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妹者は幸せを振りまくようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




l从・∀・;ノiリ「どうしようなのじゃー」


ピンクの可愛らしい着物を着て、ふいよふいよと空を飛ぶ少女が一人。
時々電柱や塀に座り込んでは、 うーん とうなり、手元の紙を見て悩んでいる様子。


彼女は新米座敷童。
親玉の座敷女さんの元から、一人前の座敷童となるための修行の旅に出たばかりの女の子です。

座敷童なんて、適当な家に入ってそこで幸せを振りまけばいいと思っている方も多いでしょう。

でも、座敷童の力は悪用されたり、使い方を間違えると大変な事になりかねません。
なので立派な座敷童となるには、力の正しい使い方を覚えるために
厳しい修行を積まなければいけないのです。



20080611214438.jpg




l从・∀・#ノ!リ「一年間の…家族の収入が…180万円以下の家に行くべし… そんなのわかるかっ!」

l从・∀・ノ!リ人「でも試験をパスしないと立派な座敷童になれないのじゃ……」


少し高く昇って辺りを眺め回してみますが、そう簡単に貧乏そうな家は見つかりません。
ため息一つ。
雲と一緒に宛も無く、女の子はふらふらと漂っていました。

無心になって空を飛んでいると、旅立ちのときのやり取りを思い出します。


──────── ──── ───


川д川「基本的な事は学ぶ事が出来たわね……」

l从・∀・ノ!リ人「もう立派な座敷童になれますのじゃ! 貞子さんの元から独り立ち出来る日も近いのじゃ!」

川д川「まだ駄目よ……。最後の試験が残ってるもの……」

l从・∀・;ノ!リ「試験っ!? そんなものあるなんて聞いてないのじゃ!」

川д川「だって教えなかったし……」

l从・∀・;ノ!リ「ま、まぁいいのじゃ。どんな試験でもばっちこいなのじゃ!」

川д川「うふふ……自身満々ね」

川д川「最後の試験は、どこでもいいからとにかく誰かを幸せにしてくる事」

l从・∀・ノ!リ人「そういう曖昧な言い方は困るのじゃ! もっとkwsk教えて欲しいのじゃ」

川д川「私説明苦手なの……。プリント作っておいたから、それを参考にして頑張ってね……」

l从・∀・ノ!リ人「えっ プリントなんてどこにも……」

川д川9m「じゃあ…… Good luck」

l从・∀・;ノ!リ「んじゃぁっ!!」


────── ──── ──


貞子さんが指を光らせたかと思うと、途端に凄まじい何かを体中にうけて、
そして気づけばこの街の上空に、座敷童は放り出されていました。


l从・∀・#ノ!リ「いきなり屋外に吹っ飛ばすなんて貞子さんはひどい人なのじゃ!」


ぷりぷりと怒りながら、女の子は未だに空中散歩の真っ最中。
仰向けになりながら、いつの間にやら自分の手に握られていたプリントを
やる気無さげに眺めています。


l从・∀・ノ!リ人「えっと…… 家の住人に見られてはいけない。存在を知られてもいけない」

l从・∀・ノ!リ人「宝くじを当てたり、大金を出したりようなするあからさまな幸福はいけない……」

l从・∀・ノ!リ人「対象を幸せに出来たかどうかは、生徒の責任者が各自判断し報告をする……」

l从・∀・#ノ!リ「制約が多すぎるのじゃ! 貞子さんは私を卒業させる気が無いのかもしれないのじゃ!」


プリントをぐしゃりと握り潰して不満の声を上げますが、誰も返事はしてくれません。
むきー と猿のような声をあげて足をばたつかせていると、下から声が聞こえてきました。


l从・∀・;ノ!リ「なんじゃ? ……! まずいのじゃ!」


まだまだ半人前の座敷童。少しリラックスしすぎていたようです。

宙に浮かぶ女の子を見たら、誰でも驚く事でしょう。
女の子の方に向けて指を指し、わぁわぁと騒ぐ二人組の男の子がいました。


座敷童は、一応お化けの仲間です。
普段は誰にも見えません。
しかし普段は透明でも、力を抜くと普通の人に見えてしまう事があります。
お化けにとって、人間に姿を見られるというのはよっぽどの事が無い限りはしてはいけない事になっています。

