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(´・ω・`)「Heads or Tails」从 ゚∀从


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 夕暮れの教室の中を、オレンジ色に染まった一枚の硬貨が宙に舞った。
 それは天井スレスレに到達して、一拍子置いた後、重力に従い落ちてくる。

 着陸地点は小さな手の甲の上。
 硬貨が手の甲に触れたの同時に、もう片方の手が覆い被さった。

从 ゚∀从「ふっふっふっ」

(´・ω・`)「……」

 コイントスを成功させた彼女は誇らしげに笑みを浮かべる。
 そして、僕は心の中で笑みを返した。
 夕焼けを背景に佇む彼女は一つの絵画の様で、僕はそれを思わず写真にでも取りたくなってしまった。

 しかし、生憎と今の自分の手元には使い捨てカメラもスケッチブックもない。
 仕方なく僕は今の光景を頭の中に刻み込み、それと同時に気付いた。

 これが思い出を残すという事なのだ。
 恐らく、僕は今日と言う日の事を忘れない。大人になってもこの光景を忘れはしない。

 全てがオレンジ色に染まる教室の中で、
 嬉しそうにコイントスをする彼女が居るこの光景を忘れる事はないだろう。



20080817204343.jpg



从 ゚∀从「な? 上手いもんだろ」

(´・ω・`)「そうですねハイン先輩。見事なものです」

从 ゚∀从「だよな! そうだろ! よっしゃ……練習したかいがあったってもんだぜ!!」

 只でさえ声量が一際大きいと言うのに、彼女は大声で嬌声をあげた。
 放課後という時間の為、二人以外に誰もいない教室。
 大声は充分過ぎる程よく響いた。

(´・ω・`)「先輩……少し声が大きいですよ」

从 ゚∀从「おっ、そうだよな! わりぃわりぃ!!」

(´・ω・`)「全くもって話聞いてないですね。ぶち殺すぞ」

 しかめっ面を更に歪ませて睨む僕を見ても、彼女は声量を少しも落とそうとはしない。
 やはり先輩と後輩という立場の違い上、話が耳に入っていかないのか。
 そう思うと、更に僕の顔は歪んだ。

从 ゚∀从「ま、それはどうでもいいとしてよ」

(´・ω・`)「どうでもよくないがな」

从 ゚∀从「表か? 裏か?」

(´・ω・`)「……」

 コイントスをして、表か裏かを問う。
 小さな頃、小学生の時によくやった記憶がある。
 ポケットに入っていた十円玉で、授業中だろうと下校中だろうと、それこそずっとやっていた。
 一枚の硬貨のみで刺激的なギャンブルを出来るという事が、当時の僕にとっては依存する程楽しかった。

从 ゚∀从「ほらほらショボン!! 表か裏か!?」

(´・ω・`)「……」

 それを今、高校生となった自分は冷めた目で見てしまっている。
 同時に、僕にとっては子供っぽいと思えるコイントスを楽しそうにする彼女が羨ましく思えた。

 性格だから(´・ω・`)仕方がないとも言えるが、いつから自分はこうなってしまったのだろう。


(´・ω・`)「……裏」

从 ゚∀从「裏ね……二言はあるまいな……よ~し、どれどれ……」


Σ从;゚∀从


(´・ω・`)「? どうしたんですか? 裏、と言いましたよ」

从;゚∀从「よし!! 帰るか!! 行くぞショボン!!」


「待たんかい」( ´・ω・`)⊃< ゚∀从「ギャー」


(´・ω・`)「逃げる気ですか。というか何で逃げるんですか」

从 ゚∀从「俺、実は今まで黙ってたけどはぐれメタルなんよ……」

(´・ω・`)「メタル切り使うぞコラ」


 何故か逃げようとする彼女の頬を抓り、無理矢理引き止める。
 その時の衝撃でに肩が少しはだけて黒色のブラジャーが見えたのは僕だけの秘密。


(`・ω・´)「先輩……おとなしくコイン見せい!」

从 ゚∀从「ちょwwwショボンwwwキャラ変わってんぞwww」

(´・ω・`)「いいから見せてください。このままだと、とても後味悪い」

从;゚∀从「仕方ないわね……うん、わかったわ」

(´・ω・`)「何故に口調が変わる」


 彼女の手がゆっくりと開かれる。コインは裏の面を見せていた。
 外では太陽が沈み、薄暗い教室の中。
 僕はそのコインを彼女の手から掬い取った。

(´・ω・`)「僕の勝ちのようですね」

从 ゚∀从「そうだね。良かったね。おめでとう」

(´・ω・`)「拗ねないで下さい。しかし……何故隠そうとしたのです? ただの遊びじゃありませんか」

 コインを指の間で転がしながら彼女に問う。
 彼女の汗でコインは少し濡れていた。

从 ゚∀从「いやな……賭けてたんだよ」

(´・ω・`)「一方的な賭けとか何処のヤクザですか。……で、何をですか?」

从 ゚∀从「缶ジュース」

(´・ω・`)「一方的にですか?」

从 ゚∀从「うん!!」

(´・ω・`)

