では」
( ´_ゝ`)「何の話だ とりあえず、奴さんはまだピンピンしてるぞ」
兄者の蹴りはがら空きだった脇腹にめり込んでいた。
しかし男は、膝をつき反撃にこそ出られなかったものの、ダメージがある様に見えない。
より色濃く、笑っていたからだ。
( ^ω^)「おっおっ この程度なのかお……これは賞金いただきだお」
確信に満ちた、笑み。
( ^ω^)「弟が青、兄貴は赤かお」
( ´_ゝ`)「見えたのか なかなかやるじゃないか」
男を蹴り落とす時、兄者も僅かに蹴りにオーラを込めていた。
悟られないように。
しかし見切られていた。
それだけでも、男の実力が窺える。
兄者のオーラは、赤。
男と同タイプだったが、同じく兄者も、それに絶対の自信を持っていた。
( ^ω^)「もういいお 一気に終わらせるお」
言って再び、オーラを高める。
だが。
( ´_ゝ`)「おい、あんた」
( ^ω^)「なんだお?」
( ´_ゝ`)「昔の俺達がなんて呼ばれてたか、知ってるか?」
( ^ω^)「…………」
構えは崩さず、じっと二人を見つめる男。
( ^ω^)「……金色の、流石……」
( ´_ゝ`)「OK、知ってるのな」
満足そうに頷くと、兄者は膝をついていた弟者を立ち上がらせ、横に並ぶ。
( ´_ゝ`)「見せてやるよ」
── 『金色の、流石をな』 ──
兄者が左手を横に。 弟者が右手を横に。
がっしりと、互いの手を、握る。
『おおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!』
二人が、吼える。
それに呼応し、赤と青のオーラが高まり、絡み、混ざり合う。
赤と青が溶け、生まれるは、黄。
尚も勢いは、止まらない。
(;^ω^)「馬鹿なッ!? このオーラ量はなんなんだお!?」
黄のオーラが、周りの木々を超えた頃、その成長を止めた。
がしかし。
『はぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁ!!!!』
さらに力を、込める。
黄のオーラが、輝く。
眩しく、煌き、それはまさに、金色。
『エクシィィィィィィドッッ!!!!』
力ある言葉に、オーラが爆ぜた。
キラキラと、金色の粒子が降り注ぐ。
渦を巻く金色のオーラ。
その中心にいたのは、二人の男ではなかった。
(;^ω^)「なん……だと……?」

── 金色の流石、光臨 ──
(´<__ゝ`)『さぁ、お前が見たいのは、神の左手か、それとも悪魔の右手か?』
( ^ω^)「ちょちょ、ちょっとカメラ止めて」
打ち切りッ
この小説は2008年11月17日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:cz7ASnEN0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
お題アッパー
神の左手か悪魔の右手か
エクシード
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