お化け法第774条に、安易に人間に姿を見せてはいけないという法律があるくらいです。


(;´_ゝ`)「本当に! 今空に幼女が!」

(´<_` )「兄者の妄想癖も幻覚を起こすまでとなったか。流石だな」

(;´_ゝ`)「いやいや! あれは幻覚じゃないって! 本当に着物姿の幼女が!」

(´<_` )「はいはいワロスワロス。それより早くノビルを摘んで家に帰ろう」

( ´_ゝ`)「確かに幼女がいたと思ったんだが…… ……幻覚? だったのか?」



l从・∀・ノ!リ人「ふぃー。 危なかったのじゃ」


おでこの汗を拭くような、大げさなリアクションをしながら、男の子達を眺める座敷童。
二人はそれぞれビニール袋に野草をたんまりと入れ、川原の遊歩道をゆっくりと歩いて行く所です。


l从・∀・ノ!リ人「……。ついて行ってみるのじゃ」


肘の所に当て布をしてある二人に、興味がわいたのでしょうか。
座敷童は瞳を淡く輝かせて、先程と同様ふいよふいよと漂いながら、二人の後をつけて行きました。


しばらく後ろを漂った後、二人と座敷童がたどり着いたのは、古ぼけたトタン屋根の平屋建てのおうち。

立て付けが悪いようで、がたがたと盛大に引き戸を揺らした後、一蹴り入れて中へ入って行きました。
座敷童も引き戸が閉まる寸前に隙間から入り込みます。


(´<_` )「母者。野草とって来たぞ」

 @@@
、@ _、_@      
  (  ノ`)「すまないね! 今からパートだから、おとなしく夜ご飯食べてるんだよ!」

( ´_ゝ`)「……今日もまたパンの耳か。美味しいからいいけどさ」

 @@@
、@ _、_@      
  (  ノ`)「お給料入ったらもっと美味しいもの作るから楽しみにしてな!」


座敷童と入れ替わるように出て行った、パーマのお母さん。
その細い目の下にはうっすらと隈が浮かんでおり、見るからに疲れているようでした。


( ´_ゝ`)「……母者、倒れたりしないかな」

(´<_` )「母者だし大丈夫だろう。……多分」


不安そうな表情を浮かべて同時にため息をつくその様子を見て、
座敷童は思いました。『私がこの家族を幸せにしてあげたい』と。


l从・∀・ノ!リ人「……決めたのじゃ。この家を幸せにする事に、決めたのじゃ!」


小さなその手を握りしめ、普通の人間には聞こえない事をいいことに大声で叫び、今の思いを強く心に刻み込みます。
その声は遠くまで響き、親玉の座敷女さんの耳に元まで届く程でした。


川д川「うふふ……。新米ちゃん、ついに本気を出したようね……」

川д川「しっかりやれるのかしら?……うふふふふ」



幸せにするといっても、いきなり大金を出したりなどという
そこの住人の為にならない事は禁止されています。

楽をさせない訳ではありません。
そこの住人が自分で幸福をつかみ取る手伝いをするのが、座敷童の仕事なのです。


l从・∀・ノ!リ人「まずはお宅拝見なのじゃ」


この家族が、一体どのような状況におかれていて、どのように困っているのか。
それを調べて、家族をよい方向へ導く必要があります。
そのためには、いきなりむやみやたらと力を使う訳にもいきません。
じっくりと状況を把握し、何をどうすべきかを考えなくてはならないのです。

座敷童のススメ~P16より引用


l从・∀・ノ!リ人「貞子さんの教えを思い出せば……。大丈夫。ちゃんとやれるはずなのじゃ」


頭をぶつけそうな低い天井に注意しながら、一つずつ部屋を回って行きます。
外から見た時にも思いましたが、そこまで大きな家でもありません。

天井に怪しいしみが広がっている、小さなリビング。
日焼けして毛羽立っている畳が敷かれた和室。
何度も読み返したからなのか、ぼろぼろになった雑誌が数冊おいてある子供部屋。
一番奥の、ドアが閉めてある部屋。

