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( ^ω^)最終回のようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




ξ ゚⊿゚)ξ「明日から……みんな離ればなれなのよね」

前向きな落書きで埋め尽くされた黒板を見ながら、ツンはぼんやり言った。

(´・ω・`)「そうだね。僕はT大、ツンはK大。ブーンは就職で……おい、ドクオ」

ショボンは小さく頷いて、また小さく鼻を啜った。三月になってもなお続く寒さの所為だけではないだろう。
彼がドクオを睨み付けた目の周りは赤く腫れていた。ドクオも、ツンも、僕だって例外じゃない。

('A`)「ニートだ」

( ^ω^)「働けよ」

楽しみ抜いたVIP高校での生活、その卒業式。始まりから最後まで、皆さめざめと泣いていた。
今でこそ、涙は流れていないが、未だ心の中は悲しみとつらみに満ちている。

(´・ω・`)「害悪が。滅びろ」

('A`)「滅び(笑)」

その言葉を皮切りに、二人は校舎中を駆け回る追いかけっこを始めてしまった。
ツンと二人きり、教室に残された僕は、ふと思い立つ。
今しかない。

 
( ^ω^)「……行っちゃったお」

ツンはゆっくり振り向いて、

ξ ゚⊿゚)ξ「あら、一緒に遊んでくればよかったのに。こんなの、今日が最後よ」

なんとなくそっけなさそうに言った。
彼女は、気の強い(そう振る舞っているだけだが)人だから、あまり人前で涙を見せたがらない。

卒業式のときは、クライマックスだから、堪えきれないものが堰を切った。
本当は今も、一人になって泣いてしまいたいのだろう。

けれども僕は、ツンの声にならない望みなんて、聞く言われもない。
だから僕の声も、聞いてくれなくていい、想いも伝わらなくていい。


( ^ω^)「見るお、ショボンの将来の夢。新世界の神になるってwww」

ツンはびっしりの黒板の中から、僕の夢を見つけるだろうか。隅っこに小さく書いたのだけれど。
気付いてくれなくてもいいのに、彼女の視線を黒板の寄せ書きに誘導してしまうのは何なの? ヘタレなの?



20080819193818.jpg


 
ξ ゚ー゚)ξ「ドクオなんか、なにこれ。狩野英孝……中途半端すぎるわね」

( ^ω^)「そんぐらいのほうが、ドクオにちょうどいいお」

ξ ゚ー゚)ξ「……そうね。ドクオだもの」

そう言って僕らは、ひとしきり笑った。
何となく、ツンの寄せ書きを探しながら。
だけど、どうしたことか。三度は見直したが、彼女の言葉は見当たらない。

そこに僕のことが書いてはいないかと、ちょっと期待していたのに。

ξ ゚⊿゚)ξ「あ、そうそう、ブーンに渡すものがあるんだ」

(*^ω^)「ほんとかお!? ツンから贈り物なんて、小学生以来だお!」


散々に僕を殴り倒して(嬉しかったけど)、
少し涙目のツンが取り出した、小さなプレゼントボックス。
開けるとまず、オガクズみたいな緩衝材がたっぷりあって、それから、四つの色が違う丸。

( ^ω^)「……四色のマグカップ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「そ。はい、これ」

ツンは、その中から空色のマグカップを取り出して、僕に寄越した。大きく、Bの字がある。僕の頭文字か。

( ^ω^)「……ありがとうだお!」

現実を受け止めると、やはり当然のことだった。僕は彼女にとって、ドクオやショボンと同じ。
同じようにそれぞれイニシャルが入った、黄色と白と、赤のマグカップがそう言っている。

だけど、久しぶりのツンからの贈り物は嬉しかった。
僕からも何か贈れるものはないだろうか? そう思って、自らの体をまさぐるが、気持ちいいだけだった。
ふと、手の甲に何かが食い込む。

