はじめてブーン系小説を読む方は
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僕は今確かに歩いている
しかも横断歩道を渡ろうとしている
赤信号だから 渡れないだけであって
僕は横断歩道を確実に渡ろうとしている
別に間違ったことじゃないし 僕だけじゃない
横断歩道を渡ろうとしているのは
他に5名ほど僕と同様に赤信号に足止めされている
でも僕と決定的に違うのは
この横断歩道の異変に 他の5名は気付いていない
たぶんだけど
この地球上にはいないと思う 僕以外に目の前の白黒の道がいつもと違うことに気づいている人は
少し胸を張って 横断歩道を見返す
なんとなく
横断歩道の中間あたりが変だ
空気がゆれている
暑さのせいではないだろう
人が一人入れるくらいの大きさで
ゆらゆらゆれている
青信号になる
僕以外の5名はそそくさと 横断歩道を渡る
何にも気付かずに
バカだなあ
そんな彼らに習って 僕も歩き始める
左足から一歩ずつ 先へすすむ
そんなトラップには引っ掛からないよ
僕は バカじゃないから
ゆらゆらを横目に
僕は横断歩道を渡る
ちゃんと渡れたみたいだ
渡れるのはわかってたけど 少し緊張した
僕だって人間だからね
あれ?
僕はなんでこの横断歩道を渡ったんだっけ?
理由を忘れてしまった
というか 手前の路地を曲がる予定だった はず
渡る必要はなかったんだ この横断歩道を
間違い まちがい
はあ
二度手間だ
なにより もう一度この横断歩道を渡らなくてはならないなんて
最悪だ
立ち止まり 振り替える
向こう側にはまた人が何人か溜まっている
さっきと僕達と同じように
あれ?
ゆらゆらはもういなくなったみたい
これなら安心して歩ける
僕が怖くなったのかな?なんて思ったりして
さあ渡ろう
ちょうど赤信号だ
車は青信号だし
さあ渡ろう
歩行者はだれもいない
僕は少し王様の気分
さあ渡ろう
さあ渡ろう
ゆらゆらゆらゆら ゆらゆらゆらゆら
ゆらゆらゆらゆら ゆらゆらゆらゆら
ゆらゆらゆらゆら ゆらゆらゆらゆら
ゆらゆらゆらゆら ゆらゆらゆらゆら
この小説は2008年8月6日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:y25KDuHc0 氏
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