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(=゚д゚) 自由なようです

 
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




20090129060945.jpg


/


春のある朝、僕は目覚まし時計のけたたましいベルで目を覚ます。
本来なら、僕の隣で今も眠り続けている彼女が起きるための物なのだろう。

でも彼女はいつものように、やっぱり起きることはなくて、
僕もやっぱりいつものように前足を彼女の頬にやるのだ。
ぷにぷに。

ξ -⊿-)ξ「うーん……」

ここでうっかり爪を立ててしまうと、彼女は飛び起きて烈火のように怒り出す。
実の所、彼女の怒った顔も僕は好きなのだけれど、鏡を見てため息をつく彼女は見たくない。
それに、彼女の顔に傷をつけるなんて、僕自身が一番許せない行為なのだ。

ξ ゚⊿゚)ξ「ん……おはよ、ピート」

やがて彼女は目を覚まして、右手で目覚ましを黙らせながら、左手で僕の頭を撫でてくれる。

ξ ゚⊿゚)ξ「また布団に入ってきてたのね? もう、仕方無いんだから」

そうは言っても僕は彼女の温もりが好きなのだし、
彼女自身、僕に毎朝起こされているのだからおあいこだ。
相互扶助関係にあると言える。
僕はそんな思いを込めて彼女に抗議の声を挙げるのだけれど、

ξ ゚⊿゚)ξ「ん? なに?」

彼女にそれがわかるわけもなく、寝転んだまま僕を撫で続けている。

ほとんど毎朝繰り返される、いつものやり取り。
それはやっぱり気持ち良かったので、僕は何だかどうでもよくなって、
彼女の頬をぺろりと舐めた。

ξ ^⊿^)ξ「ちょ、くすぐったいってば」

彼女は笑いながら身を起こして伸びをし、ベッドを降りる。
2箇所ある窓を開けて、空気を入れ替えていった。

入ってくる外の空気はもう随分と暖かくて、
僕は居間のコタツがもうじき去ってしまうだろうことを知る。
寂しくなるけれど、その代わり、これからは彼女のベッドが僕の昼寝スポットになるのだ。

ξ ゚⊿゚)ξ「おかーさーん、ごはーん」

彼女はそう言いながら、ダイニングのある1階へと降りていく。
早足でその後についていくと、穏やかな空間が広がっていた。

(*゚ー゚)「おはよう。ほら、とっとと食べちゃいなさい」

(,,゚Д゚)「おぅ、おはよう」

トーストを口に運ぶ彼女の母親と、コーヒーを片手に新聞を読む父親。
コーヒーの匂いはあまり好きではないのだけれど、
毎朝、ずっと嗅いでいると次第に慣れてくるものだ。
いつの間にか、僕は苦手なコーヒーの香りに安心感を覚えるようになっていて、
その慣れはなかなか心地よいものだった。

(*゚ー゚)「はい、ピート」

キャットフードが盛られた皿が、テーブルに置かれる。
僕はフローリングの床を蹴ってテーブルに上がり、母親に向かって一声。

(*^ー^)「はい、どうぞ」

(,,゚Д゚)「うん。ピートは本当に賢いし、礼儀正しいな。
     ツン、少しは見習えよ?」

そう父親がからかうように声をかけると、
いただきますも言わずに食べ始めていた彼女は顔をしかめた。

ξ ゚⊿゚)ξ「もー、お父さんうるさいー」

(;゚Д゚)「うるさ……!?」

娘の心無い一言に衝撃を受けている様子の父親を見て、
母親がクスクスと笑いを漏らす。
うるさい、と言われただけで大げさだとは思ったけれど、
僕自身、彼女にうるさいと言われたらショックだろうと考え直した。
僕は内心密かに父親に同情しながら、キャットフードを頬張る。


ξ ゚⊿゚)ξ「っと、んじゃ、行ってきまーす」

そうして、彼女が家を出る時間になった。
彼女は玄関の立ち鏡で髪型を確認しながら、台所の母親へと声を上げる。

(*゚ー゚)「はい、行ってらっしゃーい」

母親の返答に続けて、僕も声をかけた。
行ってらっしゃい。

ξ ^⊿^)ξ「行ってくるね、ピート」

勿論、僕の言葉は彼女に意味を伝えることは出来ないけど、
彼女は笑顔と共にそう言って、僕の頭を軽く撫でてくれた。

彼女がドアノブを捻ると、玄関のドアが開いて、外の光が玄関を明るく照らす。
近くの大通りを車が通る音、春風が木を揺らす音と共に、慌てた声が僕の所まで届いた。

(;^ω^)「ツン、何やってたんだお! 遅刻しちゃうお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「うるさいわねー、いつも通りの時間でしょ!」

