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(゚、゚トソン トソンとハゲタカの様な男のようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




ξ ゚⊿゚)ξ「ねぇ、最近この辺りで不審者が出没してるって噂、知ってる?」

(゚、゚トソン「いえ、初耳です」

放課後、私はここ生徒会室に来ていました。

先日行われた、生徒会の予算会議にて、一部不明瞭な点があった為、
本日はそれについて書記である私と、二つ学年が上の生徒会会長、
そして一つ上の副会長のお二人と共に、三人で先程まで話し合いをしていました。

それを何とか終えた後に、副会長であるツン先輩が不意に上記の様なことを仰ったんです。

川 ゚ -゚)「目撃者の証言によると、その不審者は見た目二十代後半程度の男性で、
     大きな体躯とモヒカン頭、それと獲物を狙うハゲタカの様な鋭い目つきが特徴なのだそうだ」

横から会長のクー先輩が、副会長であるツン先輩の代わりに具体的な情報を掲示してくれました。



1_20100106140332.jpg




(゚、゚トソン「そのモヒカンさんは、一体何を仕出かしたんですか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「実害は何もないらしいんだけど。強いて言うなら、じっと凝視された程度みたいよ」

(゚、゚トソン「それだけ、ですか?」

何もしていないで、単に凝視? 確かに少し挙動不審ですが、
私だって他人の顔を、じっと見てしまう事くらい多々ありますし、
その程度なら特に心配をする必要などないのでは……。

川 ゚ -゚)「それは違うぞ、トソン」

そう疑問に思っていると、クー先輩が私の考えは宜しくないと、否定なさいました。

どうでもいいですけれど、私今の考えは口に出してませんよ。
この方は何故かは解りませんが、時々、瞬時に人の思考を洞察します。
だから彼女の前では、あまり下手なことは考えられません。

川 ゚ -゚)「いいか? 何かした、していないが問題ではない。
     そういった怪しい人物には注意しておけ、ということだ。何かあってからでは遅いからな」

確かに、言われてみればその通りですね。
前以って、そういった情報を与えられていれば、
咄嗟の状況でも何とか対応し、最悪の結果は回避出来るかも知れないですから。

川 ゚ -゚)「そもそもだな――」

そう一言呟いて、クー先輩は一旦言葉を区切りました。
それと同時に、私の第六感が嫌な予感を告げます。
いけません、これは――

川 ゚ -゚)「現代のこの国の人間というのは、往々にして危機感が足りないのだ。
     毎日毎日、当たり前の様にのほほんと平和ボケした毎日を送り、
     切磋琢磨しようとしない。人間という者は、日々鍛え、精進し、己を磨き、
     そしてその分だけ成長していかねばならんのだ。それを、何だ? 最近の奴らは?
     どいつもこいつも、大した努力もせず、あーしたいこーしたい等と、現状をただ維持したまま、
     むしろ衰退している場合すらある。
     なのに、ウダウダグチグチネチネチと妄言ばかり垂れ流しおって。
     そういった希望を叶えることは、確かに誰しもが生まれながらにして持ち合わせている権利だ。
     だが、権利というモノにはそれ相応の義務が伴うんだ。どいつもこいつもそれを解っていない。
     金が欲しいなら働かなければばならないし、頭が良くなりたければ勉強しなければならない。
     好きな人と付き合いたいなら、積極的にアプローチをしかけるしかないし、
     強くなりたいならば、日々の鍛錬を怠ってはならん。
     そんなことも理解せずに己の欲ばかりを主張するなど、
     言語道断だ。巫戯ているとしか…人生を嘗めているとしか思えん。
     だいたいだな――
ξ ゚⊿゚)ξ「はいはい、そこまでー。そろそろ帰りましょうねー」


川 ゚ -゚)「む。待て、ツン。まだ話は終わってな……」

 グムム…ナ、ナニヲスルダァーッ! ハナセ、ツn…

川 ゚⊂ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあね、トソン。お疲れ様。ここの鍵は返しておいてね。
           話の通り、件の不審者には気をつけて帰りなさいよー」


(゚- ゚ 川... ヒドイジャナイカ、マダイイタイコトガ、イッパイアッタノニ…

ξ(-、-ξ... ハイハイ、ソレナラアタシガキイテアゲルカラ、ネ?


