FC2ブログ










( ^ω^)は科学者だったようです


395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 18:27:20.55 ID:w6QIaiYf0

ピピピピ……ピピピピ……。
暗い部屋の中、机の上に無造作に置かれていた携帯電話が鳴りだす。
しばらく携帯が鳴っていると白衣を着た一人の男がそれを手に取った。

男は携帯で相手と連絡を取ると、沢山の紙が無造作に置かれた机の上に携帯電話をそっと置いた。
男は溜息を一つこぼすと、目の前で緑色の光を発するカプセルに目をやる。
淡い緑を発するそのカプセルの中には、無数の管とその中心に小さな生命体がいた。

生命体はカプセルの中でぴくりとも動かない、男はその生命体を見ながら記録を書いてゆく。
ふいに男のいる部屋のドアが開き、一人の女性が中に入ってきた。

川 ゚ -゚)「博士、経過は順調ですか?」

博士と呼ばれた男は振り向くことなく頭を軽く下に下げる。

( ^ω^)「順調だお……もうすぐこの子は僕達人と同じ姿を手に入れるお」

男はカプセルのガラスを、握りこぶしで軽くトントンと叩き振り返る。

( ^ω^)「君の方は順調なのかお?」

川 ゚ -゚)「はい、滞りなく進んでおります」

( ^ω^)「まったく、我が国の上層部は下品な物を作れと言ってくるお」

川 ゚ -゚)「彼等には戦力が欲しいのでしょう。
     兵士は安上がりと言っても時間がかかってしまいますからね」



397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 18:28:15.67 ID:w6QIaiYf0

白衣を着た女性が両手を広げながら語る。
男は一言「やれやれ」と呟くと、机の上に置いてある紙を手に取る。

( ^ω^)「No-05『Predator』(捕食者)かお」

川 ゚ -゚)「実験の段階では05は確実にその力を強めています。ただ……」

( ^ω^)「ただ?」

川 ゚ -゚)「言わせてもらっては難ですが、あの殺戮の仕方は品がありません……
     腹を裂き、腸を喰らう……辺りには無数に血が飛び散り、その食し方も極めて下品です」

女は溜息をつくと、数枚の写真を男に手渡す。
男が写真を受け取りその写真を見ると、そこにはNo-05が牛を捕食するさいの経過が写っていた。

( ^ω^)「ふむ、たしかに品はないお……しかし、これを知らぬ敵方がこれを見れば、自ずと恐怖で動けなくなるお」

川 ゚ -゚)「そうですね、それと肉体強度ですが……現在実弾兵器においてサブマシンガン程度なら弾く程の
     外骨格と甲殻をつける事が完了いたしました」

( ^ω^)「なるほど、なかなか手際がいいお。
      そろそろ名前をつけたほうがいいと思うけどどんな名前がいいかお?」

川 ゚ -゚)「そうですね……骨格的に八頭身に類似していますので、『エイツ』というのはどうでしょう?」

( ^ω^)「ならその名前でいいお、僕はこいつの経過を見るのに忙しいお」



400 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 18:29:27.50 ID:w6QIaiYf0

男は資料を封筒に入れると、女に手渡しカプセルの方を向く。

川 ゚ -゚)「そういえば、それにナンバーはお付けにならないので?」

( ^ω^)「こいつは僕が自分勝手に作っているものだお…ナンバーなんて付けられないし、付ける気にもならないお」

川 ゚ -゚)「私はいつもこの部屋に入ると、そのカプセルから発せられる緑の光に見入ってしまいます……
     博士は一体何をお造りなのですか? ホムンクルスですか? それともクローンですか?」

( ^ω^)「どれも違うお……しいて言うならば、こいつは僕が想像する神という存在そのものだお」

川 ゚ -゚)「神?」

( ^ω^)「そうだお、聖書や信仰の中で生まれた虚無の偶像じゃない……人の手で作られた完璧な存在を作りたいんだお」

川 ゚ -゚)「しかし、完璧な存在というのは決して存在しませんが……生きている限り寿命が存在し、
     傷つけば命を落としてしまいますが」

( ^ω^)「そう……だから僕は持てる知識を全てつぎ込んで作り上げたナノマシン『Infinity』を植え込んだんだお」

Infinity、つまり無限。体が傷つけばナノマシンの動きが活性化し傷を修復していく。
たとえなんらかの攻撃を受け、肉体が切断されてもナノマシンが肉体を高速で再生させてゆく。
頭を切り取られようと、心臓を破壊されようとナノマシンは肉体を修復し蘇生させてしまう。

そして、このカプセルにいる生命体は、体の中にそのナノマシンを埋め込まれている。
その数は一つではなく幾つも埋め込まれており、幾つかが体内から排除されても
ナノマシンが分裂し、元の数にまで戻るという機能まで付けてある。

さらにInfinityには肉体の老朽化を防ぐ効果を持っている。
老朽化した細胞を排除し、常に新しい細胞を作り上げていく。



403 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 18:30:15.18 ID:w6QIaiYf0

しかし、このナノマシンには問題があった。それは人程度の生き物では肉体の強さが、ナノマシンに追いつかず
精神崩壊と肉体崩壊を起こしてしまう点だった。ナノマシンが肉体を再生する際に発する不可解な超音波のようなもので
被検体は次々と精神崩壊を起こし、最終的にナノマシンが彼等そのものを排除してしまった。

男はこれらの失敗の原因を考え一つの結論を生み出した。
改造生命体を自らの手で作り上げ、その者にこのナノマシンを埋め込み、人が想像する無敵の存在……神を作り上げる事を考えた。
それから多くの失敗を重ね、男はついに望んだ生命体を作り出すことに成功した。

