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川 ゚ -゚)ξ ゚⊿゚)ξ問題ないようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




私の周囲を見渡しても、そこにはただただ無限に広がる砂地があるだけだった。

私の視認出来るものは砂地以外にない。
それは私が物心ついた時からそうだった。

私がこの砂地を歩き始めてから、およそ14年と65ヶ月と47日と92時間と1分と569秒ほどだろうか。

この数字に意味はない。
詳細に計測したわけではないし、そもそもこの世界に時間という概念が存在するのかすら疑問だ。

なので意味はない。

ところで私は物心ついた、およそ14年と65(ryほど前から、この砂地を歩き続けている。

その間、私は顔の表情を一度たりとも変化させたことがない。
もはや鉄仮面とかいうレベルではない。私の顔は今後一切、恒久的にこのままだろう。

だが問題ない。

例え、中国産の餃子を口にしようと、
小学校に侵入して児童という児童を殺傷しようと、
この掲示板内で犯罪予告をしようと、
ロードローラーだと思ったらタンクローリーで、
時が止まった状態から、それが頭上から吸血鬼と共に降ってこようと、

何も問題ないように。



20080409214922.jpg



ξ ゚⊿゚)ξ「ねぇ、あなたは何処まで行くの?」

急激な変化だった。
私はそこで、生まれて初めて砂地以外のものを認識した。
それは私と同じ、人だった。


同じと言ってもそこは言葉のあやで、姿かたちがまるっきり同一ということではない。

例えば、私は黒髪のストレートだが、突如として目の前に現れてた彼女は金髪のカール。
例えば、私は胸のサイズがCくらいあるだろうが、彼女はどう見てもAカップ。
例えば、私は表情の変化がないが、彼女には右腕がない。
例えば、私は素肌の上にマントを羽織っているが、彼女は全裸。
例えば、私はこの上なく見窄らしいが、彼女はこの上なく美しい。

このように様々な違いが私たち二人の間には存在した。


川 ゚ -゚)「さてな。そんなこと考えもしなかったよ。
     私は一体、何処まで行くんだろうな?」

彼女の問いに対する、私なりに最大限考えて出した答えを口にする。
しかし、答えというよりもそれは、あまりにもか細い声で発せられた独り言のような自問自答だったかも知れない。

ξ ゚ー゚)ξ「そう」

私の出した、誰に言うでもない新たな問いのような答え。
私自身にしか正解が解らない自問に対し、そう一言だけ告げて、彼女は笑った。

彼女の問いに対する私の答えは今のそれで良かったのだろうか。
そこを判断する基準を私は持たない。


ξ ゚⊿゚)ξ「ねぇ」

川 ゚ -゚)「なにかな?」

再度、彼女が私に声をかける。
彼女のような美しい人が私などにこれ以上、なにを話す事があるというのか。
そこのところ、私は予測出来るほど対話経験が豊富ではない。
というか、今しているこの問答が初である。

ξ ゚⊿゚)ξ「あたしも行っていいかな? あなたの行く何処かまで」

彼女が何を思い、何を考え、どうしてそうするに至ったかは知らない。
それを知れる筈もなく、それが知らされる筈もなく。
私と共に何処に行くかも分からず、この砂地を延々と歩き続けるのだ。
先に何が待っているのかも存知せずに。

川 ゚ -゚)「かまわないよ」

だからと言って、私がそれを拒む理由はなかった。

ξ ゚ー゚)ξ「本当? やった! ありがとう!」

そう言って、彼女はまた笑うのだ。
了承を得たことにより、まるで子供のようにはしゃぐ彼女の姿を見て、
私はただ漫然と綺麗だの、可愛いだのと言った、賛美の言葉しか思い浮かんで来なかった。


