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はじめてブーン系小説を読む方は
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しんしんと降り続ける雪。
街では至るところにイルミネーションがピカピカと光り、嫌でもクリスマスだということを思わせる。
( ФωФ) 「さむいな……」
ふと気づけば、街はカップルや家族連れで賑わっている。こんなに寒いというのに。
まあ、世間が騒ぐのも無理は無い。
なんといったって、この地方では珍しいホワイトクリスマスなのだから。
( ФωФ) 「……」
こうやって街中を一人で歩いていると、孤独が身に染みる。
なぜ、なぜなんだろう。何故、自分はこんなところを歩いているんだろう。
( ФωФ) 「冬の夜(よ)に ぬくぬくコタツ 入りたい」
寂しい心とは裏腹に、今日も俳句は絶好調のようだ。
我輩は急いでメモに今の俳句を書きとめた。
( ФωФ) 「……」
クリスマスとは一体なにをする日なんだろう、とふと疑問に思う。
イエスの誕生日を祝うのか、それともただ浮かれ気分で一日を楽しむのか。
宗教は根付いていない日本では、その本質を理解できないのも仕方がないのかもしれない。
('A`) 「果たしてそうかな、ロマネクス?」
( ФωФ) 「……」
見れば目の前に、見知らぬ貧相な男。
我輩を名指ししてるあたり、こいつは我輩に用事があるのだろう。第一、我輩の名前はロマネスクだ。
しかし、クリスマスは危ないやつがいるのも事実。我輩は奴を無視して歩き出す。
('A`) 「おいおい、ちょっと待ってくれよー」
( ФωФ) 「……」
('A`) 「お前さー、クリスマス楽しんでないっしょ?」
大きなお世話だ。第一、何故我輩についてくる。
そう大声で怒鳴りつけたいが、周囲への迷惑を考えて押しとどめる。
('A`) 「俺さ、神様なの。神様」
ああ、やはりこの男は気が狂っているらしい。
いや、もしくは我輩は幻覚・幻聴を……。
('A`) 「クリスマスにさ、寂しい男を見つけては招待するのよ」
こやつの言葉は、いちいち俺を刺激する。
寂しい男? 違う、我輩は孤高な存在というだけだ。
('A`) 「なあ、お前経験したことないんだろ? 最高のクリスマスってやつを」
温厚な我輩も、この失礼極まりない男にはぶち切れた。
歩みを止め、すばやく後ろを振り返り、右腕を振り上げた――
「ようこそ、ドクオのクリスマスパーティへ」
( ФωФ) 「ぬ!?」
振り下ろした右腕は空をかき、我輩の視界は真っ白に染まっていく。
瞼がゆっくりと閉じていき、なんだか眠くなってきたようだ。
そして段々と意識は薄れていき――視界は完全に真っ暗になった。
目が覚めた。
ここはどこだろう。まだ意識もはっきりしておらず、現状を把握するのは難しい。
('A`) 「おはよう、調子は良いみたいだな」
調子は良い? この男は馬鹿なことをぬかす。
体は不安定で、まるで自分の体じゃないような感覚だ。
('A`) 「はは、怖い目つきだな。だが……体は正直だよ」
体は正直? 三流AV男優みたいなことを抜かす男だ。
馬鹿いえ我輩の体は、我輩の意思のみで動く――ん?

('A`) 「……な?」
馬鹿な。この我輩がこのような踊りを踊っているだと?
抵抗しろ、抵抗だ――!!

我輩の体は、我輩の意思とは裏腹に軽快なダンスを続ける。
しまいにはこ洒落たラップなんか刻みながら。
我輩の体は、不思議と踊ることをやめない。
まるで操られているかのようだ。

('A`) 「良い表情してるよ。ロマネクス」
違う、我輩の名は――。
いや、今はそんなことどうでも良かった。ただこの快感を体中に感じていたかった。
そしてもちろん俳句はメモに書きとめた。
('A`) 「もっと最高な刺激があるんだぜ? どうだ、体験してみるか?」
( ФωФ) 「はっはっは! 更なる快感がこの世にあるというのか!?」
('A`) 「そうさ! もっともっと最高なものがあるんだ!!」
我輩の踊りに合わせて、ドクオも両手をあげて腰を振る。
いいだろう、更なる高みがあるというのなら――目指さない理由などない。
('A`) 「アーユーレディー!?」
( ФωФ) 「よかろう!!」
('A`) 「それじゃあ行くぜ!!」
( ФωФ) 「うぬ!!」
我輩と貧相な男、いや、神様の体はゆっくりと宙に浮き始める。
そしてそのまま上昇していき、次のステージへと進んだ。




空に浮かぶ天の川を翔ける、我輩と神様。
最高に気分が良い。
('A`) 「どうだい!! ロマネクス!!」
( ФωФ) 「最高だ!! それと我輩はロマネスクだ!!」
('A`) 「そうか、それは良かった!! ……そろそろ12時か」
( ФωФ) 「それがお主との別れの時間か!? 」
('A`) 「……そうだ!!」
( ФωФ) 「最高だったぞ!! 初めてのクリスマスパーティは最高だったぞ!!」
段々と神様の姿が小さくなっていく。
タイムリミットが近づいているということだろう。
人生で初めてだろう。こんなに楽しいクリスマスを過ごすことができたのは。
神様に感謝したい。あ、それからクリスマスプレゼントもできれば欲しかった。
それじゃあな。
そして再び、我輩の視界は白に包まれる。
段々と意識は失われていく。そしてゆっくり、ゆっくり……。
鳥のさえずりが聞こえる。
窓からは朝の日差しが差し込んでいて、眩しい。
( ФωФ) 「……」
夢だったのだろうか。あの楽しい時間は夢だったのだろうか。
常識的に考えれば、あれらの世界はありえないことだ。だが……。
ふと、我輩の首になにかが巻かれているのに気づいた。
マフラーだ。見覚えの無い黄色いマフラーで、ほんのり暖かい。
( ФωФ) 「まさか……」
マフラーをよく見ると、ある文字が赤い毛糸で縫われていた。
「ロマネクス」
と。
( ФωФ) 「だから我輩の名はロマネスクだと言うのに……」
ついつい笑みが漏れてしまう。
あやつ、しっかりクリスマスプレゼントを置いていったか。
そうだ。一つだけ神様に言っておこう。
ここで一句。
( ФωФ) 「来年は 女の子とね 過ごしたい」
季語はない。しかし、心がこもっている。
我輩はメモを取り出すと俳句を書き留めておいた。
今日は12月26日。
世間の子供たちは早起きで、カップル共はお寝坊さんしていることだろう。
みんな誰かしらとの絆をわかちあっていることだろう。
だが我輩――杉浦ロマネスク……。
今年のクリスマスは孤独ではなかった。
ちょっと遅いが、メリークリスマスだ。
ディアー、神様。
( ФωФ)ロマネスクは孤独のようです END
この小説は2007年12月2日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:F7fyI1f50 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
お題初めてのパーティー
マフラー
ご意見等あれば米欄にお願いします