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はじめてブーン系小説を読む方は
こちらへどうぞ
―※甘くて苦いマーマレード※―
(´・ω・`)「はい、レシピ。渡辺さんならこれで作れるんじゃないかな」
从'ー'从「ありがと~あ、でも最初不安だから一緒に作ってもらってもいいかなぁ?
マーマレードって苦くなりやすそうだし」
(´・ω・`)「いいよ、じゃあうちに来る?渡辺さん家にする?」
やったぁ!
渡辺は心の中でガッツポーズをした。心の中は花が散って光が溢れてくる。
でもそれは心の中に押し留めて、平静を装うように努めた。
もちろん、周りから見れば今の渡辺の周りには花が散って光が溢れていることは一目瞭然なのだが。
从'ー'从「じゃあうちにおいでよ!夕飯もご馳走するよ~」
(´・ω・`)「あ、いいの?じゃあお言葉に甘えようかな」
やったぁ!!!!
再度渡辺は全く隠しきれない喜びを溢れさせた。
――その時の渡辺の笑顔にうっかり心を射抜かれた者は片手の指には足りないという。
―※食べかけのビターチョコ※―
川 ゚ -゚)「で、これがその時のマーマレードか。……というか結局少し苦くないか」
从'ー'从「それは自分だけで作った方。やっぱり失敗かなぁ。こっちが2人で作った方」
渡辺がもう一つの小瓶を開けるとクーはそちらのジャムも取った。
クーが掬ったジャムの行き先は、食べかけのビターチョコレート。
全く恐ろしい味覚をしている。
川 ゚ -゚)「ん、やはりこちらの方が美味しいな」
从'ー'从「ありがと~」
クーは一口かじって満足そうに微笑むとココアに手を伸ばした。
地球が滅びるのではないかというぐらいの甘党だ。
川 ゚ -゚)「……それでは、私の相談なのだが」
从'ー'从「うんなぁに~?」
川 ゚ -゚)「考えた結果私はドクオがやはり好きだ。ついては夏祭りに4人で行かないか」
从'ー'从「ふぇ!?」
川 ゚ -゚)「4人で行ってはぐれよう。……私もドクオを1人で誘う勇気は無い」
そこまで話すとクーは少し頬を赤らめてココアに口をつける。
逸らした目元にあるのは普通の恋する乙女の表情。
渡辺はふって湧いた幸運な計画にまだ頭が付いて行かなかった。
―※ラムネのビー玉が取れない※―
4人でお祭りに来てもいつの間にかはぐれて2:2になってしまうことがある。
実際は意図的にはぐれてしまう場合が多々ある。
意図的にはぐれた2人は人ごみを外れて花壇の端に腰掛けた。
从'ー'从「疲れたね~」
飲み干したラムネの空き瓶を屋台の光に透かしながらもう片方の手にはリンゴ飴。
桃色の浴衣の渡辺は言葉を宙に投げた。
(´・ω・`)「そうだね」
隣に座ったショボンにはいつもの優しさも、愛想も、余裕も見られなかった。
渡辺は少し訝しく思い、次に切なくなった。
勘で分かる。
――ああ、今気付いた。
きっと私じゃダメなんだ。
从'ー'从「ごめんね、せっかく4人で来たのに付き合わせて」
ラムネの瓶から目を離してショボンの横顔を見ながら話しかける。
(´・ω・`)「いや、いいんだよ。謝らないで」
そう言いながらもショボンは渡辺の方を見ず、ほんの少し、ほんの僅かに顔を歪めた。
――ショボンが、一緒に、歩きたかった人は。
从'ー'从「クーちゃんとドクオ君……」
渡辺は言いかけて、止めた。
その先を続けても、渡辺もショボンも辛いだけだから。
从'ー'从「ラムネのビー玉って綺麗だよね~」
泣きそうにならないように、ゆっくり声を出す。
目の高さにラムネの瓶を持ってきてカラカラと振った。
(´・ω・`)「え?」
从'ー'从「小さい頃ずっと取り出したがってたんだよ~これ取れないよね」
もちろん、渡辺が泣きそうだなんてショボンは気づかない。
気づかないのは罪ではない。
でもきっと普段のショボンなら気付くんじゃないかと思うと渡辺は余計に切なくなった。
(´・ω・`)「……取れないから余計綺麗なんじゃないかな」
从'ー'从「そうかもね~手に入らないから綺麗なのかな」
ビー玉に透かして見える逆さまの祭りは、手が届かない分いっそう綺麗に見えた。
―※レモンキャンディと君※―
誰もいない教室。
从'ー'从「~♪」
渡辺は、ショボンが来るのを待っていた。
教卓に座って、足をぶらつかせて、手元には彼が好きなレモンキャンディ。
(´・ω・`)「おはよー。待たせた?」
从'ー'从「おはよ~ごめんね朝早くに呼び出して」
まだ人が来る前の教室に2人きり。
これ食べる?と渡辺はレモンキャンディの袋をショボンに向けて振った。
(´・ω・`)「あ、一つもらおうかな。好きなんだよね。……で、話って?」
ショボンは何を言われるかは薄々分かっている。
渡辺もショボンがなんと答えるか分かっている。
从'ー'从「あのね」
渡辺はレモンキャンディを一つ、差し出されたショボンの手に置いた。
続けてもう一つ。更にもう一つ。
从'ー'从「私ね」
もう一つ。もう一つ。もう一つ。
乗り切らなくなったキャンディが床に落ちて少し硬い音を立てた。
从'ー'从「君が、好き」
ショボンを真っ直ぐ見て、にっこり笑って。
(´・ω・`)「……ごめん僕は」
从'ー'从「君が、好き。謝らないで」
ふっと視線を逸らして渡辺は身をかがめた。
床に落ちたキャンディを拾って、今度は落ちないようにそっとショボンの手に載せる。
レモンキャンディの山が出来ていた。
从'ー'从「君が、好き。好きになれて良かった」
渡辺はもう一度目を上げた。
ショボンと目を合わせて、にっこり笑う。
自分の全身全霊をかけて笑みを作った。
ショボンの記憶に残る自分が、なるべく明るいものであるように。
唇を開いて、言葉を紡ぐ。
从'ー'从「だから、君の恋は幸せでありますように」

この小説は2008年8月13日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:yRPXOeUsO 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
お題甘くて苦いマーマレード
食べかけのビターチョコ
ラムネのビー玉が取れない
レモンキャンディと君
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