スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

( ^ω^)ブーンの引退試合のようです('A`)


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




日本プロ野球界は、2005年から多くのチームが反発係数を抑えたいわゆる「飛ばないボール」を採用するようになった。
それ以前に採用していたいわゆる「飛ぶボール」は野球の華である本塁打の飛躍的な増加を生み出したが、
その反面、大味な試合展開になりやすく、また打高投低の構造を生み出し、試合時間の延長という弊害を
生み出しているという批判が沸き起こった。それが「飛ばないボール」採用の主な理由になった(らしい)。
(よく知らんからwikipediaから適当に引用)


しかし、今の打球は「飛ばないボール」にしてはよく飛んだ。
いや、「飛ばないボール」が本当に全く飛ばないということはないのだけれど。なんせレフトフェンスに直撃だし。

せっかくツーアウト、ツーストライクまで追い込んだのに、
高めに外そうとしたストレートが甘く入ってしまい、それを相手がジャストミート。テラ失投。

不幸中の幸いは、レフトによるクッションボールの処理が早かったおかげで、
それ以前に四球で出塁していた一塁ランナーは三塁でストップ。得点にまでは至らなかったこと。

だがしかし、ツーアウトながらランナー二・三塁。
いくらこのイニングが最終回とはいえ、2対1と一点差しかない現スコアでは安心するには程遠い状況である。


('A`;)「あー、くそ。やっちまったなぁ……」

そしてこの試合、ニュー速ヴィッパーズと漢モテナインズの今シーズン最終戦。
が、行われているVIPスタジアムの、ダイヤモンドの中心に位置するマウンドに登っている俺。
鬱田ドクオ。38歳独身。これでもプロ二十年目の大ベテラン。加え、漢モテナインズのリリーフエースでもある。

大ベテラン、リリーフエース……。
などと宣っても、こんな現状を作り出してしまっていては、それも信用出来ないだろうか。

……いや、本当なんだぜ? インディアンウソツカナーイ!
いや、しかしだな。この「インディアンウソツカナーイ!」って、まずこれ自体が嘘じゃん。
嘘を吐かない人間なんてこの世にはいませんから。

if いるとしたら、俺は是非一度そのインディアンにお目通り願いたいね。
そしたら俺は「じゃあ、お前が本当に嘘吐かないのか試そう。本名は?」とそいつに問う。
返ってくる答えは、きっとこうだ。

インディアン「ヤマダイチローデース」

いや、お前それ明らかに偽名だろ。嘘だろ。君、どう見ても黄色人種には見えないから。

(,,゚Д゚)「ドクさん!」

゛('A`)「おっと」

軽くよく分からん妄想に浸って現実逃避していたのを、
三塁手のギコからの返球を受けた所為で引き戻されてしまった。

あぁ、こんなピンチな状況は嫌だよぅ。俺は虚構に逃げるんだ。交代させてー。

『八番レフト、内藤』

ウグイス嬢によりバッターコールが告げられる。
それを契機に、俺も脳内で戯れるのを止めにした。

同時にスタンドの観客席からは大きな歓声が湧き上がる。
それに後押しされるように、ネクストバッターズサークルからボックスへと向かってくる男。
俺は、そいつのその様子をじっと見つめ、「あー、さっきの打者で終われば楽だったのになぁ……」と一人悔いる。

( ^ω^)「……」

内藤ホライゾン。38歳既婚。プロ二十年目の大ベテラン。加え、ニュー速ヴィッパーズの“元”主砲。

俺の高校時代からの友人であり。同期入団のライバルであり。



今シーズンを以って引退を表明している選手だ。



1_20100102144245.jpg



('A`)(ったく、なんだよ。この出来杉くんなシチュエーションは……)

野球の神様ってのがいるとしたら、なかなか粋な事をしやがる。
今期で引退を表明している奴の、もしかしたらプロ最後になるかも知れないこの打席。
その相手をするのが、この俺。

