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( ^ω^)ブーンはあっち向いてホイ番長のようです

 
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




【幼き日の追憶】

( ^ω^)「とーちゃん、とーちゃん!」

『ん? なんだ、ブーン』


僕の上から低い声が降って来る。
父の背中は大きかった。


( ^ω^)「あっちむいてホイするお!」

『ハハッ、ブーン』

( ^ω^)「じゃーんけーん!」


「ぽん!」と声が重なる。
僕はグー。父もグー。


( ^ω^)「あーいこーで……」

『――シッ!!』


物凄い速度でパーに入れ替える父。


(;^ω^)「えっ……」

『あっちむいてホイィ――――――ッ!!』


そのときのことは忘れない。
振り抜かれた父の人差し指は、息子である僕の首を右90度の方角に容赦なく薙払っていた。


(ω<)「と、とーちゃ……」


誰かが嘲った気がした。


『ハハッ、ブーン』


しかし無理矢理あさっての方へ曲げられた視線は、眩しいほど夕日を映すだけだった。
薄れ行く意識。
それが父との最後の記憶になった。




20081217070124.jpg



その男は俯きがちに入って来た。

喧騒が耐えなかった教室内は既に、しんと静まり返っていた。
男が顔をあげる。
瞬間、閃光が辺りに舞い、雷鳴が轟いた。


( ^ω^)「転校生のブーンだお……よろしくだお……」


ゴロゴロと余韻に浸るかのような稲妻を無視し、男は陰鬱な声で言った。
誰もが思わされた。
一体どんな人生を歩んだならこんな声色が出せるのだろう、と。
そしてその顔つきは犯罪者か英雄のどちらかに違いなかった。


(;・∀・)「あの……。ぶ、ブーン君?」

( ^ω^)「なんだお……」

(;・∀・)「出席簿には、内藤ホライゾンってあるんだけど……」


空気の読めないことでよく知られる教師が言った。
二度目の雷光がブーンの表情をかき消した。

こいつァ、消される。

そんな確信が辺りに満ち、クラスを影が支配した。


( ^ω^)「……先生……」

(;・∀・)「な、なにかね?」


突き出されるブーンの右拳。
石の形状を模したその形は、一般的に言われる“グー”であった。


( ・∀・)「ジャンケンかね? いいだろう……」


こう見えても教師、モララーはジャンケンに自信があった。
過去、女生徒のブルマ窃盗を発覚された折、ジャンケンで乗り切った経験さえある。
所謂、ジャンケンのプロフェッショナルなのだ。


( ・∀・)「よし行くぞ。じゃーんけーん……」

( ^ω^)「待った」


モララーの本能が警笛を鳴らす。

まさか、そんな。
この男は、ジャンケン必勝の極意“起”をためらいなく“待った”した。
明らかに素人ではない。


( ^ω^)「ブーンが、音頭を執りますお……」

( ・∀・)「くっ! 好きにしたまえ!」


教師が目上、生徒が目下。
ならば生徒が音頭を執るのは道理だ。
故にそこに異論の余地はなく、譲る他に選択肢の在りようもない。


( ^ω^)「邪ッ!!」

( ・∀・)「なんだと!」


異質な発声に驚愕しない者はいなかった。
――邪はジャに通ず。そう誰かが理解したのが早かったのか。


( ^ω^)「拳ッ!!」


それよりも早くブーンが継いだのか。
拳はケンに通ず。
だが教師モララーとて、仮にもジャンケンの使い手。


( ^ω^)『翻ッッッ!!』 (・∀・ )


彼が手を出せたのは驚愕と言う他例えようもない。

スクール水着姿でのあのバトル。
学費を着服したときの校長とのバトル。

修羅場が一人の教師を成長させ、悪魔の速度で繰り出される掛け声にも屈さない身体にしたのだ。
だが言い換えれば、出すのが精一杯でもあった。
それはつまり腹を空かせたワニが巣くう泉に、裸で飛び込むがごとき愚行。


( ・∀・)「……君がグー。僕がチョキ。敗北、か」


敗者の苦渋、口内にその味が染み渡った。


( ・∀・)「……まさか、一般生徒に敗れるなんてね」

( ^ω^)「……」

( ・∀・)「わかった。君の名前はブーンだ。出席簿も偽造しておこう」


苦々しさと裏腹に、妙に晴れた気持ちですらあった。
教師は思った。

――あぁ、鍛え直してみよう。

久しく忘れていた、ジャンケンへのひたむきさを思い出したのだ。
その高揚感がため、彼は致命的なミスを犯すことになる。


( ^ω^)「あっちィィィ……」


気付かなかったのだ。


( ^ω^)「向いてェェェ……!」


教師モララーに背を向けるように捻られた、ブーンの姿。
強靱な下半身を砲台に、上半身という砲身からまさに放たれようとする、砲弾。
それに構えることが出来なかったのが、彼の人生最大の不幸だった。



