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(´・ω・`)ショボン博士は体温を感じるようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




戦争で家族を失い、自らも飢餓によって倒れる。
道ばたで冷たい死体となっているその子も、大体そんなところだろうと思えた。

(´・ω・`)「……」

よくある話だ、そう考えながら、ショボン博士はそのまま通り過ぎようとした。
しかしふと思いつき、足を止める。
現在実験中の技術を使えば、この子を生き返らせる事が出来るのではないか。
そう考えたからだ。

(´・ω・`)「……ごめんね。君の体、使わせてもらうよ」

命を弄ぶ行為、神への冒涜、人間の禁忌。
そんな言葉が頭をよぎったが、ショボン博士は頭を振って振り払い、その子を抱き上げた。



20080316030248.jpg



カプセルの中で、試験体は静かに呼吸をしていた。
実験は成功し、冷たい体が息を吹き返したのだ。

死滅した脳の細胞を、特殊な細菌によって蘇生させる。
ショボン博士が長年取り組んでいた研究である。

ただし、肉体の損傷は細菌では戻らない。
壊れてしまった部分は、取り替えるしかないのだ。

(´・ω・`)(後戻りは出来ない。もうこの子は死体じゃないんだ。
      意識を取り戻した時、全ての責任は僕が取らなきゃいけない。
      覚悟を決めるんだ……わかっていた事じゃないか)

ショボン博士は震える指で、パネルを操作し始めた。
カプセルの中で麻酔を打ち消す薬が、霧状に散布される。
霧が収まると、カプセルがゆっくりと開き始めた。

(´・ω・`)「……」

「……ん……」

(´・ω・`)「!」

まだ年若い、少女の呻きが聞こえる。
白く細い腕が、カプセルの中からはい出てきた。
淵を掴んで、体を起こそうとしている。

彼女が体を起こし、ショボン博士に気がつくまでの、数秒間。
それは、永遠とも思える時間だった。



(´・ω・`)「……こんにちわ」


(//‰ ゚)「……誰……デスか?」

(´・ω・`)「僕の事や、君が知らない事は少しずつ話していくよ。
      でもその前に、君の名前を教えてくれないかな?」

(//‰ ゚)「……ワカりません」

(´・ω・`)「……そうか。じゃあ……君の名前は後回しにしよう。
      お腹空いてないかい?」

(//‰ ゚)「空いてマス……」

(´・ω・`)「ご飯にしよう」

まずは、コミュニケーション。
頭が完全に覚醒するまで、少しでも友好を結んでおこうとショボンは考えた。
全ての事情を知った時、生を放棄してしまうかもしれないからだ。

ほんの少しでも、生きる事の楽しさを教えられたら――。
それは贖罪であり、研究の一つでもあった。


(´・ω・`)(共に食事をする。警戒心を解くには古典的だが有効な手段だね)

(´・ω・`)「おいしいかい?」

(//‰ ゚)「ハイ。凄くおいしいデス。コックさんデスか?」

(´・ω・`)「まさか。この白衣を見てみなよ」

(//‰ ゚)「えっと……コックさんデスよね」

(´・ω・`)「ああ……うん……コックさんも着るね……白衣……」

(//‰ ゚)「やっぱりコックさんダ!」

(´・ω・`)(……元々無かったか)


(´・ω・`)(相手はまだ子供だ。一緒に遊んでやれば、僕の事を慕うだろう)

(´・ω・`)「ねえ。フリスビーでもしないかい?」

(//‰ ゚)「やりマス!」


(//‰ ゚)「いきマスよー。それ!」

(`゚ω・´)「ぐはぁ!」

(//‰ ゚)「はわっ! ごめんナサイ! 少し力入れ過ぎちゃったカモ……」

(`゚ω・´)(パワーシステムは申し分ないな……うん。成功成功……)


(//‰ ゚)「今日は私ガ料理を作りマス」

(´・ω・`)「料理なんて出来るのかい? へー感心だな」

(//‰ ゚)「女の子のたしなみデス!」


(//‰ ゚)「ごめんナサイ……」

(;´・ω・)「フライパンがねじ切られている……どんな握力で握ったんだい?」



( ^ω^)「おいすー」

(´・ω・`)「やあ」

(//‰ ゚)「お友達デスか?」

(´・ω・`)「幼なじみでね。彼も博士なんだよ」

( ^ω^)「ブーンですお。よろしく」

( ゚ω゚)「ぎゃああああ!」

(;´・ω・)「早く手を離すんだ!」

(//‰ ゚)「ご、ごめんナサイ……握手苦手なんデス……」

( ;^ω^)「手首持ってかれるかと思ったお」


(´・ω・`)(人との交流は、脳の活性化に繋がるはずだ)

(´・ω・`)「良かったら、この子と遊んできてくれないかい? 私は夕飯の支度があるから……」

( ^ω^)「お安いご用だお。子供は好きだお」


(//‰ ゚)「フリスビーでもしますカ?」

( ;^ω^)(さっきの事を考えると……おそらくフリスビーは危険だ)
       「いや、かけっこがいいお。オジサンと勝負だお」

(//‰ ゚)「負けまセンよ!」


⊂二( *^ω^)⊃「ブ――ン!」

⊂二( *^ω^)⊃(ふっふっふ。100メートル11秒台の僕に勝てる訳ないお!)