(゚、゚;トソン「お、お疲れ様です……」

危ないところでした……。クー先輩があの様に語りだすと、
軽く五時間は話し続けてしまいますから……。
いやはや、以前ツン先輩が欠席された際には、それはそれは酷い目に遭いました……。

結果その日は、寝床に就く直前まで、
“Fateは文学、CLANNADは人生、鳥の詩は国歌”
という、よく解らないフレーズが延々と脳内を駆け巡って……。

因みに、お二人は学年は違いますが、昔から慣れ親しんだ幼馴染なのだそうです。
だから、ツン先輩はクー先輩の扱いに長けているわけですね。感服致します。


(゚、゚トソン「……」

さてさて、このままこの場に一人佇んでいても仕方ありません。
私も帰ると致しましょうか。



どうでもいいですが、ツン先輩。
やけに自然な形で、私に生徒会室の鍵の返却を押し付けていきましたね。

ある意味、緊急避難だったから仕方ないのかも知れませんが。


私が登下校に用いる手段は徒歩です。

他の皆さんは、自転車や電車といった文明の利器を用いているご様子ですがね。
昔の旅人は、一日に十里以上も歩いたと聞きます。
因みに一里は約四kmです。パないですね。
ですので、私も偉大な先人達に倣って、毎日三十分程かけて登下校しているわけです。

決して、この歳で自転車に乗れない程の運動音痴だとか、
そういうことでは御座いません。私は嘘を吐かないのを信条にしていますよ。

それに大人になれば、車の免許だって取得出来ます。
結論として、自転車なんてものは私には必要ないのです。ないったらないんです。


(゚、゚トソン(はい、論破ー)

そんなことを一人考えながら、今日も今日とてウォーキングです。
今日は一日中晴れていました。昼間は雲が一つもなく綺麗な青空が広がって、
夕方の日が沈む今頃は、空は夕焼けで真っ赤になっていました。

こうした自然に目をやりながら歩くのが、私の最近の楽しみです。
決して、寂しい人間でも、若くして感性が年寄り染みているわけでもありません。
その証拠に元気に歌だって歌えます。これは若い証拠です。


(゚、゚トソン「I wanna be a VIP STAR~♪ 君がずっと夢中なそれなんてエロゲ?~♪」

どうです? ちゃんと流行りの曲だってチェックしてるんですよ?
え? その歌もう古い?
そんなまさか、私のチョイスに間違いなどありえない筈です……。

そして丁度自宅までの近道として、近所の公園を通り過ぎようとしたところ。

――そこに、彼がいました。


2_20100106140332.jpg
        

(゚、゚;トソン「……」

えーと……クー先輩が仰ってた、不審者の特徴は何でしたっけ……?


   川 ゚ -゚)『目撃者の証言によると、その不審者は見た目二十代後半程度の男性で、
        大きな体躯とモヒカン頭、それと獲物を狙うハゲタカの様な鋭い目つきが特徴なのだそうだ』


思い出しました。
では、その証言を目の前の人とを照合してみましょう。
結論として、どう見ても彼がその不審者です。本当にありがとうございました。


3_20100106140331.jpg


Σ(゚、゚;トソン(うわっ、こっち見ないで下さい!)

( ゚∋゚)「……」

(゚、゚;トソン「……」

私は彼のそのハゲワシのような、鋭い視線に見つめられ、
まさに、蛇に睨まれた蛙の様な心境で立ちすくんでしまいました。
彼は、じっと動かずこちらを凝視してきます。

私も彼から視線を離せないでいるので、
相手から見れば、こちらもじっと凝視している様子に見えるでしょうか?