( ^ω^)「ホイィ――――――――――――ッ!!」



次の瞬間、教師はグラウンドの遥か上空をきりもみしながら舞っていた。





( ^ω^)「お前はジャンケンに固執するあまり、あっち向いてホイの可能性を失念した……」


星となった教師を見ながら静かに言った。
その最後にアディオスと呟くと、もはやブーンの興味は教師から離れていた。


( ^ω^)「さて……」


じろりと教室を一瞥する。


( ^ω^)「邪魔者は消えた。このクラスはブーンが仕切らせて貰うお……」

川 ゚ -゚)「待て」


立ち上がったのは黒髪の女生徒だった。
彼女の隣席に座る男子生徒が怯えたように言った。


(;'A`)「お、おい! 止せって!」

川 ゚ -゚)「そういうわけにはいかない」


決然とした物言い。


川 ゚ -゚)「私は認めない」

( ^ω^)「何をだお……」

川 ゚ -゚)「今のはあっちむいてホイではない、と言ったんだ」

( ^ω^)「続けろ……」

川 ゚ -゚)「凌辱するかごとき指先で、強姦のように頬を打つ! そこまではいい!」

( ^ω^)「ほう……」

川 ゚ -゚)「私と勝負しろ!」

( ^ω^)「いいだろう……」

川 ゚ -゚)「よし!」


相対する二人。
再び教室に緊迫感とそれに伴う恐怖感がのしかかった。
無音の世界に、

('A`)「クー!!」

と叫びにも似た毒男の声が、ただただ響き続けていた。


( ^ω^)『邪ッ!!』川 ゚ -゚)


ジャは寸分狂わず同時。 ('A`)「クー!!」
クールは事ここに至り、実感していた。 ('A`)「クー!!」
この威圧感、拳から繰り出される風圧、恐ろしいまでの語気。 ('A`)「クー!!」
全てが彼女の華奢な身体を吹き飛ばさんと襲い来るのだ。


( ^ω^)『拳ッ!!』川 ゚ -゚)


ケンに意志を込める。
もはや常人には目視出来ないで ('A`)「クー!!」 あろう高速。

クールは星となった教師を想起した。
こんな化け物と戦っていたのか。
畏敬の念が浮かび、かつてブルマを盗まれたことは許すことにした。



( ^ω^)『翻ッッッ!!』川 ゚ -゚)



かまいたちが教壇をばらばらにした ('A`)「ク……ゲジョバッ」。
破片が毒男の額に突き刺さった。
互いにチョキの場合、ままあることだ。


川 ゚ -゚)「相……」


相呼でしょ!?
眼前の男ならそう言うはずだと、クールは思った。

――なんという見当外れ。


( ^ω^)「――ショッ!!」

川;゚ -゚)「馬鹿な!」


“あいこで”を無視する。

それは小学生達が好む、リズミカルジャンケン。
その上ブーンの“ショ”は、ポンと重なるタイミングで行われていた。
一歩間違えればルール違反。

だがクールは見とれてしまっていた。
この男はなんて鮮やかなんだろう、と。


( ^ω^)「あっちィィィ……」


我に返ったのはそのときだ。
背筋に伝う汗を不快に思う間も無く、思考を始める。
脳内でジャンケンプロセスからシフト、あっちむいてホイプロセスで行うべき行動を予測。
最も愚かなのは左方向へ首を回すこと。

大体の人間が本能的に向きやすく、故に読むのは容易だ。
被害が少ないのは、上方向への回避。
だが傷を恐れれば、あっちむいてホイに勝つなど夢よりも儚い幻となる。

特に、相手は教師を躊躇なく吹き飛ばす、この男なのだから。
以上二つを除外したならば右か、はたまた下か。


( ^ω^)「向いてェェェ……!」


ブーンは先程と同じく右腕を振るってくるつもりだ。――ならば右に。


( ^ω^)「ホイィッ――――――――――――――ィィ」


水平に振り抜かれる剣に似た指先。


川;゚ -゚)「くっ……」


頬を掠める裂かれた空気が、クールの頬を浅く斬った。
黒板を紙屑のように粉砕していくブーンの指。
クール自身も、左目で通過を確認した。


――勝った。


川;゚ -゚)「何っ!?」


クールの柔らかな頬に、衝撃が走る。

何故ここに指があるのか。

可能性はたった一つだけ。

この男は躱された勢いを殺さず、一回転した。
そうやって荒ぶる龍のごとき爪を今一度振るったのだ。



( ^ω^)「ィィィ――――――――――――――――ッ!!」


頬から強引に回転させられ、教室内を竜巻のようにくるくる回るクール。
生徒達の机に置かれていた教科書やノートが舞い上がったのも致し方ない。
クールはさながら神風だった。





( ^ω^)「他に、異議がある者は……?」


竜巻を傍らにブーンは言った。


ξ ゚⊿゚)ξ「……一つだけ、いいかしら?」


吹き荒ぶ風に舞う金髪を抑えている女生徒が手をあげた。
毒男は死んでた。


( ^ω^)「どうぞ……」

ξ ゚⊿゚)ξ「アンタ、最低よ!」


威勢の良い台詞に、ブーンはにやりと笑みを漏らした。


( ^ω^)「楽しい学園生活になりそうだお……」


こうして暫定的にではあるが、VIP学園二年B組はブーンの配下となった。

三年D組の伝説の男、あいこ番長。
悪魔のホイを操る学園長。
ブーンは並み居る強豪を倒し、いずれVIPのあっち向いてホイ番長となるだろう。

だが未だ彼らは知らなかった。
忍び寄る暗黒あっち向いてホイ委員会の手先達。
この世の終焉と共に古から甦る魔王、インジャンホイ。

そして現れる……。


『ハハッ、ブーン』


ブーンの戦いは終わらない。
――これはジャンケンから始まり、ホイに終わる物語なのだから……。











この小説は2008年10月26日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:cG9C9FG8O 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/08 20:43 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(1)

面白かった
[ 2011/10/31 04:10 ] [ 編集 ]

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