( ^ω^)「そのいつもが遅すぎるんだお。
       また走らなきゃいけなくなるお……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ダイエットに協力してあげてんのよ、感謝しなさい」

( ^ω^)「だいたいツンは――」


そこで、ドアが閉まった。

玄関は元の通り薄暗くなり、母親の洗い物をする水音だけが聞こえてくる。
僕はやっぱりいつものように仄かな寂しさを感じて、それを欠伸で押し殺した。

居間に戻り、まだ暖かさの残るコタツの中に潜り込む。
もう少しで丸一年お別れなのだから、せめてその間だけでも満喫しておかなくてはいけない。
僕はコタツ布団の暗闇の中、もう一度だけ欠伸をして、目を瞑った。


/


夏のある日、僕は彼女を起こして送り出し、だけど眠ることが出来ずにいた。
夏の苛烈な日差しはあまりにも激しくて、
僕は何度も母親に冷房をつけようと提案する。

(*゚ー゚)「ん? どうしたの?」

でもそれを母親がわかってくれる筈も無くて、
僕は仕方なく、涼しい場所を捜すために家を出た。

一歩外に出ると、湿気の多いからみつくような熱気と、
生ぬるい風が僕を包み込む。
近くのコンクリートの塀に飛び乗ると、そこはもう太陽の熱を思う存分に吸収していて、
僕は足裏を火傷する前に慌てて飛びのいた。
僕はうんざりとため息を漏らしてから、結局いつもの公園を目指す。


爪゚∀゚)「おぅ、ピートか」

公園の片隅、木陰で丸くなっていると、
たまに顔を合わせる白黒まだらの猫が姿を見せた。

名前はづー。

と言っても彼は野良なので、彼自身で自称しているだけなのだけれど。
僕は軽く挨拶をして、そのまま目を瞑った。

爪;゚∀゚)「ちょ、相変わらず冷たい奴だな。ちょっと話でもしようぜ?」

そうは言っても僕は眠いのだ。
夏になると彼女は暑いのを嫌がってか、僕をベッドに入れたがらない。
他の季節なら仕方無いなぁ、と笑ってくれるのだけど、
この季節に限っては半ば寝ぼけて本気で蹴りだしてくる。

そんなわけで僕は毎日蹴られないポジションを維持するのに酷く気を使っていて、
おかげで最近寝不足だった。

爪゚∀゚)「はいはい、相変わらずご主人様万歳なわけね。
     ったく、猫の癖に人間に飼われて尻尾を振ってるなんて情けねぇ。
     自由、ってもんを知らないのか?」

僕はそれをいつものように聞き流して、
欠伸をしてから空を見上げる。
木の葉の間からのぞく太陽は相変わらず輝いていて、
これが冬ならありがたいのにと思う。

やっぱり僕は夏が嫌いだ。


/


秋のある夜、彼女はとても真剣に自室の鏡と向き合っていた。
部屋には引っ張り出された衣服が散乱していて、足の踏み場も無い。
僕は居場所を模索した結果、彼女の枕の上に落ち着いて、
服をとっかえひっかえする彼女を眺めていた。

ξ ゚⊿゚)ξ「うーん……」

彼女は何度目になるかわからない唸り声を漏らした。
お気に入りの筈の、今試している服もやっぱりダメだったみたいだ。

ξ ゚⊿゚)ξ「どうしよう……決まらない……」

彼女はため息をつきながら、散らばった服を見渡す。
幾つかを手にとっては、それを見定めるように見つめていて、
一体何をしたいのだろう、と僕は首を傾げた。

ξ ゚⊿゚)ξ「このデニムとそこのカーディガンで、でも、どうだろう。
       ……ね、どうかな、ピート?」

可愛いよ、と返したけれど、それが通じるわけも無くて、
彼女は薄く笑った。

ξ ^⊿^)ξ「ってピートにわかるわけ無いよね。
        うーん、ほんと、どうしよっかなぁ……」

心無い一言にいたく傷ついて、
僕は抗議の声を上げたけれど、彼女はもうそれを聞いていなかった。
僕が思うに、彼女はもう少し自分に自信を持ってもいいんじゃないかと思う。
彼女は僕が見てきた人間の中で一番可愛く、そして綺麗なのだから。

