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(-_-) 6/7のようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ

注意 このお話は安価スレです
    読者参加形式で物語は進んでいきます




(-_-)「怪談……ですか?」

( ・∀・)「そう。怪談。夏っぽくていいだろ?」

かぁかぁ、と鴉の鳴く声が遠くから響く放課後の新聞部・部室。
モララー先輩が書類を片手にそう言い出した時、僕の脳内には
既に『嫌な予感』という四文字がはっきりと映し出されていた。

そんな僕の不信感が顔に出ていたのだろうか。
モララー先輩は一度考えるように腕を組んで、それからおもむろに口を開いた。

( ・∀・)「旧校舎が取り壊されるのは知ってるよな?」

(-_-)「ええ……。老朽化が進んで、危険だから取り壊して第二体育館を
     作るんですよね?」

( ・∀・)「そうそう。そんで、学校全体――てか、文科系の部活を総動員して旧校舎の
      思い出を作る企画があるのも新聞部のお前が知らないはずはないよな?」

(-_-)「はぁ……」

( ・∀・)「何たって築百年だもんなー。旧校舎で学び、旧校舎で
      青春を過ごし、巣立っていった卒業生の皆さんに向けて、
      旧校舎の思い出を発信しないのは新聞部員としてどうかと思うよな?」

そんな事をうんうんと頷きながらモララー先輩は熱く語っている。
語っているけど、僕は知っている。
彼が旧校舎に、そんなに思い入れがないことを。

( ・∀・)「そこで、だ。我が新聞部は総力をかけて、旧校舎とこの学校に纏わる
       怖い話の特集をもって、朽ち行く旧校舎への餞としたいと思う」

(;-_-)「何故……。旧校舎に纏わる話ならともかく、学校全体にしたら、特集の意味が
      ぼやけるじゃあないですk」

( ・∀・)「シャラーップ!」

∑(;-_-)「ヒィッ!」

( ・∀・)「新聞部たるもの、この学校に携わる全ての人に情報を発信して
       こそだとは思わんかね?
       思うだろう? そうだろう?
       そうしてそんな企画には、新入部員である君のような
       フレッシュな力が必要なのだよ否そうでなければならない!」

(;-_-)「…………」

( ・∀・)「ということで、金曜の放課後、人集めとくから話聞いて来い」

(;-_-)「………………」

無茶苦茶だ。あんまりだ。
モララー先輩は「頼んだからな!」とさわやかに笑って、僕に企画書を押し付けてきた。

嫌な予感はこれだったか。そう思って眺めた企画書。
そこには『担当:モララー』と印字された上から赤いバツ印がつけられていて、
その上に同じ赤文字で『担当:ヒッキー』と殴り書きがなされていた。

だけど、本当の『嫌な予感』はこの事ではなかったのだ。

いいや。
これは、ただの切欠にすぎない。
僕はこの時点で何が何でもこの企画の担当を降りるべきだったのだ。



でも、今の僕がそんな事を知るはずもなく――ただ、面倒な事を任されてしまったなぁと、
来る金曜日を想像して憂鬱になることしかできなかったんだ。




20080707192544.jpg




言われた通り金曜の放課後に部室へ行くと、そこには既に六人の人がテーブルを 囲んで座っていた。
全員初めて会うんだろうか、室内は僕がやって来るまでは無言のまま……あれ?

(-_-)「あ、あの、新聞部の小森ヒッキーです……」

('A`)「なんだ、アンタ七人目じゃねぇのか」

僕が名乗ると、うつ伏せになって寝ていた人が、僕と同じ疑問を口にのせた。
寝起きだからだろうか。目つきが鋭くてちょっと怖い。

(;-_-)「あ、は、はい……モララー先輩からは七人集めたと聞いていたんですが……」

( ´_ゝ`)「ったく、モララーめ。抜け目ないようで抜けてるなあ」

何故かノートパソコンを開いていた人が顔を上げてそう言うと、

ξ ゚⊿゚)ξ「……で、どうするの? 七人目来るまで待つ? それとも先にやっちゃう?」

栗色の髪をツインテールにした女性が面倒そうに言葉を繋げた。
その後、少ししてからふむ、と唸る声が聞こえる、見れば、彼女の向かいにいた女性が
僕の方を見て、何か考えているような顔をしている。

川 ゚ -゚) 「……黙っているのは得策ではないな。どうだろう、小森くんとやら、先に始めてしまわないか?」

( ^ω^)「ブーンはオッケーだお!」

(´・ω・`)「僕もそれで」

すると、彼女の言葉を皮切りに「先にやってしまおう」という声が次々に溢れ出した。
……そうだよね。七人目が遅れて来たらその時話を聞けばいいんだし。
僕の言葉を待つように、十二対の目が僕を射すくめる。

(-_-)「……解りました。『学校であった怖い話』を、始めましょうか……」



■誰の話を聞きますか?

