スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

ブーンが宇宙交流の架け橋になるようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




( ^ω^)「さーて、今日も学校休んでエロゲするお!」

ブーンは現在不登校気味の半引きこもりです。
学校での些細なトラブルが原因で、ここ数日は学校を休んでいるのです。

( ^ω^)「友達なんていらないお。僕はひとりでも生きていけるお」

ブーンがこうして平日の昼間からエロゲに興じていられるのは、
朝早くから働いてブーンを養っているカーチャンの存在があってこそなのですが、
そのことを考えると嫌な気持ちになるので、普段は考えないようにしています。

( ^ω^)「昨日一通りクリアしたから、今日は残ってる分岐を埋めるだけだお!」

と、ブーンが攻略サイトの窓を開こうとしたとき、
ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴りました。

( ^ω^)「ちぇ、邪魔するなお」

無視してしまおうとも思ったのですが、今日は酒屋の集金が来ると
カーチャンに言いつけられていたので、ブーンはしぶしぶ玄関に向かいます。

( ^ω^)「はいはい、今開けるお! ──あれ?」

不機嫌な声を隠そうともせず、乱暴にドアを開けたブーンの目の前に立っていたのは、
酒屋のお兄さんでもなく、新聞の勧誘員でもなく、怪しい宗教の親子連れでもなく──


(*゚ー゚)「こ、こんにちわ。あたし、しぃって言います。宇宙人です。お日柄もよくはじめまして」


そう言って、自称『宇宙人』は小さな身体をペコリと折り曲げてお辞儀をしました。



20080418122943.jpg





( ^ω^)「う、宇宙人?」

(*゚ー゚)「はい。あたしの母船はここから真上に38万kmほど離れたところで待機しています。
     そこから小型艇に乗ってここまで来ました」

( ^ω^)(うわぁ……この子、可愛いけどキ印さんだお……)

ブーンは凍った笑みを顔に貼り付け、二歩ほど後ずさりました。

( ^ω^)「そ、それで……なんの御用だお? 宇宙人サン」

(*゚ー゚)「しぃ、です。あ、それでお願いなんですが、私をこのお家に置いてくれませんか?
     決してご迷惑はおかけしません。お願いします」

( ^ω^)「な、なんでだお?」

(*゚ー゚)「あたしの母星は、何万年も前に消滅しちゃってるんです。
     それ以来、あたしたちの一族は巨大な艦隊に乗って宇宙をさすらっていました。
     新しい住処を、第二の母星となる惑星を探し続けながら。それで、この地球を見つけました」

まるでSFマンガのような話の展開に、ブーンはますます引きました。

( ^ω^)「宇宙人なんかいらないお。帰れだお」

そう言い放って、ブーンはドアをバタンと閉めました。
鍵をロックして、念のためにドアチェーンも掛けます。

( ^ω^)「やれやれ。春先になると変なのが増えるお」


満足げに溜め息をついたブーンは、ドアに背を向けて階段をのぼりかけました。が、
ピー……キュイキュイキュイキュイピーピーピー……
奇怪な音に驚いて後ろを振り向くと、ドアには白く発行するラインで大きな丸が描かれており、
そこがガコンと刳り貫かれたその向こうには、ポワッと光る指をこちらに向けた『宇宙人』が立っていました。

ぽっかり丸く空いた穴の向こう側がわから、宇宙人──しぃがまたペコリと頭を下げました。

(*゚ー゚)「あ、いきなり破壊してすいません。すぐにちゃんと直します。
     でも、あたしのお話聞いてください。お話だけでもいいんです」

いきなり目の前で展開された非日常に、ブーンはすっかり怖気づきました。

(;^ω^)「う、宇宙人?」

(*゚ー゚)「はい、宇宙人です。母星はザツニ星という名前でした。これでも軍人なんですよ。
     正式にはヴィッパ方面艦隊軍所属、特別交流プログラム作戦室主任大尉です」

(;^ω^)「か、帰れだお! 地球を侵略しにきたんだお!?」

(*゚ー゚)「ち、違います。あたしたちは地球の人たちと友好な関係を」

(;^ω^)「うるさいうるさいうるさいお! 侵略者はみんなそう言うお!」

ブーンは思わず手近にあった靴べらを投げ、それはしぃの顔面に当たって地面に落ちました。

(;^ω^)「あ……」
(*゚ー゚)「……」

しぃは起こったそぶりも見せず、落ちた靴べらを拾い上げるとブーンに差し出しました。

(*゚ー゚)「お気持ちは分かります。でも、あたし、いえ、あたしたち、他にいくところがないんです。
     寂しい気持ちで宇宙をふらふらするのに疲れているんです」