しかし成る程。
確かに、これは少し怖いかも知れません。
警戒心を抱いた人の気持ちが今ならよく分かります。

目の前の彼は、話の通り大きな大きな体つきで、
モヒカンなどという奇抜な髪型に加え、何よりその無表情さが、
不気味なふんいき(何故か変換する気になれません、不思議ですね)を醸し出していました。

( ゚∋゚)「……」

この互いの視線が交差し合い、停滞していた状況を破ったのは彼でした。
一歩足を踏み出し、そしてまた一歩、一歩。
こちらに接近してきます。

これは常識的に考えなくても、回れ右で三十六計逃げるにしかずでしょう。

ですが、実は何気に気が小さく、精神的に脆弱な私です。
すっかり怯えてしまい、脚が竦んで言う事を聞きません。

とりあえず大声で叫んで、誰かが救援に駆けつけてくれる事に期待したくもありましたが、
何せ声も出ません。身体がその方法を忘れてしまったみたいです。
誰かヘルプです。

そんなことを思考していたら、いつの間にか彼が目糞と鼻糞の先にまで迫っています。
嗚呼、恐怖でついに頭がおかしくなり、複数の慣用句がごちゃまぜになってしまっていますね私。あばばあばばあばば


( ゚∋゚)「……お前、泣いてる?」

(゚、゚;トソン「ひゃい?」


彼が発した言葉は、私にとっては予想だにしていないモノでした。
おかげで、つい素っ頓狂な声を上げてしまいましたよ。
少し助詞が足りない感じの、日本語覚えたての外国人的な言葉遣いでしたが、
ただそれは確かに、気遣いの言葉でした。


( ゚∋゚)「何あったか、俺、知らない。でも、泣くな、元気出せ」


これも気遣いの言葉でした。
この時点で私が、この人が悪意ある人間ではないことに薄々気がついていました。

ただ、言いたいことが一つ。
自覚はありませんが、仮に私が泣いていたのだとしたら、それは、あなたの、所為、です。


(゚、゚;トソン「い、いえ、あのその、このどの……」

( ゚∋゚)「……」


とりあえず、言葉を喋るということは相手との意思疎通が可能だということです。
私は、必死に声の出し方を思い出して、なんとか返答しようとしました。

ですが、悪人でないと何となしに判っても、彼のその存在感と迫力は凄まじいものです。
私は背が低いので、一般的に見ても大きな彼が目の前にいると、それはまるで聳え立つ壁の様でした。
彼の顔を見上げながら、何とか返答しようと努力します。でも、上手く声が出てきません。
頭の中ではこれほどまでに饒舌なのに、です。


( ゚∋゚)「元気、出せ」


彼が、そう呟いた直後です。
私は足が地についてない様な感覚を覚えました。
それは、実際に私の身体と地面が離れ離れになっていたからなのです。

目の前の彼が、私の身体を抱き上げていました。


(゚、゚;トソン「お? おぉ?」

咄嗟の出来事に、私は何が何だかわからない状態でした。
まるで泣きじゃくる赤ん坊をあやすかの様な動作で、高々と抱え上げられた私。

なになに? 一体、私をどうなさるおつもりですか?
今後の展開予測がとても困難です。


4_20100106140331.jpg


そうして気がつけば、私は彼の背負われ、
そして、彼はそのまま公園内を走り回ります。


(゚、゚;トソン(え? 何なんですか? この状況……)

あと一時間もしない内に、日が沈み夜に移行します。
各家のお母さん方は夕食の準備をして、子供はとっくに帰宅しています。

そんな時間帯に、思春期真っ盛りの女子校生を背負いながら、
公園内をグルグルと走り回り続ける、謎の男。

どう見ても不審者です。本当にありがとうございました。


(゚、゚トソン(でも……)

何故でしょう。さっきまで酷く困惑していたのに、
そうやって時間が経つに連れて、私の心は落ち着いてきました。

そして、この人の行動の意図を考えるのも一先ずやめにして、別のことを考え始めていました。


(゚、゚トソン(速い、ですね……)

彼の走るスピードは、人間一人を背負って、というハンデ付きにも関わらず、
普通の人間の走る速度のそれと、大差ありませんでした。

そうして、普段乗り物という文明の利器を利用する習慣があまりない私は、
彼の背中に背負われながら、不意に久しく忘れていた感覚を思い出しました。

強い風がこの身に吹きつけ、ただ歩いているだけでは、今後一切思い出すことはなかったでしょう。
人間の身体能力の限界を越えた速度で疾走する際にのみ感じられる、限定的なそれ。
風を切る、という感覚。

これと似たような事例を私は、自身の記憶から呼び覚まします。
そうアレです。幼い頃、父の運転する車の窓から、顔を出すと、もの凄い強風を顔面に受けました。
それがなにやら無性に楽しかったのを、何となく私は覚えています。