そうして出会い、私たち二人は歩き出した。
見知りあってからほんの数分、もしかしたら数十秒かも知れない私たち。
何も知らない、何もわからない。無知なる私たち。

ξ ゚⊿゚)ξ「ねぇ、お腹減ってない?」

同行して彼女が初めて口にした言葉がそれだった。
空腹か? という質問だったが、生憎と私は別段そういった饑じさは感じては……。
いや……そうでもないか。

何か身体から枯渇しているものがあるような、空虚な感覚。
このような感覚は初めてだったが、それが自然と空腹という状態だと理解できた。

川 ゚ -゚)「そう……だな。そうかも知れない」

私はまたしても曖昧な答えしか提示出来なかった。
前述した通り、私にとってこのような他者とのコミュニケートは初めてだからだ。

ξ ゚ー゚)ξ「わかった、ちょっと待っててね」


そう言って彼女は、彼女に唯一遺されていた左腕を用いて、自身の右の乳房を抉り取った。

先程までそこに在った小さな乳房は居場所を替え、今は所有者の掌の中にその身を移した。
住人が居らず空き地となったその場所からは、真っ赤な液体が次から次へと溢れ出てくる。


川 ゚ -゚)「……」

鉄仮面たる私は、その様子を無表情にじっと見つめることしか出来なかった。


ξ ゚ー゚)ξ「どうぞ」

そう言って、彼女はさっきまで身体の一部だったそれを差し出してきた。
彼女の唯一の掌は、彼女の中を流れる命の液体で溢れていた。

川 ゚ -゚)「ありがとう」

私に出来るのは、そう感謝の意を伝えることと、
彼女がそうまでして私に差し出してくれたそれを、ただ醜く貪り食うだけだった。

ξ ゚⊿゚)ξ「どう?」

おそらく彼女は、与えたそれの食味が甲乙いずれかと尋ねているのだろう。
身体を抉りてまでも与えた、自身の部位の食味が甲乙いずれかと尋ねているのだろう。

川 ゚ -゚)「美味しいよ」

実際は、流れ出る血液のおかげで口の中は鉄の味しかしなかった。
ただ、私にはそう言うことしか出来なかったのだ。


そうして、彼女との歩みはそれからも続いた。

その間、私は幾度も空腹を訴えかけた。
その度に、彼女はその身体を私に差し出してくれた。

私はやめて欲しいとも言えず、彼女が成すがまま、
外面は全く変化をさせずに、ただ与えられるがままを頂いた。

彼女は腕を失い、脚を失い、腹を失い、
胸を失い、身体を構成する部位の何もかもを失った。

最終的に、彼女には頭(こうべ)のみしか残らず、他は何もかも私に与えられた。


ξ ゚⊿゚)ξ「ねぇ、重くない?」

川 ゚ -゚)「なに、問題ない」

私は彼女の頭を抱えたまま、
未だこの無限に広がる砂地を、目的もなく歩き続けていた。
彼女の身体がまだあった頃に感じていた空腹感は、何故だかここ最近全く感じなくなった。

ただ、頭だけになっても、彼女はよく喋った。
笑ったり、喜んだり、嬉しがったり。時には泣いたり、怒ったり。
どうやら彼女にとっては、身体を失うということは大した問題でなかったようだ。

未だ私には大して感情の起伏さが見られない。
彼女がまるで日本の四季折々のように、喜怒哀楽を表現しても、
私は外れぬ鉄仮面をつけたまま、彼女と歩くことしか出来なかった。

川 ゚ -゚)「ツン」

ξ ゚⊿゚)ξ「なーに? クー」

思えば、お互いの名を呼んだのは、知りあってからこれが初めてだったかも知れない。


川 ゚ -゚)「ありがとう」


ξ*゚⊿゚)ξ「……急になによ。どうしたの?」

私の言葉があまりに不意だった所為か、ツンが多少顔を赤らめた。
急にどうしたもこうしたもない。

川 ゚ -゚)「いや。ただなんとなく、な」

そう。
ただなんとなく、そう言いたくなっただけなのだから。


ξ ゚ー゚)ξ「そう」

そう言って、彼女――ツンは初めて出逢ったその時と全く同じように笑った。


今日も、昨日と同じように、彼女と話をしながら歩いた。
それはきっと、明日も同じだろう。

私とツン。二人はこれからも共に何処に行くかも分からず、
この砂地をただただ延々と歩き続けるのだろう。

そこに問題はない。


何故かわからないが、私には確かにそう思えた。





川 ゚ -゚)ξ ゚⊿゚)ξ問題ないようです-Fin-






この小説は2008年3月27日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:sbCVOsBM0 氏



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[ 2010/01/02 14:45 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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