座敷童は透明になる事は出来ますが、まだ新米なので壁を通り抜ける事は出来ません。
なのでドアを開けたら誰かに気づかれてしまう恐れが出てきます。
座敷童は奥の部屋を覗く事はやめ、また小さなリビングへ戻っていきました。


l从・∀・ノ!リ人「見れば見る程ぼろっちいお家なのじゃ」


リビングに置いてあったパンの耳の砂糖がけをかじりながら、座敷童は思案します。
自分がやったとはわからないような小さな幸福。
まずは何を起こそうか?

見れば見る程貧乏で不便そうなこのお家。
どこから手をつけようか、座敷童は迷っているようでした。

しばらく腕を組んで考え込んだ後、やっと最初に何をやるか決めたようです。
ハッ と閃いた顔をし、座敷童は両手を合わせてぶつぶつと呟くと、


l从・∀・#ノ!リ「……ぬぅ~~ん…… えいっ!」


いきなりぱっとその手を開きました。

その拍子に小さな光が飛び出して、
その光はしみを通り抜けて家の外へ出て行き、そのままどこかへ飛んで行きました。



(´<_` )「……もう八時か。母者遅いな」

テレビもないリビングで、トランプをして暇をつぶす二人。

テーブルには野草のサラダと、わずかに砂糖が残っている皿がそのまま放置されています。
けど、育ち盛りの二人にはそれだけでは足りないのでしょう。

すっかり自分達の分は食べ終わってしまったようですが、
今だお腹からは物悲しそうな音が響いていました。


 @@@
、@ _、_@      
  (  ノ`)「ただいま!」


そんな時、開き戸が勢いよく開いてさっきの女性が帰ってきました。
家を出て行くときはストレスのせいか青筋が浮かんでいましたが、
今は心無しか嬉しそうに見えます。


( ´_ゝ`)「おかえり母者」

(´<_` )「なんか嬉しそうだけどどうしたんだ?」

 @@@
、@ _、_@      
  (  ノ`)「時給が少しあがったんだよ!」

(*´_ゝ`)「おぉ! すごいな母者!」

 @@@
、@ _、_@      
  (  ノ`)「これで少しは生活が楽になるかもしれないねぇ……」

(´<_`*)「やったな! 姉者にも知らせてこよう!」


二人の男の子は嬉しそうな表情を浮かべ、奥の部屋へと駆けて行きます。

そのまま廊下の一番奥の部屋の閉められたドアを開けて、中にいる女性に声をかけました。
どうやらこの二人のお姉さんのようですが……


(*´_ゝ`)「姉者姉者!聞いてくれ…… ……どうしたんだ?」

∬ ;_ゝ;)「……なんでもないわよ」

(´<_`;)「なんでもなくないだろう。姉者が泣くなんてただ事じゃないぞ」

∬ ;_ゝ;)「……好きな人にね、許嫁がいるんだって」

( ´_ゝ`)「どこの御曹司だよ」

(´<_` )「でもまだ告白してないんだろ?
        その坊ちゃんがそのまま許嫁と結婚するかはまだ決まった訳じゃないだろ」

∬ ;_ゝ;)「だけど……。こんな貧乏学生と大企業の息子さんじゃ釣り合わないでしょ? いいのよもう」


貧乏。という単語が出て来た後、お姉さんはバツの悪い顔をしてうつむいてしまいました。
男の子二人も、自分が悪い訳ではないのだろうけど、申し訳無さそうな顔をして手をもじもじさせています。


( ´_ゝ`)「……なんかごめん」

∬;´_ゝ`)「……」

(´<_` )「……一応ご飯あるからさ、リビングに食べに来なよ。元気ないときは体力つけないと」

∬ ´_ゝ`)「……うん」


何とも言えない時間が過ぎて行く中、玄関の方から沈んだ声が聞こえてきました。
男の子二人はその声の主を迎えに、玄関先へ向かいます。


 彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「ただいま……」

( ´_ゝ`)「おかえり。聞いてくれ父者。母者の給料がUPしたそうだ」

 彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「そうか。それはいい事だ。俺も見習わなくてはいけないんだけどなぁ」


