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( ´∀`) 詐欺師のようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 風のない、綺麗に晴れた夜だった。
 地平線の果てまで、星が無造作に瞬いている。
 月は静かに、しかし圧倒的な存在感を持って世界を照らし出していた。

 大きく深い湖に、一つの橋が架かっている。
 その欄干に、一人の男が凭れかかっていた。
 彼の脇には大きな荷物が置いてある。

 水を汲んだバケツ。
 折りたたみ椅子。


( ´∀`) ・・・・・・。


 男は手摺から身を乗り出し、深く水をたたえている湖の底を眺めていた。



20080723214421.jpg



 男の耳に足音が届いた。
 彼は振り返らなかった。
 ただ湖の底を見つめていた。

 
川 ゚ -゚) 何かが見えるのか?

 男の脇に、赤いドレスを着た美しい女性が立った。
 男は彼女を一瞥すると、再びその視線を湖に戻した。

( ´∀`) 鯉を見ているんだモナ。

 その時、水面に影が浮かんだ。
 大きく、美しい赤い鯉だった。

川 ゚ -゚) ・・・・・・。

 女性も、湖の底を覗き見た。
 鯉はその深淵の奥に消えていった。
 彼女の視線はその深淵を追い、深淵もまた深く彼女を見つめた。

 男は女性の顔を改めてまじまじと見た。
 薄く化粧を施された陶器のような肌が、青白い月の光を反射して輝いている。
 赤いドレスは、彼女の女性的な体のラインをより強調させていた。
 首には宝石がちりばめられたネックレスが掛けられている。


( ´∀`) ・・・この湖は自殺の名所らしいモナ。

川 ゚ -゚) そうか。


 彼女もそのことを知っていたのだろう。特に驚いた様子はない。
 女性は空を仰ぎ、見えない星を探すかのように視線を彷徨わせた。

 そして、誰に向けるでもなくただ淡々と、独白した。


川 ゚ -゚) ・・・私は苦労するということがなかった。
      親から望むものはすべて与えられていた。
      今思えば、私は親たちの人形だったのだろう。愚かだとしか言いようがない。

 短い沈黙。

( ´∀`) 籠の中の鳥は外に出るのを望むモナ。
       でもたいていの鳥は、外での生き方が解らずに死んでいくんだモナ・・・。

 男の声もまた、誰かに向けられて発せられたものではなかった。
 月が、彼らのすべてを受け入れるかのように輝いている。

川 ゚ -゚) 私は外の世界なんて望んでない。
      同様に、だれかの言いなりになるつもりもない。

( ´∀`) 虚構としての幸福を拒否し、残酷な現実も受け入れないなら、
       もはや貴方に残された選択肢は一つしかないモナ。

川 ゚ -゚) ・・・・・・。

 女性は黙った。男は湖の底に釘付けている視線を彼女へと向けた。

( ´∀`) 人がなぜ死を恐れるか、その理由を知っているかモナ?

( ´∀`) ――それは、死が人生で最も美しい冒険だからだモナ。

川 ゚ -゚) 冒険・・・。


 湖の底から鯉が浮かび上がった。
 それは水面に映る二人の影をかきまわすように泳ぎ回ると、再び深淵へと去ってゆく。


( ´∀`) 証拠に、この湖にはこんな言い伝えがあるモナ。

( ´∀`) ここで入水した人は、美しい赤い鯉に生まれ変わる、と・・・。


 そうか、とまた女性は呟いた。手に持っているポーチを手摺に置いた。
 ネックレスを外し、無造作に橋の上に投げ捨てた。

 男は再び湖の底に視線を戻した。
 湖に大きな水柱が上がった。静謐を保っていた水面が大きく揺れた。


 その波が収まり、水面が始めそうであったように静止したとき、
 女性の姿はもはや橋の上になかった。




 ・・・男は顔を上げた。
 手摺に置いてあるポーチを手に取り、中身を確認する。
 大粒の玉石がちりばめられたネックレスも拾い上げると、
 それらをまとめて大きな荷物の中に入れた。

 そして荷物の中から、折りたたみ式の大きな竹竿を取り出した。

( ´∀`) ふんっ。

 大きく振り、しなりを確かめた。
 仕掛けを取り付ける。
 男は椅子に腰かけ、それを湖の中に垂らした。




 月が大きく傾き、丑三つ時を示している。
 水を汲んだバケツには、赤く大きな鯉が窮屈そうにその身を収めていた。

( ´∀`) 君は外に出たいのかモナ?

 鯉は苦しそうに口を水面で開け閉めする。
 それは、男の問いに対する返答の様でもあった。

 ――ここから出たい。外に出してくれ。

( ´∀`) 残念だけど、そうする訳にはいかないモナ。
       君の赤い鱗は美しい。きっと高く売れるモナ。

 男は仕掛けを取り上げた。
 竹竿を折りたたみ荷物に戻す。

 その時、足音が聞こえた。

 男は咄嗟に、バケツに蓋を少しずらして取り付けた。
 男の傍らに立ったのは、背の低い、痩せた男だった。

('A`) こんばんは。何をしているんですか?

( ´∀`) こんばんは。今宵はいい夜だモナ。
       ・・・だから、こんな晩は天体観測に限るモナ。

('A`) 天体観測、ですか。

( ´∀`) そうだモナ。

 痩せた男は大きなコートを着ていた。
 手には、これもまた大きな革のスーツケースを抱えていた。

( ´∀`) ・・・・・・。

 そして男は、この痩せた男の顔に、
 湖に消えた女性と似たようなものを感じていた。

 それはこの湖の、この橋の上に来る者全てに共通する感情でもあった。

( ´∀`) 実は、この湖にはある言い伝えがあるんだモナ。

( ´∀`) この湖に入水した人は、天上を覆う星のうちのひとつになれる。と・・・




 夜が明け始めていた。
 朝霧が差し込む曙光を錯乱させ、奥に見える針葉樹林の影を滲ませていた。

 もはや、痩せた男の姿は橋の上にない。

 ただ、大きな革のスーツケースが、彼がそこに存在していたことを示しているのみだった。

( ´∀`) モナモナ。

 男は、ずしりと重いスーツケースを手に取った。
 荷物を背負い、もう一方の手でバケツを持ち上げる。


 痩せた男は天上を覆う無数の星のひとつとなり、
 美しい女は湖畔を遊泳する赤い鯉となった――。



( ´∀`) ――信じる者は己の愚かさを知らず、
       信じぬ者は己の救いの無きを知る。モナ。



 その言葉は誰に向けられるでもなく、静かに響く。
 そして男は、濃い霧の向こうへと消えていった。






この小説は2008年7月17日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:3p9Dz0zQ0 氏



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[ 2010/01/07 20:54 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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