ブーンは黙って靴べらを受け取り、しばらく黙って、そしてどもりながらもこう呟きました。

( ^ω^)「投げて……ご……ごめんなさいだお」

(*゚ー゚)「いいえ、気にしてませんよ」

( ^ω^)「……さっさとドアを直して欲しいお。今からコーヒー淹れるからそれまでに頼むお」

(*゚ー゚)「は、はい! そりゃもうすぐですよ。ザツニ星の科学は宇宙一ィィィ、なんちゃって。あはは」



こうして、なんかなし崩し的に、ブーンとしぃの共同生活が始まりました。

J( 'ー`)し「なんか最近、冷蔵庫の減りが早いけど……隠れて猫でも飼ってるんじゃないでしょうね」

( ^ω^)「ね、猫なんか飼ってないお」

( ^ω^)(危なかったお。これからは自腹で食料調達……エロゲ買うの控えるお)

( ^ω^)「しぃ。ご飯食べるお。今日は悪いけどカップラーメンで我慢して欲しいお」

(*゚ー゚)「あ、カップラーメン食べるの初めてですー。食べてみたいって思ってたんですよ」

しぃはブーンにとって、実に不思議な女の子でした。
宇宙人の癖に、コアなヲタネタにもついてくるし、90年代ロボットアニメが大好きだし。
難しい知識をたくさん蓄えてるかと思えば、子供でもしないような失敗を──

( ^ω^)「あー! なにしてるお?」

(*゚ー゚)「え? え?」

( ^ω^)「カップラーメンのフタは全部はがしたらダメだお!」

(*゚ー゚)「あ、そうなんですか。なるほど」

( ^ω^)「ところでしぃは、母船でどういう生活をしていたんだお?」

(*゚ー゚)「……一人ぼっちでした。天涯孤独で、いつも除け者でした。だからでしょうか。
     こんな僻地での単独任務を押し付けられたのは。みんな嫌がってましたし、あたしも嫌でした」

(;^ω^)「…………」

(*゚ー゚)「あ、でも。今は楽しいですよ。ほら、お陰でカップラーメンも食べることができました。
     小型艇で地球に向かってる間に見たテレビで、ずっと気になってたんです。
     それに」

( ^ω^)「それに?」

(*゚ー゚)「ブーンさんと友達になれました」



二人は生活の大部分を部屋でダラダラ過ごすことに使い、
外に出掛けたりすることはほとんどありませんでした。
ごろごろしながらマンガ読んだり、気が向いたら対戦ゲームしたり、
時にはネットサーフィンをするしぃにネット用語を教えてあげたり。

(*゚ー゚)「ブーンさん」

( ^ω^)「なんだお?」

(*゚ー゚)「蒼星石の日記ってなんですか?」

( ^ω^)「……素直クールとエロスの坩堝だお」

一度だけ、しぃが乗ってきたという小型艇の隠し場所にまで連れて行ってもらったことがありました。
ですが、そこにはなにもなく、ただ視界の開けた小高い丘が広がっているだけでした。

( ^ω^)「ここに隠してるのかお? なんにもないお」

(*゚ー゚)「目に見えるものだけが、この世のすべてではないんですよ」

そう言ってしぃは、ふふ、と笑いました。



それからさらに数日が過ぎました。
ブーンは押入れから埃の被った画材道具を引っ張り出し、しぃの肖像画を描き始めました。

( ^ω^)「宇宙人の肖像画を描くなんて、きっと僕が史上初だお」

(*゚ー゚)「完成したら、見せてくださいね」

( ^ω^)「しぃにプレゼントするお」

(*゚ー゚)「え、ホントですか?」

ブーンは描きかけの絵が学校に置いたままであることを思い出し、
あれもいつかは仕上げてみたいな、とちょっと思いました。



ブーンとしぃが出会って二週間ほど経ったころ、しぃの様子に変化が起きました。
活力が失せ、食が細り、睡眠時間が増えるようになりました。

( ^ω^)「どうしたお?」

(*゚ー゚)「なんでもないです……ちょっと疲れただけです」

( ^ω^)「母船に連絡したほうがいいんじゃないかお?」

(*゚ー゚)「あ、いや、いいんです。そんなことしたら今回の交流プログラムが打ち切りになっちゃいます。
     あいつら、あたしに任務押し付けておいて、いざ結果を出すとすぐ引き剥がしにかかるんだから」

( ^ω^)「……それって、ただ単純にしぃを心配してるだけじゃないかお?」

(*゚ー゚)「え?」

( ^ω^)「プログラムも大事だけど、しぃの身も大事だから、って風には考えられないかお」

(*゚ー゚)「そうか……そういう考え方もありますよね……ケホッ、ケホッ」

( ^ω^)「あ、安静にしてるお」

(*゚ー゚)「そうですね……今日はもう寝ますね」


ですが、それからさらに一週間後の夜、しぃが突然に吐血しました。


(;^ω^)「しぃ!」

(*゚ー゚)「あれ……どうしたんだろう……ゴホッ」

(;^ω^)「きゅ、救急車呼ぶお!」

(*゚ー゚)「無駄ですよ……ブーンさん、気がつかなかったんですか?
     あたしのことは、ブーンさん以外の地球人には知覚出来ないようになってるんです。
     あたしに関することはすべて認識から外れてしまうんです」