(*^ω^)「あン……お?」

それは、心に一番近い、学ランの第二ボタンだった。
ワイシャツの第三ボタンのほうが近い気もするが、あれはそこに溜まる想い同様に薄っぺらい。

そうだ、これが至って自然だ。僕から伝えようとしなきゃ伝わるはずもない。

( ^ω^)「じゃあ、僕からはこれを」
 
無理矢理に第二ボタンを引きちぎって、迷うことなくツンに差し出した。

ξ ゚⊿゚)ξ「ありがとう、受け取っておくわ」

しかし、その反応はずいぶん素っ気ないものだった。
本当に、本当に僕のことはどうでもいいのだと知って、悲しくなった。

ツンと一緒にいたくて、背伸びしてK大を受けた結果、見事不合格。
親に命令されて就職せざるを得なくて、ずいぶんつまらなそうな小企業に入らせてもらった。

( ^ω^)「……二人、遅いお……いつまで遊んでるんだお」

ξ ゚ー゚)ξ「いいでしょ。花火をやるのは日が沈んでからだし」

笑ったツンの顔を見た。
この笑顔は、僕にじゃなくて、きっと二人に向いている。

( ^ω^)「……ま、放っておくかお」

ξ ゚⊿゚)ξ「そうね。ゆっくりしましょ」

ツンは教卓に座って、足を投げ出した。

ξ ゚⊿゚)ξ「……はぁ」
 
僕が居たたまれなくなって、窓から外を眺めてみると、ツンも付いてきた。
ちょうど学校の裏にあたる、駐輪場が見えて、そこに二人ぶんの影が伸びていた。

ξ ゚⊿゚)ξ「あら。あれ、ドクオに……ショボンじゃない?」

(;^ω^)「あんなとこで何やってんだお……」

その会話は聞き取れないが、二人は正面を向き合って何かを話していた。
そして、ショボンは頷くと、彼は唐突に学ランの第二ボタンを引きちぎった。

(;^ω^)「げっ……」

ボタンはドクオに手渡されて、ドクオもドクオでそれを内ポケットに大切に仕舞った。

ξ;゚⊿゚)ξ「う、嘘でしょ……」

そしてドクオも、ショボンにボタンを渡す。
ツンはもう、顔面蒼白だった。

その時だった。ドクオがふとこちらを見上げた。次いで、ショボンも僕らを見た。

 
(;^ω^)「やばっ!」

すぐに脇に隠れたのだが、どうしても二人から目を離せなかった。
さながらスネーク(バレバレ)に、見下ろしてみると、ショボンは素早く逃げ出していたが、ドクオは少しぼうっとしていた。

「ドクオ! はやく!」

ショボンの大声がして、ドクオは気が付いて走り出した。

( ^ω^)「……」

だけれど、間違いなかった。
さっき、ドクオはツンだけをじっと見ていた。そして、その目は語っていた。

誤解だ、と。

( ^ω^)(……ドクオも、か。ショボンみたいなお人好しに付き合わなくていいのに)


ξ ゚ー゚)ξ「あいつ……何がしたいのよ……」

ツンは鋭い感覚で、ドクオの視線の意味を感じ取っていた。
潤んだ瞳に、夕陽が映り、夕焼けと混乱で頬が紅潮していた。
泣きそうに、しかし今すぐ大声で笑いたそうにした表情が、やたら物悲しく印象的だった。

( ^ω^)「……僕には分かるお」

だったら僕は、もう引き下がるのが義理じゃないか。

 
ξ ゚⊿゚)ξ「え?」

ツンは驚いて僕を見た。

( ^ω^)「ドクオは、僕に譲ろうとしたんだお。自分だって、ツンのことを好きなくせに、だお」

みるみる、茹で蛸のように赤くなるツンを、僕は複雑な気持ちで眺めていた。
こんなに華奢で美しいのだ。僕なんかより、ドクオの側にいるのが正しい。

( ^ω^)「でも……大事なのは二人の厚意より、ツンの気持ちだお。だから……」

行ってくれお。そう口に出そうとした。

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたはそれでいいの?」
 
今度は僕が驚く番だった。
少し混乱しかけた頭を整理して、僕は冷静に言う。

( ^ω^)「ツンの気持ちが無いなら、どうでもいいお。それだったら、ドクオに譲るくらい訳ないお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……そう……」

心なしか、そのトーンに違和感があった。残念がるようなその声は、何を意味しているんだ?