この家の大黒柱のようですが、頭と背中から物悲しい雰囲気が漂い、
今にも折れてしまいそうな雰囲気が滲み出ています。

苦々しい笑みを浮かべて、頭の禿げたお父さんは手荷物を机に下ろしました。
荷物の横に置いてあった野草のサラダを眺めて、申し訳無さそうな表情でぽつぽつと呟きます。

 彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「俺が…… リストラなんてされなければ……お前達にも苦労させずに済んだのに」

(´<_` )「父者のせいじゃないさ」

( ´_ゝ`)「そうだぞ。現にあの後会社はさらに小さくなって、結局買収されてしまったじゃないか」

 彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「……息子に慰められるなんてな。……明日こそは仕事を見つけてくるから……ごめんな……」


唇を真一文字に結び、お父さんは和室へと行ってしまいました。
先程までの明るい雰囲気はもうどこにも残っていなくて、
家全体に重苦しい空気がのしかかっています。

そんな様子を食器棚の上にちょこんと座り、眺めていた座敷童。
可愛らしい顔に小難しそうな表情を張り付けて、
今自分がどう動くべきか、考えているようでした。


l从・∀・ノ!リ人「どうやら思った以上にこの家は不幸せなようなのじゃ」

l从・∀・ノ!リ人「これは絶対に幸せにしてあげなければいけないのじゃ!」

l从-∀-;ノ!リ「でも体力的に一日に一回しか力は使えないし……」

l从・∀・ノ!リ人「……長期計画で頑張るのじゃ!」






この日から、徐々にこの家は幸せになって行きました。

住んでいる家族が気づかないような小さな出来事から、
家族全員が大喜びするような大きな出来事まで、様々な幸せが訪れました。

もちろん、どれも座敷童の努力の賜物です。





 彡⌒ミ
(*´_ゝ`)「仕事が見つかったぞ! 土方の仕事だけど、無い時に比べればぐっと生活が楽になるはずだ!」


∬*´_ゝ`)「あの人がね、私に告白して来たのよ! しかも結婚を前提にお付き合いしましょうだって!
       どうしましょう!」

 @@@
、@#_、_@      
  (  ノ`)「店長さんがいい人でね。
      本当は駄目らしいんだけど、残ったお惣菜とかもって帰っていい事になったよ!」

 @@@
、@#_、_@      
  (  ノ`)「これからは野草なんてつまなくても美味しい物が食べれるようになるからね!」


(´<_`*)「最近いい事が多くて嬉しいな」

(*´_ゝ`)「前は貧乏暇無しを地でいくような状態だったからな。やっと報われるようになったか」


l从・∀・*ノ!リ「えっへっへ。みんな幸せそうなのじゃ!」


座敷童の努力によりだんだんと幸せになって行き、
全体的に暗い雰囲気が漂っていた家から笑い声が漏れるようになった頃です。

男の子二人がリビングで学校の宿題をしていると、
昔ながらの黒電話が、催促するように鳴りだしました。

面倒くさそうに立ち上がり、男の子の一人が受話器を取ります。


( ´_ゝ`)「もしもし、流石ですがなにか?」

(;´_ゝ`)「……えぇっ!? はい はい わかりましたすぐに向かいます」

(´<_` )「どうした兄者。血相変えて」

( ´_ゝ`)「……父者が、工事現場に突っ込んで来た車に跳ねられた」

(´<_`;)「…………え?」

( ´_ゝ`)「……危篤状態だ。すぐ美府病院にいくぞ」


l从・∀・ノ!リ人「一体どうしたのじゃ?」


ただならぬ様子を座敷童も察知したのでしょう。

簡単な荷物をまとめて慌ただしい様子で家を出る二人にくっついて、
着物の裾をはためかせながら、座敷童も後をつけて行きました。


全体的に白で統一された、小さな病室。

そこには全身管だらけで横たわっているお父さんがいました。
口に付けられたマスクの中に、一定間隔で白い曇りが出来ます。
一応息はしているようですが、男性は指一本動かさずに、ただそこに存在しているだけでした。