ブーンはいたたまれなくなって、しぃを抱えたまま表に飛び出しました。

ブーンの腕のなかで、しぃは弱々しく語りました。

(*゚ー゚)「地球に降りる前に施した、環境適応措置の効力がきれたみたいです。
     活動を極力抑えてだましだましやってきたんですが、限界みたいです」


二人が辿りついたのは、あの小高い丘の上、小型艇の隠蔽場所でした。

(;^ω^)「ここに宇宙船が埋まってるんだお!?」

地面を手で掘り続けるブーンを、しぃは優しく諭します。


(*゚ー゚)「どこまで掘っても出てきませんよ。
     それにいずれ今生の別れが訪れるはずでした。それが少し早まっただけです」

(;^ω^)「どういうことだお?」

(*゚ー゚)「この交流プログラムは、三百年後の実現を目標としたスパンのながい計画なんです。
     この次に誰かが地球に派遣されるのは、どんなに早くても60年後です。
     そしてそれは、あたしたちの種族ではほぼ一世代に相当します。
     だから、あたしが地球を離れたら、再び戻ってくる可能性はゼロに等しいんです」


しぃは最後の力を振り絞るように、ゆっくりと言葉を紡いでゆきます。


(*゚ー゚)「そしてあたしに与えられた任務は……地球人のリアクションデータの収集と、
     環境適応措置の性能実験でした。これがどこまで持つのか、その限界を確かめるのが目的でした。
     でもこれは別に、『死んで来い』っていう命令じゃなくて、
     いつ帰還するかはあたしの判断に委ねられてます。
     あたしが、この星で最後まで暮らすことを望んだんです」

(;^ω^)「なんでだお!? せっかく仲良くなれたのに、なんで死ななきゃいけなんだお!」


(*゚ー゚)「このデータがあれば……適応技術は格段に進歩します。あたしたちは帰る星のない孤独な民です。
     その中にあって特に孤独だったあたしは、その辛さを誰よりも分かっているつもりです。
     あたし、あの暗くて狭い船が大嫌いでした。いつも『ここではないどこか』を夢見ていました。
     それがここにあったんです。あたしを気にかけてくれる人がいました。
     あたしを心配してくれる人がいました。そのお陰で、あたしは同胞への信頼を取り戻せました。
     表に見えていないだけで、彼らもあたしを愛してくれていたって、そう気付かされました」


しぃの呼吸はどんどん弱くなっていき、いまにも消え入ってしまいそうです。
ブーンはしぃの手をとり、そのかぼそい言葉を聞き漏らさないように顔を近づけました。


(*゚ー゚)「だから、あたしは最後まで任務を……。
     ……それになにより、ブーンさんと離れるのが、苦しかったんです」

(;^ω^)「ウッ……」


(*゚ー゚)「苦しいです……この身体がなくなっちゃうのが、ブーンさんと離れるのが……。
     だけど、あたしはあの星に帰るんです……。
     そうしたら、いつかの未来、きっと、たくさんのあたしの同胞がこの星を訪れるでしょう。
     その時……地球の皆さんは、歓迎してくれるでしょうか」


ブーンがそれに答える前に、しぃはそっと目を閉じ、その手から力が抜け落ちてしまいました。

体温がどんどん消えてゆくしぃの身体を抱きしめ、ブーンは泣きながら天に向かって叫びました。


(;^ω^)「降りてくるお! しぃを助けてやってくれお! しぃを……僕を、
      僕たちを一人ぼっちにしないで欲しいんだお!」


まどろむ意識の中、ブーンは、瑠璃色に輝く巨大物体が頭上に下りてくる夢を見ました。

そしてブーンが目を覚ましたとき、しぃの姿はどこにもなく、
小高い丘も消えうせて、そこにはだだっ広い平地が広がっているだけでした。






──そして。



('A`) 「あれ、ブーン久しぶり。学校来る気になったんだ」

( ^ω^)「久しぶりだお」

('A`) 「まあいいや。そういえば、進路希望調査表、まだ提出してないだろ」

( ^ω^)「ちゃんと書いてきたお」

('A`) 「どれどれ……なんだこれ。『宇宙飛行士』? こんなこと書いたら怒られるぞ」

( ^ω^)「僕は本気だお」



美術室の隅には、描きかけの肖像画がひっそりと置かれていました。






この小説は2006年3月19日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:SXO89K1Y0 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/02 18:39 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/3206-36f8fdc1


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。