ξ ゚⊿゚)ξ「うーん……」

そんな風にして、秋の夜長は更けていった。


/


冬のある日、僕は再会したばかりのコタツを堪能しながら、外を眺めていた。
みぞれ混じりの雨はひどく冷たそうで、そろそろ帰ってくるだろう彼女が濡れていないか心配になる。
外と比べて中は暖かくて、僕は雨の日特有の幸せな安心感に包まれていた。

と、玄関のドアが開く音が聞こえた。
僕は彼女を迎えるために、コタツを抜け出して玄関に向かう。
そうして、

ξ ⊿ )ξ「――――」

その僕がまるで見えていないかのように、彼女は自室へと駆け上がっていく。
全身ずぶ濡れで、顔色は青を通り越して真っ白だ。
予想外の事態に凍りつく僕を置いて、彼女は部屋のドアを乱暴に閉め、
そして、夜になっても、夕食が用意されても、出てこなかった。

(*゚-゚)「……あの子、どうしたのかしら」

(,,-Д-)「……まぁ、色々あったんだろうな。
     少し、1人にしておいてやるか」

(*゚ー゚)「そうね。ツンから何か言ってくるのを待ちましょうか。
     あら、ピート、もういいの?」

いつものキャットフードは酷く味気なく感じられて、半分も食べることが出来なかった。
僕は少なからず動揺していた。

いつも、帰ってくると僕を抱きしめてくれる彼女が、
いつも暖かくて輝いている彼女が、どうしたのだろうと思う。
しかも、多分。あの時彼女は、泣いていた。
どうしてだろう。

彼女は最近、とても明るく、嬉しそうにしていたのに。
幼馴染と何かあったのか、彼のことを笑顔で僕に話していた。
彼女は多分幼馴染のことが気に入っていて、
一緒に居ると楽しいのではなかったのだろうか。

(*゚ー゚)「あら? ピート、どうしたの?」

母親の問いかけを無視して、僕は専用の窓を開けると外に出た。
確かめなければいけないと思った。


( ^ω^)「……お?」

木を使って、隣の家の2階へ。
窓を引っ掻くと、幼馴染はすぐに気付いてカーテンを開けた。

( ^ω^)「ピートかお? どうした――」

幼馴染がそう言いながら窓を開けた瞬間、
僕は彼の顔に飛びかかって爪を振るった。

(メ ゚ω゚)「おおっ!?」

僕は音を立てずに床に降りる。
慌てた様子の幼馴染は頬を押さえながら、僕に手を伸ばした。

(メ^ω^)「ど、どうしたんだおピート?」

その差し出された手がどれだけ柔らかいのかを、僕は知っている。
細くて綺麗な彼女の手とは違うけれど、暖かい手。

幼馴染に抱きしめられると、出っ張った腹がとても気持ちよくて、
眠ってしまいそうになることも知っている。
だけど、今その手を受け入れるわけにはいかない。

(メ^ω^)「いてっ! こらピート、引っ掻いちゃダメだお!」

ダメじゃない。だってお前は彼女を傷つけたんだから。
僕は唸り声を上げながら、幼馴染を睨みつけた。
いつかの秋の夜を思い出す。

悪いのは、お前だ。

(メ^ω^)「……もしかして、怒ってるのかお?」

そうだ。許さない。
彼女が今、どうしていると思っているんだ。

(メ^ω^)「…………」

幼馴染は、また手を伸ばした。
勿論僕はそれを引っ掻いたけれど、
それでも幼馴染は手を止めない。
暴れる僕を強引に抱き上げて、僕を目を合わせた。
何をするんだ。

(メ^ω^)「ピート。聞いて欲しいお。
      確かに、ツンを傷つけたのは僕のせいだお。
      僕が、ずっとツンの想いに気付けなかったんだお。
      そのせいでツンを傷つけちゃったんだお。僕のせいだお」

そうだ、お前のせいだ。だから離せ。

(メ^ω^)「でも、これからは傷つけないお。
      もう、自分の気持ちにも気がついたんだお。
      約束するお。これからは、絶対にツンを泣かせるようなことはしないお。
      どんなことがあっても、僕が守ってみせるお。誓うお」

僕は動きを止め、幼馴染の瞳を見つめた。
幼馴染も目をそらさず、じっと僕を見返してくる。
そうして、どれほど時間が経っただろうか。
僕は一声鳴いて、彼の頬を舐めた。