从;゚∀从


( ´・ω・`)⊃< ゚∀从「アンギャー」


从 ゚∀从「頬が腫れたわけだが。女の顔に傷を付けるなんてサイテー」

(´・ω・`)「……自業自得です」

从 ゚∀从「畜生。缶ジュース飲みたかったな……」

(´・ω・`)「自分のお金で買って下さい。ていうか後輩におごらせないで下さいよ」

从 ゚∀从「はいはい!! わかりましたよ!! 帰るぞショボン!!」

(´・ω・`)「何という逆ギレ」

 頬を二つの意味で膨らました彼女は周囲の机をなぎ倒し進み、教室の扉を乱暴に開けた。
 それを僕は後ろから見つめる。
 態度とは裏腹に小さい背中を見ると、やはり女の子だと思える。

(´・ω・`)「……」

 手の中にあるコインを握り締める。これは彼女のものだ。
 きっと存在を忘れてしまっているのだろう。返さなくては、後で自分が怒られる。

 ただ、その前に。

 コインを親指に乗せ、勢い良く上空に弾き飛ばした。
 心地良い金属音が奏でられ、彼女がそれに反応し笑顔で振り向く。


从 ゚∀从「お!! 今度はショボンがやるのか?」

(´・ω・`)「えぇ、さっきの先輩と同じ条件で」

从 ゚∀从「それってよ……」

(´・ω・`)「賭け、という事です」

 目前に落ちてきたコインを見ずに手の平で掴み、もう片方の手の甲に乗せる。
 彼女はおろか自分でも表か裏かはわからない。
 それこそ神のみぞ知る事だ。

(´・ω・`)「さて答えを聞きましょうか……Heads or Tails(表か裏か)」

从 ゚∀从「……一つ聞きてぇ」

(´・ω・`)「……何です?」

从 ゚∀从「賭けの対象だ。また缶ジュースか?」

(´・ω・`)「……先輩だって言わなかったじゃありませんか」

从 ゚∀从「俺はいーの。ほら、さっさと言う」

(´・ω・`)「呆れて物も言えません。まぁ、いいです。賭けの対象は僕が負けたら缶ジュース」

 いつの間にか、カーテンの隙間から覗く空には星が瞬いていた。

 月のない新月の夜。
 星の光だけが僕と彼女、二人を照らす。


(´・ω・`)「貴女が負けたら、この間の返事を頂きましょうか」

从 ゚∀从「!!……」


 僕は思わず息を飲む。きっと彼女もそうしている事だろう。

 先月、同じ場所同じ時間に僕は彼女に告白をした。
 下手な言い回しは無しに、単純に好きだと伝えた。
 返事は保留。
 考えさせてくれ、と彼女は普段からは考えられない様な小さい声で言った。

 僕は待っていたのだが、彼女に答えを言おとする様子は見受けられなかった。
 仲のいい先輩と後輩の関係。
 長年の付き合いだからわかるが、きっと彼女はそれを崩したくないのだろう。

 だけど、僕はそれを良しとはしない。
 それを越えたかった。今の関係を変えたかった。

从 ゚∀从「……いいぜ」

(´・ω・`)「……はい?」

从 ゚∀从「……いいぜ、それで行こう」

 彼女は僕の方に完全に身体を向け、少しずつ歩み寄ってきた。
 女の子特有の、シャンプーの匂いと香水が混ぜられたかの様な香りが僕の鼻をつく。

(´・ω・`)「……」

从 ゚∀从「……」

 お互いに無言となり、教室はしばしの間だけ音がない静寂な空間となる。

(´・ω・`)「それじゃあ結果を見ましょうか」

从 ゚∀从「その必要はねぇ」

(´・ω・`)「へ?」

 思わず間抜けな声を上げてしまった。
 コインを見ようとした顔をあげ彼女を見る。

 見えたのは、彼女の顔だけだった。他には何も見えない。
 唇には暖かい感触。彼女がつけたであろうリップクリームの味がした。

 結局、コインの表か裏かは確かめなかった。
 初めての感覚に酔い痴れていたから。




(´・ω・`)「Heads or Tails」从 ゚∀从 ~Fin~






この小説は2007年7月26日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:/oHPuZfyO 氏



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[ 2010/01/04 19:09 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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