→( ^ω^) 内藤 ホライゾン
 ('A`)     男鹿 独人
 ξ ゚⊿゚)ξ   津出 玲子
 ( ´_ゝ`) 流石 兄者
 川 ゚ -゚)    砂川 空
 (´・ω・`)   外梵寺 正太郎



( ^ω^)「お? ブーンが最初なのかお? おっおっ。自己紹介するお。
       1年B組の内藤ホライゾンだお。ブーンて呼んでほしいお!」


※途中で選択肢が出てきます。選択順・選択内容によって内容は変わる場合があります。
 選択肢が出た次のレスで、どちらに進むかを決定して下さい。


それじゃあ、一話目を話すお。
ヒッキーくんだったかお? 君は隣のクラスだおね。
入学式が終わって随分経つけど、君とどこかですれ違ったりとかした記憶がブーンにはないんだお。
体育とか、合同授業もあるのにおかしな話だおね。
え? あまりクラスでも存在感がないから仕方がない?

おー……そう言われると身も蓋もないお。けど、もうブーンとヒッキーくんは友達だお。
ブーンは忘れ物とか多いから、借りに行ける友達が増えてうれしいおー……あっ、いや、べ、別に
物を借りるのが目的じゃないお!? ぶ、ブーンはただ普通に友達に――え? 怪談はどうした?

おっおっ。ちゃんと話すお。今までのは一応、前フリって奴だお。
所でヒッキーくんは忘れ物をよくしたりするかお?


1.うん、僕もよく忘れ物したりするんだ。
2.いや、ちゃんと確認するからそんなにしないよ。




768 名前: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 投稿日: 2008/06/22(日) 14:59:38.84 ID:eySk9t/UO
2






(-_-)「いや、ちゃんと確認するからそんなにしないよ」

( ´ω`)「おー……普通はそうだおね。ブーンも忘れたくてしてる訳じゃないんだお。
       でもウッカリ忘れてしまうんだお。前の日にゲームとかすると……」

特にエロゲとか……フヒヒ……おッ!? あ、な、何でもないお!

それで、肝心の話なんだけど、ブーンが話すのはブーンよりも忘れん坊さんの話なんだお。

ブーンのクラスにいよぅくんっていうクラスメイトがいたんだお。
ちっちゃいんだけど、明るくてクラスの人気者だったお。ヒッキーくんのクラスにもいるだろうお?
お調子もので、皆を笑わせているタイプの人。いよぅくんはそういうタイプの人だったんだお。

だけど、さっきも言ったけどブーンよりも凄い忘れん坊さんで。宿題を忘れるのは当たり前、
掃除当番も忘れるし、親に渡すプリントのことも忘れてしまうし、
酷い時には学校に来るのを忘れる事もあったんだお。
ヒッキーくんから見たら、学校に来るのを忘れるなんてちょっと信じられない話だおね?

だけど、いよぅくんは実際に学校に来なかった事もあるんだお。ブーンが聞いたら「忘れてたよぅ」って
あっけらかんと言われたこともあったんだお。

そんないよぅくんだけど、忘れん坊さんな所を除けば本当にいいヤツだったんだお。
いよぅくんが学校に来るのを忘れた日なんか、教室中が暗かったもんだお。

でも、いよぅくんも自分の忘れっぽさに悩んでたみたいだったお。
一度病院で検査を受けた事もあるって言ってたお。
脳に異常は認められなかったから、記憶障害ではないって言ってたお。
病気じゃないのは解ったけど、それでも忘れ物の度合いはどんどんエスカレートしていったみたいだお。

それで、いよぅくんもこれじゃあいけないと思って色々努力をするようになったんだけど、
いよぅくんはどうしたと思うかお?