( ^ω^)「え?」

それは、まさしくカマイタチだった。
大きなカタマリが、空気を切り裂いて横を通り過ぎていく。
目で確認するなんて事は不可能で、ただ何かが通った事しかわからなかった。
それはまさしく、カマイタチだったのだ。

(//‰ ゚)「わーい勝った勝った!」

( ;^ω^)「お、オリンピックを目指すべきだお」

(//‰ ゚)「博士が加速装置を組み込んでくれたんデス」

(#^ω^)「あんにゃろう……僕がかけっこをするの知ってて……!」

( ^ω^)「それにしても良い走りだったお。かけっこで負けたのは初めてだお」

ブーンは試験体の頭に手を伸ばし、くしゃっと髪を撫でた。

( ;^ω^)「……!」

(//‰ ゚)「?」

しかし触れた瞬間、ブーンは慌てて手を引っ込める。
試験体はぽかんと口を開けて、彼の不可思議な行動を見つめていた。

( ;^ω^)(体温が全く無い。身体機能を機械で補ってるからか。
       普通の子供だと思って触ったから、びっくりしたお……)

(//‰ ゚)「どうしたんデスか?」

( ^ω^)「……何でもないお。さあ、家に帰るお」


色々と失敗もあったが、ブーンも含めた三人の関係は徐々に親しくなっていった。
研究の成功を感じ、ショボン博士の機嫌も良い。

そろそろ話していいだろう。
ショボン博士は、研究室に試験体を呼び出した。

(´・ω・`)「やあ。とりあえず、そこに座って」

(//‰ ゚)「どうしたんデスか? あらたまっちゃって」

(´・ω・`)「ええと、まずは一つ。拡張チップの事だ」

(//‰ ゚)「やったあ! 今度は何が出来るようになるんデスか?」

(´・ω・`)「何が出来るというか……感情表現が増えるんだ。
      君は女の子だし、結構使えると思うんだけど……駄目かな」

(//‰ ゚)「……嬉しいデス」

(´・ω・`)「うん?」

(//‰ ゚)「私は博士が作ったロボットなんデスよね?」

(´・ω・`)「……」

(//‰ ゚)「ロボットの私に、まるで人間みたいに接してクレて……。
      全然可愛くないのに、女の子として扱ってくれる。
      私、博士が大好きです」

(*´・ω・)「……ありがとう」

(;´・ω・)「あ、いや違うんだ。そうじゃなくて……」

試験体に、必要以上の感情を抱いてはいけない。
ショボンは戒めとして、改めて深く心に刻んだ。

(´・ω・`)「君に話しておかなくてはいけない事があるんだ」

(//‰ ゚)「……?」

(´・ω・`)「辛い話だと思う。でも、最後まで聞いて欲しい」


ショボンは研究の話から始め、彼女を道ばたで拾い、改造したという事まで、全て話した。
それは時間にして、数分の事だった。
しかし博士にとっては、研究の運命を握る事であり、実際よりもずっとずっと長く思えた。

(//‰ ゚)「……」

(´・ω・`)「本当にごめん。僕は君に殺されても仕方ないと思っている。
      これから君が何をしようと、僕はきっちり責任を取るつもりだよ」

(//‰ ゚)「別に何もしまセンよ。今まで通りデス」

(´・ω・`)「え?」

(//‰ ゚)「私は博士と一緒にいられる事ガ、凄く楽しいんデス。
      だからそんな事、どうだってんいいんデスよ。
      それに本当は、うっすら覚えているんデス。死ぬ前の事。
      目を覚ました時は全部忘れてタけど、ふと頭によぎるんデス」
      最初は何かのエラーかと思ったけど、記憶が残ってたんデスね」