('A`)(これで最後か……)

打席横で素振りをする内藤を見つめながら俺は一人、これまで奴と自分の歩んできた道筋を振り返っていた。

内藤とは高校からの付き合いで、お互い甲子園を夢見る仲間だった。
俺たちの学校はしがない公立校だったが努力の結果、三年目の夏にチームは甲子園出場を果たす。

エースだった俺と、四番を打っていた内藤はその年のドラフトで指名されプロ入り。
それからは、それぞれ違うチームでプロ選手としての生活が始まった。

('A`)(俺もアイツも数年して一軍入り。いつしかそれぞれのチームの顔になるまでに成長した)

しかしそんな俺たちも歳には勝てなかった。俺は体力的な衰えから、先発から抑えへと転向。
内藤もかつてはクリーナップを張っていたが、ここ数年は成績の下落と共に下位打線へ移行。
その後、俺はなんとか結果を残して現状を保ったが、内藤は結果が揮わず二軍落ちすることもしばしば。

そして、内藤は自身から今期限りでの引退を表明。本日の最後の試合を残すのみと、相成った訳である。

('A`)(アイツが引退ってことは…俺もそろそろなのかねぇ…)

年寄り染みた考えが頭を過ぎる。というか、実際もう40近いおっさんであるのだが。
最近は何だか疲れもとれないし、よく息切れする上、球も昔のようには走らない。
おまけになんか胃も顔も調子が悪い。……顔が調子悪いってイミフ、つーか悪いのは元々とか言うの禁止!

('A`)(あー鬱だ。死にてぇ……)

昔の事を思い出していたら、なんだか死にたくなってきた。俺も今年で引退しちまおうかな……。
しかし、そんな思考は一人の人物によって吹き飛ばされる。

( <●><●>)「ドクオさん」

(;'A`)「ぬぉおぉぉぉおおッ!! って、なんだ…わかってますかよ。驚かせるなよな……」

いきなり声をかけられたのと、その声の方向へ振り向いたら眼前にいきなりでかい瞳があったので盛大に驚いた。

俺を驚かせたこいつは、わかってます。
現在、ウチのチームの正捕手のショボンという選手が怪我でファーム落ちしている。
その間、スタメンに抜擢されたのがこいつだ。
プロ入り五年目とまだ若年ながら、その強肩と卓越したリードはなかなかに秀逸。

要するに若いのに上手くて、将来有望ってこと。いいなぁ、若いってのは。

('A`)「で、なんだ? この場面、内藤に打たせてやろうとか、そういう相談か?」

今日はアイツの引退試合だ。最後にいい思い出作らせてやってもいいんじゃないか?
まぁ、この一試合が一年の成績に大きく関わるわけでもないからな。そういうケースもある。

そう考え、わかってますに尋ねたが、それに対する返答は俺の想定とは少しばかり違っていた。

( <●><●>)「ドクオさん。この場面でのリード、お任せしても宜しいでしょうか?」

('A`)「なんだそりゃ。俺に気ぃ使ってんのか?」

普段リードに関して俺はコイツに一任している。その権利を俺に譲るってことは、要するにアレだ。
この場面の意味合いと、俺と内藤の関係性を考慮してのことだろう。

( <●><●>)「まぁ、そういうことです。内藤さんに華を持たせてわざと打たせるのも、
         大人気なく空気読まずにボッコボコにするのも自由にして下さい」

おい、大人気なく空気読まずに~って、なにそれ。
そんなこと言われると凄く本気で投げづらいじゃない。

( <●><●>)「ただ、ドクオさんが内藤さんと最後に全力で勝負したいと思っていることはわかってます」

('A`)「え?」

( <●><●>)「それでは、よろしくお願いします」

そういい残して、ホームへ戻って行くわかってます。……おい、今アイツなんつった?