そこに、病室と同じような清潔感溢れる色の白衣を着た医者が入ってきました。
悲しそうな瞳をお父さんに向けていた二人は、医者に飛びつくように近寄り、
勢いに任せて何かを言おうとした後、それを押し殺し、沈んだ声で医者に尋ねました。


(-@∀@)「流石さんの身内の方ですね」

(;´_ゝ`)「父者は いや、お父さんは無事なんでしょうか」

(-@∀@)「運ばれて来たときは、内蔵破裂に、両足は複雑骨折というかなり危険な状態でした。」

(-@∀@)「今はなんとか手術は終えたのですが、意識は戻らないまま……」

(´<_`;)「……意識が戻らないだけですよね?
       いつかは。いつかは目が覚めて、ちゃんと動けるようになるんですよね?」

(-@∀@)「なんともいえません。このまま容態が悪化すれば……最悪の事態も」


医者は眼鏡をあげながら、ベッド上を横目で見ます。
心無しか、先程よりもお父さんの顔が青白くなっている気がしました。

時が止まったかのようなの沈黙。
心電図から発せられる小さな電子音だけが、時間の流れを刻んでいるようでした。

そこに、いつも以上に恐ろしい顔をしたお母さんと、
いつか見たときのような、腫れぼったい目をさせたお姉さんが同時に飛び込んできました。


(-@∀@)「奥さんですか……。あの、こういう所で言うのもなんですので、こちらに」


医者に促され、今入って来たばかりのお母さんは廊下に出て行きました。
部屋には男の子二人とすすり泣くお姉さんが一人。
それと、目には見えない座敷童も一人。


∬ ´_ゝ`)「……父者が入院するとしたら、手術代や入院費がかかってしまうわ」

∬ ´_ゝ`)「でもその前に、父者が目覚めなければどうしようもないのよね」

∬ ´_ゝ`)「貧乏でも、父者がいるのといないのとでは偉い違いなんだから」

∬ ;_ゝ;)「お願いだから……。目を覚ましてよ」


体中の水分を出し尽くしてしまうのではないかという程にさめざめと泣くお姉さん。
後ろでは奥歯を噛み締めて声を殺しながら目をこする男の子二人が、
お姉さんの背中とお父さんの顔を交互に見ています。


l从・∀・ノ!リ人「……。みんな不幸せな顔をしているのじゃ」

l从-∀-ノ!リ人「悲しい顔、苦しい顔、険しい顔、みんな不幸せな顔なのじゃ」

l从・∀・ノ!リ人「……幸せじゃないなら、私が幸せにしてやらなければいけないのじゃ」


座敷童は、両手を合わせて力を込めます。

その時プリントに書いてあった内容が脳裏に浮かんできましたが、
座敷童はそれを無理矢理無視して、手を思い切り開きました。


手から放たれた光は廊下にあった公衆電話へ吸い込まれ、
するりと全て入り込んだ途端、公衆電話がけたたましく鳴り始めます。

廊下で医者と話していたお母さんは吸い寄せられるように受話器を取ると、
しばらく話し込んだ後公衆電話の脇に受話器を置いて、病室に駆け込んで行きました。


 @@@
、@#_、_@      
  (  ノ`)「姉者! 大学の友達から電話だよ!」

∬ ;_ゝ;)「……? 誰よこんな時に!」

 @@@
、@#_、_@      
  (  ノ`)「まだ通話中になってるから早くでな! 大事な話らしいから!」


そんな事をしている場合ではないと目で訴えていましたが、結局涙を拭きながら、廊下に出て行ったお姉さん。
しばらくすると、相変わらず目は赤く充血したままですが、
涙の止まったお姉さんが病室内に駆け込んできました。