(;´・ω・)「何を思いだしたんだい? 教えて欲しい」

(//‰ ゚)「……家族の事です。みんな、殺されまシタ……」


彼女は、笑う事も泣く事も出来ない。
しかし、その無表情な顔が、ショボン博士にはどうしようもなく切なく見えた。

(//‰ ゚)「私は逃げたんデスけど……結局捕まったんでしょうネ。
      逃げおおせタなら、死んでるなんておかしいデスもの」

(;´・ω・)「ご、ごめん……。辛い事、思い出させちゃって……」

(//‰ ゚)「いいんデス。貴方に聞いてもらいたかったカラ……」

(´・ω・`)「……」

(//‰ ゚)「あ、そうそう! この拡張チップ、早速つけてみマスね!」

(´・ω・`)「う、うん……」

服を脱ぎだした彼女に気を遣い、ショボン博士は背中を向ける。
拡張チップは脇腹の装置に組み込むので、一度裸になる必要があるのだ。

(//‰ ゚)「もういいデスよ」

(´・ω・`)「ちゃんとつけられたかい?」

(//‰ ゚)「はい。何か変わりましたか?」

(´・ω・`)「ははは。チップがユニオンするには、数分かかるからね。
      変化があるのはその後だよ」

(//‰ ゚)「むー」

待ち遠しいのか、椅子にすわったまま、足をぱたぱたと動かす。
博士はその仕草が妙に子供らしく、可愛く見えた。


その時、研究室のドアが乱暴に開かれた。
ブーンかと思って博士は振り返ったが、そこにいたのは、いかつい顔をした男たちだった。


('A`)「へっへっへ。お前がショボン博士だな」

(;´・ω・)「ど、どなたでしょうか?」

('A`)「俺たちは盗賊団、ハムスターズだ」

(;´・ω・)「な、何……!?」
  _
( ゚∀゚)「ククク……観念するんだな」

盗賊団、ハムスターズ。
首領のジョルジュを筆頭に、各地を荒らすならず者の集団である。
名前の由来は、首領の飼っているペットからきているらしい。
  _
( ゚∀゚)「金目の物を出してもらおうか」

(;´・ω・)「あ、ああ。わかった」

(//‰ ゚)「……あ……ああ……!」

(;´・ω・)「どうした? 君は危ないから、奥の部屋に……」

(//‰ ゚)「私の……私の家族を殺した……殺した人……!」

(;´・ω・)「な、何だって……!?」
  _
( ゚∀゚)「どうしたんだよ。早くしろ。あいにく、俺様は気が短いんだ」

(;´・ω・)「……き、君たちはこの子を覚えているか……!」

('A`)「なんだぁ?」

(//‰ ゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「しらねえよそんな気持ち悪い奴」

('∀`)「ひっひっひ。一応女みたいだけど、さらっていきますか?」
  _
( ゚∀゚)「バーカ。こんな女買うやついねえだろ。
     それとも、お前こんなのが趣味なのか?」

('∀`)「ありえないっす」

ゲラゲラと品の無い笑いが起こる。
ショボン博士は、気がつけば口を開いていた。

(#´・ω・)「ふざけるなよ……! この子はお前たちが殺したんだぞ!
       命をなんだと思ってるんだ!」

(;´・ω・)「……!」

(;´・ω・)(いや……僕も同類じゃないか……)

命を弄んだ者として、同じ立場であると、叫んだ後に気がついた。
肩を震わせて、悔しさに目頭が熱くなる。
どうして自分は、こんな研究をしていたのかと。
  _
( ゚∀゚)「後にしようかと思ってたが……今のはイラっときたぜ」


(//‰ ゚)「博士! 危なイ!」

(´・ω・`)「え?」


銃声が研究室にこだました。
自分が撃たれたのだと気がついたのは、床にあおむけで倒れてからだった。


(//‰ ゚)「博士! 博士!」

(;´・ω・)(……ぐ……肺をかすめたかな……息が出来ない……)

(//‰ ゚)「嫌! 嫌! 死なナイで! お願い!」

(;´・ω・)(……? 何だ……ラジエータがうまく動作してないのか?)

(;´ ω )(いや……違う……これは――――――)

ショボンの瞳から、静かに光が消えていった。
抱きしめた腕に、心臓の鼓動は伝わってこなくなった。






(//‰ ゚)「……」

('A`)「ジャストミート! お見事です」
  _
( ゚∀゚)「射撃の腕とハムスターの飼育は誰にも負けないんだよ」

(//‰ ゚)「……どうして……どうシテなの……」
  _
( ゚∀゚)「ああん?」



(どうシテ神さまは……生きる事を許してクレないノ……?)






( ;^ω^)「おい! しっかりするお!」

肩を揺さぶられて、彼女ははっと目を覚ました。

(//‰ ゚)「……あ……ブーンさん」

( ;^ω^)「今警察を呼んだお! 一体何があったんだお!」

彼女の周りには、気絶した盗賊たちが転がっていた。
ブーンが一人一人見て回ったが、死んでいる者は一人もいなかった。

(//‰ ゚)「博士が……ショボンさんが……」

( ^ω^)「……わかってるお。ごめんお……来るのが遅くて」

ブーンが彼女を抱きしめる。
冷たい機械の体が、小刻みに震えていた。


( ^ω^)「泣いてるのかお……?」

「いいえ……そんな機能、ついてまセンから……」


( ^ω^)「じゃあ……ソレはなんなんだお」




(//‰ ;)「……え?」




  ――ええと、まずは一つ。拡張チップの事だ

 ――やったあ! 今度は何が出来るようになるんデスか?

  ――何が出来るというか……感情表現が増えるんだ。

  ――君は女の子だし、結構使えると思うんだけど……駄目かな




(//‰ ;)「……わかりまセン」



冷たい頬を伝う涙には、確かな熱がこもっていた。
ショボンの実験は、成功したのだ。









この小説は2008年2月28日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:GUP3S03G0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです


お題
・加速装置
・拡張チップ


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/02 14:26 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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