( <●><●>)『あんたどうせ、彼に華を持たせる気なんかないんでしょ? だったらYOUの好きにやっちゃいなYO』

ちょっとニュアンスが違う気がするけど、こんな感じのこと言ったよな今。失敬な。

なにさ?
俺が?
二十年来の友人である内藤に?
有終の美を?
飾らせる気が?
ない?
最後の最後で?
華を持たせる気が?
ない?



('A`)「…right。その通り。よく気づいたね」

わかってますとは初めて出会ってからまだ数ヶ月程度だが、奴は俺のことをよく理解している。
いや、俺だけじゃなく他の投手陣のこともだ。おそらく一軍でのスタメン起用に伴い、それ相応に努力したんだろう。

そういえば以前、趣味が人間観察だ、とかなんとか言っていたっけな。
だとしても、短期間でそれだけ人の内面を解する奴の観察眼は大したもんだ。後でグミでもくれてやろう。

閑話休題。
さて、現在の状況をもう一回確認してみるか。
今シーズン最終戦。九回裏、ツーアウト、ランナー二・三塁。点差は一点。
打者は今日がプロ野球生活最後になる内藤。

長年の友人としては奴の最後のプレー、気持ちよく終わらせてやるべきだろう。
それに関して、一打逆転サヨナラのこの場面はお誂え向きすぎなわけだ。しかし、

('A`)(んなことするなんて冗談じゃねぇwwwwwwwwボッコボコにしてやんよwwwwwwwwwwwwww)

俺はそんなことさせてあげませんwwwwwwwwwwwwww
友達該の無い男だってか?wwwwwwやかましいわwwwwwwwwwwww
勝負の世界は常に非情よwwwwww非情wwwっうぇwwっうぇえwwwwwwwwwwwww

('A`)「……」

( ^ω^)「……」

('A`)(しかし野郎、相変わらず間の抜けた面してやがるぜ。プロ最後の打席だっつーのに……)

常に笑みを絶やさないのがあいつのデフォだが、流石にこの場面でまでこれってどうなのか。
もう少しさ、なんか感情の起伏みたいなのがあっても良いと思うわけだよ、私は。

('A`)(んじゃまぁ、初球はコイツでいってみっか)

左打席に入った内藤の背後に座するわかってますへ向けてサインを送る。

( <●><●>)(インハイにストレート、ですか)

('A`)(ヤツは昔から身体に近い球が嫌いだからな。
    とりあえず、この一球で脅しつけて俺が本気だって事を分からせてやろう)

あのニヤけた面、少し引き締まらせてやらねぇとな。

( <●><●>)(大丈夫でしょうか。一つ間違えば一発の危険性も……)

('A`)(ま、甘く入んなきゃ平気さね。その辺は任せな)

( <●><●>)(わかりました)

わかってますの了解を得て、セットポジションに入る。
二塁ランナー及び三塁ランナーを一瞥。

まずは初球。
これ以上ないってぐらいのNice ball.を決めてやる。

('A`)(いくぜ……!)

一球入魂。なんて言葉は、いまいち俺のAA的キャラクター性とは結びつかないが、
そんなことは些末なこと。気にしたら負けである。

この話の俺は他とは少し違うということ。その辺理解してくれると、僕は嬉しいね。HAHAHA。



――そんな気合の入った俺の渾身のストレートはあっさりと打たれた。


('A`;)「ちょwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwww」

今度は失投じゃあない。俺が狙い澄ました通りのコースへ決まった。
が、あっさり打たれた。

『一つ間違えば一発の危険性も……』なんてわかってますが言ったが、まさにその通り。
打球は伸びて伸びてライトスタンドへ一直線。
プロ最後の打席にサヨナラホームランなんて出来すぎってレベルじゃねーぞ!
んなことになったら、本気で勝負にいって打たれた俺ダサすぎだろwwwwwwwwwwwwww


