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(´・ω・`)二人のようです从 ゚∀从

 
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




この店は昼間だというのに薄暗く、何かあれば壊れてしまいそうな雰囲気を持っている。
その感じが僕は好きなのだが、今時の風潮には合わないらしく、店には誰もいなかった。
まあ、無駄に人が多いのも困り者なのだが、せめて、黒字になるくらいの収入は欲しい。

「邪魔するぜ」

そんな願いが届いたのかそうでないのか、女性のものにしては低く、落ち着いた声が店に響いた。
ドアに掛けられているベルがその声と共鳴するかのように、からん、と気持ちのいい音を立てる。

从 ゚∀从「久しぶりー」

彼女はそれだけ言うと、僕の目の前にあるカウンター席にどっかと座ってりんごジュースを頼む。
いつでも出せるようにしてあるそれを差し出して、僕も返した。

(´・ω・`)「一週間じゃあ久しぶりとは言えないよ。こんにちは、くらいが打倒かな」

と、いうわけで「こんにちは」と挨拶すると「冷たいぜ」なんて軽口が返ってきた。
それでもちゃんと、「こんにちは」と訂正するのだから律義である。



20081014000924.jpg



(´・ω・`)「それで、何の用だい?」

从 ゚∀从「ん? 今日も何もねーよ?
     仕事が一段落したもんだからちょいと息抜きにな」

(´・ω・`)「……毎回聞いてるけど、君の仕事って何なんだよ」

訪ねると彼女は含みを持たせたようにくつくつと笑う。

从 ゚∀从「女はちょっとした謎がある方がかっけーんだよ」

いつもと一字一句違わぬその返事に、はあ、と嘆息。
何がちょっとした、だ。君は頭から足まで全て謎まみれじゃないか。

(´・ω・`)「その決め台詞は、聞き飽きたよ」

呆れながらぼやきじみた感想を漏らすと、今度は本当に無邪気に笑った。

从 ゚∀从「そうだな。決め台詞があるってのも、格好いい」

頷きながら(恐らく)決め台詞を模索している彼女。
分かってやっているのだろうけど、言ってやらない事には話が進まないのだろう。

(´・ω・`)「僕は、そういう意味で言ったんじゃないぞ」

渋々と告げると今度は憎々しく口角を曲げる。

从 ゚ー从「分かってて言ってるからいいんだよ」

こんなにも笑顔の振り幅が激しい人なんて彼女以外にはいないだろうな、と僕は思う。
笑顔一つにこんなにバリエーションがある物なのか、と感心しながら会話を進める。

(´・ω・`)「それ、余計タチが悪いから」

从 ゚∀从「知ってるよ。わざとだし」

(´・ω・`)「…………」

黙っている僕を尻目に、向日葵のような満面の笑みを浮かべて、ジュースを飲み干す彼女。
言外におかわりを要求しているグラスにジュースを三分の一ほど注いでやった。

从;゚∀从「……悪かったから、もっと注いでくれって、なあ?」

(´・ω・`)「それ悪いって思ってる態度じゃないよね――まあ、いいか」

溜息をついて、とりあえずジュースを注ぐ。
このやり取りはつまらないものではないけれど、頭が痛くもなる。
この性格は少しでも改正されないだろうか。

(´-ω-`)「いや、無いな」

これが改正されるなんて、この世に終わりがあったとしても無理だろう。
それに、厄介な事に、このやり取り、実は、楽しい。

从 ゚∀从「何が無いって?」

(´・ω・`)「ん? ああ――」

我ながら、恥ずかしい事を考えていたので少し言い淀んでいると彼女が口を挟んだ。

从 ゚∀从「このレストランの維持費か?」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

前言撤回。こんなやり取り楽しくない。
うん。楽しいのは僕を弄っているこいつだけだろう。

(´・ω・`)「というか、此処はレストランじゃなくて――」

从 ゚∀从「私に言わせりゃ、飯を食わせる所は全部レストランだ」

(´・ω・`)「それは横暴――」

从 ゚∀从「うっせぇ。ぶちかますぞ」

(´・ω・`)「さっきから、君――」

从 ゚∀从「ああ。意図的に喋らせないようにしてる」

(#´・ω・`)「ぶち殺――」

从*゚∀从「却下」

邪気と無邪気が見事に混在している顔に、ちょっぴり感動しながらも押し黙る。
このまま喋っていては圧倒的に不利な状況だと思ったからだ。
一瞬の沈黙のあと、彼女の手からグラスを抜き取る。