ただ記憶によると私はその後、「危ないからやめなさい」と、母にお叱りを受けていました。
なので、以来そんなことはしなくなり、身近にその感覚を堪能出来るであろう自転車にも乗れな……ゴホン。

乗らない私は、(乗れないわけではありません。違いますとも、えぇ)何やら童心に戻った様な、不思議な気持ちになりました。


(゚、゚*トソン(……)

暫くすると、彼は停止し、背負っていた私をゆっくりと地に降ろしてくれました。


( ゚∋゚)「……」

(゚、゚*トソン「……」


ふと、彼の目を見てみました。ハゲタカの様な鋭い目付きだと思っていたそれは、
よくよく見てみればそんなことはなく、実はただただ純朴なだけの彼の人間性を体現化した様な、
綺麗で澄んだ瞳でした。


( ゚∋゚)「俺の、故郷の子供、これやると、皆喜ぶ、元気なる。お前、元気、出たか?」

(゚、゚*トソン「……はい、ありがとうございました」


今度は、キチンと彼の問いに答えることが出来ました。
先程まで私を蝕んでいた恐怖心と警戒心はもうありません。

あるのは、懐かしい感覚を思い出させてくれた彼に対する、ほんの僅かばかりですが、感謝の気持ち
でした。


( ゚∋゚)「子供、元気、一番。お前、元気なる、いいこと」


ですが、一つ疑問がありました。

彼は先程から子供子供と連呼していますが、
一体、彼には私がどの程度の年齢層に見えているのでしょう?
喋り方が辿々しい彼。もしかしたら、外国出身の方なのかも知れません。

そして、外国の方には日本人は幼く見られがちだと聞きます。
もしかして、私のことを小学生か何かだと思っているのでしょうか?
それはそれは、少々憤りを感じますね。確かに私は背も低く、童顔で、発育状況もイマイチですがね。
いや、ですがね?


( ゚∋゚)「元気、いいぞ。それなら人生、きっと、楽しい」

そう告げると、彼は後ろ向いて去っていきました。
私は、彼の姿が見えなくなるまで、その背中をずっと見つめていました。




それから二週間程度経ちました。

日々の生活に、特に不満等の何があったわけでもない私は、相変わらず学生をしています。


(゚、゚トソン「お二人とも、おはようございます」

川 ゚ -゚)「む、トソンか。おはよう」

ξ ゚⊿゚)ξ「おはよー」

登校すると、丁度正門のところに先輩達がいたので挨拶をしておきました。
相変わらずお二人は仲が良さそうです。

仲良き事は美しき哉。
そんな何処かの小説家さんの遺した言葉が思い出されます。


ξ ゚⊿゚)ξ「……」

(゚、゚トソン「? どうかしましたか?」

ツン先輩がじっとこちらを見つめてきます。
なんでしょう? 私の顔に何かついてるのでしょうか?


川 ゚ -゚)「……トソン。自転車、乗れたんだな」


最近私は、登下校の手段を徒歩から自転車に変更しました。

いえいえ、別段、大した理由など御座いませんよ?
ただつい先日、自宅の物置にて眠っていた自転車を発見致しまして、
それを見て、「あるものは使わないと勿体無いなぁ」と、そう思っただけですから。

川 ゚ -゚)「意外だ」

お二人とも同じ様な視線を私に向け、
クー先輩は、心底そう感じているという風に言ってきます。
ということは何も言いませんが、恐らくツン先輩も同じ事を思っているのでしょう。


(゚、゚トソン「なに言ってるんですか、先輩。
      私、こんなものは昔から乗れますよ?」

私は、「何を今更」という態度でそう返答しました。
その台詞が少し得意げに聞こえるのは、皆さんの気のせいでしょう。

なお私の身体中、何やら絆創膏と擦り傷だらけなことと、
この自転車の間に、因果関係は一切ありませんよ?

えぇ、ありませんとも。




(゚、゚トソン トソンとハゲタカの様な男のようです-Fin-






この小説は2008年6月14日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:g6qnI1Mi0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです



お題
ハゲタカのような男



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/06 14:05 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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