だが、その心配も幸い杞憂に終わる。
打球はポールの僅か右横をすり抜けた。判定はファール。
なんとかギリギリ奴的に最高の、俺的には最悪の結果は免れたわけだ。

( <●><●>)(……ドクオさん)

わかってますのその大きな瞳から、非難の視線が飛んでくる。
あ、やめて……。ごめんなさい……。謝るから、そんな目で俺を見ないで下さい……。
気まずくなってわかってますから目線を逸らし、それを俺はその直ぐ傍に立っている奴へ向けた。

( ^ω^)「……」

('A`)(……狙ってやがったな)

奴の面を見てすぐにそう思った。
張り付いた笑みは未だそのまま、いや、僅かだが、むしろさっきよりもそれが増長したように見える。
まるで、俺へ向けて「お前の考えなんざお見通しだバーローwwwwwwww」と、言ってる感じ。

('A`)(……ムカつく)

いや、後半のは俺の被害妄想だってのは分かってるけどよ。
でも、あの笑顔。なんかイラっとするんだよな。
そんなことを考えながら、審判からの返球を受ける。

さて、今ファールながらも一発でかいのを打たれちまった。
本来なら、これ以降の内側への投球は止めるべきだ。
基本的に、長打の率が高くなる内側は続けて放るべきじゃあない。が、俺は敢えてそうしない。

( <●><●>)(もう一球内へ……)

いい当たりをされたからといって、攻めを変えたりはしない。
あの程度は想定の範囲内。徹底して内だ。

('A`)(まぁ、続けて打たれたら嫌だから、とりあえず外すけど……)

外すからと言って、ビビってるわけじゃないぜ。本当だぜ。
むしろこの続けてインコースってのが、攻めの姿勢を顕著に表してるぜ。

(審ФωФ)「ボール!!」

判定は当然ボール。狙いより少し身体に近いコースだった為、内藤は上体を逸らしボールを避ける。
だがこれでいい……はずだ。打たれたら負けのこの場面じゃ、長打だろうと短打だろうと関係ない。
守備側は、如何にしてアウトを取るか。如何にして打者を打ち取るかが、一番重要だからだ。

('A`)(次、カーブ。これも内側にいくぞ)

ストレートを二球続けた後、緩急をつけたカーブ。ここは間を置かずにテンポよく次へいくのが大事だ。
ちなみに大丈夫だと思うけど、インコースはインコースだが、ここは低めだかんな。

( <●><●>)(わかってます)


(審ФωФ)「ストライーク!」

狙い通り。流石にこの緩急の差にはすぐに対応は出来まい。
内藤はインローのカーブにタイミングが合わずに空振り。

( <●><●>)(追い込みましたね……)

これでカウントはツーワンでピッチャー有利。まだ遊び球を放る余裕がある。
一球高めに外して、それから……いや。

('A`)(……高めに外すのは、さっきコントロールミスって打たれたんだっけ)

俺は一旦プレートから足を外して、右手にロージンをつける。
一球遊んでから勝負に行こうと考えたが、何か嫌な予感がした。
それは、前の打者にでかいのを一発打たれているのに起因するんだろう。

('A`)(二度もミスをするつもりはないが……)

それでもその予感を拭えない。
それは投手の本能というか、勘というか、ただなんとなくな危険回避意識。

('A`)(画面の前のお前。チキンとか言うなよな)

ここで一本打たれたら終わりなのだから、慎重になるのも当然なのだ。
決してビビリではない。賢明と言え。……いや、ビビッてないから。マジでぇ。

('A`)(あー、なんか考えるの面倒臭くなってきた)

書いてる人も、正直なんか面倒臭くなってきた。
……もうこれでいいや。これで決まれば儲けもんってことで。


('A`)(いくぞ。アウトローに真っ直g( ^ω^)「タイム」


(審ФωФ)「タイム!」


2_20100102144245.jpg


(;'A`)(なんだよ、変なタイミングで間ぁ取りやがって……)