∬;´_ゝ`)「どこで知ったか知らないけど、ジョルジュさんが父者の手術代その他諸々を払ってくれるって……」

( ´_ゝ`)「それは本当か?」

∬;´_ゝ`)『君の父さんの一大事と来れば、手を差し伸べない訳にはいかないだろ』だって……」

 @@@
、@#_、_@      
  (  ノ`)「本当に助かるけど……。なんでそこまで世話をしてくれるんだろうねぇ」

∬ ´_ゝ`)「前に父者の会社を買収した大企業が、ジョルジュさんのお父さんの会社だったらしいの……」

∬ ´_ゝ`)「まったく関係無い訳じゃないだろう。って言って、もう家にお金を送ってくれたらしいわ」

(´<_`;)「今はジョルジュさんの好意に甘えるとしても……。父者が目覚めない事には……」


その発言で、少し和らいでいた病室内の空気がまた重くなります。
誰ともなしに心電図に目をやると、線の起伏が少なくなって来ていました。

それすなわち、死が近づいて来ているという事。
男の子二人は呆然とした顔をして、お母さん考えを読み取れない表情をしていて、
華奢なお姉さんははかなげに嗚咽を漏らしながら、
その動かない手を握り、ずっと ずっと、お父さんの名前を呟いていました。


その場に急にお金を出すというのは、やってはいけない事であると同時に、とても体力を使う物です。

それにまだまだ見習いで人を幸福にさせる力の弱い座敷童がそれを行った事で、
座敷童は満身創痍の状態になり、男性が横たわっているベッドにもたれながら肩で息をしていました。


l从・∀・ノ!リ人「お金があっても……この人が助かる確率は……」

l从-∀-;ノ!リ「はぁ……。いけない事をしたからなのかな。胸が苦しいのじゃ」

l从・∀・ノ!リ人「座敷童の使命は、みんなを幸せにしてあげることなのじゃ」

l从・∀・ノ!リ人「目の前で人が死ぬのを……ほっとけるわけないのじゃ!」


辛そうに目を瞑っていた座敷童が、力を込めて上体をあげ、お父さんの方を向いてベッドの上に立ち上がりました。

そして、さっきもやったように両手を合わせてひたすらに何かを願った後、
その念を手の平に集めて思い切りベッドのお父さんに向けて、光を放ちました。

新米座敷童が扱うには強すぎる強い念は、普通の人間にも見える程にまばゆく輝きながら飛び出し、
病室にいたお父さん以外の家族はその輝く光の粒に驚きながらも、
くるくるとベッドを回るその光を遮るような素振りもさせずに、ただ黙ってその光を見つめていました。


(;´_ゝ`)「……なんだこの光は?」

(´<_`;)「わからないけど……悪い物じゃ無さそうだ」

∬;´_ゝ`)「父者に吸い込まれるように渦をかいてるけど、一体なんなのかしら……」

 @@@
、@#_、_@      
  (  ノ`)「……今は黙って見てるしか無いね」


そして、渦を巻くように男性の周りを回っていた光の粒は全てお父さんの中に入って行き、
光の粒によって淡く照らされていた病室が、また薄暗くなった頃。


心電図の中で一本の命が飛び跳ねるように自己主張を初めて、
布団の下のお腹は縫われている事なんか忘れたかのように軽やかに弾みだして、
ギブスの下の足は早く歩きたいと催促するように傷を塞ぎ始めて。


悪夢にうなされていたような、青白い顔をしていたお父さんの頬に血の気が戻り、
お父さんはゆっくりとその瞼を開いて、病室内を見渡しました。



「……長い夢を見ていたようだ」



『父者!!』



みんなが喜びの涙で頬を濡らし、ベッドに駆け寄った時です。


とさり と軽い何かが落ちたような音がして、その音に気づいた男の子はお父さんの足下の方を見ます。
ベッドの上にぼんやりと、支える物が無くなった人形のように倒れている座敷童。