(メ^ω^)「お?」

彼の腕から降りて、開けっ放しだった窓へと向かう。
幼馴染をもう一度だけ振り返って、もう一声かけた。

(メ^ω^)「ありがとうだお」

僕は頷きを返し、居るべき場所へ帰る。
空を見上げると、雲が一面を覆いつくしていて、星も月も見えなかった。
時折強い風が吹いて、木や家々のガラスが軋む音が聞こえる。
鼻先に何か落ちてきたので舐めたけれど、もうそこには何も残っていなかった。

雪だ。
僕は寒さに身を震わせて、尻尾を丸めながら専用の出入り口をくぐった。
きっと、2人は大丈夫だと思う。


/


春のある朝、彼女はいつものように僕に起こされて、学校へと向かう。

ξ ゚⊿゚)ξ「おはよー」

( ^ω^)「おいすー」

変わっていないように見える2人だけど、並んで歩く時の距離が少しだけ短くなった。
そうやって、少しずつ進んでいってくれればいいと、そう思う。

ξ ゚⊿゚)ξ「あれ? どうしたの、ピート?」

( ^ω^)「玄関から外に出てくるなんて、珍しいお」

僕はまず幼馴染の肩に飛び乗り、頬をひと舐めした。
あの雪の夜のことを思い出す。随分と前のことのように感じられた。

( ^ω^)「ちょ、くすぐったスwwwwwww」

ξ ゚⊿゚)ξ「おいで、ピート」

続いて、彼女の腕の中に飛び込んだ。
そこはやっぱり暖かくて、僕は安心感にのどを鳴らす。
彼女は穏やかに笑いながら、僕ののどをくすぐってくれた。

ξ ^⊿^)ξ「どうしたの、ピート?」

ありがとう。
僕はそう彼女に言って、暖かな腕の中から飛び降りた。

ξ ゚⊿゚)ξ「んじゃ、行ってくるよ、ピート」

( ^ω^)「学校終わったら会いに行くおー」

並んで歩く2人に、もう一度だけ声をかけてから、僕は踵を返した。
彼女の両親との挨拶は、もう済ませてある。
行こう。

そうして着いたのは、いつもの公園の片隅だった。
僕はそこに体を丸めて、一息つく。
ここにたどり着けて良かった。もう、一歩だって動けない。
普段通りに振舞うのも、もう限界だった。

春の風が体を撫ぜるのを感じる。
冬はもう終わった。暖かい風が、気持ちいい。
それがあんまり心地良いものだから、僕は目を閉じた。
そうして、どれ位そうしていただろうか。

爪゚∀゚)「……よう」

遠慮がちにかけられた声に、目を開く。
久しぶりだね。

爪゚∀゚)「……アンタみたいな奴も、最期はそうするんだな」

そう。
飼い猫として、今まで生きてきた。
彼女や父親、母親には、とても感謝している。
でも、この姿を見せるわけには、いかない。
それは、僕の中にたった一つだけ残された、絶対の矜持だった。

爪゚∀゚)「アンタ、バカだよ。
     俺達は自由に生きるんだ。それこそ、生きているってことなんだ。
     それを忘れちゃ、終わりだ。
     最期まで飼い主に媚びた声出して、アンタ、それで良かったのか?」

僕は笑った。
わからない? 僕はこれ以上無いほどに、自由に生きたんだ。
僕は彼女と一緒に居たかった。だから彼女と一緒に居た。
僕が選んだんだ。
これが自由でなくて、なんなんだろう?

爪゚∀゚)「違う。それは、違う」

若い、と思う。
ねぇ、僕は10年前、ここで彼女と会ったんだ。
ちょうど今くらいの季節の、冷たい雨の日だった。
僕は、手を伸ばした彼女を引っ掻いた。
来るな、と言った。どこか行っちゃえ、と。

でも彼女は傘を捨てて、僕に両手を伸ばした。
そうして、僕を抱き上げてくれた。
冷たい雨に濡れた彼女は、でも、とても暖かかった。
暖かかったんだ。

ξ ^⊿^)ξ『一緒に、行こうか』


爪゚-゚)「……わかんねぇよ」

そうか。

爪゚-゚)「じゃあな。アンタのこと、嫌いじゃなかったぜ」

づーはそう言って、尻尾をピンと立てながら去っていった。
僕も、嫌いじゃなかったと思う。

そうして、また目を瞑る。
僕は彼女の温もりと笑顔をもう一度だけ思い出して、
それがここに無いことを寂しく思いながら、眠りについた。



(=゚д゚) 自由なようです。 Fin.





この小説は2008年11月14日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:O0TNFoF90 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです



お題
自由に生きる僕達の自由



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/08 21:52 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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