内藤は一旦バッターボックスから出て、その場で屈んだ。
どうやら靴紐が解けたので、それを結び直しているようだ。
しかし、なんだこの絶妙なタイミングは。俺への嫌がらせとしか思えない。

やがて、内藤が靴紐を結び終わり、左打席に戻ってくる。
俺は気を取り直して、わかってますへサインを送る。球種はストレート。コースはアウトロー。
あれだけインコースを続けた後の外角だ。そう簡単には打てまいよ。

俺は集中していた。どれくらい集中していたかと言うと、
一人自室にて自家発電に夢中になりすぎて、いつの間にか母親が真後ろに立っていたのにも、
気がつかず、ずっと本能のままに右手を動かし続けた某毒男くらいに集中していた。

というよりも、それは集中というか、周りが見えていなかったと言った方が正しいだろう。
そして、今の俺の場合は目の前の打者にしか目がいってなかった。

だから、投球動作に入った直後、
耳に届いたその声で、盛大に動揺してしまった。


(;,,゚Д゚)「は、走ったァーッ!!」


('A`;)(……え? 三塁ランナーが……スタート……!?)

一瞬、わけがわからず投球動作を止めそうになったが、それは出来ん。
違反投球でランナーが進塁してしまう。俺は投球動作を続けながら、脳内では史上最高速で思考していた。

('A`;)(ツーアウトの場面で三塁ランナーがスタートを切るってのは、一体どういうこった? まさか、ホームスチール?
    いや、それはないか。まず、前提としてそんなもんが決まるわけねぇ。
    んなもんやったって飛んで火にいる夏の虫が如く、即タッチアウトで終了だ。
    それに、内藤のプロ最後の打席であるこの場面で、三塁ランナーが自身の判断だけで、
    そんな大博打かますとは思えない。
    ……じゃあこれは内藤が合意の上でのプレーなのか?
    そういやあいつ、さっき靴紐を結び ながらなんかじっと三塁方向を見つめてなかったか?
    それが実はランナーへのサインだったんじゃねぇか? つまりこれは、内藤も合意の上でのサインプレー。
    じゃあ、この場面でやらかすサインプレーってなんだ?
    ランナーがスタ-ト切らなきゃならないプレー。ホームスチールはないとすると……エンドラン?
    いや、それもない。アウトカウントがツーアウトだってのにわざわざエンドランをしかける意味がわからない。
    だって、ツーアウトならランナ-はバッターが打つと同時にスタートするのが当たり前だ。
    何もせずバッターが普通にヒット一本打てばそれで決着だもの。
    やる意味がないということで、エンドランは消える。
     じゃあ、他になんのプレーがある? わざと野手に挟まれて挟殺プレーのミスを誘う作戦か?
     いや、それはねーよ。挟殺プレーでミスするとか何処の弱小高校だよ。曲がりなりにもプロだぞ?
    そんな不確かなミスを期待してわざわざタッチアウト=試合終了の危険を侵す筈が無い。これもなし。
    ということは、残ってるのはあと一つ……。
    で、でもまさか、ありえないだろ。だって、ツーアウトだぜ?
    このプレーはだいたいアウトカウントに余裕がある場合にやるのがセオリー、
    バッターを犠牲にするのが前提のプレーだ。
    それを最終回ツーアウト、ましてやバッターはこの打席がプロ生活最後のプレーになるかも知れない内藤だ。
    ありえないありえない。それにそんなプレーは俺Mr.FULLSWI○Gでしか見たことねーよ。
    いや、他の野球漫画でもやってるかも知れないけど、俺あんま野球漫画とか読まないし……。
    そういや、ミスフ○では相手校のピッチャーは、三塁ランナーをタッチして殺そうとしたよな。
    なにあれ? わざわざ不確実なタッチプレーより、一塁がフォースプレーなんだからボール放って、
    そっちでアウトにすりゃいいじゃん。常識的に考えて。
    ……とにかく、そんなプレーはセオリー外の外。やる筈がない。
    ましてや、こんな場面でなんてやる筈がないんだ。
    最終回、ツーアウトからのスリーバントスクイズなんてありえねぇよ!!)