圧倒的な破壊力は持たない、神のように絶対的な力も持たない。
男が想像する神は、自分たちと変わらない普通の生き物だった。
それに加え人が永遠に手にする事の出来ない、永久の命と死ぬことのない肉体……これこそが彼の想像した神。

川 ゚ -゚)「しかし、死ぬ事ができないのならば、その生命は後々悲しむ事になると思いますが……
     我々知性ある存在が死滅したら、その生命体は一人きりになってしまいます」

( ^ω^)「そう……だけど君はさっき言ったお、完璧な存在など居ないと……
      このナノマシンを破壊するナノマシンをちゃんと埋め込んでおいたお」

川 ゚ -゚)「そのナノマシンはいかなる条件の時に動くのですか?」

( ^ω^)「半径10万キロいないに生命反応を、10日以内に感じる事ができなければ発動するようになっているお」

川 ゚ -゚)「虫とかにも反応するのでしょうか?」

( ^ω^)「いいや、僕達のような生命体独特の生命反応だけをキャッチするようにできているお」

川 ゚ -゚)「生命体が絶滅してもそれなら自動的に死ぬ事になりますね……そこまでできるとはやはり流石ですね」

( ^ω^)「持てる能力の全てをつぎ込んだお……この最高傑作を完成させれば僕はもう思い残すことはないかもしれないお」



404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 18:30:51.78 ID:w6QIaiYf0

男は軽く笑いながらカプセルを握りこぶしで叩く、カプセルの中で丸まっている生命体はカプセルの振動に驚いたのか
口からぼこぼこと泡を吐きだした。

( ^ω^)「ははは、脅えているお、かわいいもんだお」

川 ゚ -゚)「ええ、そうですね博士……ところで博士、少し休まれはいかがですか?」

( ^ω^)「いや、結構だお」

川 ゚ -゚)「そうおっしゃらずに、できれば永遠に御休みくださいなさいませ……内藤博士」

男はすぐに振り向き、女を驚きの眼で見つめた。
女の手には拳銃が握られており、男の心臓を捕えていた。

( ^ω^)「国のさしがねかお?」

男の質問に女は一息おいて答え始める。

川 ゚ -゚)「察しがいいようで助かります、このところの研究費の莫大な消費等
     貴方はいささか、自分勝手すぎました……これ以上その研究を続ける事は国は望んでおりません」

( ^ω^)「そうかお、散々国に尽くしておいて気に入らない事をすればこの様かお」

川 ゚ -゚)「所詮我々も国の手駒ですから」

( ^ω^)「ふふふ、遅かれ早かれこうなる事は分かっていたお。
      だから、後二日こうなるのが早かったらと思うとぞっとするお」



405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 18:31:51.75 ID:w6QIaiYf0

男はそれから大声で笑いはじめ、カプセルに付属してある赤いスイッチを押した。
途端にカプセルの中にいた生命体と無数の管が消え、カプセルの中は空っぽになる。

川;゚ -゚)「ホログラムだと!? まさか……もう生命体は!」

( ^ω^)「さて、残念ながら僕にはもう思い残す事はないお。遠慮なく引き金を引いておくれお」

川;゚ -゚)「くっ」

拳銃の引き金が引かれ、乾いた発砲音が部屋の中を響き渡る。
銃声が止むと、白衣の胸の部分を真っ赤にそめた男が床に倒れ、血溜まりを作る。

薄れゆく意識の中男は、二日前に自分だけが知る場所へ移動させた生命体を想っていた。
いつか、この腐敗した世界を導いてくれるだろうと信じ、男は瞳を閉じた。

川 ゚ -゚)「内藤博士、安らかなれ」

女は拳銃をしまうと、男の部屋を出て研究所の外まで歩きだした。
途中携帯電話で国にこの事を報告すると、電話の向こうから男の怒鳴り声が響いた。
女は適当に相槌を打つと、携帯電話の電源を切り研究所の外へと出た。

川 ゚ -゚)「夕焼けか……」

外は黄昏時を迎えていた。



406 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 18:32:40.16 ID:w6QIaiYf0

川 ゚ -゚)「博士、貴方は完璧の存在と仰いましたがそれは違います。
     我々人は、どうあがいても自然に勝つことはできないのです……
     神とは想像の中で生き続けるものであって、決して現実には現れないものです」

女は研究所を振り向くと、風に揺れる長い髪の毛を押さえ、目の前の鉄で出来たオートロック式のドアを見つめる。

川 ゚ -゚)「科学者というのは真理を求めるあまり、無知にもなるのだな……」

女は溜息をつき、空を見上げた。

川 ゚ -゚)「この世に完璧な存在などあるはずがないのだ
     それを、内藤博士自身が一番ご存じだったはずなのに……」

夕焼けを背に、女は長い髪を揺らしながら研究所へと戻る。
そして扉が閉まると同時に、扉の向こうから機関銃の射撃音が響いた。

目の前にいる特殊部隊の服を着た男たち、体のあちこちは銃弾が貫通しそこから血がとめどなく溢れる。

川 ┌ )「何故……」

( ・∀・)「この研究所は無くなる事になってね……秘密保持のためさ、お国のために死んでもらおう」

リーダー格の男が拳銃構え、女のこめかみにつきつける。

川 ┌ )「そうか……だから貴方は……神という存在を……」

銃声が木霊する。







409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 18:35:21.04 ID:w6QIaiYf0

( ^ω^)は科学者だったようです

fin

お題
腹を裂き、腸を喰らう
黄昏


[ 2008/08/17 20:53 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/331-e70cbdd1