……そう、メモを取るようにしたんだお。それが一番わかりやすいおね。
何をもってこい、明日はどの教科の宿題がある、明日は何時に登校。
いよぅくんは思いついてから即行動に移したお。
購買部でメモを買って、これでもう忘れないよぅ! ってクラスではしゃいでいたお。

どんなに忘れん坊さんでも、何か新しい事を自分から始めたら、最初の内は覚えているものだおね? 
いよぅくんもそうだったお。
新しいメモ帳に、忘れてはいけない事を言われたら直ぐにメモを取っていたお。

先生とかクラスメイトもそんないよぅくんを見て、忘却王の名前を返上するのか、とかいよぅも成長したな、
なんてニコニコ笑いながらふざけていたりしたんだお。勿論、ブーンもそうだったお。
いよぅくんほどではないけど、ブーンも忘れん坊でお調子者だからお。

「いよぅくんはブーンを見捨てるのかお!?」

「ブーンもメモを取るといいんだよぅ。忘却王の名前はブーンにあげるよぅ」

って言い合ったりしたお。実際いよぅくんは忘れ物をそんなにしなくなってたお。
だけど、それも最初の内だけだお。……ヒッキーくんも見当がついたかお? 
そう、いよぅくんはまずその大事なメモ帳を持ってくるのを忘れ始めたんだお。

メモ帳を忘れる。
慌てて購買に買いに行く。
メモを取る。
次の日忘れる。
それの繰り返しだったお。ほとんど毎日、それを繰り返していたんだお。
そこまで忘れるなら、最初から鞄に入れておけばいいとブーンは思うんだけど、いよぅくんが言うには、

「家でも見ないと忘れてしまうから、仕方がないんだよぅ……」

……だってお。忘れない為にメモを取っているのに、その内容を忘れない為に家で見て、
結局内容もメモも忘れてしまうんだお。
おかしな話だおね。

それで、いよぅくんもこのままじゃまずいと思ったみたいで、メモの数を更に増やしたんだお。
一冊は、家で見る為の物。これは忘れるのを前提にしていたみたいだお。
次に、学校で見る為の物。家に持っていったのを忘れても、学校にメモのメモがあるから安心だ……って。
そして、そのどちらも忘れてしまった場合の、控えのメモ帳。
これは凄かったお。机の中を一度見たんだけど、そこに隙間なくびっしりとメモ帳が詰っていたんだお!

でも、家から何かを持ってくる、っていうメモの内容を学校で次の日に見ても意味がないとブーンは
思うんだお。ヒッキーくんもそう思うだろうお?
……え? そう言ってあげればよかったじゃないか、って?

おー……ブーンもそうしたかったんだけど、あの頃のいよぅくんは……鬼気迫るというか、
何か、声をかけられないような状態だったんだお。
勿論、ヒッキーくんが考えたような事をクラスメイトもいよぅくんに言っていたお。

「いよぅ、学校に持ってくる物のメモを学校で見ても意味ないんじゃないか?」

って。でも、いよぅくんは声をかけられても振り返ることすらしなかったお。
物凄い量のメモ帳を机の上で開いて、一心不乱に同じ言葉を何度も何度も何度も書きながら

「うるさいんだよぅ! 話しかけるなよぅ! 忘れちゃうじゃないかよぅ!」

そう言うんだお。当然、そんないよぅくんの周りには人が集まらなくなったお。
授業中も、休み時間も、食事中でも、ただ何冊ものメモ帳に忘れちゃならないことを書きなぐっているんだお。
がりがり、がりがり。
ペンの走る音がブーンのクラスから途切れる瞬間はなかったといっても言いすぎじゃなかったお。

血走った目で、ブツブツと忘れちゃならないメモの内容を呟きながらただがりがり。
クラスでの立場まで捨てて自分の忘れん坊具合に立ち向かったんだお。

けど、そんな必死な努力も結局無駄になったんだお。メモを家に忘れる。学校のメモを家用のメモにする。
控えのメモを学校用のメモに……毎日それを循環するように繰り返していたんだけど、
そもそものメモを忘れるという事実にいよぅくんが気付いてしまったんだお。

忘れ物をしない努力をしているのに、まずそのメモを忘れてしまう。意味がないおね?
それで、どうしたらいい? っていよぅくんに相談されたから、ブーンは言ったんだお。

「メモを忘れるなら、体に書けばいいじゃない」

「鬼才現るだよぅ!」

いよぅくんはその手があったかって、何度も頷きながら早速掌に『メモを手に取る』って書いたお。


……ヒッキーくん。これで、いよぅくんは忘れ物をしなくなったと思うかお?