――ここまで約0,6秒。


しかし、俺が放ったストレートの球速は142km/h。ボールが18,44m先のホームまで到達するには、
適当計算で約0,45秒(多分合ってる。間違ってたらスマソ)。少しだけ、速さが足りなかった。

( ^ω^)「ッ!!」

咄嗟にウエストするよう努めたが、内藤が構えたバットをかわすには充分ではなかった。
内藤が目一杯腕を伸ばすと、その手に握られたバットとボールが衝突。
三塁線と平行するように転がっていった。

('A`;)「クソッ! マジかよ!?」

無駄に長い思考と、実際に目の当たりにするまでありえないと、
どこか盲目的に確信していたので、俺の初動は完全に出遅れた。
その間にも、打球はドンドン転がっていく。

(;<●><●>)(くっ、際どい……。ピッチャーか、サードか……!?)

打球の位置は微妙だった。
捕手であるわかってますの守備範囲外であることは、確実だが、
マウンドのラインを越えるか、超えないかという辺り。はっきりと指示は出しにくいだろう。
三塁線に近くはあるが、見たところファールになるような転がり方ではない。
スリーバント失敗によるアウトは期待出来そうにもなかった。

この打球、本来なら三塁手が逸早くスタートを切り処理をするのだが、
まさかここでスクイズなど、やるとは夢にも思わなかったので、俺同様三塁手のギコも出遅れていた。
俺が捕るべきか、それとも任せるべきか。逆に言えば、どちらが捕ろうと然して状況に変化はないのかも知れない。
その場合、体重移動の方向的にスローの動作に入りやすい三塁手に任せるべきだろう。だが、

(;,,゚Д゚)「お、俺が……」

('A`;)「いや! 俺だ!! 俺が捕る!!」

ギコが自分が捕りにいくとアピールを出したが、俺はそれを制し自ら処理する事に決めた。

(;<●><●>)「ファースト!!」

わかってますが大声で指示を出す。
初動が遅れていた守備陣よりも、ランナーの方が早いのは必然。ホームが間に合うはずもない。
まぁ、元々そっちに投げるつもりはない。

バッターランナーがアウトになれば、三塁ランナーのホームインは成立しないのだから。

(#'A`)

転がったボールを捕球すると、俺は少々憤慨しながら一塁方向を見つめた。

三⊂二二二(;^ω^)二⊃ ブーン!!

そこには、腕を翼のように広げ全力で走る内藤の姿。

今シーズンでの引退を表明している奴にとって、今日は実質引退試合。
この打席はプロ選手としての最後の打席であった。
ツーアウト、二・三塁。ツーストライクワンボールの打者不利なカウント。
あと一球でアウトが成立し、奴のプロとしての生活には幕が降ろされる。

その状況で……、スリーバントの上に、セーフティスクイズ。
何考えてやがる。ありえんだろ、常識的に考えて……。

奴のプロ最後の打席で偶然にも巡ってきた、俺との最後の真剣勝負の場面。
なんという天の思し召しかと思っていたのに、それをこんな奇異な形で終わらせてしまう奴に俺は腹を立てていた。

