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もうひとりのようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




僕は、そう、僕はいま、布団の上で膝を抱えています。
理由はたいしてありません、ただ、なんだか寂しいんです。

太ももから膝へかけての平らなラインに胸を押し付け、
腕をだらりと前へ投げ出して膝の小僧に顎をのっける。
指先にこつんと当たるのは、折り畳み式の携帯電話。

何故か選んでしまった赤い携帯を持ち上げて開けば、片手でかちかち。
画面の明かりが手首を照らして、ぼんやり傷が浮かび上がる。
VIPでようです検索。時間が時間だからか、あまりスレがありません。

僕は三角座りから胡座に体制を変えて、本棚にもたれ掛かります。
天井を見上げてみるけれど、そこには電気のついていない蛍光灯しかない。


はずなのに



('A`)「よう、俺」




20080807212527.jpg



目の前には、ほそっこくて髪の長い、疲れたような顔をした男が立っていました。
僕は首を傾げて彼を見上げると、のったり、問いかけます。


('A`)「君は、誰、ですか」

('A`)「見れば分かるだろ、俺はお前だよ」

('A`)「あー……僕、ですか」

('A`)「そうだよ“僕”だよ、ああ見分けがつかない、鏡に話してるみたいだ、その長い髪を結べ」

('A`)「ああー……うん、はい……よいしょー」

∫λ 'A`)「はい」

('A`)「きもちわりぃwww」

∫λ 'A`)「同じかおのくせに」

('A`)「だからきもちわりぃんだよww」


僕の前に立つ僕は、髪を結い上げた僕を見てけれけれ笑います。

当の僕はと言うと、結えるくらいにのびたな、そろそろ髪を切らなくちゃ、と思うだけ。
けれど僕は部屋から出るのが嫌なので、机の上の鋏と剃刀で適当に切ります。

長さがばらばらだし形もひどい事になるけれど、外に出ないからどうでも良いです。
僕は体勢を三角座りに戻して、体をちぢこめて床を見る。
散らかった部屋が少し狭くなった気がした。


('A`)「なあ、俺よ」

∫λ 'A`)「ぅ、?」

('A`)「暗い部屋の隅で膝を抱えてぼけーっとしてんのは楽しいか?」

∫λ 'A`)「さあ……よく、わからない」

('A`)「お前さあ、何でそんな所で踞ってんの? 外では蝉が、あんなに鳴いてる」

∫λ 'A`)「ああ、泣いてる、ね……死にたく、ないって……」

('A`)「違うな、アレは自分が死ぬ事を望んでるんだ。死にたくて死にたくてしょうがないんだよ」

∫λ 'A`)「……なん、でさ」

('A`)「自分が生きてる内には、ガキは生まれないからだ。
    だから早く時が流れて我が子が生まれてきますように」

∫λ 'A`)「しにたく、ないよ、だれも」

('A`)「心の底では死にたくないって思ってても表に出してられないから、
    それを隠す為に鳴くんだ、早く殺せ早く殺せ」

∫λ 'A`)「いやだ、そんなの」

('A`)「ああ嫌だな、だから俺は蝉が嫌いだ。生きてるもの全てが大嫌いだ」

∫λ 'A`)「……なんだよ、それぇ……」

('A`)「良いか俺、世の中って嫌いなものばかりで出来てるんだ。
    俺は生きるもの全てが嫌いだし肉も魚も野菜も薬も酒も煙草もオナニーも嫌いだ。

    睡眠、食事、呼吸、排泄も嫌いだし娯楽なんてもってのほか、楽しむくらいなら死んでやる。
    そうさ俺は生と言う物が大嫌いなんだ、だから俺は母親も父親もペットも友達も俺自身も大嫌いだ。

    だから、な? なあ俺よ、死のうぜ? 死のうぜ?」


∫λ 'A`)「……ぼ、く……?」

('∀`)「なあ、なあ死のうや俺、そうやってウジウジ腐ったみたいに膝を抱えて狂ってくより、
    そこにある剃刀で首切ろうぜ? そこの鋏で胸突こうぜ?
    ほら早く死のうよ、死ねよ、死ねよ、死ねよ! ほら死ねよ! なあ! なあ俺よお!!」


∫λ;'A`)「いや、だ……や、やめろ、やめろ、そんな、こと……言うな……!!」

('∀`)「死ねって! 死ねよクソが! お前はなんの為に生きてんだよ!? なあ、なあ俺!?」

∫λ; A )「あ゙、ああ、あ、あああああ、あああああああああぁぁぁ…………」

('∀`)「お前なんか生きてる価値ないんだよ!!
    産み落としたカーチャンに謝れよ!精子を与えたトーチャンに謝れよ!
     なあ! 世界中のみんなに謝れよ!!」

∫λ; A )「る、さ……うる、……い…………あ゙ぁ゙ゔああああぁぁああ」

('∀`)「はははは! 死ねよ死ねよ死ねよ!! あはははははは! さっさと死んじまえよ俺ぇえ!!」

∫λ; A )「ぅああああぁぁああぁぁぁああああぁぁあああああああああああああああああああああ」


('A`)「死ぬ根性も無い癖に自殺ゴッコしてんじゃねぇよ」



ぱさ、と結っていた髪が落ちて、手で覆っていた顔がさらに見えなくなる。
そして、僕は、


(#゚A゚)「あああああああうるせぇんだよお前よォオォッ!! 誰が死ぬか! 死んでたまるかカスがッ!!」

('∀`)「はぁ? じゃあ死ぬか生きるか選べよカス!
    そんな生きても死んでもねぇ中途半端なカスが何言ってんだよ!?」

(#゚A゚)「ああだったら生きてやるさクソが!
    さっさと消えろ、消えろ消えろ消えろどっか消えろカス野郎がッ!!
    さっさとおっ死ねぇええええぇぇえぇえええええぇえッ!!!!」


血を吐くように叫ぶと、机の上から鋏を取って、俺に投げつけた。

ざし、と鈍い音を聞いて。
俺は、やっと立ち上がり、辺りを見渡した。




('A`)「あ、れ……?」


もう一人の俺の姿なんてどこにもなく、ただ、襖の前に掛けてあった制服の直ぐ隣に、鋏が刺さっていて。

わけもなく、孤独に襲われて。
なんとなく、部屋着を脱ぎ捨て、制服を着てみた。

制服のサイズは未だにぴったりで、一年ぶりの黒いそれは、久々に着られた事を喜んでいる様に見えた。


学習机の横にかけられたままで埃を被っていた鞄から古いプリント類を取り出し、すべての教科書とノートと筆箱を叩き込む。
そして襖に刺さった鋏を抜いて、のびきった長い黒髪をばさばさ切り落とす。

心なしかさっぱりした俺は、どこかさっぱりした気分でドアをあけ、さっぱりと部屋を出て行く。
階段をどたどた降りて一階に行けば、両親はひどく驚いた顔をして。
俺はにっと笑い、はらへった、と叫ぶのだった。



上等だよもう一人の俺。

そう簡単に死んでたまるか
生きて生きてムカつくくらいに生きてやる。
年老いてまだ死なないって呆れられるくらい生きてやる。

ざまあみやがれ、カス野郎。



玄関から出た外は、暑くて蝉がうるさくて、なんだかひどく、心地よかった。



おわり。





この小説は2008年7月27日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:ZBNhF+xUO 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/07 21:34 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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