1.流石にしなくなったんじゃないか

2.いや、それでも直らないだろう




777 名前: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 投稿日: 2008/06/22(日) 15:12:10.64 ID:7+/1l61T0
1





(-_-)「……流石に、しなくなったんじゃないかな……」

( ^ω^)「おー、そうくるかお。でも、現実は残酷なんだお」


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それで、いよぅくんだけど。
結果から言うと、いよぅくんは次の日から学校に来る事はなかったんだお。
次の日だけじゃない、次の日も、その次の日も。それから暫くして、いよぅくんの机には
菊の花が生けられた花瓶が、ぽつんと乗っかっていたんだお。

……どうして? それを今から話すんだお

いよぅくんが掌を眺めながら帰ったその日なんだけど、傍から見てても凄い嬉しそうだったお。
でも、目は血走っていた。多分、もっと前の段階からいよぅくんはおかしくなってたのかもしれないお。
だけど僕は、それでいよぅくんの気が休まるならそれでいいと思ったんだお。

ヒッキーくんだって、きっとブーンと同じ立場ならそうしたお。間違いないお。
その時のいよぅくんには、それくらいしてしまう迫力みたいなのがあったんだお。

なのに、いよぅくんは次の日学校に来なかったお。皆はまた学校に来るのを忘れたのか、って
気にもしていなかったお。
ヒッキーくんも多分、そこにいたら、また忘れたのかーって呆れるんだろうおね。

お? ブーンかお? ブーンは心配したお。ブーンはヒッキーくんと違って忘れん坊だお。
だからいよぅくんの気持ちがわかるお。それに、昨日、あんなにはしゃいでるいよぅくんを見たんだお。

もしかしたら本当に来るのを忘れているだけなのかもしれない。
毎日放課後、下校時間ぎりぎりまで残っていよぅくんを待ったお。
家に行くのは、本当に忘れているだけなら、あんなに忘れ物をしたくないって
言っていたいよぅくんのプライドを傷つけるんじゃないか、って思って行けなかったお。

ああ、今日もいよぅくんは来ないのかお。いよぅくんの席に座って、来るまで待っていたんだけど、
その日は昼間の体育の授業がきつくてお……そのまま、寝ちゃったんだお。
ふと目が覚めたら、もう真っ暗だったお。見回りの先生にも何故か気付かれなかったのが不思議だったお。

寝惚け眼で辺りを見回して、誰もいない事を確認した後、ブーンは落ち込んだお。
本当にいよぅくんは学校に来るのを忘れてしまっているのかお……。
でも、また明日がある。明日になったらきっと来るお。そう思って帰ろうと立ち上がったブーンの耳に、
小さな声が聞こえたお。

「……-ン……ブー……ン」

小さかった声はだんだん近付いてきて、はっきり聞こえるようになったお。
ブーンはそれが誰の声か解って、凄く嬉しかったんだお。
今考えれば時間がおかしい、って思うけど、
その時はやっと来た! 忘れてなかったんだお!
嬉しい気持ちばっかりで深く考えなかったんだお。

「ブーン……ブーン……」

「いよぅくんかお!? どこだお!? 」

近付いてきているはずなのに、いよぅくんの姿はどこにも見当たらなかったんだお。
でも、声だけは近付いてくる。おかしいお、おかしいお、どこだお!? 
そう叫んだけど、いよぅくんは相変わらずブーンの名前を呼ぶばかりだお……。

探しに行こうかと思ったんだお。暗くていよぅくんがブーンを見つけられないんじゃないかと思って。
まぁ、立ったままだったっていうのもあったんだけどお。
だから、いよぅくんの机に置きっ放しだった鞄を掴んで――



「!?」


その時、ブーンの腕を何かが掴んだんだお。


「な、何だお!?」

そりゃあもう驚いたお。だって、暗闇の中だお?
良く見えない中、自分以外誰もいないと思った所で、いきなり手をつかまれたんだお。
心臓がばくばくなって、物凄い冷や汗がたくさん出てきたお……。