そして、その怒りは奴の顔見てついに爆発する。


(#'A`)「(^ω^;)←この顔むかつくからやめろやああああああああああッ!!!!!」


( <●><●>)「あ」

(,,゚Д゚)「あ」

⊂二二二( ^ω^)二⊃「お?」



('A`)「あ」




怒りに任せてブン投げたボールは、それはそれはよく飛んだ。
具体的に言うと、一塁手の頭上を遥かに越えて、ライト側のファールグラウンドへ転々。

いわゆる一つの暴投。記録はピッチャーのエラー。

内藤は走らずとも悠々と一塁へ辿り着き、アウトは不成立、ホームインは成立。
ついでに、二塁にいたランナーまで生還する始末。

スコアはそのワンプレーで、あっという間に塗り替えられ、
最終回、土壇場でヴィッパーズに二点が追加される。

3対2。ヴィッパーズのサヨナラ勝ちが決定。

敗戦投手、俺。



/('A`)\



('A`)「ウツダシノウ……」

仮にもチームのリリーフエースである俺が、最終回に逆転を許しサヨナラ負け。
主な原因は四球、失投により生まれた二塁打、暴投エラー。周りの野手に落ち度は欠片もない。
全て俺の責任。

(,,゚Д゚)「ドクさん。もう終わったことっす。いつまでも気にしてても仕方ないっすよ」

ロッカールームに選手はもう殆どいない。
皆、家に帰るなり、飲みに行くなりしちまった。

('A`)「だって、俺アレよ? プロよ? これでも20年目の大ベテランよ?
    おまけにこのチームのリリーフエースとか言われてんのよ?」

本当に全部自分の責任だが、誰かに愚痴でも聞いて貰わないとやってられない。
未だ残っているギコとわかってますにそう自虐り、ボヤく。

( <●><●>)「たしかに。あんなミス、高校生でもそうやらないんです」

わかってますは、こういう時に裏表なくはっきり言う男だった。
慰め? なにそれ? おいしいの? と言った感じ。俺はますますブレイクハート。

('A`)「はぁ…俺も引退しようかな……。おーい、誰か練炭買ってきてー」

(;,,゚Д゚)「おいおい! ドクさん、そりゃ引退ってレベルじゃねーぞ!?」

もう生きるの疲れたわ。内藤も辞めちまったし、俺もそろそろ潮時かも知れん。いや、マジで。

ギコのツッコミをマトモに受けることもせず、
ただただ「うぼぁ」と、溜息を吐きながら逃げ出した向こう側にきっとあるであろう、楽園に想いを馳せる。

( <●><●>)「でも、大丈夫なんです」

不意にわかってますは、そう俺に言ってきた。

('A`)「……なにが大丈夫よ? どこが大丈夫よ?」ウツダシノウ

こんな醜態晒しておいて、何が大丈夫なのか。意味がわからん。どういうこっちゃね。
小一時間、陰鬱なふんいき(何故か変換する気になれない)を醸し出しながら問い詰めるぞ。コラ。

( <●><●>)「ドクオさんがまだ辞めないのは、わかってます」



('A`)「……」

(,,゚Д゚)「……」




( <●><●>)「では、お疲れ様でした。お先に失礼します」

(,,゚Д゚)「あ、おい……!」

根拠のない自信に満ちた確信、要するに個人的に言いたかったことを適当に吐き捨てて、
その事後処理もせずに、デカ目の女房役は人気のなくなったロッカールームから去っていった。

あとに残されたのは、今の言葉でなんとも言えない気持ちになっている俺。

('A`)「……」

('A`)「はぁ……やってらんねぇぜ」

('A`)「わかってますの野郎……、なーにが」

( <●><●>)『おいおいwwwwwこんなことで辞めんなよwwwwwwwwww
         誰だってエラーくらいすんだろ?wwwwwなにが引退だよwwwwwww
         おっさんwwwwwwいい年こいてショック受けすぎワロスwwwwwwwwwwww』

('A`)「だっつーの……」

だいぶニュアンスが違うのは、少々気が滅入っているからだ。気にすんな。

('A`)「……まぁ、たしかに本当に辞める気はねぇけどよ」

俺の「引退する」は、中学生の「俺もう死ぬわ」と同じようなもんだ。
つまりそれは、いい年こいて俺が中学生と同レベルだってことなのか……?

