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( ^ω^)空だって飛べるはずのようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




( ^ω^)「僕は飛べるお、僕は、飛べるんだお!」

内藤ホライゾンは、今日も飽きもせず飛び跳ねる。
象が一匹入るか入らないかほどの、男女五人が暮らすにはあまりにも狭すぎる部屋で。

この部屋は狭いくせに、天井だけはとても高い。

彼がどんなにジャンプしても、その頭が天井に届くことはなかった。
それでも毎日彼は飛び跳ねる。
飛べるお、飛べるお、と、諦めないで飛び跳ねるのだ。

こうしている間にも、また飛び跳ねた。
ごわついた、油っぽい髪から汗が飛ぶ。


ξ ゚⊿゚)ξ 「うるさい」

白い壁にもたれかかっていた、金の巻き毛がかわいらしい少女が口を開いた。
愛らしいあひる唇を尖らせて、大きな茶色の瞳はハッキリと彼をにらみつけている。


( ^ω^)「おっおっ、すまんこ」

(´・ω・`)「死ね」


今度は、垂れ下がった眉毛が印象的な男が言う。
内藤はもう一度「すまんこ」と言い、大人しくその場に座った。

その後は、もう会話がない。

しかし一時間ほど経つと、内藤は立ち上がり、再びジャンプを始める。
金髪の少女と垂れ眉の男が睨みつけても、彼が動じることはなかった。


川 ゚ -゚)「……」

('A`)「……」


そんな光景をぼんやりと見つめる二人組。

黒く、長い髪をもった素晴らしく美しい少女と、やせこけた、不健康そうな顔の青年だ。
なんとなく、二人は並んで座っていることが多かった。
一緒にいて、何かを話す訳でもない。
ただお互い側にいて、座ってぼーっとしているだけだ。


彼ら五人は、物心ついた頃からいつも一緒にいた。

別に、一緒にいたかった訳ではない。
しかし彼らはこの部屋から出られない以上、狭い部屋の中でしか離れることが出来なかった。


部屋のドアが開くのは食事のときだけだ。
白衣を身に着けた研究者風の男が入ってきて、よくわからない液体を置いて帰る。
他に食べるもの等なかったから、五人は毎日その液体を飲んでいた。

部屋は壁も天井もまっ白で、窓が一つもついていなかった。
唯一あるのは小さな鉄格子。

しかしそれもとても高い位置にあり、彼らが手を伸ばしたところで決して届くことはない。



20080605201352.jpg





( ・∀・)「どうだ?彼らの様子は」

( ><)「はいっ。ナンバー2563と1687のD値が上がってきているようです」


鉄格子から見える灰色の廊下。
白衣を着たイケ面と、同じく白衣を着た童顔の男性が、ファイルを片手になにやらブツブツ話していた。

( ・∀・)「ふむ。原因は?」

( ><)「おそらく、ナンバー4250の異常行動のせいかと……」

( ・∀・)「4250か……」

イケ面が顔をしかめる。

( ・∀・)「あれは欠陥品だ。この際、処分してしまおう」

( ><)「わかりました。方法は?」

( ・∀・)「君に任せる」

( ><)「はいっ」

二人の会話は、そこで終わった。



('A`)「……」

周りが眠りについた頃、不健康そうな青年は目が覚めた。
電気なんて点いていないのに、いつだってこの部屋は不自然に明るい。
とくにやる事もないので、もう一度眠ろうと目を閉じる。
しかし、息苦しい暑さの中で、なかなか眠ることは出来なかった。

ふと隣を見ると、黒髪の少女が眠っている。
彼女の愛くるしい寝顔に、思わず彼の口元はほころんだ。

('∀`)「……」


( ^ω^)「眠れないのかお?」

急にかけられた声にビクリとする。
聞き覚えのある声、内藤ホライゾンだった。

('A`)「あぁ」

( ^ω^)「そうかお」

('A`)「……」

( ^ω^)「…………」

気まずい沈黙に耐えられなくなったのか、青年は口を開く。

('A`)「なぁ、おまえさ」

( ^ω^)「おまえじゃないお。内藤ホライゾンだお。ブーンって呼んでほしいお」

ブーンって呼んでほしいお。
彼はしょっちゅうそう言っているが、この部屋の中で彼をブーンと呼ぶ者はいなかった。
そもそも、彼は名前すら呼ばれたことがない。

青年は少し迷った後、こう言った。


('A`)「じゃぁ……内藤。おまえさ、なんでいっつも飛び跳ねてるんだ?」

( ^ω^)「僕は空を飛びたいんだお。だから空を飛ぶために飛んでるんだお」

('A`)「ほんとうに飛べると思ってるのか?」

( ^ω^)「飛べるお。信じていれば、どんなことだって必ずできるんだお」


馬鹿だと思った。
空なんて飛べるはずがない。第一、見たこともないじゃないか。
それに、あんなに高い天井まで人は跳べない。内藤が五十人集まって肩車をしたって無理だ。
届いたところで、天井にぶつかって落ちるに決まってる。