掴まれている腕は、冷や汗のせいなのか、凄くぬるぬるしていたんだお。
そうしている間にも、いよぅくんがブーンを呼ぶ声はどんどん近付いていて……

いや、そうじゃないんだお。僕は、腕を掴まれてやっと気付いたんだお。

ブーンが下を見るのと同時に、雲間から月が覗いて、真っ暗だった教室に月明かりが差し込んだんだお。


そこに、いよぅくんはいたお。





机の、あんな狭い引き出しから、ぐにゃっと首を曲げて。
骨が折れているんじゃないか、ってくらい変な方向に肩と腕を曲げて。




引き出しの中から、ブーンの腕を掴んでいたんだお。




「う、うわぁああああああああッ!?」

それに気付いて、叫んだお。頭がどうにかなりそうだったお。
ブーンがいよぅくんに気付いたのが解ったのか、いよぅくんは白目を剥いた
血の気のない顔でブーンを見上げて、にやぁっと笑ったんだお。

「ブーン……」

「――ヒッ!?」

ブーンを呼ぶ声が近付くのに、姿は見えなかったのは、いよぅくんが机の奥から
ずるずると這い出していたからなんだお。

このままでいたら危ない。そう思って振りほどこうとしたんだけども、いよぅくんは有り得ないくらい
強い力でブーンの腕を握っていて……そうしている間にも、ブーンの腕を掴んだまま、
いよぅくんはずるずると机から這い出してきたんだお。

「ブーン……どうしよう……」

「うわぁああああ! 嫌だお! 助けておッ!!」

ついにいよぅくんは机から出てしまったお。
ブーンを握る手と、その反対の手にはカッターナイフが握られていたお。そして、いよぅくんは
首から――いや、全身からどす黒い血を垂れ流しながら、へらへら笑っていたんだお。

不思議なもんだお。こういう時、頭は恐怖でパニックになっているのに、見たくない、と
思ったものはけっこうちゃんと見えてしまうんだお。
ヒッキーくんにも覚えはないかお?
例えば事故で死んでしまった動物の轢死体を、嫌だ嫌だと思いながら見てしまう感覚。そういうのを。

そこは、真っ赤だったお。地肌の色が見えないくらいに。
血塗れだけど、傷跡がはっきり見えるんだお。











「明日7時学校数学の宿題がでているメモを忘れない内藤に聞いた方法を忘れない明日体育で体操服が
 必要渡辺に借りた五百円返すご飯を食べるのを忘れない息をするのをわすれないわすれないわすれない
 わすれないわすれないわすれないわすれない」








……耳なし芳一って、知っているかお? 
正にいよぅくんはその状態だったんだお。

……ナイフで肉を削って作ったメモ書きが、墨で書かれたお経の代わりだったけどお。


「うわっ、うわ、わぁ……」

人間驚くと、まともな発音が出来なくなるんだおね。
ブーンも、吃音みたいな声を出しながら、ただぶんぶんと左右に頭を振る事しかできなかったお。
だけど、いよぅくんは、怯えるブーンが凄く楽しいみたいだったお……。

「見た? ねぇ見たかよぅ? ブーン。ブーンに言われた通り、体に書いたんだよぅ?
 これで大丈夫だと思ったよぅ? だけど……」

「ひっ、ひぃ……! ご、お、ごめ、ごめんだ、お……!」

その瞬間、いよぅくんはけたけた笑ったお。笑うたびに体中の『メモ』から、沢山血が出てきたお。
折れた首を揺らして、変な方向に曲がっている腕を振り上げて、長い舌をべろーんと出して。
白目を剥いたまま、体から血を流したままケタケタ、ケタケタ笑ったんだお。


……振り上げられていた腕は、ブーンを掴む腕じゃなかったお。
カッターを持つ、腕だったお。
月の光でぎらっと光ったカッターは、躊躇いなくブーンを狙っていたんだお。




「だけど、覚える前に死んじゃったんだよぅ! ブーンのせいだ……ブーンのせいなんだよぅ……。
 ブーンにも……ブーンにも……お礼に『メモ』を書いてあげるよォォォォォゥ!!」