('A`)「……あぁ、俺も帰るかね」

これ以上考えると、今の状態からさらに輪をかけて酷く鬱に陥りそうだったので、
俺は考えるのをカーズ様並にやめ、「よっこらセックス」と呟いて立ち上がり、
ロッカールームを後にしようとした、その時だった。


I wanna be a VIP STAR~♪ 君がずっと夢中なそれなんてエロゲ?~♪

('A`)「? 着信…メールか、いったい誰……」

【送信者:内藤ホライゾン】


('A`)「……内藤?」


【送信者:内藤ホライゾン】----------------------------------

3_20100102144245.jpg


--------------------------------------------


(#'A`)ビキビキビキビキ

内藤から送られてきたメールは、俺の神経を逆撫でするには充分の、
クソ腹の立つ内容だった。兄ちゃん、俺いまなら人を殺せるよ。

(#'A`)「あの野郎、今度会ったらボッコボコにして……」

I wanna be a VIP STAR~♪ 君がずっと夢中なそれなんてエロゲ?~♪

と、思い立ったところでまた着信。またしてもメール。送信者は同じく内藤。
正直、今のメールの所為で、なんかもうメールを見るのが嫌になってしまった。激しくマンドクセ。

('A`)「また俺を害する内容だったら、携帯を二つ三つ四つに折り畳んでやろう。そうしよう」


【送信者:内藤ホライゾン】-----------------------

今のメールはジョーク、ジャパニーズジョークだお^^
あんま怒らないでくれお^^

それは置いといて、飯食わないかお? 飯^^
いま家帰ったら、ツンがご馳走いっぱい作ってたんだお^^

どうせ、暴投したのがショックでまだ球場のロッカールームでボーッとしてるんだろお?^^
食い切れそうもないから、良かったら今からでも家に来てくれお^^

----------------------------------


('A`)「……」

('A`)「野郎……」

('A`)「どうでもいいけど、語尾に『^^』付けすぎだろ。常識的に考えて」

ってか、あいつ今日で引退だろ? チームメイトと飲みに行ったりしなかったのかよ。
あー、でもあいつの性格なら、チームメイトの誘いよりも、
嫁さんの方を優先してスタコラサッサで帰宅しちまうのもありえるか……。

ちなみにメールの『ツン』ってのが、あいつの嫁さんの名前だ。
まぁ、ブーン系の住民ならいちいち説明しなくても大体察しがつくよな。
うん、察しろ。細かい説明とか面倒だから。

というか、アレだな。
ウチのチームには打ち上げ~みたいな感じの飲みの誘いとかはないわけ?
だいたいそういうのって、何処にでも強制参加的な感じであるもんじゃね?

それがないにしても、誰も声かけてくれなかったなぁ。俺ってみんなに嫌われてるのかなぁ。
いや、俺が激しく落ち込んでたから、敢えてみんな触れないようにしていたのか……?

まぁ、いいや。とっとと、奴の家へ向か……

(,,゚Д゚)「ドクさん! これから飲み行かないっすか?」

あらまぁ、まだいたのかい、ギコったら。
落ち込んだ先輩を立ち直らせようと、一人残って飲みに誘ってくれるなんて優しいんだ。

o川つー;)oイイコウハイダナー だが、タイミングが悪かったのう。          

('A`)「……すまん。たった今用事ができた。悪いが、お先に失礼すんぜ」

(;,,゚Д゚)「え? あ、ちょ……お、お疲れっした!!」

足早にロッカールームを去る俺。
あぁ、可愛い後輩の誘いを断るのは胸が痛い。許せよ、今度グミやるから。

あーそうだ。
メール。一応返信しとかねぇとな。


【送信者:鬱田ドクオ】---------

おk、把握した。今から向かう。

とりあえず、そっち着いたら一発殴らせろ。

-----------------





( ^ω^)ブーンの引退試合のようです('A`)-やっと終わり-






この小説は2008年2月8日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:Tttk2iTn0 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/02 14:44 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/3203-009b2fb2


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。