从;゚∀从「あ、お前、返せよそれ」

(´-ω-`)「…………」

手の届かない、カウンターの奥にグラスを置くと慌てたように言ってきた。
それでも僕は何も言わない。
ああ、黙秘権って便利。

从;゚∀从「ジュース返せよ、おい」

(´・ω・`)「…………」

小さい子供のようにあわあわと手を振る様は先程とは大違いだ。
そんなギャップが少し笑えたので、素直にグラスを返してやる。

从;゚∀从「あー、びっくりしたなあ、もう」

(´・ω・`)「自業自得じゃないのかい?」

从 ゚∀从「私の辞書にそんな言葉はないんだぜ?」

皮肉で言ったのだけれど、そこまで堂々と返されると返答に困る。
困ったので、話題を逸らそう。
額に手をついて息を吐く動作をしてから、彼女に訪ねた。

(´・ω・`)「それにしても、君は本当にりんごジュースが好きだね」

从 ゚∀从「そうでもないぞ? 好きさで言ったらコーヒー牛乳のが好きだしな」

(;´・ω・`)「え? でも、毎回頼んでるじゃないか」

从;-∀从「それくらい察してくれよな」

(´・ω・`)「……生憎と、僕には君の考えが読めないもんで」

いや、本当に。謎しかないし。
視線で続きを促すと、彼女は照れたかのように頭を掻いた。

从;゚∀从「んー、まあ、ここには置いてないってのも原因の一つかな」

(´・ω・`)「言ってくれれば仕入れたんだけどね。数少ない常連さんだし」

从;゚∀从「ば――! ここではりんごジュースでいいんだよ!」

(;´・ω・`)「え? でも好きな物、飲みたくないかい?」

何が気に入らないのか知らないが、腕を振り回して「そうじゃない」と訴えてくる。
彼女にしては珍しく、照れたように目線をあちこちにさ迷わせながら、こう言った。


从 ゚∀从「私は、この雰囲気が好きなんだ」

それはほんの少し予想外で、もしかしたら予測できていたのかもしれない言葉だった。

从 ゚∀从「だから、今更変えるのもどうかと思うわけで、ええと――もういいや。こっぱずかしい」

ぷい、と背けられた横顔は「だからこれでいい」と言っているように思えた。
きっと、それは間違っていないのだろう。

(´-ω-`)「まあ、君の言いたい事はよく分かったよ」

答えると、彼女は拗ねたようにぐてりとテーブルに突っ伏した。
行儀が悪いと思ったが、何やら凶悪な視線がこちらに向けられたので注意はしない。怖いから。

从 ゚∀从「笑ってんなよ」

(´・ω・`)「この顔は生まれつきだよ」

从 ゚∀从「面白くもないのに笑ってんのか。嫌だな」

(´・ω・`)「接客業には、向いてるだろう?」

从 ゚∀从「……そうだな」

頭だけの寝返りを一つ。
絶えなかった会話が、ぴたりと止まる。
数分の沈黙。不思議と居心地のいいものだった。


从 ゚∀从「――うし! そろそら行くわ!」

(´・ω・`)「ん。またのご来店を」

突然立ち上がった彼女に慌てる事もなく、お決まりの台詞を返す。
何となく、そんな気がしていたので驚きはない。
勘定をポケットから出して、店を出ようとする背中に一つ、言葉を紡いだ。


(´・ω・`)「さっき、君は面白くもないのに笑っている、と言ったけどさ」

从 ゚∀从「ああ」

(´・ω・`)「君は、僕が泣く場面で笑うんだろうね」

その、泣く場面がどんな状況なのかは僕には思い付かなかったけれど。
彼女は一瞬だけ目を閉じて、何かを回想したあと、笑った。


从 ゚ー从「ああ。きっと、そうだろうな」

そう言い残して、僕の顔を見ることもなく、店から出て行った。
はてさて、今の笑顔はどういったものだったのだろうか。


分からない事だらけの彼女を思いながら、いつ来てもいいように、専用のグラスを磨き始めた。
いつか――名前くらいは教えてもらいたいものだ。




(´・ω・`)名前も知らない二人のようです从 ゚∀从






この小説は2008年8月15日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:ClYeiwNsO 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです



お題
レストランにて
デキストラン



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/08 19:56 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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