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きょうだい、のようです

 
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




lw´‐ _‐ノv「知ってるかい、かわいい弟」

(-_-)「何を?」

lw´‐ _‐ノv「人間はね、死ぬと泡みたいに消えるらしい」

(-_-)「あぶく、」

lw´‐ _‐ノv「そう、泡だよ、かわいい弟。水面にね、ぷわりと浮かんで、半球になって、ぱちん」

(-_-)「消えるんだ」

lw´‐ _‐ノv「消えちゃうんだ、ぱちんと、少しの、ほんの少しの波紋のあと、
       何事もなかったかのように、水面は元通りのしずかさを取り戻す」

(-_-)「なら、僕らが死んでも、すぐに元通りなんだね」

lw´‐ _‐ノv「うん、たとえどんなに大きな泡でも、たいして波紋が広がる事もなく、元通り」

(-_-)「そっか、そっか、なんだか、寂しいね」



20090130213443.jpg



 二人は冷たいフローリングに寝転がっていて、何をするでもなく、けれど口だけは動かしていて。

 弟の部屋である空間には必要最低限の物しか存在せず、簡素なパイプベッドには乱れたシーツと布団。
 脱ぎ捨てた部屋着。
 小さな本棚、小さな机だけ、クッションやソファなんて物は存在せず、ひどく片付いた部屋だった。

 夕方のオレンジ色が窓から注ぎ込まれ、部屋全体をセピアにしている。
 その中でただ寝転がる姉と弟は、怠惰に、惰性で口を動かすばかり。
 なんの意味もないやり取りだけれど、二人はどこか楽しそうで。

 黒い学生服姿の弟と、白い袖の無いワンピースを着た姉。
 姉の身体はひどく冷たくなっていて、顔色も悪く唇は紫色。
 手足の先端を真っ赤にしながらも、姉は寒がるそぶりも見せず、淡々と言葉を繋げていた。

 弟が僅かに身体を動かして、床に広がる姉の長い髪を一束掬い、握る。

 冷たくて細い手触りに、弟はまぶたを下ろした。


lw´‐ _‐ノv「死ぬならね、かわいい弟、どんな死に方がいい?」

(-_-)「よく分からないけど、苦しくないのが、いいな」

lw´‐ _‐ノv「バカだなあ、苦しくない死なんてないんだよ、
       身体が死ぬにせよ心が死ぬにせよ、苦しいに決まってるじゃない」

(-_-)「そっか、苦しくて当たり前なんだ、じゃあどんな死に方がいいかな」

lw´‐ _‐ノv「死はね、いつでも自分の腹のなかにあるんだ、生きたくても死ぬし、生きたくなくても死ぬ」

(-_-)「うん」

lw´‐ _‐ノv「だったら好きな死に方を選びたい、苦しくて悲しいのなら、好きな死に方がいいよね」

(-_-)「そうだね、どうせ死ぬなら、だよね」

lw´‐ _‐ノv「怒られるかな、死ぬとか軽々しく言うなって」

(-_-)「ああ、怒られるかもしれない」

lw´‐ _‐ノv「怒られるのは、いやだなあ」

(-_-)「僕も、いやだな」


 ごろん、と漸く姉が動く。
 寝転がったまま弟のすぐ近くまで移動した姉は、腕を伸ばして弟の頭を抱え込んだ。
 少し苦しそうにみじろぐものの、弟も姉の胸に顔を押し付ける様に、身体の向きを変える。

 姉に抱き締められるようにして寝転がる弟。
 弟の頭を抱き締めて、髪を撫でながら唇を押し付ける姉。

 白いワンピース越しに感じる姉の体温はひどく低くて、弟は静かに、その柔らかな白い布地を握りしめる。
 髪を握る手をゆるめる事はせずに弟は顔をあげて、姉の表情を覗く。

 息のかかる距離に存在する、整った姉の顔。
 血の気の失せた青白い顔に、握っていた物を離して、姉にしがみついた。

 腕いっぱいの、柔らかくて冷たい何か。


lw´‐ _‐ノv「私はね、私はね、きっと死にたいと思ってたんだ」

(-_-)「うん」

lw´‐ _‐ノv「でも私が死んだら、ぱちんとはじけたら、少しでも波紋が広がるでしょう、
       ほんの少しの、小さな波紋が」

(-_-)「うん」

lw´‐ _‐ノv「私はね、私がはじけて消える事によって波紋が生じるのならね、消えたくはないの」

(-_-)「うん」

lw´‐ _‐ノv「その波紋は、家族とか、一握りの友達が感じる、悲しみとかだから」

(-_-)「僕は、姉さんが消えたら悲しいよ」

lw´‐ _‐ノv「私も、かわいい弟が消えたら悲しいもの」

(-_-)「うん」

lw´‐ _‐ノv「だからね、死なないように、消えないように、頑張りたいの」

(-_-)「僕も、頑張るね」

lw´‐ _‐ノv「うん」


 弟の額に唇を押し当てて、ほんのりとだけ笑って見せる姉。
 弟は片手をほどいてそっと伸ばし、姉の唇に触れた。
 冷たくて少しかたくなっているけれど、それでも柔らかな唇。

 紫色の唇の隙間から舌を出して、弟の指先に舌を這わせた。
 くちり、と唾液が糸を引く音。
 右手の人差し指と中指が、熱い舌によってゆっくりと濡れてゆく。

 糸を引いて手の甲に流れる唾液は、夕方のオレンジ色を浴びて、きらきらと。

 二本の指を舌の先でさんざん玩んだ姉は、それをそっと口に含み、優しく歯を立てる。
 こり、と噛まれた関節が鳴り、弟は僅かに眉を寄せた。



 かちゃり。



('A`)「シュー、ヒッキー、夕飯だぞ」

(-_-)「ああ、兄さん」

lw´‐ _‐ノv「ん、ぷ、もう、そんな時間なんだ」

('A`)「シュー、上着くらい着ろって言ってるだろ、ほかヒッキーも着替えて」

(-_-)「はあい」

lw´‐ _‐ノv「はあい」

('A`)「全く、困った妹と弟だな、どうせまたろくな話をしてなかったんだろ」

lw´‐ _‐ノv「兄さんが私に言った事、言って、しただけだよ」

('A`)「人の話を誰かに言わない」

lw´‐ _‐ノv「私と全く同じ事を思ってたんだもの、良いじゃない」

(-_-)「着替えたよ。ああ、そうだ」

('A`)「ん?」

(-_-)「僕も同じ事、考えてたんだ、兄さん、姉さん」

lw´‐ _‐ノv「きょうだい、だね」

('A`)「血の繋がりって怖いな、ほら行こう」

(-_-)「うん」

lw´‐ _‐ノv「はあ、お腹すいた」

('A`)「はいはい、早く降りろよ」


 ぱたん。



おしまい





この小説は2008年11月29日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:DbeFltj8O 氏



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[ 2010/01/08 22:03 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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