しかし、青年がそれを口にすることはなかった。
内藤を見ていると、なぜか、彼なら本当に飛べる気がしたから。


('A`)「そうか……がんばれよ」

( ^ω^)「おっおっ!ありがとうだお!」

不思議なことに、彼らが会話をするのはこれが初めてだった。
ずいぶん長いあいだ一緒にいるのに、青年は今まで誰とも話したことはなかったのだ。

黒髪の少女とも、普段一緒にいるだけで、話したことはない。


('A`)(明日……話してみようかな)



部屋のドアが開いたのは、もう全員が起きた後だった。

( ><)「ナンバー4250。こっちに来るんです」

白衣を着た童顔の男性。
視線の先には、今日もせっせと飛び跳ねている内藤ホライゾンの姿があった。

(;^ω^)「それって、僕のことかお?」

( ><)「そうなんです。さっさと来るんです!」

部屋の全ての視線が彼に集中した。

( ><)「おまえはいつも空が飛びたいといっているそうですね」

( ^ω^)「お!そうだお!」

( ><)「この薬を飲めば、飛ぶことが出来るようになります」

( ^ω^)「ほんとうかお!?」

( ><)「おまえがあの天井を突き破ることが出来たらの話です」


今度は全員が天井を見上げる。


ξ ゚⊿゚)ξ「無理よ……あんたの頭が割れちゃう。やめときなさいよ」

金髪の少女が口を開いた。いつも内藤に対してキツイ事を言っている彼女。
しかし今の彼女は、確かに彼を心配している。

(´・ω・`)「いいじゃん。君が死んだらこの部屋も少しは静かになる」

垂れ眉の男が言う。金髪の少女が、男を睨みつけた。


( ^ω^)「僕は死なないお」

内藤の声に、少女も内藤のほうを向く。

( ^ω^)「僕は死なないお。必ず空を飛ぶお。だから、その薬をくださいお」

( ><)「わかったんです」


内藤は、薬を受け取り飲み干した。
薬を飲む彼の手は震えていた。


( ><)(頭をぶつけて死ねなんです)


('A`)「……」

青年はただ、一連の流れを見守るだけだった。
空なんて飛べるはずがないと思う。しかし、内藤なら、できる。そんなきがした。

川 ゚ -゚) 「……」

隣にいる少女を見る。無表情、しかし、その瞳にはどこか不安の色が浮かんでいた。

部屋いっぱいに響き渡るような大声で、内藤が吠えた。


( ^ω^)「おおおおおぉぉぉぉ!!」


その太い足で地面を蹴る。

彼は、跳んだ。

高く高く。落ちることなく、速度を上げてどんどん飛ぶ。
両手を広げて、さっきよりもさらに大きな声で叫ぶ。


( ^ω^)「ブーーーーン!!」

内藤の真上に天井が迫る。

頭が天井にぶつかった。
頭と天井が擦れ、嫌な音がする。
内藤の頭から、赤い線が垂れてきた。

( ><)「早く死ぬんです!」

ξ ;⊿;)ξ「無理よ!もうやめて!!」

白衣の男と少女が叫ぶ。

( ^ω^)「それでも僕は……飛ぶんだお!!!」

青年は見た。

確かに彼に、光を。



そして、天井は崩れた。



( ><)「ばかな……天井が、どうして、わかんないんで」

頭上から落ちてきた天井の破片が白衣の男の頭に刺さる。男はゆっくりと倒れた。

('A`)「危ない!」

川;゚ -゚)「っ!」

青年は、とっさに隣にいた少女を床に倒す。
そして少女を守るように、しっかりと上から覆いかぶさった。

('A`)「うおおおぉぉぉ!!」

背中にぶつかる破片。そこからする焼けるような痛み。
けれども耐える。貧弱な体で、一生懸命耐えるのだ。




どれくらいそうしていただろうか。
もう天井から破片が落ちてくることはなかった。
痛みを訴える体を無視し、自分の下にいる少女を立たせる。


('A`)「大丈夫か?」

川 ゚ -゚)「あ、ああ」

辺りには瓦礫しかなかった。金髪の少女も、垂れ下がった眉毛の男もいない。
この瓦礫の下にいるのだろうか。そう考えても、青年の心に悲しみは生まれなかった。

川 ゚ -゚)「あ……!」

少女が上を向いた。それにつられて、青年も上を見る。

('A`)「…………!!」




そこにはあった。

青く、限りなく広がる空が。





内藤は、空を飛んだ。

確かに飛んだのだ。

雲をくぐり、青の世界を渡り、地平線を飛び越えて、宇宙にまでも行っただろう。


そして、君は星になった。




(;A;)「空って、青いのか……」

彼がどんなに手を伸ばしても、それは決して自分には届かないものだと思った。


(;A;)「ブーン、お前はすごいよ。」


青い空を見つめる青年の目からは、涙が溢れて止まらない。

美しい空。

初めて見る空。


見つめながら青年は思う。

きっと隣にいる少女も、同じように涙を零しているはずだ。






この小説は2007年5月8日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:ehZ0OlBD0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです



お題
ジャンプ
屋根、天井、もしくはそれに順ずるものを粉砕
地平線
君は星になった



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/04 19:08 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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