ξ ゚⊿゚)ξ「ごめん。私、用事思い出しちゃった。またいつか会えるといいね」

バットなりベッドなり、とにかく硬くて重いものが後頭部を打った。
僕の気絶しかねない精神状態を、一切無視してツンはそそくさと、ツンツンと立ち去った。

しばらくして、第二ボタンを揃って無くしたショボンとドクオが駆けてきた。


('A`)「ブーン……すまない、俺が余計なことを」

(´・ω・`)「あれは僕が計画したものだ。殴るなら僕を」

僕は窓枠に掴まりながら立ち上がって、二人の申し訳なさそうな顔を見た。

( ^ω^)「……いいんだお。僕じゃもともと無理だったんだお」

それより、と二人にそこらに置いてあったマグカップを見せてやった。
 
( ^ω^)「これ、ツンから。白いのがショボンで、赤がドクオみたいだおね」

('A`)「俺が赤って……俺は欲求不満の紫だろ、jk……」

どうやら、ツンの、黄色のマグカップはいつの間に持っていったらしい。
毎度ながら、抜け目の無いことだ。

(´・ω・`)「本当は、僕らが揃って第二ボタンを貰われたってことにして、
       ツンを触発する作戦だったんだけど……」

('A`)「場所を選ぶべきだったな。まさか見られるとは……」

( ^ω^)「まぁまぁ、もういいことだお……」

ショボンは時折、僕のマグカップに目をやり、その度に、何かを考えるような素振りを見せる。
僕のマグカップは、何か変だろうか?

( ^ω^)「……あ」

空色のマグカップ、Bと書かれたその左に、ごく小さく「my lover」とあった。


 
('A`)「お前、これって……俺のにはないし、ショボンのにも……」

(´・ω・`)「……追いかけるかい?」

僕は、ショボンの問いかけには答えず、ただじっと小さな文字を見ていた。
やがて、その文字が、僕のイニシャルごと歪んだ。


( ;ω;)「もう……遅いんだお。いまさら、始まらないお……」

全て終わってしまった。

四人で過ごした時間は、この四つのマグカップと同じように、二度と四つ集まることはない。
出来ることは、ただ悔やんで、マグカップを眺めること。
僕の勝手な思い違いで、四人もの想いを無駄にした。
二度とこんな思いをしない、させないように、常に省みること。

( うω;)「線香花火は、あるかお?」

('A`)「あぁ。ネズミ花火から三尺玉まで揃ってる。今夜は男三人、反省会だ」

( ;ω;)「……おぅおぅ」

(´・ω・`)「それじゃ、まずはマックで腹ごしらえといくか。てりたまもうあるっけ?」
 
こんなに、一緒にいてくれた仲間がいる。
しかし、明日からは別々の道を歩むのだ。

しけた面じゃあ、最終回にふさわしくない。僕は、ひとまず涙を拭くことにした。

( うω^)「……行ってから考えればいいお!」

('A`)「その行き当たりばったりが、今のお前の悪いところなんだよな」

ドクオはかき消された。


(´・ω・`)「さて、海の方だから……ラウンジのマックだね。行こう行こう」

(;^ω^)「……何事もなかったかのように……恐ろしい子!」

ともかく、僕は幸せ者だった。恋こそ青春の醍醐味と言う。リア充の絶対条件だという者もいる。
だけど、恋人がいなくても、高校生活は楽しかった。

( ^ω^)「……」

(#'A`)「たーまやーのバカヤローッ!!」

(´・ω・`)「……今、線香花火してるんだよ」

('A`)「うるさいな、湿っぽいの嫌いなんだよ」

 
そりゃあもちろん、満願成就を望まない訳じゃない。
けれど、背伸びしたって良いことがある訳でもないんだ。

ちょっと空が近くなったって、それで雲を掴めるのかって、それも無い。

僕らは、大人の階段をゆっくり登っていく。


( ^ω^)「シンデレラタイム終了、かお……」

('A`)「これからの女は、全員ビッチだ……気を付けろよ、ブーン、ショボン」

(´・ω・`)「僕は大丈夫さ。女の立てる噂なんて気にしない」

( ^ω^)「……僕は、まだそういう気にはならないお」

ドクオは、何やら童貞の誓いとやらを語り出した。
それを右から左へ流しながら、
僕は打ち上がる三尺玉花火を見上げた。

( ^ω^)「これからの人生、もっと面白くなる気がするお」

(´・ω・`)「僕もだよ」

('A`)「俺もさ」

苦しくなったら、ドクオを訪ねてみよう。きっと相手をしてくれる。

( ^ω^)「それじゃあ、最後の花火を見届けたら……解散だお」

 
夜空一面を、色とりどりの火の花びらが覆った。

僕たちは、サクサクと足音を立て、無言で大人の階段を上がり始める。



(^ω^ )「あれ? ドクオが海のほうに……」

(´・ω・`;)「入水自殺する気だ! 止めるぞ!」


……には、もう少しかかりそうだ。




おわり






この小説は2008年8月8日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:tYepEqxFO 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです



お題
色違いのマグカップ
ツンの取り合い
四角関係



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/07 21:49 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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