狂ったように笑いながら、いよぅくんはカッターを振り下ろしたお。




(;-_-)「……」

( ^ω^)「……」

(;-_-)「…………あれ?」

( ^ω^)「お?」

(;-_-)「ぶ、ブーンくん……続きは……?」

( ^ω^)「ブーンが死んでいるように見えるかお? ヒッキーくん」

(;-_-)「い、いや……」

( ^ω^)「おっおっ。ブーンは間一髪助かったんだお。カッターが振り下ろされる瞬間……」


「くぉらー! 我輩が見回り担当の日に忍び込むとはいい度胸であるな! 盗人め!」

もうダメだ、と思った瞬間、後ろから強い光と大きな怒鳴り声が聞こえたんだお。
その声にドキッとして後ろを見たら、懐中電灯片手に怒鳴り込んでいるロマネスク先生と
目が合ったんだお。

「ろ……ロマネスク……先生……」

「む? お前、1-Bの内藤だったか? こんな時間に一人で何をしているのだ」

「ひ、一人?」

言われて振り返ってみたら、そこにいたはずのいよぅくんはいなくなっていたんだお



( ^ω^)「……それでも、腕を見てみたら、くっきりと人の手形が残っていたんだお。
      そして、その中心に赤い筋もあったんだお

( ^ω^)「それは、何かの文字のようにも見えたお。でも、途中からしか読めなかったんだお。
       『……サナイ』って書いてあったんだけどお、どういう意味だろうおね?」

( ´ω`)「……と言う訳で、いよぅくんの本当の死の原因を知っているのはブーンだけなんだお……」

( ^ω^)「……でも、不思議だと思わないかお? これだけ大きな高校でも、生徒が死ねば
      噂になると思わないかお? 病死でも事故死でも。失踪でもそうだお」

(-_-)「確かに……」

( ^ω^)「それが、不思議な事なんだお。ブーンがいよぅくんに会った……襲われたって
       言った方がいいのかお? まあ、その次の日から、クラスの皆はさっぱり
       いよぅくんの事を忘れてしまっていたんだお」

(;-_-)「えっ……!?」

( ^ω^)「誰に聞いても知らないって言うお。あんまりにも不思議だから、いよぅくんの家にも
       行ったんだお……お母さんに『そんな子、いませんけど?』って言われちゃったけどおね」

( ^ω^)「ヒッキーくんも知らなかったんだおね? 皆そうなんだお。ブーン以外、いよぅくんの
       家族を含めて全員が、いよぅくんの事を忘れてしまったんだお」

(;-_-)「……そんな、」

( ^ω^)「ヒッキーくんは忘れん坊さんじゃないから大丈夫、だとは思うけど……。
       ブーンは思うんだお。ブーンにとって一番怖い事は、忘れられる事なんだお」

( ^ω^)「だから、いよぅくんがあんな事になって、しかも忘れ去られてしまったっていうのは、
       いよぅくんが今まで忘れ去って来た人たちの呪いなんじゃないか、って思うんだお」


……ブーンはいよぅくんの事を忘れないお。
血まみれで、白目をむいてカッターを振りかぶるいよぅくんの事は。
……だって、忘れたいのに、それだけはいつまでも忘れられないんだお。
いや、忘れさせてくれないんだお――いよぅくんが。


( ^ω^)「……毎晩、夢に出てくるんだお。
      『ブーンは忘れっぽいよぅ? だから、僕の事を忘れないようにちゃあんと『メモ』してあげるよぅ?』
      って。あの日見た、ケタケタ笑ういよぅくんの姿のまま」

( ´ω`)「忘れたくても、忘れられないお……あぁ、そうそう」

( ^ω^)「この話を他人にするのは初めてだお。もしかしたら、忘れん坊じゃないヒッキーくんを
       羨ましがったいよぅくんが出てくるかもしれないお。それに、ブーン以外知らなかった
       いよぅくんの事を知ってしまったから、喜んで出てくるかもしれないお」



……もし出てきたら、ごめんだお? ブーンにもどうなるか、解らないんだお……。




( ^ω^)「これで、ブーンの話は終わりですお。次は、誰の番ですかお?」



                                         END1:忘却の忘却






この小説は2008年6月22日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:0wqXz+lC0 氏



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[ 2010/01/07 20:44 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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