ピンクの可愛らしい着物を着た座敷童が、
嬉しそうな、悲しそうな、どこか不思議な表情で、
眠っているかのようにそこに倒れていました。

男の子は不思議に思ってその子に触れようとしましたが、
陽炎が天に昇るかの如く、座敷童の姿はふんわりと消えてなくなってしまいました。



──────────────────────────────


川д川「……新米ちゃん」

l从・∀・ノ!リ人「……貞子さん……」


川д川「あなたはやってはいけない事をしました……。それはわかってる……?」

l从・∀・ノ!リ人「……お金を出したのじゃ」

川д川「そう……。しかも結構な大金をね……。
      しかもその後、あのまま死ぬはずだった人を助けたわね……?」

l从・∀・ノ!リ人「……はいなのじゃ」

川д川「あなたはまだ力の弱い存在。
     そんな未熟な力で人一人の命を救うのが、どれだけ大変な事なのか分ってるの……?」

l从・∀・;ノ!リ「……そうなのじゃ! あの人は……あの人は助かったのじゃ!?」

川д川「あなたが力を振り絞ったおかげで、あの人は助かる事が出来たわ……」

川д川「だけど……。あなたが力を使い果たしたした後で
     姿が見えるようになってしまった所を、家族の一人に見られてしまった……」 

川д川「残念な事だけど……規則を二つも破ったあなたは、もう座敷童を続ける事は出来ないわ……」

川д川「じゃあ……あなたを転生させて別の生き物にする作業に取りかかるわ……」

l从・∀・ノ!リ人「それが……座敷童をやめさせる方法なのじゃ? 痛くしないで欲しいのじゃ」

川д川「上からの命令で、本当だったら蛙とかゲジゲジとかにしなくちゃいけないんだけど……」

l从・∀・;ノ!リ「えぇぇ~……せめてほ乳類にして欲しいのじゃ」

川д川「だけど新米ちゃん……。今回あなたは、とにかく幸せにするっていう条件を見事にこなした上」

川д川「家族まるまる涙を流す程喜ばせたという偉業を成し遂げたので……」

川∀川「私独自の『微笑みボーナス』をあげる事にしたのね……」

l从・∀・;ノ!リ「……微笑みボーナス……」

川д川「一人前試験に合格は出来なかったけど……。
     今までの座敷童の中で最高得点をたたき出した新米ちゃんには……」

川д川「私からのプレゼントとして……。次に何に転生できるか選ばせてあげるわ……」

l从・∀・*ノ!リ「……本当なのじゃ!?」

川д川「もちろん……。これは上にも内緒よ……」

川д川「……じゃあ何がいい……? 猫? 犬? それとも鳥? なーんでもいいわよ……」



l从・∀・ノ!リ人「じゃあ! じゃあ私は──────



────────────────────────


お父さんが不死鳥の如く蘇ってから、しばらくの事。
その一家に、一人の可愛らしい女の子が生まれました。


糸目ばかりの家族の中で一人だけ、くりくりとした目をぱっちり見開いた女の子。
家族みんなはその女の子の誕生を喜び、それと共にどこか不思議な気持も抱いていました。

初めて出会った気がしないなぁ……なんて。


( ´_ゝ`)「妹者はくじ運がいいな」

l从・∀・*ノ!リ「えっへっへ。お醤油セットを貰ったのじゃ!
        でも妹者は商品券1万円分がよかったのじゃ……」

(´<_` )「何か欲しい物でもあるのか?」


l从・∀・*ノ!リ「んーと。ん~……。 パンの耳っ!」

(;´_ゝ`)「パ、パンの耳を1万円分も買うのか。流石だな」


l从・∀・*ノ!リ「そうなのじゃ! そして砂糖を一杯かけて毎日おやつにそれを食べるのじゃ!」

l从・∀・ノ!リ人「大丈夫なのじゃ。おっきぃ兄者とちっちゃい兄者にもちゃーんとわけてあげるのじゃ!」


(*´_ゝ`)『妹者……』(´<_`*)



今の女の子には、不思議な力のかけらもありません。

でもその女の子は、今日もその優しい心で家族の皆に幸せを振りまいています。






この小説は2008年6月2日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:FylJBz7C0 氏
表紙の絵はID:3VcmSz8h0 氏のものをお借りして、彩色加工したものです




ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/04 19:16 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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